2009年05月02日


歯肉が黒ずんでいるという方がいらっしゃいます。

これは何かというと、粘膜にメラニン色素が沈着したのです。

粘膜というものは、角質層がないだけで、皮膚と由来は同じです。

肌などの外部により接する機会が多いところは上皮細胞が角化するのに対し、粘膜のように外と接する機会の少ないところは、角化が殆どおこらないのです。

皮膚にメラニン色素が沈着すると、黒子になります。
皮膚が日に焼けると、メラニン色素が沈着して、黒くなります。
外部から皮膚に色素を入れると、刺青になります。

粘膜の場合は、日焼けと同様に黒くなります。しかし、日焼けと違って一皮剥けません。
なぜなら、粘膜は角質層を持っていません。つまり、剥ける皮がないのです。

粘膜にメラニン色素が沈着するはっきりとした理由は、わかっていません。しかし、どういう人がメラニン色素沈着をするかは、わかっています。口腔粘膜に刺激の強い生活習慣を行っている人が、メラニン色素沈着を起こす傾向が強いです。

具体的には、煙草を吸う人は、なりやすいです(^^;。

メラニン色素沈着は、実害はありません。しかし、不健康な印象を与えがちです。
煙草のヤニは、猛毒です。それを嗜好しているのですから、吸わない人より不健康な傾向になってもいたし方ないでせう。

ちなみに、煙草を吸う人は、吸わない人より癌になる可能性が高いことがわかっています。

具体的には、肺癌のみならず、舌癌、口腔癌、咽頭癌などでも煙草との因果関係が指摘されています。

ここまで行くと、煙草を吸うなという意見になりがちです。
しかし、私はそんなことをいう気はありません。
私は煙草は吸いません。しかし、医者に行くと必ずこう言われます。

『とりあえず、10kgやせてください』

それが出来れば、苦労しません(ToT)。

それを思うと、煙草を止めるのも似たようなものでせう。

煙草の危険を理解し、他人への迷惑を考慮するのであれば、私にどうこういう権利はないと思っております。


【閑話休題】


話が横道にそれましたが、歯肉に沈着したメラニン色素を取り除く方法があります。
以前は、外科手術で粘膜を取り除いていました。要は一皮剥いだわけです。書いているだけで、痛そうなイメージが伝わってきます(^^;。

現在は、そんなことはしません。いい道具が開発されたからです。

レーザ光線です。

特定の波長のレーザ光線を歯肉に照射すると、照射された組織が吹き飛びます。
針先ほどのサイズに高エネルギーを照射し、瞬間的に1,000℃ほどの温度にしてしまうため、照射された組織自体が、吹き飛んでしまうのです。

蒸散と呼ばれる現象です。

固体や液体状態の物質が、気体に変化する暇を与えず吹き飛ぶので、そう呼ばれています。
イメージ的には、SFアニメで出てくるスーパー兵器としてのレーザ光線が、顕微鏡サイズで行われると考えてかまいません。

ですが、そう説明すると、スターウォーズか、ウルトラマンのスペシウム光線のようなものを思い浮かべる方が時々います。レーザは、CDをはじめ、様々な機器で使われている技術です。ましてや家庭用電源で、そんな大規模破壊兵器まがいのまねができるはずがありません。


……家庭用電源じゃ、顕微鏡サイズが精々です(^^;。


ちなみに、痛みを感じる前に、神経終末ごと吹き飛ばしてしまうので、痛みは感じないといわれています。実際は、照射されたエネルギーがすべて蒸散に廻るわけではなく、何割かが熱に変化するため、針で刺すような痛みがでます。無論、大概の方が気にならないレベルの痛みです。痛みに敏感な方には、予め麻酔をすればいいだけの話です。

麻酔が痛くて嫌だという方のために、私のところでは、こういう方法で、痛くない麻酔注射を目指しています。

では、吹き飛んだ粘膜がどうなるかというと、粘膜は再生力が強く、傷跡も残らず綺麗に再生してくれます。

メラニン色素沈着部位に照射すると、その部位が吹き飛んでくれます。メラニン色素沈着部位が物理的に存在しなくなります。よって、再生される組織にメラニン色素がなくなるわけです。

ただ、メラニン色素を生む細胞自体は、再生されます。ですので、生活習慣を改めないと、いずれメラニン色素沈着が再発します。

要は、煙草を止めないと、いずれ再発する可能性が高いということです(^^;。

ちなみに、『黒子もとれるか?』という質問をよくされます。

皮膚科などで使われているレーザは、皮膚が対象です。皮膚は角質層よって、保護されています。そしてメラニン色素沈着は、角質層の下につきます。このため、粘膜を対象としたレーザより強い出力が必要です。

つまり、歯科用のレーザだと、黒子を取るのは難しいです。

ともあれ、私の診療所で行っているメラニン色素除去術をご説明しませう。

まず、こちらがCO2ガスレーザです。





ヨシダ社のOPELASEA 03SIIという機種です。

レーザ光線で、メラニン色素が沈着した歯肉にレーザ光線を当てると、当てた部位が吹き飛んでしまうのです。簡単に言うと、顕微鏡サイズの外科手術を行っているようなものです。

そして、こちらが、患者さんの術前の写真です。






歯肉が黒くなっています。
前歯の歯肉を中心にレーザ光線を照射します。

照射後の写真がこちらです。






上顎の歯肉が焼けているのがわかると思います。

この焼けた歯肉は2~3日で、一皮ペロリと剥けてくれます。そうすると、綺麗な歯肉が出てきます。

CO2レーザでできた火傷は、ほとんど痛みが出ません。ですが、身体の一部をわざと火傷させるわけです。そのため、一度にあまり広く焼いてしまうのは、あまりよろしくないと思います。

私の診療所では、上顎をやったら次は下顎というように、少しづつやるようにしています。

こちらが、3回目の照射後の写真です。






1回目で上顎、2回目で下顎を照射し、3回目は残っていた黒いところを照射しました。

メラニン色素の沈着具合にもよりますが、通常3~6回ぐらいで、綺麗になります。

ちなみに、1回の治療費は5千円ほど頂いています。

そして、こちらが治療終了時の歯肉の状態です。






術前と比べると、全体的に綺麗になっているのがわかると思います。

この患者さんは、レーザの照射は、3回で終わりました。

治療は、レーザを照射して歯肉が正常になってから次の照射を行っています。

通常1週間毎に照射します。

メラニン色素の沈着具合によりますが、通常1~2ヶ月で、治療が終了します。

自分の歯の色が嫌だと思っている方は、大勢います。

その中に、歯の色はあまり問題がないが、歯肉の色や状態が悪いために、歯の色がおかしくなっている方も少なくありません。

逆を言えば歯肉の状態をよくすれば、お口や歯の色がよくなる方も大勢いらっしゃいます。

自分の歯肉が気になるという方は、一度ご相談においでください(^o^)。




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