NPOと新陳代謝について考えたこと
アリスセンターというNPOの中間支援組織が25周年を迎えることになり、25年を振り返る、なんて企画が進んでいます。私は1999年から2003年まで理事と理事長をつとめていました。
その関係でインタビューをしていただいたのですが、する方もされる方も、当事者だったので、何だか変な感じでした。
そのインタビューは、アリスセンターの機関誌である「たあとる通信」に近々出ると思いますので、そちらを読んでいただければよいのですが、大事だなあと思ったポイントだけ、もう一度書いておきます。
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キーワードは「新陳代謝」です。
アリスセンターという組織は、1988年に神奈川県内の住民運動、市民運動のリーダー達が設立しました。理事会ではなく運営委員会をおき、雇用されたスタッフが活動を担っている組織です。当時は雇用されたスタッフがいる市民団体は少なく、全国から注目を集めたそうです。NPO法をつくるという運動そのものにも関わっていましたから、当時からかなり意識的に「NPOの組織とはなにか」ということについて議論をしていました。1998年にNPO法が出来たあとに、NPO法人格を取得するにあたって、運営委員会を解散し、理事会+事務局スタッフという形で組織が作られました。
私は88年の設立時にはこの組織に関わっていないのですが、縁あって95年頃から関わるようになり、NPO法人になるときに理事になりました。その後、理事は5年間つとめるのですが、その3年目に、それまでの理事長(緒形昭義さんという建築家)から、私にバトンタッチをすることになり、当時70歳くらいだった緒形さんから、30代になるかならないかくらいの私に理事長がかわり、その時に、当時の私はキーワードとして「新陳代謝」という言葉を使っていました。
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NPOが社会から信用されるためには、どういう法人にすればいいのだろうか、というのが、NPO法の制定時の重要な議論でした。
分かりやすく言いますと、色々な大組織が腐敗をしてしまうので、それに対して「ちゃんとやろうよ」と言うのがNPOなり市民運動の役割である、という考え方がありました。しかし、NPOが大組織化してしまったら同じ事が起きるんじゃないか、ミイラ取りがミイラになることはないのか、NPOが大きくなった時の腐敗をどうやって防ぐの?、みたいな疑問に対して、いかに、不正をしない、社会から信頼される組織としてNPOを成立させるか、そのための法人制度を設計するのか、ということです。
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このため、制度設計時にビルトインされたのが、「透明性」や「アカウンタビリティ」という考え方です。これは、「不正をしたらすぐにばれるように、NPOの事業報告を毎年世の中に晒しますよ、晒しているからNPOは不正をしないでしょう、だから信用してね」という考え方に基づくもので、このために、NPO法人は毎年行政に対して事業報告を出しているわけです。
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この議論をふまえつつ、当時のアリスセンターでは、いかにNPOを正しく成立させるかについて、もう少し突っ込んだことが議論されていました。それは「同じ人がずっとNPOの理事をやっていると、不正や汚職が発生しやすくなるので、理事に任期を入れて、どんどん新しい人に入ってもらいましょう」という考え方につながっていきます。
これについては、二つの意見がありました。一つは「そりゃそうだね」という意見、もう一つは「そもそも個人のキャラクターや能力を活かすのがNPOなので、個人が継続して関われないのはおかしい」という意見です。
しかし、後者の意見については、「任期が切れた人にはNPOの会員としてそのまま関わってもらえばいいわけで、むしろ、任期制をいれたほうがマンネリ化せずに活性化する」という反論が出され、結果的には、アリスセンターの理事会には任期制が入る事になりました。
緒形さんから饗庭に替わったのはそういう考え方に基づくもので、年の差50歳くらいの交代によってそれが実現されたわけです。
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さて、結果的にどういうことになったのかを述べておきます。
理事会は、多少のイレギュラーがありつつも、少なくとも私がやっていた時代からは、全て人が入れ替わりました。一方で、雇用されているスタッフですが、スタッフも全て入れ替わってしまいました。NPOの定款にはスタッフの任期の規定はありませんでしたが、それぞれ、個別の事情で辞めていかれたり、別のNPOを立ち上げられたりして、結果的には入れ替わってしまいました。
ですので、現在のアリスセンターには、一人も「創設者(ファウンダー)」にあたる人がいません。人的には1988年の設立時とも、1998年のNPO法人の設立時とも、全く別の組織がそこにあるわけです。
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この現状に対して、私は否定的でも肯定的でもありません。これまで、様々な人がアリスセンターに惹き付けられ、アリスセンターを使って自分のやりたいプロジェクトを行いましたし、意味のある、先駆的なプロジェクトも多く実施しました。私ではない人がやっているものに、実はあまり、私がやりたい事ではないものもありますが、「新陳代謝」を選んだのは私ですから、それは当たり前だよな、と思っています。
またもし、「新陳代謝」を選ばなかったとしたら、アリスセンターはそもそも25年も持たなかったかもしれません。
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しかし、この15年前にビルトインした「新陳代謝」への評価としては、私としては、やっぱりちょっと誤ったかなと反省しています。理事と事務局あわせて小さな10人足らずの組織だったわけで、そこはあまり入れ替えず、もう少し自分たちのやりたい事だけを追求すべき体制にするべきだったかな、と思っています。当時の私は、公正な透明な組織という命題にこだわりりすぎ、極端なはなし、NPOが政府や自治体と同じくらいの、あるいはそれ以上の公正さを持たないといけない、ということに拘っていました。NPOは会員組織ですが、その会員になりさえすれば、誰でも理事になりうる組織、というものを目指していたわけです。
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やっぱりそれは窮屈だったな、というのがその後、アリスセンターを離れてから10年間の間に考えてきたことですし、以後、私が制度設計に関わった色々なもの(あちこちのまちづくり系の条例や基金)については、公正さや透明さを、いかに簡易に生成出来るか、公正さや透明さを担保する替わりにそこで動く人たちの自由な意志をいかに妨げないか、という点に注意しています。色々な委員会で「まあ、そのへんは適当でいいんじゃないすか」みたいな発言をしているときは、そういうことを感じているときです。
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東日本大震災のあとも、多くのNPOがうまれたりしていると思います。いくつかを横から見ていて気になるのは、公正さや透明さにこだわり過ぎている取り組みがあることです。アリスセンターはまがりなりにも先行事例ですから、たった今の各地の取り組みに対して、多少はヒントになればよいと思っています。
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