ホワイトニング・クリーニング

ホワイトニング

ホワイトニング剤を塗布することで、歯の表面の黄ばみ色素を分解して歯を漂白していきます。
歯科医院で行うオフィスホワイトニングと、家で行うホームホワイトニング、オフィスとホームを両方行うデュアルホワイトニングなどの方法があります。

オフィスブリーチ法と比較してホームブリーチ法は、患者さんにとって自分で処置するわずらわしさがあるが、診療時間が短い通院回数が少ない、漂白剤の安全性が高い、経済的負担が少ない、効果の余地性が高い、色の後戻りが少ないなどメリットが多くあります。 また、近年注目されている予防処置3DS(Dental Drug Delivery System)と同様に歯の表面に付着しているう蝕原性細菌への消毒後窩(齲蝕予防効果)そして過酸化尿素が漂白に用いられる以前に研究されていた歯周炎、歯肉炎に対する治療あるいは予防効果が期待されるのみならず、患者さんの自分の歯に対する関心が高まり口腔衛生管理(ブラッシング、フロッシングなどのセルフケア)のモチベーションが高まることから歯の寿命が長くなります。
10%過酸化尿素と増粘剤というシンプル組成から、トレー装着時間を短くするため過酸化水素を5~10%含む製品や、硝酸カリウムやフッ化ナトリウムなどの知覚過敏を抑制する成分を含む製品全てに近い商品は移行しました。

過酸化水素水の殺菌作用は酸化作用による。グラム陽性菌、グラム陰性菌、酵母、ウィルスに有効で、特にグラム陰性菌に対する効力が強い。長時間の接触、または高濃度(6%)においては糸状菌、結核菌、芽胞にも有効である。作用機序はヒドロキシラジカルを発生し、脂質膜、DNA、細胞内容物をアタックするためです。
歯の硬組織成分であるハイドロキシアパタイト(リン酸カルシウム結晶)の純粋なものには作用せず、エナメル質内の数%といわれる有機成分に作用しています。ラジカル反応による発色基の修飾(発色の消失)、発色物質の分解(消滅)によるとされています。

過酸化尿素10%
Carbamide Peroxideは口腔内の唾液と体温によって徐々に分解すると、約1/3の濃度(3.6%)の過酸化水素水と尿素を生じます。10%過酸化尿素は歯質(エナメル質、象牙質)を透過し、15分間で少量の過酸化尿素が歯髄側で認められますが、不可逆的な歯髄障害は起こらないとされていますので比較的安全といえます。

尿素は軽度の殺菌効果があるほか、スルファミン類との併用で抗菌作用を増強する。高濃度尿素には角質水分保持量を増加させる作用と、角質の溶解剥離作用がある。10%の過酸化尿素からは約3.6 %の過酸化水素、約6.4%の尿素を生じます。過酸化水素はさらに分解して、フリーラジカルを生じ漂白作用を発現させるのです。

マスキング説と浸透説

マスキング説

過酸化水素水はエナメル質の内部に浸透せず、表層の浅い部分の有機成分と水分含有量を変化させることで表面の色調と屈折率を変化させ、内部の色調を目立たなくさせています。エナメル質内の表層0.25ミリに限局。直接漂白剤が接触するエナメル質表面も変化し、漂白剤によりエナメル質表層のペリクルが除去され、エナメル小柱の周囲の有機成分が分解されます。

浸透説

テトラサイクリン変色は象牙質中のテトラサイクリンが原因で、この有機物質を酸化・分解することで漂白作用が発現します。エナメル質表層で発生したフリーラジカルがエナメル葉などの有機成分に富む部分を経由しエナメル質中に浸透・拡散して、象牙質まで達し漂白作用を発現するのです。

オフィスブリーチでは急激にフリーラジカルを発生させるため、エナメル質表層の光学的特性の効果が大きく、漂白直後のマスキング効果による明度の向上が認められます。しかし、作用時間が短いため漂白剤が浸透する効果は小さく、短期間に色調が戻りやすい傾向にもあります。
ホームブリーチでは徐々に歯質に浸透することで2~3年にわたり漂白作用が持続すると言われています。

変色の原因

外因性の変色

日常生活の中で摂取するお茶、コーヒー、カレーなどの飲食物の中に含まれるタンニンなどの色素やその他の色素が、歯の表面のペリクル内の唾液タンパクを媒介として、歯面に沈着し、変色をさせると考えられている。
この色素沈着の過程は、歯の表面を覆うペリクル内の唾液タンパクの一部が、pHの変化によりカルシウムイオンと水素結合し、その結果色素が沈着しやすくなるとされている。

ペリクル

獲得被膜とも言われエナメル質表面に唾液が直接接触して形成される厚さ0.1~数μmの被膜であり、無細胞、無細菌、無定形である。唾液中の糖タンパク(ムチン)などが、静電気的にハイドロキシアパタイトに吸着されて形成される。歯質を保護し、初期脱灰で生じたカルシウムやリン酸イオンの拡散を防ぐ作用がある。しかし、バイオフィルムと歯面との間の介在物でもあるペリクルの細菌が歯面に初期付着する足がかりとなる。ペリクルは日常のブラッシングでは除去できないといわれている。

タンニン

多くの植物には、タンニンと総称される水溶性のポリフェノール化合物が含まれている。身近なところでは、樹皮、お茶の葉、柿の実、ゴボウやレンコンなどの根に含まれており、「渋」や「あく」とも呼ばれている。歯の表面に見られる色素沈着物には、ペリクル中のタンパクとタンニンとの化合物や、糖とアミノ酸が反応した植物由来のフルフリル誘導体が存在するとされる。フルフリルはトウモロコシやサトウキビの芯から作られ、医薬品、香料などの製造に用いられている。

 

齲蝕を管理するには唾液検査などによるカリエスリスク診断

齲蝕を管理するには唾液検査などによるカリエスリスク診断、リスクに基づく個人ごとの予防プログラム(Order Made Dentistry)の導入、PMTCとフッ化物の応用による再石灰化促進などがある。
 有髄歯の漂白では2~3年後には歯の後戻りが認められることがあるが、6ヵ月おきの定期健診時に表面着色の除去やPMTCにより、後戻りを遅らせることができる。漂白後に色調が戻った場合、追加漂白を行うこともある。

齲蝕原因菌と軟組織への影響

11%過酸化尿素を含有するグリセリンゲルを歯肉表面に1日3回食後に2分間塗布したところ、プラークスコアーは優位に減少したが、歯肉炎指数は変化しなかった。
10%過酸化尿素を塗布した上下カスタムトレーを1日1時間装着するホームブリーチ法6週間行う前後の、唾液中の細菌数を調べると、乳酸菌(LB)は優位に減少し、ミュータンス菌(MS)は減少したが有意差はなかった。すなわち抗菌効果をもち抗齲蝕作用が期待できる。
ホームブリーチを100日行うと2mm前後のポケットは変化しなかったが、4mm前後のポケットは2mm程度まで変化した。(セルフケアによる口腔衛生状態の向上もある。)
ホームブリーチを行うことにより、口腔内細菌が減少し、バイオフィルムを可及的に除去するPMTCの併用によって得られる口腔内細菌に対する作用やプラーク付着抑制作用がある。

 以上のように、ホームブリーチ法は歯を白くするだけでなく、自身の口腔衛生への関心が高まり、ブラッシングの励行により口腔内の衛生状態も改善される。また10%過酸化尿素自体にも、歯周病を有る程度改善する効果が認められている。