- vol.11 意外と知られていないアトピー性皮膚炎の素朴な疑問
vol.11 意外と知られていないアトピー性皮膚炎の素朴な疑問
陽もすっかり短くなり冬の寒さが一気に増して、1年で最も慌ただしいシーズンの到来です。ただでさえ乾燥が最もひどくなるこの時期に、年末年始の慌ただしさも手伝ってお肌のコンディションを保つのも一苦労。冬のコートを引っ張り出してくるように、お肌も簡単に冬支度できればよいですね。
今回はお客様からのお問い合わせやお悩みの声も多く、私自身アトピー性皮膚炎で苦しんだ経験から、アトピー性皮膚炎についての素朴な疑問を皮膚科専門医の今泉院長に聞いてきました!
Q.アトピー性皮膚炎とはそもそも何ですか?
A. アトピーとは元々ギリシャ語で「奇妙な」あるいは「不思議な」という意味で、アトピー性皮膚炎とは「原因不明な」「不思議な」皮膚炎ということになります。アレルギーの素因をもっているかでどうかでアトピー性皮膚炎かそうでないかは診断することができるので、気になる方は一度皮膚科に受診して調べて頂くことをおすすめします。
よく「アトピー体質」という言葉を耳にしますが、本来アトピー性皮膚炎はアレルギー性皮膚炎の1つであって体質ではありません。そういった方は肌が過敏になっている状態である「敏感肌」という方が正しいでしょう。
Q.では、アトピー性皮膚炎の症状にはどんなものがありますか?
A. アトピー性皮膚炎の原因は様々で、症状も人によって違いますが、よく見られる症状はいくつかあります。例えば乾燥により眉毛の外側1/3が薄くなったり、かきむしる癖のせいで爪がピカピカになってしまう方もいらっしゃいます。それから、簡単に自分で判断できる方法としては、腕をひっかくとふつうはしばらくすると赤くみみず腫れのようになりますよね。アトピー素因をもった方はこれが白くなるのです(白色病紀症)。あくまで判断材料の一つなので参考程度に考えてください。
Q.超乾燥肌とアトピー性皮膚炎は同じではないのですか?
A .乾燥肌=アトピー性皮膚炎ではありません。超乾燥肌で湿疹がよくでる方もいらっしゃいますが、そういう方は慢性湿疹が重症化したもので、アレルギーの素因を調べてみると意外と少なかったというケースも少なくありません。原因や症状は異なりますが、どちらも乾燥は大敵。しっかり保湿してあげましょう。
Q.では、アトピー性皮膚炎の原因とは一体何でしょう?先天的、後天的どちらですか?
A. 免疫力の低下、アレルギーな。ど、アトピー性皮膚炎の要因は様々で、先天的、後天的どちらの原因もあるといえます。遺伝によるものや肌質、生活習慣などが考えられていますが、特に後天的なものについてははっきりとした原因は解明されていません。
ただ、アトピー性皮膚炎の方共通の肌質として、正常な肌が10水分を吸収できるとすると、アトピー性皮膚炎の肌はその半分くらいしか水分を吸収できなかったり、元々の水分量も2/3程度だという特徴があります。肌のPHがアルカリ性に向いていたり、体温が低い方も多いですね。ですので、薬などでの治療はもちろん、弱酸性にお肌を保つようにしたり、生姜など体を温める食品を積極的に摂ったり、軽い運動をするなど、直接アトピーに関係なさそうな基本的な体質改善も実はアトピー性皮膚炎の方には大事なことなのです。ただ、元々皮膚は強い方ではないので、汗をかいたらやわらかいタオルではこまめにふいて肌を清潔に保ちましょう。
Q.子供(赤ちゃん)と大人のアトピー性皮膚炎は同じですか?ケアの仕方は変わりますか?
A. 子供のころにアトピー性皮膚炎じゃなかったのに大人になってなる人も沢山います。遺伝子レベルで検査すればわかる原因もありますが、特に後天的なものに関しては前述したとおり解明されておりません。ですから一概には言えませんが、そもそも皮膚の厚さが大人と子供では全然違う(とくに赤ちゃんの皮膚はすごく薄い)ので、別のものと考えて頂いたほうがよいかと思います。赤ちゃんの場合は成長すると治るケースも多く、アトピー性皮膚炎かどうかを判断すること自体すごく難しいのです。
肌の厚みが違えばケアの仕方は変わって当然。10~20代のお肌には乳液で十分でも、私たちのような30代以上の方はそれだけでは不十分、保湿効果の高いクリームがマストです。逆に生後8~10ヶ月までの赤ちゃんはお母さんの免疫で守られていますので、皮膚科で処方されるようなシンプルなものでのケアがよいでしょう。
Q.男性と女性のアトピー性皮膚炎に違いはありますか?ケアの方法は変えた方がいいのでしょうか?
A. 基本的に男女による違いはありませんが、ケアということを考えると肌質によっては異なります。たとえば汗がたまりやすい肌質の方(じとっと湿っているような肌)への塗り薬は、クリームより軟膏のほうがよいでしょう。軟膏は油脂性基剤の為、浸透がよくて皮膚を保護する作用は強く、刺激になりにくいという利点があります。クリームは乳化性基剤、要するに軟膏より水分が多いのでベタつきが少なく、軟膏と同じように皮膚への浸透はよいのですが、傷に塗ると刺激を受けやすいという欠点があります。その為、いわゆるジクジクした患部には適さず、慢性化して皮膚が厚くなった湿疹などに効果的です。単に塗り薬といっても色んなものがあるので皮膚科で相談してみましょう。
Q.日常のスキンケアはどういったものがよいのでしょうか?
A. アトピー性皮膚炎の原因は様々なので、水だけを補った方がよい方、クリームだけを補った方がいい方がいらっしゃいます。人によって違うので、ひどいアトピー性皮膚炎にお悩みの方は皮膚科医に相談してみましょう。
そうでない方はやはり化粧水、クリームでしっかり保湿してあげることはもちろん必要ですが、何を使ったらいいかということで悩んでいらっしゃる方も多いですよね。化粧品はよほど肌に合わない限り、使い始めて最初の2週間はどれも効果があるように感じるものです。ですがここからが肝心。本当に肌に合う化粧品は1ヶ月使ってみてお肌の調子がよいものです。アトピー性皮膚炎の原因が沢山あるように、肌に合う化粧品は人ぞれぞれで、万人に合う化粧品というものはありません。何が合うかはご自身の肌だけが知っているので、まずは1か月間は最低でも使用してみて、肌の様子をよく観察してみてください。
(取材担当:川本)