ニキビ(尋常性ざ瘡)に適用をもつデュアック配合ゲルについて解説していきたいと思う。

 

配合ゲルということもあり、2種類の有効成分を含有するにきびの治療薬です。

 

有効成分

過酸化ベンゾイル
クリンダマイシン

 

この2種類の成分はどちらも従来から使用されていたもので、それを一緒にして1回でまとめて塗れるようにしたのがデュアック配合ゲルです。

 

製品名でいうと、

 

ベピオゲルダラシンTゲルを一緒にぬるものだと思ってもらえばいい。

 

ちなみに、

 

ベピオゲルは通常1日1回塗布
ダラシンTゲルは通常1日2回塗布

 

なんだけど、

 

こちらのデュアック配合ゲルは1日1回の塗布で尋常性ざ瘡に効果があるとされています。

 

どちらの成分も、ニキビの原因菌であるPropionibacterium acnes(P.acnes)いわゆるアクネ菌に有効とされている抗菌効果のある薬です。

 

なんで2種類まぜたの?

 

実は、どちらも菌の繁殖を抑える効果があるんだけど、ちょっとタイプが違うんです。

 

従来の抗生物質(クリンダマイシンやナジフロキサシン)はいわゆる抗菌薬です。

 

これにたいして、

 

過酸化ベンゾイルは殺菌薬に該当します。

クリンダマイシン→抗菌薬
ナジフロキサシン→抗菌薬
過酸化ベンゾイル→殺菌薬

 

まず、

 

抗菌薬は、薬剤ごとに細菌の標的部位が決まっており、細胞壁やタンパク質や核酸の合成といった細菌が生存するうえ必要な能力を部分的に阻害することで作用を発揮します。つまり細菌だけに特異的に効果を発揮するのだ。

 

これに対して、

 

殺菌薬は、細菌の代謝や合成に関係なく、外側から攻撃することによで細菌を破壊・損傷するのだ。

 

つまり、

 

このデュアック配合ゲルは正確に言うと「抗菌薬 + 殺菌薬」の組み合わせってこと。

 

抗菌薬は細菌だけに選択的に効くのに対して、殺菌薬は細菌以外にも人の細胞を破壊してしまうおそれがある。

 

過酸化ベンゾイルは外用で使うぶんには心配ないんだけど、経口や注射なんかの投与はできませんね。

 

過酸化ベンゾイルって、海外ではずいぶん前から使用されているんだけど、日本ではごく最近(平成27年)に医療用の承認がされました。

 

いままでは、ナジフロキサシン(アクアチム)やクリンダマイシン(ダラシンTゲル)が中心だったんだけど、この2種類だけだと、抗菌剤の使用し過ぎで耐性菌が問題になったりする。

 

抗菌薬は細胞の特異的部分に作用するから、細菌が変化してその特異的な部分を強化してしまったらもう効かなくなってしまう。これがいわゆる薬剤耐性菌だ。

 

たいして、殺菌薬は細菌の外側から攻撃して破壊するので耐性菌ができにくいのだ。ちなみに、過酸化ベンゾイルは日本では耐性菌は確認されていない。

 

だから、一緒に使ったほうが効果的だし、抗菌薬への耐性菌増加も阻止できるかもしれないってこと。

 

各論

クリンダマイシンについて

このクリンダマイシンという成分はダラシンTゲルに使用されているニキビにもっともよく使用される薬の一つ。

 

リンコマイシン系の抗生物質ですね。この系統の抗生剤は、細菌がタンパク質を合成するのを防ぐ効果があります。タンパク質合成ができない細菌な死滅します。

 

つまり、細菌に対して特異的に効果があります。

 

リンコマイシン系は広義ではマクロライド系とされており、マクロライド系と構造は違うものの同じような効果が期待できます。とくにグラム陽性菌にとても効果的で、アクネ菌はグラム陽性菌であることから優れた効果が期待できます。

 

ちなみに、

 

