ウェブブラウザのJavaScript(ジャバスクリプト)の設定が無効になっています。Javascriptが無効になっていると、サイト内の一部機能がご利用いただけません。 スパコミエア新刊【もちもち探検 何か果物を探しに】2017年5月4日 06:01具合の悪いもち主・兼さんのために、もち兼さんともち広くんが”何か果物”を探す旅に出ます。5月4日超閃華26エア新刊。童話風なタッチで書いてみました。挿し絵は心の目で見てください(笑)エアなのに簡単アンケートを設置しているので、読み終わってポチっとしてくれたら喜びます✨ コホ、コホ、コホ。 大きい兼さんが咳をしている。 もう何日も。 何日も。 咳をすると大和守さんが心配するからって、大きい兼さんは、ひとりで離れた所で寝ているんだ。「兼さん、大丈夫?お粥持ってきたよ」「タオル取り替えるね」「着替え持ってきたよ」 大きい国広が出たり入ったり。 忙しそうにしている。『もっちもっち』『もち~』 大きい兼さんに、僕たちも会おうと思って、大きい国広に続いたら、「おもちちゃんたちは、この部屋に入ったらダメだよ」 と、摘まみ出されてしまった。『もちもち!』『もちも~?』「うつったら大変だからね」 そう言って、大きい国広が障子を閉めてしまった。 中からは、コホ、コホ、という咳をする大きい兼さん。 もち兼さんの様子も少し元気がない。『大きい国広が看病しているから大丈夫だよ』『そうだな……』『何か僕らにできることがあればいいんだけど……』 その時。「……うん。何か果物だったら……うん、わかった」 小さく聴こえた声に、僕はもち兼さんを見た。『何か果物って言ってたな』『うん』『それがあれば、大きいオレは、強くてかっこいいオレに戻るのか?』『多分、そうかも』『なら、探しに行くか!』『うん!行こう、もち兼さん!』 こうして、僕たちは”何か果物”を探しに行くことにしたんだ。『なあ、何か果物ってどこにあるんだ?』 廊下から庭に飛び降りたものの、大きい兼さんが欲しがっている”何か果物”の正体がわからなかった。 赤なのか、黄色なのか、青なのか。 食べるものなのか、置物なのか。 それすらわからなかった。『こんにちは』『こんにちは、蝶々さん』『お腹が汚れますよ?どうしたのですか?』『何か果物を探しているんだ』『まあ、何か果物を。それなら、あちらの池の方で見ましたわ』『ありがとう、蝶々さん。もち兼さん、行ってみよう!』 空を飛んで、色んな話を知っている蝶々さんが言うんだから、間違いないよ。 僕らは、お腹が汚れるのもかまわずに、池の向こうに急いだ。 『何か果物ってどれのことだろう』 池の向こうに着いて、僕はキョロキョロと辺りを見回した。 大きい兼さんが欲しがるような物は特に見当たらない。 蝶々さんの見た”何か果物”はどのことなんだろう。 僕が途方に暮れていると、『よお、何をしているんだゲコ?』 カエルくんがピょーんと現れた。 すぃっと僕の前にもち兼さんが立って、『何か果物っていうのを探している』 と言った。『何か果物?』 と聞き返したカエルくんが、ゲコゲコゲコと笑い出す。『それは何でもいいから果物っていうことじゃないかゲコ』 カエルくんが言うには、僕たちが探している”何か果物”は、果物だったら何でもいいんじゃないか、ということだった。『ちょうど、あっちにいちごが実っているゲコ。それじゃあ、だめゲコか?』『いちご?』 カエルくんがピょーんともち兼さんを飛び越えて、僕の前にやって来た。『そう、いちごゲコ。お前の唇のように真っ赤ないちごがあったゲコ』『僕の唇……?』『おい、情報は感謝する。けれど、もち広から離れろよ』 もち兼さんが僕とカエルくんの間に入った。『取っては喰わないゲコ』『当たり前だ。行くぞ、もち広』 もち兼さんにお尻を押されて、僕たちはいちごを探しに行った。『お前、カエルの奴には気をつけろよ』『気をつける?カエルくん、いいカエルだと思うけど』 今だって”何か果物”を”いちご”と教えてくれた。『あいつは、油断ならねえ。いつもお前のことを狙っている』『僕、食べられちゃうの?』『そうかもしれねえ。だから、オレから離れるなよ』『うん。わかったよ、もち兼さん!』 僕を食べてもおいしいとは思えないけれど、もち兼さんが心配させるのは嫌だから、なるべく、カエルくんとは二匹で会わないようにするよ。 しばらく進むと、僕たちより背の高い草が生えている大草原が広がっていた。 草の根っこには、蟻が行列を作っていて、ダンゴムシがせわしなく動いている。 ここを行かないと、いちごにはたどり着けない。 わかっているけど、僕ももち兼さんも、蟻が体を登るのが苦手なんだ。 くすぐったいし、噛まれると痛いし。 どうしようか、覚悟を決めかねていると。『もち広、続いて来い!』 もち兼さんが、草を何本か倒して、橋を作ってくれた。『ここを渡っていこうぜ』 僕たちは、草の橋を渡って、いちごのある場所にたどり着いた。 真っ赤ないちごはどれも大きくて甘そうだった。『これで大きな兼さんは良くなるかな』『きっとなるさ』 僕たちが、大きないちごに手を伸ばそうとしたとき。『お前たちはなんだい?』 大きな黒い影が動いた。 ビューっと強い風が吹く。 カラスだった。『アタシのおやつを横取りするつもりなのかい?』『違います。僕たちは、もち主の具合が悪いから、いちごを一つもらいたいんです』 バサバサとカラスが翼を動かして、何か考えている。 僕ともち兼さんは風圧で飛ばされないように、体をふんばったんだ。『まあ、いいさ。いくつ欲しいんだ』 僕らだけだと、持てるのは、二匹で一個。 帰りも長い道を帰らないといけない。『仕方ないね。アタシの背中に乗りな』 僕ともち兼さんは、いちごを一個づつ持って、カラスの背中に乗った。『落ちないように気をつけな』 バサバサと音が聞こえて、カラスの身体がふわりと宙に浮かぶ。『すごい……』 草で橋を作った草原も、カエルくんとあった池の向こうも、ぐんぐん近づいて来た。『アンタたちのもち主が良くなるといいね』 僕ともち兼さんは、カラスにお礼を言って、大きい国広を探した。 これが”何か果物”なのかはわからないけれど、早く大きい兼さんが治るといいな。~おまけ~「どこに行ったのか心配しちゃったよ」 大きい国広が、あわあわになったお水に、僕ともち兼さんをいれてくれた。 もこもこの泡が気持ちいい。「でも、ありがとう。きっと兼さんは良くなるよ」『もっちもっち』『もちもち』 俺らが探したんだから当然だ、って。 早く大きい兼さんと会いたいね。 明日には治るかなあ。 白いあわあわに包まれて、僕たちは大きい兼さんが遊んでくれるのを楽しみに待つことにした。 ~おしまい~