ウェブブラウザのJavaScript(ジャバスクリプト)の設定が無効になっています。Javascriptが無効になっていると、サイト内の一部機能がご利用いただけません。 寂しいを言えない男の甘やかし方2017年1月12日 11:44灯りのついた静かな部屋腰を落ち着けていた黒いソファーカツカツと一定のリズムを刻む壁掛けのデザイン時計ただ静かな午前3時真っ正面を見るとは無しに見ていた視線をゆっくりと手元に落とす何も持たない掌をただ握る不意にぽとりと落ちてきた妙な虚無感にひそりと溜息をついた―寂しいを言えない男の甘やかし方―ちょっとした残業が終わって帰宅した午前2時何時ものように一人のんびりとした時間を過ごす為に部屋を温めている間にシャワーに向かう玄関を通り真っ直ぐ部屋へ向かいレトロな暖房器のスイッチを入れ手早く上着を脱ぎバスローブだけ小脇に抱えると足早にキッチンへ向かいポットで湯を沸かし踵を返したリビングを通りシャワールームへ向うためだシャワールームについてから服を脱ぎつつぼんやりとこの後どうするか考えるシャワー浴びたらキッチン行ってお茶煎れて部屋戻って読みかけの本を読もうとかせっかくのオフタイムだがお茶呑んだら寝てしまうのも良いなとかシャワーノズルから放出されている適度に暖かい湯を頭からバシャバシャ浴びながら考えている間にすっかり身体は温まり1日分の汚れも落とせたようだからとシャワーを止めて湯船に体を沈めた暖かい湯に身体を浸してゆっくりと首を回す身体の力を抜き緊張させていた筋肉を休ませてやる湯船の縁に頭を乗せて一つゆっくりと呼吸して目蓋を下ろしたやんわりと皮膚の表面から内側に浸食してくる熱に小さく溜息に似た呼吸が漏れる今日1日意外と疲れていたらしい事に少しばかり驚いたはっきり言えば暇だったのだやるべき書類も早い段階で片付けてしまえていたしスクランブルもなかった珍しい位中弛みした1日だった為残業が趣味化している上司の書類整理を手伝って見たりと暇を持て余していたのは確かでおかげでeveryday残業な上司を一般的な定時で帰らせてやれた事は自分なりに満足していたしついでに明日の分も少しだけ残業をして片付けておいたこれだけやることのなかった1日で疲労を感じているのだから早い話が暇疲れだろうかゆっくりと目蓋を上げる十分にほぐれた身体を少し伸ばして湯船から上がり備え付けておいた黒いバスタオルで軽く水気を拭うとバスローブを羽織ってフリースのスリッパを引っ掛け部屋へ向かう事にした部屋へ向かう前にとキッチンへ寄り熱湯をティーポットへ入れ紅茶葉を入れたものを右手に黒くテラリとしたマグカップを左手に持ち火を消すと改めて部屋へ向かった部屋へつけば予定通り暖かくなった室内にほうと安堵の溜息今日は溜息の多い日だコツリとサイドテーブルにポットとマグカップを置くとベッドサイドにある黒いソファーに深く腰を沈めた何時だったか一般的には寝室と言われる私室に勝手に持ち込まれた黒い革張りのシングルソファー夜は革張りだと冷えるからと最早下品と言える程度に毒々しい紅のファーカバーを被せていた事を思い出す全体的に黒くモノトーンの寝室に一点ナンセンスな紅いソファー悪趣味だと文句を言えばこれで良いんだよと返された気がする自分ではあまり使わないソファーなのでカバーは外して置いてあるそんな事をくだらないなと思い返しながら黒革のままのソファーに落ち着いてサイドテーブルに最近置きっぱなしの本を手にしブックマークを外した暫くは黙々と読み進めていたが気がつけばもう後数ページで終わってしまう所まで読んでいたらしい内容はたいした物では無く暇潰しにと買って置いた医療医学の専門書で今まで読んだ物とあまり大差は無く特に新しい発見もなかった読み終えた本をサイドテーブルに置きふと顔を上げる特に何かをみた訳では無いがなんとなく周りを見回してみたただ静かな明るい暖かい部屋物音と言ったら時計の秒針が時を刻む音と微かな自分の呼吸音音のする方を見る時計が示す時間は午前3時だから何だと自分に突っ込みを入れたい気分だ至極ゆっくりと視線を落とした其処に有るものなんて穢れた自分の手位で面白い物ではないが久しぶりにマジマジと自分の手を見る最近寒くなって乾燥しているから荒れ放題だった掌ざしざしと音がする程だったのに今は少しのひび割れ程度に治まっているそれもこれも過保護なバカがほぼ毎日寝る前にと自分の手にクリームを塗り込む作業を律儀にしていた賜物だろうかく と開いた手を閉じると握り締めた拳から視線を外したもそり 普段外してある毒々しい紅のファーカバーをひっつかみソファーにかけて座り直す別段革張りが冷たかった訳ではないが何となく掛けておきたくなったのだ悪趣味に紅いファーカバーは思いの他手触りが良く座り心地が良い物でスリッパを脱ぎ下ろしていた足をソファーの上に上げ身体を丸めてソファーの上に治まるちょうどソファーに対し横向に三角座りをしているような感じでファーに頬を寄せた少しだけ窮屈なのだが何となくそれも落ち着く感じがしてよしとしたふと鼻先をくすぐっていた匂いに気付く嗅ぎ慣れていて普段気付かない程それは余りにも身近になりすぎた匂いで間違える筈もなく毎回必ずこのソファーカバーを使う男の匂い男が好んで使うパルファムの香りではないそれは恐らく体臭と言われる部類の匂いで嫌いではないなと思うまるで昼から夜に変わる瞬間のあの冷えた空気の匂いに近い自分に取って落ち着く匂いだふありと鼻先をファーにうずめてみるくらりくらりと揺れていた神経が少し和らいだ気がした偶に感じる酷く揺らいだ虚無感に目蓋を下ろすなんて事はない暫くすれば元に戻るからと何時も放って置いている自分なら何とでもなる少し疲れただけだ暖かい部屋柔らかいファーカバー付きのソファー静かな空間に目を閉じるようにゆっくりと意識が落ちて行くのをあぁ寝落ちるなとか思いながらそれも良いと甘受したさわり ふと揺らいだ空気の気配に意識が浮上するまだ重い目蓋を上げれば視界の端で動く黒い物体に首を回し視線を投げたバサバサと身に付けている防寒着を外す度揺れる銀色を暫し注視すると銀色がゆらりとこちらを向いた「…ぁ?起きたか?」『…ん』へにゃりと緩く笑った男に視線を投げたまま返事を返すとくつくつと笑った男がのんびりした足取りで傍まで寄って来た「お前さんこんな所で寝落ちかい?風邪ひくぜ?」『部屋自体寒くないから問題無い』はいはいと空返事をした男は自分の丸まっているソファーの正面に立つと丸まっている自分をすっぽりと覆うように抱き付いて来て自分の髪に鼻先を埋めすり寄っているぎう と少しだけ抱く力が強くなったと思えば人の首元で大きな溜息一つ「…ただいま。シュラ」『…おかえり。デスマスク』「寂しかった」『寂しく無い』「違ぇよ、俺が、寂しかった」『知らん』「知らんくて良いから、もうちょいこのままで…」『…好きにしろ』「うん。好きにする」ぎうぎうと力を込めて抱き付いて来る男から香るパルファムに混じって感じる嗅ぎ慣れた匂い少しだけ頬を寄せる暖かい体温に感じる匂いに男の存在に遠のいた虚無感に