PCS解説映像/要素のつなぎ

Last-modified: 2017-07-27 (木) 23:15:42

(追加予定)

1.概要 (Overview)

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トランジッションとは、具体的に何を指すか?

トランジッション(つなぎ)は様々な方法で行う。
例えば多彩な/­難易度の高い/複雑なステップや、肢体の動き、指定要素以外の技­を、それぞれ流れが途切れることなく、また指定された各要素の入­りや流れの後にも組み入れられるものを指す。

その各基準の話の前に、トランジッションとして有効な、様々な種­類のステップや動きをお見せしよう。
トランジッションの技は、ステップのトランジッション、スケーテ­ィングの動きのトランジッション、肢体の動きのトランジッション­、それと指定要素以外の要素のトランジッションがある。

2.フットワークによるつなぎ (Footwork transitions)

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ではまず、様々な方向に行われるフットワークによるつなぎについて考えてみましょう。ステップにはストローク、プログレッシブ、クロスオーバー、エッジ、チェンジエッジ、クロスロール、トウステップ、モホーク、チョクトウなどがあります。ターンにはスリーターン、ダブルスリー、ツイズル、ブラケット、カウンター、ループ、ロッカーなどがあり、インサイドとアウトサイドの両エッジで行います。
(訳注;こちら参照→http://www.geocities.jp/cxb00463/skate01.html#15
方向の違いにはフォワードとバック、時計回りと反時計回りがあります。

(0:50)このビデオでは実際の演技の中でどのようにフットワークなどのつなぎが使われているのかを見てみましょう。ステップシークエンスは技術要素の一つですが、その一部であるフットワークについては同時につなぎの技術として使う事が出来ます。

【パトリック・チャン】
ループ、トウステップ、クロスロール、カウンター、スリーターン、スプレッド・イーグル、クロスオーバー、エッジ、スリーターン、エッジ、プログレッシブ、モホーク、プレパレーション、3A、クロスアンダー、クロスオーバー、モホーク、クロスオーバー、カウンター、ロッカー、クロスオーバー、プレパレーション、3F-3T、モホーク、ディープエッジ、ブラケット、サーキュラーステップの開始。(1:55)

(2:19)ステップシークエンスの終了、クロスオーバー、エッジ、カウンター、クロスオーバー、ロッカー、チョクトウ、3Lz、ディープエッジ、スピン、エキジット、スリーターン、ディープエッジ、スピン、スリーターン、シャッセ、ダブルスリーからストレートラインステップへ。(3:11)
(3:33)シャッセ、ディープエッジ、スピンへ

(3:50)このプログラムでは以下のフットワークがつなぎに使われていました。
ステップ :プログレッシブ、クロスオーバー、クロスアンダー、クロスロール、モホーク、チョクトウ、トウステップ。
ターン :ループ、カウンター、ロッカー、ブラケット、スリーターン

3.スケーティング動作によるつなぎ (Skating Movement Transitions)

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スケーティング動作は一般的にはより身体全体を使うものが多いです。その動作(ムーブメント)には次のようなものがあります。;スプレッド・イーグル、イナ・バウアー、ピボット、ハイドロ・ブレーディング、スパイラル、ランジ、アラベスクなど。
これらをイン・アウト両方のエッジ、様々な身体・頭・腕・足のポジションで,前方・後方・時計回り・反時計回りに行います。

【ジェフリー・バトル】(0:33) 【荒川静香】(2:26)
それではスケーティング動作によるつなぎの例を見てみましょう。要素と要素をつなぐ各動作が音楽に合わせて行われています。

【荒川静香】(2:42)このビデオでは、スケーターがスプレッド・イーグルを技術要素とは独立した形で単独のつなぎとして行っています。
【キム・ヨナ】(3:02)しかしここでイナ・バウワーはジャンプ・コンビネーションの直前に行われており、より価値が高いと考えられます。

4.身体動作によるつなぎ (Body movement transitions)

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身体動作によるつなぎは、単独または同時に行われる腕・頭・胴体の動きによるつなぎです。
このビデオではスケーターが腕・頭・胴体を同時に動かして音楽にぴったりと合わせて演技をしています。

【ラウラ・レピスト】(0:24)腕・頭・胴-腕-腕・頭・胴体-腕-腕と頭-腕と頭 
【ジェレミー・アボット】(0:55) 腕-腕と頭-腕、 腕と頭、 腕-頭・腰-腕・頭-腕・頭・胴体
【カロリナ・コストナー】(1:43)腕・脚・頭・胴体-腕と脚-腕・頭・胴体-腕と頭-腕と頭-腕と頭

