NEW POST

Roland JD-Xi試奏記(2)

  Roland JD-Xi試奏記(1)の続きです。

 Roland JD-Xi試奏記(2)では、パラメーター構成について触れていきますが、SuperNATURALシンセトーンは、おそらくRoland JUPITER-80JUPITER-50FA06、FA08と同じものと思われるので、ここでは主にアナログシンセトーンについて記したいと思います。

 JD-Xiのアナログシンセトーンは、私が理解している所謂アナログシンセサイザーとは、やや趣きが異なっています。

 LFOやENVは、プログラマブルアナログシンセ登場時、既にデジタル化されているモデルも多かったのですが、JD-Xiはそれらはもちろん、アンプ部もVCAではなくデジタルです。また、オシレータ、フィルターに関して、VCO、VCFという語彙を使っていません。デジタルの要素が入っているのかもしれません。

 それ故か、パラメーター構成は、Roland JP-8000からGAIA SH-01AIRA SYSTEM-1に至るアナログモデリングシンセや、このJD-Xiにも搭載されているSuperNATURALシンセトーンに似ています。

 私がJD-Xiのアナログシンセトーンで気に入った要素の一つなのですが、ピッチベンドレンジのバリューを、ワークステーション機やGAIA SH-01同様、アップ/ダウン個別に設定する事ができます。アナログシンセらしいピッチ変化の滑らかさに、奏者やマニピュレータの手指に対する恭順度を併せる事ができます。

 ピッチベンドのダウン側レンジの設定に関して、DEC(−)/INC(+)ボタンのINCを押す事で-1、-2、-3…と数値としては小さく、しかしレンジそのものは広くなっていきます。

 仮にオシレータがVCOと呼べるものであるならば、昭和59(1984)年に発売されたラックマウントタイプのアナログシンセ、Roland Super JUPITER MKS-80以来の事です。

 オシレータ波形は、鋸歯状波、三角波、矩形波を含むPW。PWMのソースはLFOのみで、パルス幅の変化を変調するLFOの深度を設定できます。残念ながら、ノイズジェネレータはありません。

 1オクターブまたは2オクターブ下の矩形波を加えるサブオシレータがあります。

 オシレータとサブオシレータの音量の割合を決める、あるいは各々のレベルを設定するパラメーターがありません。したがって、例えば後に触れるフィルターの自己発振音の為にオシレータを発声させない場合、波形にPWを選び、パルスウィズをデューティー比100:0にするという方法が考えられます。しかしながらJD-Xiは、パルスウィズを最大値127にしてもデューティー比100:0にはならず、発声し続けます。というかパルスウィズ127にしても、デューティー比100:0までかなりといっていい距離があるような感じがします。

 ただし、パルスウィズの変化の設定のきめは、むしろ細かいと思われます。喜多郎mini KORG 700Sリードをコルグのアナログモデリングシンセでシミュレーションする場合、パルスウィズ(コントロール1)のバリュー42を41にしても43にしてもニュアンスがまるで変わってしまうのですが、JD-Xiの場合、089〜092でもさほどニュアンスは変わりません。

 オートベンド(ピッチENV)のパラメーターは、アタックタイム、ディケイタイム、ENVデプス。スタートレベル、サスティンレベル、リリースレベル0固定、アタックレベル最大値固定のタイプです。ENVデプスはプラス値/マイナス値とも設定できるので、しゃくり上げる/下げるオートベンドができます。

 ポルタメントタイムはリニア変化ではなく、アナログシンセらしい、開始時は速めでだんだんゆっくりになっていく変化です。他のアナログシンセ同様、実際はタイムではなくレイトかもしれません。

 フィルターは、まずアナログローパスフィルターを使うか否かの選択ができます。

 レゾナンスを上げきった時に自己発振します。上にも書きましたが、今のところ、オシレータを発声させない方法が分かりません。

 ローランドのアナログシンセでは初めてだと思うのですが、キーボードフォローが0~最大値ではなく、最低値~0~最大値、つまり、変化の傾斜を上りにも下りにも設定できます。デジタルアンプ部にも同じパラメーターがあります。

