バセドウ病の症状【3】機能亢進が原因の『全身の症状』
●甲状腺ホルモンの過剰分泌では代謝が高まり、いろいろな全身の症状があらわれます
●主な症状は手指のふるえ、心臓の諸症状、発汗が多くなるなど
●精神的に不安定になり、集中力の欠如や苛立ちやすくなります
甲状腺ホルモンのバランスが崩れ、分泌が過剰になると全身が活発になり過ぎるため興奮状態になります。
そのため、安静にしていても運動しているような状態になって汗が多く出たり、集中力もなくなり、イライラしたりと精神的にも落ち着きがなくなります。
甲状腺機能亢進症の症状は初期症状に気づきにくいため、次のような症状がある場合は専門医の受診をおすすめします。
●高血圧、動悸、頻脈など心臓の症状
・動悸、頻脈:バセドウ病の患者さんは動悸や頻脈などの症状を訴える人がほとんどです。甲状腺ホルモンの分泌が過剰になり代謝も活発になるため、全身の細胞も増加し、酸素が必要になります。
酸素を送るため、心臓の筋肉が刺激されて心臓の動きも活発になります。
※動悸の特徴:バセドウ病での動悸の特徴は階段や坂道などを上ったりしたときに激しくなります。安静にすることで動悸も落ち着いてきます。正常人での脈拍数は1分間に70回から80回程度ですが、バセドウ病の患者さんでは1分間に100回以上になることもあります。
※寝つきが悪く、入眠前に動悸がします。
注意点:不安や緊張、ストレスなど精神的なもので、何かの作業などをしている際は気にならず、安静時に動悸を感じ、また何かの作業を始めると忘れてしまうような症状です。
●心房細動:バセドウ病でよく見られる心臓の症状が心房細動です。心房細動は心臓が不規則に電気信号を送るために脈も不規則になります。脈拍もゆっくりだったり、速かったりなど一定のリズムではありません。
●高血圧症:最高血圧と最低血圧が高くなるのが高血圧症で、バセドウ病では最高血圧が高くなり、最低血圧が、最高でも90mmHgです。バセドウ病の血圧の差は、最高血圧と最低血圧の差の幅が大きくなります。
●手指振戦(手のふるえ)はバセドウ病の70%から80%にあらわれる症状。
手指の振戦は、70%から80%のバセドウ病患者さんに見られる症状です。手指振戦は甲状腺刺激ホルモンの分泌過剰が関係し起こる症状で、指先が細かく早くふるえるのが特徴。
小さくふるえ、大きくふるえることはありません。状態的にはペンを持つ手がふるえ上手く文字が書けなかったり、糸を針に通すのが難しかったりするなどの状態になります。
ふるえは手指のみならず膝やまぶた全身におよび、座っていてもふるえるようになります。ふるえはバセドウ病が完治すれば治りますが、治療中にはふるえは止まりません。
●代謝が過剰になるため体温が上がり汗をかきやすくなります
バセドウ病では代謝が過剰になり、身体の中ではエネルギーが常に燃焼されているため汗をかきやすく、暑がりになります。バセドウ病では安静にしていても汗をかくため水分を多く摂取するようになります。
発汗が多くなるため皮膚は湿った状態になります。バセドウ病の患者さんにおいては冬場は過ごしやすく薄着で過ごせる人も多くいます。
反対に夏場には全身から流れるような汗をかき、体調が悪くなる患者さんもいます。冷暖房の設備が進化した現代では快適に過ごせるようになりましたが、夏場が辛い患者さんは多いようです。
※40歳以上の女性に多くみられる更年期障害では頭部から首にかけ汗をかいたり、頭の頭頂部のみに汗を多くかきます。バセドウ病では身体全体に汗をかきます。
『下痢気味になったり、食べても痩せる場合はバセドウ病の可能性があります』
●体重増加または体重減少
甲状腺機能亢進症では代謝が活発になるため、必要のないエネルギーまで使用することになります。体内のエネルギーを多く使用するため、食べても太らないか、または痩せる人が多いのがバセドウ病です。
しかし、痩せる人ばかりではなく若い女性のバセドウ病患者さんでは食欲が増進するため、たくさん食べるようになり、エネルギーの消費が間に合わず太る人もなかにはいます。
男性の場合も痩せる人がが多く、高齢者のバセドウ病患者さんでは食欲が減退するため痩せていきます。
●軟便や下痢気味
甲状腺ホルモンの分泌が多くなると消化器系にも影響を及ぼし、下痢をしやすくなり、便の回数も1日に2回~3回ほどになります。
●血糖値が上がる
血糖値が上がるため糖尿病と間違えやすい症状ですが、消化を行う際に食べた栄養を急激に吸収するため血糖値が一時的に上昇します。
『筋力が衰え、疲労しやすくなります』
●筋力の低下:バセドウ病では代謝が盛んに行われ、筋肉のタンパク質までもが分解されてしまうため筋力の低下につながります。特に臀部(おしり)、背部、大腿部(太もも)の筋肉を中心に低下します。
筋力が低下するため中腰がつらかったり、腰や膝の関節に負担がかかる場合があります。腕の力や握る力も弱くなり、物を落としやすくなったり、強く握れなくなったりします。
●疲労しやすくなる:バセドウ病では代謝が活発になるため、安静時でも常に細胞が働いている状態になります。
そのためリラックスしている時でも走っているような状態になり、疲れやすくなります。疲れやすいという症状はバセドウ病患者さんに多く見られる症状で、筋力の低下も関連し、疲れやすい状態になります。
●精神的に不安定になりやすい
バセドウ病は肉体面だけでなく精神面にも影響を及ぼします。気分の浮き沈みが激しく、興奮気味になったりイライラしたりと不安定な状態になり、落ち着きもなくなります。
●子供への影響
子供では成人とは違い、肉体面よりも精神面で症状が強くあらわれます。気が散りやすく、落ち着きもなくなるうえ、集中力も低下するため成績も急激に下がります。
そして周囲との協調性も欠如するためLD(学習障害)と誤解されることがあります。子供の場合はこの様な様子からバセドウ病を疑うことができます。
『かゆみや抜け毛など皮膚、毛髪の状態』
●髪にあらわれる症状:バセドウ病では髪の毛が抜けたり、細くなったりします。なかには白髪になったりすることもありますが、この様な症状は一過性のもので、治療が進めば抜け毛も止まり、白髪も黒髪に戻ります。
●皮膚や爪の状態:痒みや湿疹など皮膚のトラブルは約半数のバセドウ病患さんに見られます。
男性では色素沈着が見られ皮膚が黒ずんでみえますが、治療により肌の色は元どおりに戻ります。
また白斑と呼ばれる皮膚のメラニン色素が欠如し、皮膚に白い斑点のようなものができます。この症状は機能亢進症の治療をしても治らない可能性があります。
爪の症状は爪の変形や爪甲剥離症などがみられます。爪の症状においてはゆっくりですが回復していきます。