糖尿病や高血圧などの生活習慣病の治療に有効といわれているダイエット。そんな肥満症治療を専門に行う「よこはま北星クリニック」が2011年8月、横浜駅からほど近いビル3階に開院した。これまで北海道を中心に大きな実績を挙げてきた医療法人の首都圏で初めてとなるクリニック。木・金・土・日曜日の週末中心で行われる治療には、すでに多くの患者が救いを求めて訪れている。「頑張り過ぎないことが治療を長く続けられて、リバウンドもしない秘訣なんですよ」と、穏やかに微笑むのは島野雄実理事長。ゆったりとした口調は優しく、患者をそっと包み込む温かさが感じられる。週末ごとに北海道と横浜を往復する、とてもバイタリティあふれる医師だ。あくまでも医療として肥満症治療にあたるので、保険診療が基本。生活を見直す「生活療法」を中心に、患者に寄り添いながら一緒に考え、目標達成に向けて全力を尽くしている。「ふるさとである神奈川の方々に恩返しの気持ちも込め、少しでも健康に役立つ診療をしていきたい」という島野理事長に、開院に至った経緯や実際の治療内容のこと、プライベートな時間の過ごし方から今後の展望まで、たっぷりと語っていただいた。
(取材日2011年9月2日)
生活全般を見直し「頑張り過ぎない」ことが継続とリバウンドしない秘訣
―こちらは肥満症専門に治療するクリニックだと伺いました。
はい。肥満症の方が健康に痩せるためのお手伝いをしています。ただ、エステなどと違い、ここは医療機関ですから、あくまでも保険診療が基本なんですよ。美を追求するわけではなく、健康を害された方が健康を取り戻すために治療を行うのですから、それも当然のことだと思っています。もともとは同じ医療法人のクリニックが札幌と苫小牧にあり、ずっと北海道内で診療していたのですが、今回、初めて首都圏で開院することになったんです。肥満症自体はメタボ健診などで以前より脚光を浴び、生活習慣病の治療でも痩せることの大事さは言われてきましたが、肥満症だけを専門に扱う医療機関というのは、北海道ではおそらくうちのクリニックだけ。首都圏でもいろいろと調べましたが、あまり聞いたことがありませんから、たぶん、少ないのだろうと思います。そういう意味では、とても大きな責任を感じていますね。院内はグリーンを多く飾ったり、ヒーリング音楽を流すなど、なるべく病院らしくない、ゆったり過ごしていただける空間を心掛けました。肥満症の方は、ご自身が病気だという意識がない方も多いので、あまり病院っぽい雰囲気では、そういった患者さんのお気持ちにそぐわなくなってしまいますからね。リラックスして通っていただきながら、しっかり痩せていただければと思っています。
―どのような患者さんが治療の対象になるのでしょう?
あくまでも医療として肥満症を治療しますから、「最近ちょっと太った」というような昔と比べた差ではなく、問題は「病気をもっているかどうか」なんです。私は以前より内科医をしていますが、患者さんに「痩せたらよくなりますよ」と言うだけで、肝心の痩せさせてあげるところまではできていなかった。それがとても申し訳なくて、「何とかして差し上げたい」と思ったのが出発点なんです。初診の患者さんは、まず血液検査などをして何か病気がないかをきちんと調べます。そこが一番大事なところ。「自分は単に太っているだけ」と思っていたら、実は糖尿病などの病気を抱えていた、という方もたくさんいらっしゃいますからね。2011年8月20日に開院したばかりなので、まだ患者さんの傾向はわからないのですが、北海道のクリニックの実績だと、約7割が女性の方。年齢的には40代、50代の方々が多いんです。ただ、こちらに限って言えば、診療は木・金・土・日曜日の週末中心で行いますので、平日お仕事されているサラリーマンの方も来院しやすいでしょうし、男性の方の割合がもっと多くなるのではないかと思っていますね。
―具体的な治療内容は、どのようなことをされているのですか。
ひとことで言ってしまうと「生活療法」ですね。食事や運動などいろいろな切り口があるのですが、例えば食事について考えてみると、ただ食べるだけでなく、作ることも買い物に行くことも、すべて食事の一部。なぜその時間に食事をするのかを考えれば仕事という要素も絡んできますし、ご家族と一緒に夕食を摂るには家族構成まで視野に入れなければいけない。そういった全般についてまで考えるのが生活療法なんです。食事の中身だけを捉えていろいろ言っても、結局はいい結果を得られずに終わってしまうことがほとんどですからね。生活についての「指導」というより、「患者さんと一緒に考えていく」という感じです。そこを中心に、あとは必要に応じて漢方薬を使っています。結果を出すには、もちろん、ご本人の意思も大事ですし、私たちを信頼していただくこともとても大切。「本当にこんなことで治るの?」と思っていらしたのでは、やはりなかなかうまくはいきません。逆に、頑張るという意識が強過ぎてもよくないんですよ。私たちはよく、「頑張らないでね」とお伝えしています。どこかで無理をしていると、頑張りの糸が切れてしまった時に結局もとに戻ってしまいますから、気負わずに長続きする状況を作る必要があるんです。それに、痩せたから終わりではなく、それを維持していかなければ意味がない。みなさん、新しい生活習慣を身に付けることで痩せますし、結果が出れば自然に「頑張ろう」という気持ちになりますから、挫折することなく、またリバウンドもあまりないままでいられるんですよ。