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2017年07月15日

私も共同研究者として携わった論文が日本口腔検査学会誌に掲載されました。

(日本口腔検査学会雑誌 第 9 巻 第 1 号: 3 – 9 , 2017)

「重度歯周炎患者のスクリーニングを目的とした喫煙歴の有無を加味した歯周病原細菌関連検査の有用性に関する検討 」というタイトルです。

第一著者は医療法人こうの歯科医院の河野寛二先生、私はいつものようにデータ解析担当です。

この研究では、ポルフィロモナス・ジンジバリスとトレポネーマ・デンティコーラという2種類の歯周病菌と喫煙歴を合わせて診る検査方法が重度歯周病のスクリーニングに有用である、という結果になりました。

 

歯周病は放置するとほとんど自覚症状のないまま進行してしまう怖い病気です。それだけに、病状に無自覚な方をいかに効率よく確実にスクリーニングして治療へ導けるかという問題はとても重要です。

この論文はそのような課題を解決するための一つの方向性を示すことができたと思います。

 

日本口腔検査学会ホームページ

2017年05月16日

5月12、13日の両日、福岡で歯周病学会が開かれ、私も参加してきました。

今回の学会のメインテーマは「歯周病学の挑戦〜サイエンスとヒューマニティの調和」。

ともすると、医療の分野では、学問としての医学と臨床現場での医療行為が乖離してしまうことがあります。

臨床において、単に経験則に頼った医療行為では治療の安全性や効果を的確に評価できません。やはり医療行為には詳細な科学的根拠が大切です。

一方、「科学」をベースにした「医学」は、基本的に体の仕組みや病が研究対象ですので、そこでは「人(人格)」と対峙するという臨床の視点がありません。

臨床と医学の調和がとれた医療こそが本来求められるものでしょう。

我々臨床医はそのことをよく理解して日々の診療に臨まなければならないと思っています。

2016年11月28日

去る11月8日に投票が行われた米大統領選挙、共和党ドナルド・トランプ候補が多数の大手メディアの事前予測を覆す逆転勝利を収めました。

トランプ大統領の是非についての議論は多々あると思いますが、それについてはひとまず脇に置くことにして、この選挙に関して個人的に興味深く注視していたことがありました。

ネイト・シルバーという名前を聞いたことがあるでしょうか?

彼は2008年の大統領選挙で50州中49州、2012年の大統領選挙では50州全ての選挙結果を正確に予測したことで有名な人物です。

実はこの人、選挙予想をする以前から名が売れています。

かなりコアなメジャーリーグファンにはピンと来るかもしれませんが、チームや選手の成績を予想するPECOTAというシステムを開発し、これを用いて米大リーグチームの正確なシーズン戦績を予測したことがあります。その予測手法はセイバーメトリクスと呼ばれ、ブラッド・ピット主演の映画「マネーボール」のモチーフにもなっています。

そのような彼が今回の大統領選挙でどのような結果予測をするのか、そしてそれがどの程度正確なのか、ということが私的な興味の中心でした。

で、彼の予想とその結果はどのようなものだったか?

彼はヒラリー・クリントンの勝利する確率を71.4%と予想していました。

残念ながら、今回は彼も他のメディア同様トランプの勝利を予測できませんでした。

しかし、そもそも統計学というものは正確なデータ収集が大前提となりますから、事前調査の段階で内心トランプを支持しながらも表立って口に出さない人が想定以上に多数いたことが大きなバイアスとなり誤った予測を導いたと思われます。収集データが間違っていたり、大きなバイアスがあったりするような場合には、たとえどんな優秀な統計学者が解析しても間違った答えしか得られません。統計学ではデータの質が問われますが、どのようにデータを集めるかということが最も重要と言っても過言ではないのです。

そのような観点から言うと、大手メディアを含めてネイト・シルバーも、果たして人々が本当に本音を語っているのか?ということについてもう少し踏み込んで検証すべきだったのでしょう。

ただ、このことについてはネイト・シルバー本人も意識していたようです。

英BBCは以下のように伝えています。

シルバー氏は、多くの調査専門家は不確実性を十分に統計モデルに織り込んでいないと指摘。特に二大政党以外の候補者の人気や、まだ誰に入れるか決めていない有権者の多さを考慮する必要があると強調する。