5.リストに無い要素によるつなぎ (Non listed element transitions)

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これらの要素はプログラムを豊かにし、つなぎの難度を大きく上げる事ができます。次の二つの演技ではつなぎとして使われる様々なリストに無い要素の例をお見せします。

【サーシャ・コーエン】[0:34]スケーターは身体全体の動きをつけて2Aの着氷をし、そのまま円を描いてハーフループ、バレエジャンプを行います。
【ブライアン・オーサー】[0:49]ここでハーフ、ハーフ・ワルツジャンプ、ハーフ・ウォーレイを行っています。スプリット・ジャンプ、バタフライ、ハーフ・スプリットループ、ホップ、そしてインサイド・アクセル。ハーフ・フリップ、ホップ、ホップ。左方向へのウォーレイ、右方向へのウォーレイ、そこからスリー・ターンをして3Tを行います。
[1:47]バレエジャンプからインサイドアクセル

6.多様性 (Variety)

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つなぎの審査―ここまではフットワークやスケーティング動作、身体動作やリストにない要素といったつなぎの方法を簡単に説明してきました。ここではもっと直接的に、ジャッジが正確につなぎの構成要素を評価するために用いなければならない評価の基準について説明していきます。

評価基準には次の4つがあります;多様性、難易度、複雑さ、質
多様性―アイスダンスの各種ダンスホールドを含む、様々なつなぎの技法を多種多様に用いること。この多様性はつなぎにどう関係するのでしょうか?つなぎの多様性がどのようなものかを示すために、同一のペアによる異なる2つの世界選手権の演技の冒頭の1分40秒の演技を見比べてみましょう。(経験を経て)”多様性”が増している点にご注目ください。最初の演技は2001年のものです。

【シュー・シェン/ ホンポゥ・ツァオ組】 (0:58)身体動作;腕と頭のみ。ダンスリフト。クロスオーバー。ストローク。クロスオーバー。ストローク。クロスオーバー。モホーク。モホーク。2A。3T。カウンター動作。モホーク。ストローク。モホーク。クロスオーバー。3T 。ストローク。ポジションチェンジ。クロスオーバー。ポジションチェンジ。クロスオーバー。ツイストリフト。クロスオーバー。モホーク。クロスオーバー。スロージャンプ。

冒頭1分半で行った全てのつなぎの要素が挙げられている訳ではないとはいえ、このペアは15のフットワークによるつなぎを行いました。スケーティング動作によるつなぎ、身体の一部を使った動作によるつなぎは共に一つもなく、リストにない要素によるつなぎも一つしか行っていません。

(3:08)さて、それでは3年後の2004年の同じペアの演技を見てみましょう。つなぎの多様性が増しているのがわかると思います。
身体動作;足、腕、頭、胴。スケーティング動作。ダンスリフト。スリーターン。ステップ。Bow. クロスオーバー。モホーク。モホーク、2A。3T。クロスオーバー。アラベスク。ダブルスリー。ポジションチェンジ。ステップとムーブ。ホールドチェンジ。スロージャンプ。スケーティング動作。クロスオーバー。前へのステップ。モホーク、モホーク、3T。身体動作;足、腕、頭、胴。デススパイラル。

 

(4:56)1分40秒の演技中にこのペアは8つのフットワークによるつなぎ、4つのスケーティング動作によるつなぎ、いくつかの全身を使った身体動作によるつなぎ、そして1つのリストにない要素によるつなぎを行いました。ではここで2004年の残りの演技の中で、このペアがどのように多様なつなぎの技法や全身をくまなく使っているかをお見せします。

(8:26)2004年の演技の最後の部分では17のフットワークによるつなぎ、13のスケーティング動作によるつなぎ、7つの身体動作によるつなぎ、そして2つのリストにない要素によるつなぎが行われました。2001年から2004年の間に、(演技の中で)使われるつなぎの技法の数は明らかに多くなっています。

7.難度(Difficulty)

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難度;難度とは難しいフットワークや複数の体の部位を同時に使った動作を入れることを指します。一体どのような動きがつなぎの難度を上げるのでしょうか?

