育毛の基本食は唐辛子と大豆
薄毛の食卓のメインディッシュは、唐辛子と大豆です。
唐辛子を食べると、その辛味成分であるカプサイシンが、胃腸の知覚神経を刺激して、その刺激情報が脳を経由して全身へ伝えられ、毛根でIGF-Iが増加することはすでに述べました。
唐辛子を大量に食べる国は、お隣の韓国です。
そのせいでしょうか、韓国の薄毛率は約22%と、日本の約26%よりも低いことが報告されています。
唐辛子を食べると、口の中が熱くなったり、痛くなったり、さらに辛い青唐辛子などを食べると、舌がしびれたりします。
舌がしびれるほどの刺激は、知覚神経機能の麻痺を意味し、かえってIGF-Iを減らしてしまいます。
これは、刺激があまり強いために、知覚神経から放出され、IGF-Iを増やす作用を持ったカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)という物質が枯渇してしまうために起こる現象です。
カプサイシンで知覚神経を適度に刺激すると同時に、知覚神経内で、このCGRPを増やしてやる必要があります。
ではこのようなCGRPの枯渇を防ぐためには、CGRPを増やす食材などあるのでしょうか?
CGRPを体の中で増やす作用を持っているのは、女性ホルモンであるエストロゲンです。
女性は50歳前後で、エストロゲンの産生が低下すると、さまざまな体の不調を訴えます。
いわゆる更年期障害です。
実は、更年期障害は、IGF-I産生低下によって起こってくると考えられます。
更年期に見られる脱毛も、IGF-Iの産生低下が原因でしょう。
CGRPを増やすために、薬でエストロゲンを補充することは、さまざまな副作用を考えると、日常の育毛方法としては不向きです。
薬でのエストロゲン服用の代わりに、毎日食べられて、安全にCGRPを増やす食材を探さなければなりません。
植物エストロゲンと呼ばれる物質があります。
これは、大豆に含まれるイソフラボンです。
イソフラボンの作用は、エストロゲンのそれによく似ているから、このような名前がつけられました。
日本人の乳がんに罹患する人数が、他の国よりも低いのは、味噌汁を毎日飲むからであろうと考えられていました。
このことがきっかけとなり、それまで家畜の餌でしかなかった大豆が、米国などで、健康維持のための食材として見直されたのです。
イソフラボンは、女性ホルモンの作用を阻害することで、乳がん細胞の増殖を抑えるだろうと考えられていました。
このメカニズムの真偽は不明です。
しかし、いずれにせよ、イソフラボンにエストロゲンと同様の作用があるならば、イソフラボンは、エストロゲンのように知覚神経のCGRPを増やす作用があるはずです。
さっそく実験が行われ、その結果、イソフラボンにはCGRPを増やす作用が認められたそうです。
そしてカプサイシン単独投与よりも、カプサイシンとイソフラボンとを一緒に与えた方が、毛根のIGF-Iの増加と育毛効果が、より大きいことがわかりました。
つまり唐辛子(カプサイシン)と大豆(イソフラボン)を一緒に食べると、胃の知覚神経のCGRPを放出させながら、その産生を増やすことができ、最も効率よく毛根のIGF-Iを増やせることになります。
そして、いよいよ食品成分であるカプサイシンとイソフラボンを、実際に薄毛の人たちに摂取してもらい、育毛効果が現れるかどうかが試されました。
一日に摂取する量は、カプサイシンが6mg、イソフラボンが75mgとしました。
これはカプサイシンの量は、一味唐辛子2g分、そしてイソフラポンの量は、豆腐半丁分(約200g)に相当します。
この研究に参加してくれるモニターの募集を出したところ、300人を超える方々の応募があったそうです。
参加希望者の薄毛の種類もさまざまで、中には大きなストレスを抱える全頭脱毛症の人も含まれており、脱毛の悩みなどを詳細に書いた手紙まで書いてきたそうです。
現在の治療では治らない重症の脱毛症の、新たな治療方法を確立することが必要であることは、このようなことからもわかりますね。
結局、48人の薄毛の方々が実験に参加したとのこと。
カプサイシンとイソフラボンという食品成分を含んだカプセルと、心理的作用によって育毛効果がどれくらい出るかを見るための、食品成分の入っていないカプセル(プラセボと言います)を作り、それぞれ31人と17人に5か月間服用してもらいます。
頭部の写真撮影と血液中のIGF-I濃度を測定して、これらの成分の育毛効果が検討されました。
その結果、本物の食品成分を摂取した人の64.5%に育毛効果が認められたのです。
驚いたことに、髪が生えるはずがないプラセボを服用していた2人(11.8%)の方にも、育毛が認められました。
話には聞いていた「プラセボ効果」が目の当たりにされ、改めて、「人の前向きな気持ちが治癒力を引き出すこと」に驚きの声が挙がったそうです。
前に述べたように、唐辛子と大豆の食品成分を摂ってもらった薄毛の人たちには、育毛効果以外の効果も現れました。
カプサイシンとイソフラボンを摂取してから、2~3か月で、多くの人たちの顔のたるみがとれ、小顔になっていたのです。
このように、知覚神経刺激作用を持った食材を摂取すると、皮膚のIGF-Iが増えて、育毛効果以外にもしわやたるみの改善が期待できるようです。
IGF-Iは、血圧を正常化する作用を持っています。
薄毛で、高血圧の人たちが、カプサイシンとイソフラボンを摂取すると、5か月で、臨液中のIGF-I濃度が増加し、血圧が正常化しました。
一方、正常血圧の人たちが、カプサイシンとイソフラボンを摂取すると、血液中のIGF-I濃度は増加したものの、血圧は正常以下には低下しませんでした。
胃の知覚神経を刺激すると、脳の認知機能の中枢である海馬のIGF-Iが増加します。
海馬のIGF-Iが増えると、認知機能が改善する以外に、うつ症状も改善することが知られています。
薄毛で、うつ症状を示す人たち8人のうち、カプサイシンとイソフラボンを5か月間摂取した、5人のうつ症状が改善しましたが、プラセボを摂取した3人のうち、1人しかうつ症状は改善しませんでした。
このような理由から、唐辛子と大豆が、育毛食の基本となります。
加えて、次回以降に述べる「生える食材」を摂取すると、摂取する食材の種類の数に応じて、育毛効果が足し算式に高まっていくのです。
カプサイシンは、胃の知覚神経を刺激します。
しかも胃が空っぽだと、その刺激は相当強くなります。
私も、カプサイシンのサプリメントを、空腹時に摂取して、強い刺激を経験しました。
しかし痛みや熱さなどの胃の刺激症状はあっても、胃の粘膜は傷害されないようです。
むしろ、後で述べるように、カプサイシンは、胃炎を改善します。
さあ、あなたも今日から、「マイ唐辛子」を持ち歩いて、豆腐入りの味噌汁や納豆などの大豆食品を見つけたら、唐辛子が入った瓶の「中ぶた」をためらわずに外し、思いつきりかけましょう。
その大胆なひとふりが、育毛への大きな一歩になるのです。