 ベロシティでENVデプスをコントロールできます。マイナス値も設定できるので、強く弾くほどENVデプスが小さくなるようにする事もできます。これもデジタルアンプ部にも同じパラメーターがあります。

 ENVはADSRタイプで、フィルター、アンプ部が独立して持っています。

 LFOはデジタルという事で、ローランドの既存のアナログモデリングシンセと、パラメーター構成が似ています。

 波形は三角波、サイン波、鋸歯状波、矩形波、サンプル&ホールド、ランダム。

 minimoog等アナログシンセのLFOは、電源投入時からオフ時に至るまで、いわば垂れ流された状態なのですが、JD-Xiのアナログシンセ部は、キートリガーをオンにする事で、LFOの周期の始まりを押鍵に依る事ができます。細かい事ですがこれも私にとってありがたい機能です。

 ビブラート、グロウル効果、トレモロのデプスを、三者独立して設定する事ができます。また、これとは別に、モジュレーションホイール使用時のデプスも、三者独立して設定できます。加えて、モジュレーションホイールでのレイト変化を設定する事もできます。これらは正逆の設定もできます。

 ドラムキットは、キットという、いわばドラムセットのような一つの組の中に、パーシャルという単位の一つの楽器が26あるという構成です。1パーシャル、つまり一つの楽器は、四つの波形を持つ事ができます。

 パラメーター群もワークステーション機かと思えるほど豊富で、ENVまわりのベロシティ関連の設定は、アタックタイム(T1)やリリースタイム(T4)をコントロールできる等、SuerNATURALシンセトーンよりも細かい。JD-Xiの鍵盤がミニ鍵盤であるにも関わらず、ベロシティを意外に繊細に感知できる事と併せて、リズムマシンのイメージから一歩進んだ表現ができると思います。

 ただ、収録されているPCM音素片は、Roland TR-808や606、909、707、CR-78といったローランドの歴代リズムマシンやリズムボックスから採った音素片が多く、この豊富なパラメーター群があまり活きないような気がします。ヤオヤ( TR-808)等をありがたがる奏者は、むしろ無機的な表現を指向するのではないでしょうか。

 もちろんPCM音素片には、ドラムセットや電子ドラム、ラテンパーカッション関連のものもあります。

 マン/マシンインターフェイス的には簡便な使い方を指向する奏者向けなのに、ワークステーション機のようなシンセサイザーが載っている…。ダウンロードサイトAxialで音色やフレーズパターンを供給していくそうで、結局JD-Xiは、プリセット音をそのままか、表面をぺろんと一なめする程度の人を想定しているモデルなのかもしれません。

 SuperNATURALシンセトーンやドラムキットを緻密に使いこなしたい向きは、Roland JUPITER-80、JUPITER-50、FA06、FA08を、という事なのでしょうね。

 ただ、Roland JD-Xi試奏記(1)でも書きましたが、やはりアナログシンセトーンは、独立した一つのモデルとして出していただけたらと思います。非プログラマブル、コントローラーはベンダーレバー、そして、SHの型番を冠したアナログRoland SHシリーズの最新鋭機として…。

 Roland JD-Xiが来ましたに続きます。


Roland JD-Xi
http://www.roland.co.jp/products/jd-xi/


平成27(2015)年11月6日追記。

 11月14日、Roland JD-Xiのカラーバリエーション機JD-Xi LIMITED EDITIONが発売されます。色は、赤のJD-Xi-RD、白のJD-Xi-WH。完全な限定生産機です。

Which color do you like ? JD-Xi
http://blog.roland.jp/info/jdxi-color/

【新製品】JD-Xiの限定カラーバリエーション「JD-Xi Limited Edition」が登場!!
http://roland-planet.tumblr.com/post/132656327055/
新製品jd-xiの限定カラーバリエーションjd-xi-limited

■[PR]