飲み薬の抗菌薬をよく使う人は、もしかするとアクネ菌がこのクリンダマイシンに耐性をもっているかもしれない。

 

具体的に言うと、マクロライド系の抗生剤をよく内服する人は、アクネ菌が似たような構造であるクリンダマイシンにも耐性を持ってしまうことがあるのだ。これを交差耐性といいます。

 

マクロライド系の抗生物質は、代表的なものとしてはクラリス錠ルリッド錠なんかがあるけど、これらは呼吸器系疾患から尿路感染症など幅広い範囲で使用されるので、無闇矢鱈に抗生剤内服していると意外なところで不利益を被ることがある。

 

ちなみに、同様の理論で、風邪でクラビット錠ばっかり使っている人は交差耐性でアクアチムローション(ナジフロキサシン)が交差耐性で薬剤耐性を獲得して効かなくなることがある。

 

ただ、耐性を獲得したら、その抗生剤がまったく効かなくなるというわけではなく、高い濃度で塗布すれば除菌は可能です。なので、外用のクリンダマイシンは比較的高濃度で使用します。具体的に言うと、耐性菌出現阻止濃度(MPC)以上の濃度で塗布すれば耐性菌も除菌できますね。

 

いちおう、いっとくけど、ダラシンはアクアチムよりも一般的に強いとされていますね。ただ、一緒に使うことの方が多いですね。

 

ダラシンTゲルの副作用について

これといって強い副作用はないけど、肌がツッパるってのはあるかもしれない。あと、合わなければ赤くなったり痒くなったりすることもある。この場合は中止して医師に相談してください。

 

つっぱるのが気になる時には保湿を一緒にするといい。一緒にするなら順番は、保湿→抗生剤のぬり薬の順が一般的です。保湿は全体にして、その上から症状のあるところにだけピンポイントで薬剤を使ったほうが、副作用がでたとしても限局されますね。

 

過酸化ベンゾイル(ベピオゲル)について

海外ではにきび治療にいろんな薬が使われるんだけど、日本では数種類しか選択肢がなかった。そこで、皮膚科医が待ち望んで登場したのがこの過酸化ベンゾイルです。

 

殺菌効果が期待出来るだけでなく、抗炎症作用、角層剥離作用、面皰溶解・改善作用などが報告されている。どれをとっても尋常性ざ瘡に効きそうな効果である。

 

いろいろ期待できるみたいだけど、メインの効果は「殺菌効果 + ピーリング効果」とおぼえておけばいいだろう。

ピーリング効果について

角質剥離作用がつまりピーリング作用ですね。毛穴のつまりをとってくれるのだ。アクネ菌に対してはこのピーリング効果がとても大切です。

 

アクネ菌というのは、酸素がない状態で活発に活動する嫌気性菌だから、逆に酸素があると死活してしまう。つまり、つまった毛穴が大好きでそこで繁殖します。そのつまりがとれたらアクネ菌は増殖できないのだ。だから、ピーリング効果はニキビに効果テキメンなのだ。

殺菌効果について

上記にアクネ菌は酸素が嫌いとかきましたが、過酸化ベンゾイルは、読んで字のごとく「酸化され過ぎている」のだ。だって、過酸化物ですから。

 

過酸化物は標的を見つけると、標的を酸化させてしまうのです。だから、この酸化力でアクネ菌を攻撃します。嫌気性菌はこの酸化力が大嫌いだから、殺菌効果が発揮されるのです。

 

まとめ

抗菌効果 + 殺菌効果 + ピーリング効果」でとにかくニキビ菌に効くってこと。抗生剤が効かないニキビにも効くから完全に除菌ができて耐性菌増加も止められる。また、ピーリングでつまりをとればニキビができにくくなる効果も期待できる。症状が軽いものから重度のもの、はたまた面皰にも効果が期待できるのでこれからにきび治療の中心となる薬剤であることは間違いない。

 

あと、2種類一緒に塗るのめんどくさいから1種類ですんでいいですね。1日1回で効くというデータがあるから、夜だけつければ効果は1日期待できる。