Bluetoothプロトコルの概要
BluetoothR ワイヤレス・テクノロジは、短距離ワイヤレス接続に関する世界的な通信規格です。Bluetoothは1994年にEricsson Mobile Communicationが最初に立ち上げたテクノロジです。Bluetoothの目的は、複数のデバイス間を相互に接続するための多種多様なベンダー固有のケーブルを単一の汎用的な短距離無線リンクで置き換えることでした。たとえば、携帯電話とラップトップの両方にBluetoothを導入すると、ケーブルを使用しなくても、ラップトップを携帯電話に接続できるようになります。プリンタ、デスクトップ、FAX機、キーボード、ジョイスティック、その他のほとんどのデジタル機器は、Bluetoothシステムの一部に組み込むことができます。Bluetoothは低コスト・低電圧のソリューションとして設計されており、既存のデータ・ネットワークに対する汎用的なブリッジ、および周辺インタフェースを提供するほか、接続されたデバイスを固定ネットワーク・インフラストラクチャから切り離して、それらのデバイスからなる小規模なプライベート・グループを機動的に形成するためのメカニズムを実現します。現在、Bluetoothは広範なマーケット・セグメントにおいて、製品とアプリケーションの開発に利用されています。これらのマーケット・セグメントの例として、ソフトウェア開発会社、シリコン・ベンダー、周辺機器やカメラのメーカー、モバイルPCのメーカー、携帯機器の開発会社、民生用電子機器メーカー、自動車メーカー、検査機器や計測機器のメーカーなどが挙げられます。
機能と特長
- 2.4GHz ISM無線帯域で動作。
- 79チャンネルの周波数ホッピング方式(FHSS:Frequency-Hopping Spectrum Spread)を利用。
- 通信チャンネルでは帯域幅合計1Mb/秒のデータ通信(非同期)と音声通信(同期)をサポート
- 128ビットの暗号化モードを通じてセキュリティを保証
- 8個のアクティブ機器と255個の非アクティブ(Parkモード)デバイスをサポート
- 自動的なエラー修正と再伝送
- 各デバイス用の接続プロファイルをSIG制御仕様で細かく定義
アーキテクチャ
Bluetooth機器は他のBluetooth機器と複数の異なる方式で通信できます。最も単純な方式は2つの機器が通信する場合です。この通信トポロジは「ポイント・ツー・ポイント」と呼ばれます。1つの機器がマスターとして動作し、もう1つの機器はスレーブとして動作します。このような臨時のネットワークは「ピコネット」と呼ばれます。正確に定義すると、ピコネットとは、1つのマスターと1つ以上のスレーブから構成される任意のBluetoothネットワークを指します。1つのピコネットの中では、最大7個のスレーブをアクティブにすることができます。複数のスレーブを使用する場合の通信トポロジは「ポイント・ツー・マルチポイント」と呼ばれます。その場合、チャンネル(および帯域幅)は、ピコネット内のすべてのデバイス間で共有されます。
- サポートされるチャンネル構成(および帯域幅)は次のとおりです。
構成 | 最大データ速度(アップストリーム) | 最大データ速度(ダウンストリーム) |
| 3個の同時音声チャンネル | 64kb/sec X 3チャンネル | 64kb/sec X 3チャンネル |
| 対称データ | 433.9kb/sec | 433.9 kb/sec <0} |
| 非対称データ | 723.2kb/sec または57.6kb/sec | 57.6kb/sec または 723.2kb/sec |
同期音声チャンネルは、一定の間隔でスロットを確保した回路交換を通じて提供されます。同期リンクはSCO(Synchronous Connection-Oriented)リンクと呼ばれます。非同期データ・チャンネルは、ポーリング・アクセス方式を利用したパケット交換を通じて提供されます。非同期リンクはACL(Asynchronous Connection-Less)リンクと呼ばれます。データと音声を混合したSCOパケットも定義されています。このSCOパケットは、各方向に64kb/secの音声伝送と64 kb/secのデータ伝送に対応しています。
