胃ろう(PEG)とは メリットや介護方法
胃ろう(PEG)とは
内視鏡を使って胃に空けた小さな穴のことを「胃ろう(PEG)」と呼びます。
嚥下障害や認知症などが原因で口から食べ物を食べられない人、あるいは嚥下性肺炎を起こしやすい人が、直接胃に空けた穴から水分や栄養を摂り、全身状態を安定させるための「経管栄養法」のひとつです。
胃ろうのメリット・デメリット
メリット
・長期に渡って栄養管理が可能
・鼻からチューブを入れるより体への負担や苦痛が少ない
・介護する側の負担が軽い
・喉にチューブがないことから、口から食べるためのリハビリや摂食訓練などが行いやすい
・高齢者の死因となりやすい肺炎のリスクを下げられる
・洋服を着れば外からはわからないので外出しやすい
・痰が出しやすくなる
デメリット
・口を使わないため口腔内が不潔になりやすい
・腸ろうと比べて逆流を起こしやすい
・体力が低下していると合併症を起こすリスクが高い
・胃ろう周辺の皮膚がただれる
・胃ろう専用の栄養剤が高額のため費用がかかる
・認知症などの場合、自分でカテーテルを抜いてしまう
・半年に一度カテーテルの交換が必要
・施設への入所が比較的難しくなる
胃ろうの手術
胃ろうの手術は内視鏡を使って、10〜30分程度で行われます。
内視鏡から胃の中に空気を送り、胃を膨らませることでお腹と胃をくっ付けた後、局所麻酔をして専用の針を使ってお腹と胃に一気に穴を開けます。局所麻酔で行われ、出血はほとんどなないため、入院期間も短くて済み、体への負担はかなり少ない手術です。そのため、体力がない高齢者でも受けやすいといえるでしょう。
状況によっては全身麻酔などで開腹手術が行われることがあります。
胃ろう用カテーテルの種類
バルーン・ボタン型
口がボタン式のため、目立たず邪魔にならないタイプです。バルーン内の蒸留水を抜いて出し入れするため、交換が簡単であるというメリットがあります。ただし、バルーンが破裂しやすいため、短期間で交換になることが多いでしょう。
バルーン・チューブ型
チューブ式のため栄養を投与する際の接続が行いやすい一方、チューブが邪魔となり、自分で引き抜くことがあります。また、バルーンが破裂したり、チューブ内の清潔が保ちにくかったりという点がデメリットです。
バンパー・ボタン型
口がボタン型で目立たないタイプです。カテーテルが抜けにくく、交換までの期間が長い点や逆流防止機能がついているため安心できるというメリットがあります。しかしその反面、交換時にはやや痛みがあるでしょう。
バンパー・チューブ型
カテーテルが抜けにくく、投与時に栄養チューブと接続しやすいというメリットがあります。ただしチューブを自分で引き抜いたり、チューブ内が不衛生になりやすかったりというデメリットがあります。また、交換時に痛みや圧迫感を感じることがあるでしょう。
胃ろうの経過
胃ろうの術後は数日間様子を見たうえで、問題がなければ栄養剤を投与して、逆流がないかスムーズに流れるかなどを確認します。時間をかけてゆっくりと入っていきますが、早さは調整可能です。
1日に必要な最低限の栄養しか摂取しないため、胃ろうにすると痩せてしまうことがあります。
術後4日ほどで、問題がなければ入浴も可能となります。
胃ろうにかかる費用
胃ろうにするとどのくらい費用がかかるのでしょうか?
栄養剤の費用
栄養剤の種類や量は体の状態を見て医師が処方します。広く利用されている栄養剤は医療保険が適用されます。安心介護内の投稿を見ると、「食事をしていた時と比べて、さほど費用は変わらない」との声がありました。半固形タイプの栄養剤など、医療保険が適用されないものもあります。
また、介護保険施設に入所する場合、栄養剤は「食事」と見なされるので食費で賄われます。
カテーテルの交換にかかる費用
約半年ごとに必要なカテーテルの交換ですが、1回数千円程度かかります。金額はカテーテルの種類によって変わりますので、気になるようでしたら、事前に医師に確認しておくといいでしょう。
胃ろうの方の介護方法
胃ろうの方の介護方法については、退院前に病院から家族への指導があるはずです。遠慮せず、わからないことはしっかりと確認しておきましょう。
なお、胃ろうの周りは皮膚がただれやすいので、こまめにチェックして清拭することが大切です。
専門家によるアドバイス
安心介護内に投稿された、胃ろうの介護に関する専門家のアドバイスをまとめます。
▼誤嚥性肺炎に気を付ける
胃瘻にしたからといって、誤嚥性肺炎を起こさないわけではありません。
自分の唾液で誤嚥したり、胃瘻から注入した栄養剤が逆流したり、嘔吐したりすることで誤嚥することもあります。
そうゆうことを防ぐために、半固形の栄養剤もあります。
(専門家 優幸 さんの回答)
引用元:介護のQ&A「胃瘻造設について」
また、口を清潔にしておくことも大切です。
▼入所を検討する
胃ろうを増設すると施設への入居が比較的難しくなりますが、無理というわけではありません。
施設等でも、医療・看護・介護職の配置状況等によっては対応しておりますが、俗にいう「特養(要介護3以上が対象)・老健施設」では、人員、コスト、リスク等を考慮して対応する施設が少ないのも現状です。 やはり、慢性期者の経管栄養対応は「療養型病床群」等が受け入れの可能性が高いと思われます。
いづれにしても
◎インターネットで、地域に『喀痰吸引等登録特定事業者(在宅または施設)』の検索によって対応可能事業所を確認する。⇒対応可能な在宅事業所があれば介護支援専門員と相談
◎入院中の病院の「地域連携室(医療等相談室)」や主治医等との相談。
意見が分かれる「胃ろう」
胃ろうの造設は、海外では少ないと言われています。
胃ろうの方の介護は大変ですが、嚥下障害のある方の食事の介助と比べると大変ではないかもしれません。ただし、「本当に本人のためになるのか」「自分ならやりたいか」といった点で、胃ろう造設を迷う家族は多くいます。
一度付けてしまうと、嚥下状態が改善された場合を除き、取り外しにくいのが「胃ろう」です。
胃ろうに関する疑問・質問
カテーテルの交換は必要か?
約半年ごとに交換が必要です。カテーテルは洗うことができないため、衛生面を考慮して定期的に交換します。
経口摂取に戻すことはできるか?
栄養剤の調整はできるか?
栄養剤には形状や濃度などさまざま種類があるので、医師から指定されたものを投与します。勝手に調整してはいけません。変更や調整の際には、医師の処方箋が必要です。
在宅介護で胃ろうを行う際の注意点
栄養剤を注入する時は、顔色や胃ろう周囲の皮膚の状態、カテーテ ルの状態などをきちんと確認することが大切です。特にチューブ型は患者が自分で引き抜くことが多いので、注入する前にはカテーテルがしっかりと繋がっているか確認しなければなりません。
入浴は可能か
特別な保護の必要がなく、そのまま入浴できます。
胃ろうと腸ろうの違い
大きな違いは、栄養材を入れる場所が胃なのか腸なのかということです。通常、経口摂取ができなくなった場合は胃ろうを造設します。しかし何らかのトラブルで胃ろうが上手くいかなかったり、病気などで胃を切除したりして造設が難しい場合には、腸ろうが造設されます。