シルバー氏はそれでも「たぶんクリントン氏が次の米大統領になるだろうが、もしトランプ氏の支持者ならまだあきらめない方がいいし、もしクリントン氏に入れるなら、もう安泰だなんて思わない方がいい」と書いている。

(Five Thirty Eightの原文)

 

結局このような物事を予測するには、集めたデータが正確であればその後は科学的(統計学的)手法の問題となりますが、最終的には“人の心をいかに理解するかということがもっとも重要である”という何とも当たり前なことに帰着するようですね。

ところで、選挙の2か月ほど前にアメリカ人の患者さんと大統領選挙の話になった際、彼はトランプが勝つだろうと言いました。

その時私はジョークのように捉えていましたが、彼は本気でそう思っていたようです。彼はトランプ支持者ではないのですが、仕事でサンフランシスコへ行った時に周囲の雰囲気が想像以上にトランプ支持を醸し出していたそうです。

当時大手メディアは、トランプ支持者は低所得の白人男性が多いとする向きがありましたが、シリコンバレーを擁する高所得者の多いこの地でも、一概に圧倒的ヒラリー優位ということでもなかったようです。

彼にどちらに投票するのか尋ねたところ、”I gave up”とのことでした。

「もう諦めた」とは、その時既に米国民レベルでは“選挙の流れがトランプ”というのは肌で感じられるほどだったのかもしれません。

ネイト・シルバーが今回の大統領選挙の結果予想を外したとはいえ、彼が解析・予測能力に秀でていることに変わりはなく、私が彼に注目したのもこのことに尽きます。

2008年の米大統領選挙当時、私は「歯周病の発症や進行の予測」というテーマに興味を持ち学会発表を行っていました。それに関連して統計学的手法の実質的な運用について勉強していたところ、ネイト・シルバーの業績を知ることになったのです。

その後2009年に歯界展望という歯科業界紙に記事を書いた際、彼についても触れたのですが、校正の段階で削ることになってしまい、そのことが今でも少し残念に思っています。

(「歯周病リスクシミュレーター(P-RS)の臨床応用」 医歯薬出版 歯界展望 Vol. 113 No.5 2009-5)

以下その時ボツになった文章です。

_____________________________________________________________________2008年5月6日、米大統領選挙民主党候補者を選ぶ予備選がインディアナ州とノースカロライナ州で行われた。

インディアナ州では2ポイントの僅差でヒラリー・クリントンが勝ち、ノースカロライナ州では14ポイントの大差をつけてバラク・オバマの勝利であった。

この結果は大手メディアの世論調査による予想とかけ離れていたため、それを受けて両候補以外に注目を集めた人物がいた。

彼は自身のサイト(http://www.fivethirtyeight.com)の予想でこの結果をほぼ的中させたのである。

ブログ名ポブラノ、本名ネイト・シルバー。

この名前を聞いただけでピンときたら、よほどの大リーグ通である。

彼は野球チームや選手の成績を予想するPECOTAというシステムの開発者であり、過去にはこのシステムを用いて米大リーグチームの正確なシーズン戦績を予測した実績を持つ。

彼は言う「野球も政治もデータがものをいう。ただ、たいていはデータの使い方がまちがっている。」(NEWSWEEK 2008年6月18日号)

歯周病を論じるべき場で政治と野球の話は唐突だったかもしれない。

しかし、シルバーが実際に行ったように、分野を異にしても複雑なデータを扱って正確な予想を立てるという一連の行為は同じである。つまり歯周病を含めた多因性疾患の病態を予測することにおいても、集めたデータをどのように分析し意味あるものにするかという方法論が重要なのである。

____________________________________________________________________

今後、病気の診断や進行予測に関する数学的統計モデルは、AIなどの進歩によって加速度的に臨床現場での運用が進むことでしょう。

しかし、歯科の分野ではまだまだ基礎的な部分で立ち遅れています。

歯周病に関していえば、解析をするための最も重要な基本的なデータ収集ということさえ不十分です。

現在、歯科医師過剰が言われているものの、このような基本的で地道な仕事をする人材は不足しています。

先日ノーベル賞を受賞された大隅良典東工大名誉教授が「少しでも社会がゆとりを持って基礎科学を見守ってくれる社会になってほしい」と受賞会見でも繰り返していたことが記憶に新しいですが、実社会で役に立つ物事の全ては基礎があって成り立ちます。