次の表に示すように、Bluetooth機器は3種類のパワー・クラスに従って分類されます。
| パワー・クラス | 最大出力 | 電圧 |
| 1 | 100mW | (20dBm) |
| 2 | 2.5mW | (4dBm) |
| 3 | 1mW | (0dBm) |
ほとんどのBluetooth携帯機器は、コストやバッテリ寿命の問題からパワー・クラス1または2(公称出力電力は0dBm)に属すことになります。パワー・クラス1の機器では、ユーザーが電源管理機能を利用して伝送電圧を0dBm以上に制限する必要があります。これには若干のコストがかかりパワーも不足がちになりますが、広範な到達レンジを必要とする各種アプリケーションや家庭用ネットワークにとって十分な最大100mの到達レンジが実現されます。Bluetooth無線モジュールでは、GFSK(Gaussian Frequency Shift Keying:ガウス周波数偏移変調)方式に基づいて周波数変調を行います。GFSK方式では、正の周波数偏移を1で表し、負の周波数偏移を0で表す2進体系が使用されます。
BluetoothではLinkモジュールが使用されます。Linkモジュールは、BluetoothのLink Managerソフトウェアと密接に関連しています。LinkモジュールとLink Managerソフトウェアは、ベースバンド・プロトコルおよび他の低レベル・リンク機能(データの送受信、接続の確立、エラーの検出と修正、データのホワイトニング、電源管理、認証など)を制御する役割を持ちます。
Linkモジュールは、ホップ順序の導出にも関与します。ホップ順序を導出するときには、マスター機器のBluetooth Deviceアドレス(BD_ADDR)が使用されます。すべてのBluetooth機器には、48ビットのIEEE 802アドレスが割り当てられます。マスター機器の48ビットのアドレスをピコネット内の各機器で使用して、ホップ順序が導出されます。
また、Linkモジュールは、Bluetoothで定義された3種類のエラー修正スキームを実行する役割も持ちます。
- 1/3レートFEC(Forward Error Correction:前進型誤信号訂正)
- 2/3レートFEC
- データに関してはARQ(Automatic Retransmission Request:自動再送要求)スキーム
2種類のFECスキームの目的は、再伝送の回数を減らすことです。ARQスキームでは、伝送が成功したことを示す確認応答を受信するまで(または、事前に指定されたタイムアウトが発生するまで)データの再送信を続けます。各パケットにはCRC(Cyclic Redundancy Check:巡回冗長検査)コードが追加されます。受信側はこのCRCコードを使用して、パケットがエラーのない状態で到着したかどうかを判断します。ARQスキームはデータ・パケットのみに適用され、音声などの同期ペイロードには適用されないことに注意してください。
Bluetoothでは、極めて冗長なデータを削減して直流バイアスを最小化するために、データ・ホワイトニング(漂白化)スキームを使用してデータを乱処理(スクランブル)します。データの送信側では、データ・ホワイトニング用ワードを使用してデータをスクランブルします。データの受信側では、同じワードを使用してデータのスクランブルを解除します。スクランブルの解除は、エラーの検出/修正処理の後で実行されます。Bluetoothでは、バッテリを長持ちさせるために、3種類の低電力モードを用意しています。これらの3種類のモードは、電力消費量の多い順番にSniffモード、Holdモード、Parkモードと呼ばれます。Sniffモードでは、通常よりも長い間隔で(少ない回数で)機器からピコネットにリスニング信号が送信されます。Sniffモードでのリスニング間隔はユーザーが指定できるため、適用業務や目的に合わせて柔軟な設定が可能です。HoldモードはParkモードと似ていますが、待機中でもActive Memberアドレス(AM_ADDR)が保持される点が異なります。Parkモードでは、機器のクロックが動作を続けてマスターとの同期が保たれますが、機器自身はピコネットにまったく参加しません。
開発ロードマップ
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