(0:16)(上で説明してきたような)各つなぎの技法にはどれも簡単なものから難しいものまで様々な動きがあります。例えばフットワークによるつなぎでは、ロッカーとカウンターはスリーターンよりも難度の高い技です。またスケーティング動作によるつなぎではイナ・バウワーは単純なスパイラルよりも難しいです。リストにない要素によるつなぎではウォーレイ ウォーレイはハーフループよりも難度が高いです。身体動作によるつなぎでは、全身を使った動作のほうが腕だけを動かすものよりも難しい技と言えます。フットワークやスケーティング動作が身体動作と同時に行われれば、つなぎの難度はより上がります。前向きから後ろ向き、時計回りから反時計回りまたはその逆方向など動きの方向を変えるのも難度を上げる方法の一つです。

【クリストファーベルントソン】【パトリック・チャン】(1:22- 2:39)
ここで2つの映像を見比べていただきましょう。一つ目の映像では簡単なつなぎしか使われていません。二つ目の映像ではより難度の高いつなぎが使われています。

【トマシュ・ベルネル】【高橋大輔】(2:40) 次の二つの映像では難しいフットワークや複数の体の部位を同時に使った動作が使われています。つなぎとしてこれらが用いられている適切な例が見つけれなかったので、ここではステップ・シークエンスの映像をお見せします。同時にいくつもの動作が行われていることがわかります。(4:13)

8.複雑さ(Intricacy)

5.1.8.ISU components. Transitions . Intricacy
複雑さ。複雑さとは技術要素の直前・直後に行われる一連の難度の高いつなぎを指します。ではどのような場合につなぎに“複雑さ”があると言えるのでしょうか?

【キム・ヨナ】(0:16)
技術要素が演技全体と一体化しており、途切れることなく連続して行われるつなぎに自然な形で溶け込んでいるようにみえる時、つなぎに複雑さがあると言えます。

【ジェフリー・バトル】(0:44)
これからお見せする映像では、技術要素に入る前・要素終了後につなぎが直ちに行われています。スケーターはジャンプカウンター、ローテーティングニースライド、クロスアンダー、クロスオーバー、クロスカットからのバックインサイドカウンター、前向きのランジからバックエントリーのスピンへ。

(二つ目の映像)ここではスケーターは前向きのアウトサイドイナバウワー、チェンジエッジからのバックダブルスリー、3S、クロスアンダー、バックエントリーからスピンへとつなぎを行っています。

(1:23)ステップシークエンスに入る直前にスケーターは時計回りのロッカーのつなぎを行い、それから反時計回りのサーキュラーステップシークエンスに入っていきます。

【セルゲイ・ダヴィドフ】(1:32)
この映像では技術要素に入るまでに非常に長い準備動作(プレパレーション)があり、つなぎがほとんど行われていないのがわかります。

基本のストローク、準備動作の長いプレパレーションエッジ、3A、3T、バッククロス、スリーターン、スリーターン、ステップ、スリーターン、クロス、ステップ。クロスオーバー。
モホーク、長いプレパレーションエッジ、3A、スリーターン、バックスリー、スリーターン。ツイズル、ブラケット。モホーク、モホーク。クロスオーバー、モホーク、長い準備動作、3Lz-2T、クロスオーバー、スリーターン、ランジ、スリーターンからスピン。

【雪組;申 雪/趙 宏博】(3:04)
今度はペアの演技で一連のつなぎが技術要素の直前・直後に行われる部分を見ていただきましょう。

ペアでのグライディング動作、ボディームーブメントからスケーティング動作、女性によるスパイラル、ポジションチェンジ、クロスオーバー、ストロークポジション。モホーク、3T-2T、ストロークポジション、ランニングステップ、スケーティング動作、女性によるスパイラル、ポジション、ランニングステップ、スケーティングポジション、モホークから双方スプレッドイーグルから2A。スケーティングポジション、女性のモホーク、二人でスケーティング動作、ポジションチェンジ、クロスオーバー。

ツイストリフト、ポジションチェンジからホールド、クロスオーバー、二人でのスプレッドイーグルからリフト。スリーターン、女性のスパイラルからデススパイラル。ボディームーブメント。スリーターンからスピン。
クロスオーバー、モホークからポジションチェンジ、ホールド。ダンスリフトからリフト。スケーティングポジション、ロッカーからステップシークエンス。

ポジションチェンジからホールド、スケーティング動作、スリーターン。ポジションチェンジ。クロスオーバー、スロージャンプ、スケーティング動作、ダンスリフト、クロスオーバー、方向転換。
スロージャンプ、プログレッシブから女性のアラベスク、モホークからのダンスリフト、スパイラルシークエンス。コンビネーションスピン。スケーティング動作、クロスオーバーからのリフト、スケーティング動作からフィニッシュへ。

9.質 (Quality)

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“質”とはペアやダンスのユニゾンも含め、演技で使われる音楽に応じたつなぎの技の美しさや明確さを指します。ペアではユニゾン(一体感)は評価基準で触れられています。