今後私も臨床に力を入れつつも、バックボーンとなる基礎的な研究にもさらに興味を持って取り組みたいと思います。

2016年06月22日

毎年5月と6月は学会シーズンです

先月の歯周病学会に続いて今月はパシフィコ横浜で開催された日本抗加齢医学会に参加してきました。

今年の学会テーマは「Antiaging Science : from Molecule to Life」

分子生理学的な基礎研究をどのように実践的な抗加齢医学に結びつけていくか、というような意味合いです。

ここ数年様々な分野でアンチエイジングという言葉を耳にしますが、中には科学的根拠に乏しい情報もあります。

抗加齢医学会専門医の私としては、しっかりとした基礎研究に基づくエビデンスのある情報を発信できるようにしたいと思っています。

2016年06月02日

先日、日本歯周病学会が鹿児島で開催されました。

大阪くらいまでは日帰りで参加することもありましたが、今回は初日に共同発表も控えていたため前日から鹿児島入りしました。

とは言っても、ゆっくり町並みを見る余裕も無く、鹿児島に行ったという実感が無いのがちょっと残念です。

今回の学会では、昨年同様ここ数年来共同で臨床研究を行ってきた河野先生と神奈川歯科大学三辺教授らのグループでポスター発表を行いました。

前回同様に河野先生が発表者で私はデータ解析を担当しました。

発表タイトルは「歯周病の重症度と臨床検査指標との関連性について の統計的検討 」です。

歯周病菌やその感染度、喫煙などが歯周病重症度とどのように関係しているかを検証しました。

歯周病は重症化するまで自覚症状がほとんど無いため早い段階でのスクリーニングが重要になりますが、この研究が少しでも貢献できるのではないかと考えています。

 

2016年04月04日

季節に合わせて原井デンタルオフィスのトップページに桜を咲かせてみました。いかがでしょうか?
私も歯科治療を通してみなさまの心に桜を咲かせることができれば幸せです。

2015年05月21日

5月15日と16日の両日、日本歯周病学会が幕張メッセで開催されました。

今回の学会では、奈良で開業されている河野先生や神奈川歯科大学歯周病科の三辺教授らのグループと共同でポスター発表を行いました。

発表タイトルは「初診受診患者のPorphyromonas gingivalisに対する血漿抗体価と歯周病重症度の関連性」です。
河野先生が以前から継続して行っている研究で今回の発表者でもあります。

私は主に臨床データの解析を担当しました。
Porphyromonas gingivalis (P.g菌)は代表的な歯周病菌のひとつで、このP.g菌の体内への感染度を示す血漿抗体価が歯周病の進行に従ってどのように変化しているかを調べました。

結果として、重症度が高くなるに従ってP.g菌血漿抗体価も高くなる傾向にあることから、この検査が歯周病重症度のスクリーニング診断に有効であると結論づけました。

しかし、重篤な歯周病では必ずしも抗体価が高くならないケースも認められ、歯周病が一定以上重症化するには歯周病菌(P.g菌)以外の複合的な要因も強く関与していることが示唆されます。

臨床的には、歯ぎしりやくいしばりを含めた咬み合わせの異常、糖尿病などの全身疾患、喫煙、などの条件があると歯周病は重症化しやすくなります。
その他に遺伝的な要因や免疫的な問題も関連しているかもしれません。
今後も、より多角的な視点から歯周病を解析する必要があると思われます。

2015年04月24日

アメリカ砂糖業界が政府の虫歯研究に関与していたのではないかという論文が先月の『PLOS Medicine』に掲載されました。

論文の格子については『AFP』も報じています。

砂糖業界団体は1950年の時点で砂糖と虫歯の関係を把握していたにもかかわらず、1960年代から70年代にかけての米政府の虫歯に関する公衆衛生対策に干渉し、それによって政策が誘導されていたということです。

結果、米国立衛生研究所(NIH)は砂糖消費削減対策を打ち出すことはしませんでした。
政府の政策により砂糖消費量が減少することを業界が危惧していたと思われます。


Newsweek( 2014.6.27) より

この砂糖業界の活動(シュガー・ロビー)については、2014年6月の『Newsweek』でも取り上げられています。

ここでは、2003年にアメリカ砂糖協会の会長が世界保健機関(WHO)宛に送った手紙について取り上げられており、WHOが砂糖摂取量削減を推奨した場合、米議会へ働きかけて資金提供を止めることを示唆する内容であったことなどが報じられています。
(結果、翌年のWHO健康政策では砂糖について言及されなかった!)

