ニキビ治療薬、サリチル酸ワセリンについて
ニキビ治療薬として処方されている「サリチル酸ワセリン」は、ニキビケア化粧品に配合されるサリチル酸を主成分として、軟膏基剤のワセリンを組み合わせた塗り薬です。
薬剤師からの指導に従って塗布するものですが、自分の肌につけるものですからどのような薬なのかを知っておいた方が安心です。
ここではサリチル酸ワセリンについて、その効果や副作用のリスクまでをまとめます。自分に合ったニキビ治療薬探しのために、情報を役立ててください。
サリチル酸ワセリンとは
サリチル酸ワセリンの特徴
サリチル酸ワセリンは角質軟化薬に分類される、スピール膏Mという薬のジェネリック医薬品です。サリチル酸は角質溶解作用で有名な成分であり、ワセリンにも肌を柔らかくする働きがあります。
サリチル酸には殺菌・抗菌作用があり、アクネ菌や白癬菌など雑菌の増殖を抑えます。そしてワセリンには保湿作用があります。
簡単にまとめると、サリチル酸ワセリンを用いることで感染リスクを抑えて皮膚を保湿しながら、硬くなった皮膚を柔らかく薄くできる、ということです。
皮膚に塗る外用剤なので、局所的な疾患部分だけに効果をもたらし、そのほかの体の部分にはほとんど作用させることなく患部の改善を期待できます。
主成分であるサリチル酸は、以前は解熱鎮痛剤として服用されたり、防腐剤として食品製造に使用されていました。
しかし服用での副作用として胃腸障害が発生する頻度が高いこと、大量摂取によって中毒症状が起こる場合があることから、現在では服用目的での使用は禁止され、塗布用となっています。
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先発品との違い
先発品であるスピール膏Mは貼付剤、つまりシールであり、サリチル酸ワセリンは塗布剤、つまりクリームです。そしてもう一つ重要な相違点が、サリチル酸の配合濃度です。
スピール膏Mのサリチル酸濃度は50%、これに対しサリチル酸ワセリンでは5%~10%となっています。皮膚をとにかく柔らかく薄くしたい場合にはスピール膏Mの方が適切ですが、保湿作用や安全性を考えるならばサリチル酸ワセリンが適しています。
サリチル酸ワセリンの効果は?
サリチル酸ワセリンの効能
添付書にある効能を見てみると、下記のような症状への適応が挙げられます。
乾癬、白癬(頭部浅在性白癬、小水疱性斑状白癬、汗疱状白癬、頑癬)、癜風、紅色粃糠疹、紅色陰癬、角化症(尋常性魚鱗癬、先天性魚鱗癬、毛孔性苔癬、先天性手掌足底角化症(腫)、ダリエー病、遠山連圏状粃糠疹)、湿疹(角化を伴う)、口囲皮膚炎、掌蹠膿疱症、ヘプラ粃糠疹、アトピー性皮膚炎、ざ瘡、せつ、腋臭症、多汗症、その他角化性の皮膚疾患
要はサリチル酸ワセリンは、乾癬、角化症、苔癬など、皮膚特に角質が厚くなってしまう疾患に対して処方されるということです。
さらにある程度の抗菌作用がある点から、アクネ菌を原因とするざ瘡(ニキビ)、白癬菌を原因とする白癬、マラセチア菌を原因とする癜風などに適応しています。
一方、スピール膏Mの適応疾患は、疣贅(いぼ)、鶏眼(うおのめ)、胼胝腫(たこ)となっています。適応の違いはサリチル酸濃度によるもので、強い角化にはスピール膏Mが、保湿が必要なおだやかな疾患にはサリチル酸ワセリンが用いられています。
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ニキビ治療への効能
ニキビの原因として多いのは、アクネ菌の増殖、アクネ菌のエサとなる角栓が毛穴に詰まること、そして皮脂分泌を過剰にする乾燥の3つです。サリチル酸ワセリンは、この3つの原因に対し効果があります。
サリチル酸とワセリンがもつ角質軟化・溶解作用によって、角栓の詰りを防ぎます。この作用は、古い角質層を剥がして肌の新陳代謝を促す美容法・ピーリングにも利用されています。そしてサリチル酸の抗菌・殺菌作用が、アクネ菌などの増殖を防ぎます。
ワセリンの保湿作用を合わせることで、潤いを保ちながら角質や雑菌を減らすことができる点が、乾燥対策が欠かせないニキビ治療に適しているのです。
ニキビ治療薬は白色で塗ると目立ってしまうものが多い中、サリチル酸ワセリンは透明で目立たないので、人目を気にしなくていい点が嬉しいですね。
油性物質のワセリンは、塗布することで皮膚表面の膜となって水分の蒸発を防ぎ、体内にはほとんど浸透しません。こうして長時間の保湿作用を期待できます。
サリチル酸ワセリンのリスク・副作用は?
サリチル酸ワセリンの副作用
副作用として、発疹、かゆみ、赤み、発熱、じんましんなどの可能性があります。こういった症状が現れたときには使用を止め、皮膚科医に相談しましょう。
また、サリチル酸ワセリンの経口投与による動物実験で催奇性が確認されており、妊娠中の方や妊娠の可能性がある方は注意が必要です。
医師の指示に従って正しく使う
誰もが自由に購入できるニキビ化粧水や洗顔料などに、サリチル酸は広く配合されています。これらの商品ではサリチル酸濃度は2~3%が一般的ですが、医薬品のサリチル酸ワセリンでは5~10%です。当然副作用のリスクは、より高まります。
角質軟化作用は皮膚を薄くするため、皮膚が薄い部位に大量に塗ったり、正常な皮膚に長期間塗りつづけたりといった誤った使用法をすれば、トラブルにつながります。
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通常使用ではありえないものの、サリチル酸中毒のリスクも存在します。症状としては、めまいや耳鳴り、幻覚、抑鬱、興奮、発汗や喉の渇き、吐き気や昏睡などです。
実際にサリチル酸ワセリンを処方する現場では、適切に使用する分には副作用の頻度は決して多くなく、生じるとしても軽度であって安全性は高い、と認識されています。
例えば皮膚が薄く敏感な小児への処方、大人でも顔や陰部など皮膚が薄い部位に塗る場合にはサリチル酸濃度を低く抑える、といった処方がされます。
ニキビ治療としては補助的
ニキビへの効果が期待できる、正しい処方と使用法では副作用リスクは軽度であるとはいえ、サリチル酸ワセリンの主な適応疾患は苔癬といった角化性疾患です。ニキビ治療においては、サリチル酸ワセリンの使用はあくまで補助的なものと考えたほうが良いでしょう。
敏感肌の方や乾燥肌の方では、サリチル酸の副作用が生じやすいのでは・・・という不安もあると思います。
ニキビの炎症がひどい場合には皮膚科医の指示に従う必要がありますが、同時に、毎日使う化粧水をより肌に優しいニキビ対策用に変えて肌を改善していく、という方法もありますよ。
- 抗菌、保湿しながら角質を柔らかく薄くできる
- スピール膏Mよりもサリチル酸濃度が低く効果がマイルド
- サリチル酸ワセリンの効能がニキビ治療に合致
- 赤みやかゆみなど、頻度は高くないものの副作用のリスクがある
- ニキビ治療では補助的に使用する