つなぎの質の良さはどのように見極めればよいのでしょうか?これからお見せする同一ペアによる3つの映像では、雑で不明確なつなぎが行われています。

(1:35)このペアは自分たちの行っているつなぎの技に全く注意を払っていないようにみえます。エッジ、スケーティング、体の動きなどの質を意識できていません。つなぎの技の一つ一つも不明確です。つなぎ部分を単に次のエレメント(要素)に移る為だけに滑っています。

【ジェシカ・デュベ/ブライス・デイヴィソン】(1:57)
(初めのペアと)次にお見せする演技との質の差に注目してください。二人は音楽の曲調に合わせぴったりと揃って(ユニゾン)滑っています。クリーンで明確な複数のつなぎが技術要素の直前・直後に途切れることなく行われているのがわかります。

10.採点の際の着目点 (part1)

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採点の際の着目点。採点するときは、どんな所をみればよいのでしょうか。(一つ目は)つなぎのどの項目の評価基準が満たされているのか、どの項目が部分的にしか達成できていないのかを意識してみる事です。

【ジョニー・ウィアー】
(0:15)これからお見せするのは同じスケーターによるSPとFSの演技です。多様性、難度、複雑さ、質の全ての評価項目に注意を払ってみてください。

(0:40)SP;これらのつなぎはシンプルですが大変質の高いレベルで行われています。
ここでもまた単純なつなぎ。(ジャンプ)要素前の準備動作は長いです。

(3:16)SP;この演技の多様性は平均~平均以上のレベルです。フットワークはスリーターンやモホーク、チョクトウ一つ、クロスオーバーなどの簡単なものだけで構成されています。多少の簡単なスケーティング動作は入っていましたが、リストにない要素によるつなぎは全く行われていません。難度は平均より少し下のレベルです。複雑さは平均以上。体の動きは素晴らしく、つなぎの質は上級~最上級レベルです。

(3:55)さて、それではフリーの演技を見てみましょう。

(8:37)このプログラムではスケーターは多様性をあまり出せていません。フットワークは主にクロスオーバーとスリーターン、簡単なステップのみで構成されています。スケーティング動作では体の一部分しか使っておらず、動きも小さいです。多様性は少ない~やや少ないと言えます。リストにない要素によるつなぎは一つもありません。難度は低いです。殆どのジャンプ要素前の準備動作が長すぎるので、複雑さも少ないと言えます。つなぎの質は平均~平均以上です。

(9:15)この選手の二つの異なる演技に対するつなぎの得点は、評価基準を満たした/満たさなかった項目に応じて異なる結果にならなければなりません。一般的にはSPの方が演技時間が短いため、FSより得点は低くなりがちです。しかしここでお見せしたように、SPの方が得点が高くなることもあり得るのです。

5.1.10.ISU components. Transitions . Prior to giving a score (part2)

5.1.10.ISU components. Transitions . Prior to giving a score (part3)

5.1.10.ISU components. Transitions . Prior to giving a score (part4)

11.まとめ(Conclusion)

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審査員は選手の演技中に考慮しなければならない事柄が数限りなくあります。要素の一つ一つを細部まで正確に審査するのは至難の業ですから、意識しないでもポイントを押さえて見られるように、評価基準を熟知する事が大切です。

このDVDでは、以下のような色々なつなぎの技術をご紹介しました。-フットワークによるつなぎ、スケーティング動作によるつなぎ、身体動作によるつなぎ、そしてリストにない要素によるつなぎ。

各つなぎの技法にはどれも簡単なものから難しいものまで様々な動きがあります。しかしつなぎで高い得点を取るにはいかに“リストにある要素”と途切れることなく前後につなぎが入れられているか、という事がポイントになります。また、常に音楽が伝えようとしているものは何かを意識する必要があります。
多様性;ダンスやペアのホールド姿勢を含む多種多様なつなぎの技法が使われているか。
難度;難しいフットワークや複数の体の部位を同時に使った動作が入っているか。
複雑さ;いくつかの異なるつなぎの技が連続して行われたり、“リストにある要素”の直前・直後で使われたりしているか。
;ペアやアイスダンスの同調性を含むつなぎの技法は音楽に合わせて巧みにまた明確に行われ、演技の質を高めるものになっているか。

審査員は上記のポイントを単純に「出来た」「出来ない」とだけ評価するのではなく、どの程度出来たのか、演技の出来ばえ(割合)を可能な限り正確に各要素の得点に反映させなければなりません。

つなぎ―技術要素の合間に行われるすべての動作。演技全体を滑らかにつなぎ、動きと音楽とを結び付けます。