使用上の注意

  1. 慎重投与(次の患者には慎重に使用すること)
    • (1)グルコース-6-リン酸脱水素酵素(G-6-PD)欠乏患者[メトヘモグロビン血症が発現しやすい。]
    • (2)心刺激伝導障害のある患者[症状を悪化させることがある。]
    • (3)重篤な肝障害又は重篤な腎障害のある患者[中毒症状が発現しやすくなる。]
  2. 相互作用
    リドカインは、主として肝代謝酵素CYP1A2及びCYP3A4で代謝される。
    併用注意(併用に注意すること)
    薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
    クラスⅢ抗不整脈剤
    アミオダロン等
    心機能抑制作用が増強するおそれがあるので、心電図検査等によるモニタリングを行うこと。作用が増強することが考えられる。
    サルファ剤
    スルファメトキサゾール
    エステル型局所麻酔薬
    プロカイン、アミノ安息香酸エチル
    硝酸薬
    ニトログリセリン、亜硝酸アミル
    メトヘモグロビン血症を起こすことがある。チアノーゼ等の症状が認められた場合には、本剤の投与を直ちに中止し、適切な処置を行うこと。いずれも単独投与によりメトヘモグロビン血症が報告されている。
    アミド型局所麻酔剤
    メピバカイン、ブピバカイン
    クラスⅠ抗不整脈薬
    リドカイン、キニジン
    中毒症状が相加的に起こるおそれがある。併用により中毒症状が相加的に起こることが考えられる。
  3. 副作用
    • 皮膚レーザー照射療法時の疼痛緩和
      成人:
      国内第I相薬物動態試験、第II相及び第III相臨床試験の3試験において97例中34例(35.1%)に副作用(臨床検査値の異常を含む)が認められ、副作用発現件数は45件であった。副作用は適用部位紅斑33件32例(33.0%)、適用部位蒼白8件8例(8.2%)、紅斑1件1例(1.0%)、潮紅1件1例(1.0%)、錯感覚1件1例(1.0%)、ALT(GPT)増加1件1例(1.0%)であった。
      小児:
      国内第III相臨床試験において30例中副作用は認められなかった。(小児用法・用量追加承認時)
    • 注射針・静脈留置針穿刺時の疼痛緩和
      成人:
      国内第III相臨床試験の4試験において109例中19例(17.4%)に副作用が認められ、副作用発現件数は21件であった。副作用は適用部位蒼白13件13例(11.9%)、適用部位紅斑6件6例(5.5%)、適用部位硬結1件1例(0.9%)、そう痒症1件1例(0.9%)であった。(効能・効果追加承認時)

    重大な副作用

    • (1) ショック、アナフィラキシー(頻度不明注1)
      ショック、アナフィラキシーをおこすことがあるので、不快感、口内異常感、喘鳴、眩暈、便意、耳鳴、発汗、全身潮紅、呼吸困難、血管浮腫(顔面浮腫、喉頭浮腫等)、血圧低下、顔面蒼白、脈拍の異常、意識障害等の症状が認められた場合には本剤の投与を直ちに中止し、適切な処置を行うこと。
    • (2) 意識障害、振戦、痙攣(頻度不明注1)
      意識障害、振戦、痙攣等の中毒症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
    • (3) メトヘモグロビン血症(頻度不明注2)
      メトヘモグロビン血症があらわれることがあるので、チアノーゼ等の症状が認められた場合には本剤の投与を直ちに中止し、メチレンブルーを投与する等、適切な処置を行うこと。
    注1)海外において認められた副作用のため頻度不明。
    注2)自発報告又は海外において認められた副作用によるため頻度不明。

