ダニを減らす工夫とペットアレルギー対策

アトピー性皮膚炎はもとより、気管支喘息においても吸入ならびに接触アレルゲンとして環境因子(とりわけダニやホコリ)の影響が大きいことは周知の事実であります。クリーンルームで生活するとアトピー性皮膚炎の方の症状が改善されることは九州大学皮膚科OBの福田・今山先生達の論文・学会発表などからも明らかなのですが、ダニなどの環境抗原が増悪因子であることは十分理解できても、それを全ての人に適応するのは非現実的です。

加えて、最近ではペットアレルギーも増加していますので、今回は一般的な範囲でのダニアレルゲン対策とペットアレルギー対策についてご紹介します。

◆ダニアレルゲン対策
◎ダニが好む環境から考える対策
1)室温20~30℃、湿度70%以上(特に6~9月の高温・多湿な時期により繁殖) → 湿度50%以下では生きてゆけない!
2)ペットのフケ・ハウスダスト・カビなどのエサがある → エサをなくす!
3)じゅうたん・ふとん・布製ソファ・ぬいぐるみ等の卵を産みやすい場所がある → 温床を作らない!

◆ダニへの具体的な対策
1)換気 → 空気の流れを作り、湿気を除いてカビの定着を防ぐ。室内に洗濯物を干さない。加湿器も過度には使わない。

2)除湿 → 湿度50%以下ではダニの繁殖は防げることに留意。換気は晴天で外気の湿度が低い時間帯が望ましいが、その他に除湿機の使用が有効かつ便利。外出時にタイマーを使用して2~3時間の除湿を行う。加湿器の過剰使用や観葉植物・水槽設置は控える。

3)掃除 → 掃除を丁寧かつこまめにすることで、ダニ・糞・エサになるチリを除去する。掃除機は高品質なものを選ぶ(フィルターの網目が0.3ミクロン以下のもの。掃除機の排気についても気を配りたい)。出来れば湿らせた雑巾で床などの表面の細かいホコリも除去。

4)床材 → フローリングがよい。じゅうたんは取り除く。特に畳の上にじゅうたんを敷くのは最悪である。畳には1畳あたり30秒は掃除機をかけ、1年に2回くらいは畳上げを行い、畳下も掃除するとともに、防ダニシート(安価で販売されている)をひくと効果的。

5)寝具 → 布団はこまめに日光に干して乾燥させ、取り込む前にはたたいてダニの死骸や糞を取り除く。ふとんは天日干しによって1時間で湿度は60%以下になり、二日目には30%以下になると言われている。天日干し出来ないときには掃除機による吸塵やふとん乾燥機も有用。出来れば、時にでも70℃以上の温度で数時間熱処理を行い、さらに業者に依頼してふとんを丸洗い(水洗い:チリダニの糞は水に溶ける)するのが確実と言われている。その後に「高密度に織った」ダニ対策用のシーツカバーなどを使用しよう。また、予めダニ対策がなされた防ダニふとん、パイプ枕もよい。

6)カーテン → 防ダニ加工がされたものや、ポリエステル100%で、高い耐洗濯性を備えたものが望ましい。床からは数cmは離して通気性・換気性を確保する。また1~2回は洗濯する。

7)ソファ・いす → 布製はダニの絶好の繁殖場所になるため、ビニール・合皮・皮革素材のものを選択する。

8)ぬいぐるみ → ダニが繁殖しやすいので数を制限し、丸洗い可能なものを選ぶ。

9)エアコンなど → 空気フィルターを週に1回は掃除機で吸引するとともに、布巾で空気の吸入口や排出口を掃除する。月に1~2回以上空気フィルターの洗浄を行う。また、定期的な交換も行う。

◆ペットアレルギー対策
近年では、私も含めて心の安らぎを求めて室内でペットを飼育する例が増加しています。一方で住宅環境の高気密化や窒素化合物(NOx)、硫黄化合物(SOx)、さらにはディーゼル排気粒子(DEP)などの大気汚染物質によるアレルギー感作・増悪因子の増加もあいまって、ペットアレルギーの増加も問題視されています。またペットを手放せば、それで解決するかというと、重複感作(複数のアレルゲン、例えばダニやホコリとともにイヌのフケにも反応している場合など)では、ペットだけではもちろん解決にはなりません。あくまでも増悪因子の一つが取り除かれたにすぎないのだということを理解していただく必要があります。

◆ペットアレルギーの臨床的特徴
 アレルゲンが5μmとダニアレルゲンよりも小さく、長時間空中に浮遊するため下気道にまで吸入されやすい。そのため、ペットへの直接接触だけではなく、飼育部屋への入室とともに数分後には鼻炎、結膜炎、喘息、皮膚炎や蕁麻疹などのアレルギー症状が認められる。さらにはペット飼育に伴い、部屋の湿度が上昇するため、二次的にダニの繁殖にもなってしまう。

★イヌ・アレルギー
 ペットアレルギーとしてはイヌが60%を占めている。さらに室内で飼われる率が高いことから洋犬での事例が多いとされている。イヌのRAST(血液検査)にはイヌ上皮とイヌフケがありますが、イヌフケには上皮以外にも血清タンパクに含まれるアレルゲンも付加されている。

★ネコ・アレルギー
 イヌの次に多く、約30%を占めている。ネコの場合の特徴は、抱きかかえることが多いためか、飼育者の衣服への接触を介して家庭内にも運ばれるため、非飼育家庭においても飼育家庭の1/100程度は検出され、敏感なヒトではこの程度でも十分に感作されるという。

★ハムスター・アレルギー
 従来からのゴールデンハムスターよりも小型で、室内飼育が簡単なジャンガリアンハムスターの人気もあいまって急激に増加した。アナフィラキシーショックも報告され、死亡例もある。ハムスター喘息の特徴として、
・子供よりも成人に多い
・喫煙者に多い
・マンションでの事例が多い
・飼育開始1年前後での発症
・咳症状が強く、気管支炎と診断されていることもある
・目や鼻の症状は少ない(皮膚も)
・RAST陰性の患者でも吸入誘発試験では陽性になる
・アレルゲンとしては、体表面のタンパクだけではなく尿中タンパクも重要
・咬み傷から唾液中のタンパク質が直接血中に流入してアナフィラキシー反応を生じることもある
・飼育中止で速やかに症状が軽快などが挙げられる。
*当院では、ジャンガリアンハムスター抗原での検査ならびに吸入誘発試験などは行っておりません。呼吸器科へ受診・ご相談ください。

★ペットを飼う上での注意点
1)尿で濡れると固まるタイプの砂を入れ、毎日取り替える。
2)居間や寝室を避けて、換気ならびに通気のよい場所で飼う。
3)布製の家具、表面の粗い素材でできた壁紙、じゅうたん、カーペットなどを避ける。
4)メスを1匹にする(メスの方がアレルゲン産生が少ない。オスの場合は去勢が望ましい)。
5)週に2回の入浴・シャワー浴を行う(イヌ・ネコ)。
6)空気清浄機を使用するとともに、換気に努める。
7)接触後は必ず手洗いを毎回行う。飼育者は着替えも行う。
8)咬まれたり、ひっかかれたりしないように気をつける。

◎参照:Q&Aでわかるアレルギー疾患1(2):201、2005.環境調整とアレルゲンモニタリングによる気管支喘息治療・管理の効果、ダニ対策講座:National、環境とアレルギー、ばんたねネットワーク