ここでちょっと話は飛びますが、
先日、ミラクルフルーツなるものを初めて食べてみました。
それ自体はほのかな甘みがある程度の小さな赤い実のフルーツで、それほど特徴のある味ではないのですが、その直後に酸味のあるものを食べるとものすごく甘く感じます。ほんとうに驚きました。

このフルーツに含まれるミラクリンという成分の効果です。
レモンなんかまるごとかじることができますし(とても甘い!)、イチゴはイチゴジャムを食べているように感じます。
子供が「これあれば砂糖いらないよね?」と言っていたくらいです。

その時私は「確かにそうだね」くらいに思っていましたが、先の記事を目にした時にもしやと思い調べてみると、実際にアメリカで30年以上前にミラクリンを利用した製品を発売しようとした会社がありました。
ロバート・ハーベイという人が立ち上げたミラリン社という会社です。

『BBC NEWS』の記事によると、アメリカ食品医薬品局(FDA)へ製品の認可を申請した当初はその関係もスムーズにいっていたものの、その後突然ストップをかけられたため彼の会社は倒産してしまいました。

業界からFDAに何らかの圧力がかかったのではないかともみられています。
業界団体やFDAはこの件での取材には応じていないようです。

疾患としての虫歯を減少させるためには公衆衛生政策はとても重要な鍵になります。
純粋に科学的、医学的なアプローチだけで事が進めば、もっと早い時期にアメリカだけではなく、世界の虫歯は減少していたかもしれません。

歯科医師の立場から考えると、砂糖の摂取をある程度制限することは必要と思いますが、ゼロにすることはやはり現実的ではありません。
その影響を考えて、摂取の仕方や摂取後のケアについてしっかり把握しておくことが大切だと思います。
ちなみに私は甘党です、、、

2015年02月27日

ツイッター上のツイートを解析することによって心臓疾患での死亡率リスクが高い地域を予測しようというものです。

アメリカ国内の1,347郡で発信された総数1億4,800万回のツイート中から心疾患に影響すると思われる怒りなどのネガティブな感情や、ストレス、睡眠不足を示唆する内容のツイートをピックアップして年齢別死亡率の予測図を作成したところ、CDC(米疾病管理予防センター)の報告とみごとに一致しました。

怒っている人が多い地域ほど死亡率が高い、ということも言えるでしょうか。

※図はPenn Newsより

日本国内でも自然災害に対する防災にツイッターが利用できないかという研究があるようですが、まさかこのような形で医療もツイッターと結びつくとは思ってもいませんでした。

もちろんこの結果には驚きましたが、これだけ正確な結果が出るということは人々へのツイッター浸透率が相当高いということも示しているのではないかと思われ、個人的にはそちらの方もびっくりという気がします。

[三軒茶屋の歯医者 歯科なら『原井デンタルオフィス』]

2015年02月02日

1985年に公開された「バック・トゥ・ザ・フューチャー」という映画があります。
主演はマイケル・J・フォックス。
彼がデロリアンというスーパーカーみたいなタイムマシンに乗って活躍するSF映画です。
この映画は大ヒットし、シリーズが3作品制作されました。私も公開当時の印象が強く残っています。

映画そのものもエンターテイメントとして良くできてきますが、実は私にとって内容よりもインパクトが強かったのが、アメリカのロックグループ、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースによる主題歌「パワー・オブ・ラヴ」の方でした。

当時はインターネットも存在せず、今のようにYouToubeで気軽に映像を見るなどということはできませんでしたので、彼らが来日してテレビの歌番組(たぶん夜のヒットスタジオ)に出演した時にはかじりつくように見たのを記憶しています。

このバック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズ2作目の舞台が、まさに今年の2015年なのです!

映画には当時考えられた未来の様々なアイテムが登場しますが、その中に「自動的にひもが締まるスニーカー」というのがありました。どうやらこのスニーカーをナイキが今年中に作成するようだという話があります。

ナイキはこの「自動靴ひも調整システム」に関する特許を既に2009年に出願、2014年に取得しています。
本気度高いと思います。すっかり“未来な”感じですね。

そういえば、この“いつのまにか未来になっちゃった感”、
2001年に映画「2001年宇宙の旅」の再上映を見た時、さらに2003年に「鉄腕アトム」誕生の年を迎えた時も感じました。

次はいつでしょう?

[三軒茶屋の歯医者 歯科なら『原井デンタルオフィス』]

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