    その他の副作用

     10%以上注3)0.1~10%注3)頻度不明注4)
    精神神経系 錯感覚浮動性めまい、感覚鈍麻、頭痛
    消化器系  悪心、嘔吐
    皮膚紅斑、蒼白潮紅、硬結、そう痒症小水疱、発疹、蕁麻疹、接触皮膚炎、湿疹、皮膚灼熱感、皮膚炎、皮膚色素過剰
    その他 ALT(GPT)増加血腫、疼痛、変色、浮腫、倦怠感
    注3)副作用の頻度は、エムラクリーム、エムラパッチでの国内臨床試験の結果を合わせて算出した。
    注4)海外での自発報告のため、頻度不明。
  4. 妊婦、産婦、授乳婦等への投与
    • (1) 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
    • (2) 授乳中の婦人に投与する場合には、授乳を中止させること。[リドカインはヒト母乳中へ移行することが報告されている。]
  5. 小児等への投与
    • (1)低出生体重児に対する安全性は確立していない。(国内における使用経験がない。)
    • (2) 海外において、特に低出生体重児、新生児又は乳児(1歳未満)では重篤なメトヘモグロビン血症が多く報告されている。
  6. 過量投与
    局所麻酔剤の血中濃度の上昇に伴い、神経系興奮症状が発現し、重症例では中枢神経抑制及び循環抑制を呈する。また、高用量のプロピトカインは、メトヘモグロビン血症を引き起こすことがあり、本剤の大量投与によりメトヘモグロビン血症が報告されている。

    徴候、症状:

    中枢神経系の症状:
    初期症状として不安、興奮、多弁、口周囲の知覚麻痺、舌のしびれ、ふらつき、聴覚過敏、耳鳴、視覚障害、振戦等があらわれる。症状が進行すると意識消失、全身痙攣があらわれ、これらの症状に伴い低酸素血症、高炭酸ガス血症が生じるおそれがある。より重篤な場合には呼吸停止を来すこともある。
    心血管系の症状:
    血圧低下、徐脈、心筋収縮力低下、心拍出量低下、刺激伝導系の抑制、心室性頻脈及び心室細動等の心室性不整脈、循環虚脱、心停止等があらわれる。
    処置:
    呼吸を維持し、酸素を十分投与することが重要である。必要に応じて人工呼吸を行う。振戦や痙攣が著明であれば、ジアゼパム又は超短時間作用型バルビツール酸製剤(チオペンタールナトリウム等)を投与する。心機能抑制に対しては、カテコールアミン等の昇圧剤を投与する。心停止を来した場合には直ちに心マッサージを開始する。
    メトヘモグロビン血症の症状:
    メトヘモグロビン血症では酸素運搬能力が減少し、めまい、悪心、頭痛、呼吸困難、錯乱、痙攣及び昏睡を起こす。
    処置:
    メトヘモグロビン血症の症状は通常、薬剤の中止により消失するが、重症の場合はメチレンブルーの投与等、適切な処置を行うこと。
  7. 適用上の注意
    使用部位
    • (1)損傷皮膚には使用しないこと。
    • (2)性器皮膚及び粘膜に使用しないこと。(国内における使用経験がない。)
    • (3)眼に入らないように注意すること。(ウサギ眼粘膜刺激試験において、結膜充血、眼瞼腫脹、角膜損傷等の重度かつ持続性のある刺激反応が認められている。)
    • (4)中耳に入らないように注意すること。(ラット及びモルモットの中耳及び内耳に投与した場合、形態的及び機能的変化を示すことが報告されている。)
    • (5)注射針・静脈留置針穿刺時の疼痛緩和に使用する場合、本剤を皮膚から除去した後、穿刺部位を消毒すること。
  8. その他の注意
    • (1)動物実験(マウス・ラット)において、プロピトカインの代謝産物であるο-トルイジンの長期大量投与により肝、尿路上皮等に腫瘍が発生したとの報告があり、IARC(国際がん研究機関)においてグループ1(ヒトに対して発がん性がある物質)と評価されている2)
    • (2)ポルフィリン症の患者に投与した場合、急性腹症、四肢麻痺、意識障害等の急性症状を誘発するおそれがある。
    • (3)国内ではシミ、シワ、ニキビ跡、脱毛等(半導体レーザーや炭酸ガスレーザー等を用いた皮膚レーザー照射療法)に対する本剤の有効性及び安全性は検討されていない。[臨床成績の項参照]

2) IARC : IARC MONOGRAPHS. 2010; 99: 395-457