美容皮膚科学に基づいた皮膚の構造と肌表面のバリア機能の解説

スキンケアに関心があっても意外ときっちまとまったわかりやすい皮膚構造の解説は少ないので、ここでできるだけ具体的でわかりやすく解説しておきます。

最初にみてほしいのが下の肌図です。

肌は大きく分けて表皮と真皮に分かれており、保湿成分としては、

  • 表皮:天然保湿因子(アミノ酸類、乳酸Na、PCA-Naなど)、細胞間脂質(セラミド)
  • 真皮:ヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチン、線維芽細胞など

代表的なのはこれらの成分になり、図ではわかりにくいのですが、表皮は0.2mm程度で構成されており、真皮は1.8mmほどで合わせて約2mmです。

ただし、ここでは主に肌表面の健全性や保湿に関わる表皮について解説していきます(∗1)

∗1 真皮および真皮の成分は老化による肌の衰え(シワやたるみなど)に関わる部分なので別の記事で詳しく解説します。

表皮は、下から基底層 → 有棘層 → 顆粒層 → 角質層と4層で成り立っていますが、最も重要なのは肌の表面である角質層です。

以下に肌図の中から角質層だけピックアップしたものを掲載します。

表皮の一番外側である角質層(角層)は0.02mmの薄さで、図では省略していますが、実際は角質細胞がパイの表面のようにみ10層~20層にも重なってできています。

角質層は吸水性や保湿性に富んでおり、正常な状態では15%~20%の水分を含んでいます。

角質層は主に、

  1. 天然保湿因子(NMF):アミノ酸、乳酸Na、PCA-Naなど
  2. 細胞間脂質:セラミドなど

という2種類の保湿成分で構成されており、画像をみるとわかると思いますが、レンガレンガの間をモルタルでくっつけるように、天然保湿因子を含んだ角質と角質の間をセラミドなどの細胞間脂質が隙間なく満たしています。

天然保湿因子は、水分を保つ働きがあり、角質内部のうるおいを保つのに役立っています。

正常な肌状態では体内で自然に必要な量が作り出されていますが、肌荒れや乾燥状態ではアミノ酸量が2/3ほどに減少することがわかっており、このことからも健康な肌を保つには天然保湿因子が欠かせない存在であることがわかります。

また、細胞間脂質は細胞同士を結びつける接着剤のような働きをしており、これが角質層表面にいくにつれて減ってくるため角質は剥がれやすくなり、自然に表皮の表面から角質が角片となってはがれ落ちます。

同時に、細胞間脂質は角質と角質の間を隙間なく埋めることで角質層から水分が外界に失われていくのを防止しているため、細胞間脂質が減ることも乾燥肌が成立する要因となります。

皮膚バリア機能の構造とその役割

角質細胞はケラチンからできていますが、ケラチンにはアミノ酸が多く含まれており、強靭で水に溶けず、化学物質に対する抵抗性も強い特性をもっているため、外の刺激から体の内部を守る防護壁としての役割を担っています。

この防護壁としての作用を一般的に”バリア機能”と呼んでいます。

バリア機能の役割は大きく分けて、

  1. 化学物質や細菌からの防衛
  2. 水やその他の物質の体内浸透への防御
  3. 紫外線からの防御

の3つがあります。

①に関しては、角質層を構成するケラチンが硬くて強靭な性質をもっていることに加えて、皮膚表面を覆う皮脂膜が弱酸性に保たれているので、角質層は皮脂膜とともに細菌類の侵入や繁殖を防いでいます。

②に関しては、角質層全体が物質透過を阻止する層として働いているため、外部から簡単には皮膚吸収しない仕組みになっています。

そのため、お風呂に入っても、決してお風呂の水が体内に侵入して水ぶくれになることはありません。

また、外からの物質や水の侵入を防ぐと同時に体内の水分やたんぱく質などが外に漏れないように防ぐという2面の機能をもって表皮の水分保持に貢献しています。

③に関しては、紫外線を防ぐ役割を主に担っているのは、表皮の基底層にあるメラニン色素ですが、角質層も皮膚表面の反射や角質層での散乱・吸収などでその一端を担っています。

また、メラニン色素が増加すると角質層自体も厚くなり、紫外線の透過をより妨げるようになります。

日焼けした皮膚が厚くなって肌の透明感を失い、くすんで見えるのもこの生体反応のためです。

正常なターンオーバーで肌は毎月新しく生まれ変わる

表皮の最下層である基底層で新しい表皮細胞ができて、それが角質層の表面から角片となって自然にはがれ落ちるまで、およそ1ヶ月かかるのが一般的であり、つまり表皮は平均28日周期で新旧入れ替わります。

この28日周期で入れ替わる表皮の新陳代謝をターンオーバーと呼びますが、このターンオーバーのおかげで皮膚は新鮮さを保つため、新陳代謝が適切に行われることは美しい肌を保つ条件のひとつです。

ターンオーバーが速すぎると、正常なターンオーバーが行われず、天然保湿因子や細胞間脂質がまともにつくられなくなり、結果として肌の防御機能が悪くなり、水分がどんどん外気中に逃げていくようになります。

逆にターンオーバーが遅くなると、剥がれるはずの角質細胞が剥がれ落ちないため、角質は厚くなってしなやかさが失われ、透明感もなくなりくすんだ肌になり、皮膚の表面がザラザラして硬くなったり、白い粉を吹いたような状態を招き、肌は美しさを失います。

ターンオーバーが正常でなくなる原因を以下に記載しておきます。

■ ターンオーバーが速まる原因

  • 日焼けをして炎症を起こした場合・・・肌が赤く腫れ、数日後に皮が剥けますが、これは日焼けによってダメージを受けた表皮が修復を急ぐためにひと皮剥けるという減少で、この時のターンオーバーは非常に早まっています。
  • 皮膚が炎症を起こした場合・・・表皮のターンオーバーが速まり、通常1ヶ月かかるところ、1週間以下になる場合もあると思われます。

■ ターンオーバーが遅くなる原因

  • 老化の場合・・・ターンオーバーは老化とともに遅れがちになり、ターンオーバーが遅れると角質細胞が剥がれるまでの時間が延長することによって、結果的に皮膚表面に露出している角質細胞がより長時間留まることとなり、その間に皮膚の表面がざらついて、なめらかさやツヤを失ってくすみを生じます。

ターンオーバーが速まるのを改善するためには、炎症を起こさないまたは炎症が起こったとしてもすぐにケアすることが重要です。

具体的には、

  • 抗炎症成分や抗酸化成分が配合された化粧品でのスキンケア
  • 年間を通してのUVケア
  • 抗炎症・抗酸化食品の摂取

などがあります。

ターンオーバーが遅くなるのを改善するためには、

  • 表面の角質を落とすピーリングのようなケア
  • 皮膚細胞を活性化させて代謝を促す細胞賦活成分が配合された化粧品でのスキンケア
  • 動物性たんぱく質とビタミンA、ビタミンCを経口摂取する

などがありますが、敏感肌の場合はピーリングなど古い角質を剥がし取るケアは刺激が強いのでおすすめできないため、必然的に残りの2つの方法を用います。

ただし、どちらにせよ角質層に似た保湿成分(アミノ酸やセラミドなど)を補ったり、バリア機能が壊れていたら、バリア機能をサポートする成分などを補う必要があります。

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この記事は敏感肌スキンケアの基礎講座にカテゴライズされています。

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