イラストレーターの佐田鳩子さんがお届けする透明水彩画講座第4弾、「服の塗り方編」です。

これまで

と連載してきましたが、今回で最終回。これらの記事を通して、一通りの水彩画の描き方、テクニックを知って頂ければと思います。

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▼目次

 

 

使用する絵の具のラインナップはこちら。

「ダニエルスミス」というメーカーの絵の具を使います。一色なのにあとから色が分離するような複雑な発色をするので、個人的にはかなり玄人向けの絵の具だと思います。ただ上手く使えるようになると微妙なニュアンスを表現できるので今後活躍してくれること間違いなしです。

これまでの講座で紹介した塗り方をふまえ、着彩の作業をご覧ください。全体的なバランスを見ながら調整することがポイントです。

まず、服の大まかな色を決めます。今回は白・ピンク・紫の衣装にする予定なので、水を全体に撒くように置いた後、薔薇の部分にはラベンダー、ボンネット(頭の飾り)にはデイビスグレー、リボンにはライラック、そしてドレスにはデイビスグレーとラベンダーの混色をそれぞれ薄く溶いたものを広げました。

 

このとき、肌など色を付けたくない部分にも水を置いてしまうと、色がそちらにも広がってしまうので注意します。

デイビスグレーでドレスとボンネットに影を付けました。

 

このとき、塗りが一定にならないように、布の形に合わせてグラデーションになることを意識します。

これまでの過程で線画が薄まり、見づらくなったので、いったん主線を描きなおします。

 

通常は0.2mmを使っていますが、あえて0.5mmのシャープペンシルを使い、線にメリハリを付けました。この作業でぼんやりしていた水彩画の完成のイメージがはっきりします。

ドレスやボンネットなどの描画範囲が狭い部分は、水彩だけで陰影表現をすると濃くなりがちです。そこで2Bの鉛筆を使って影を描き込んでいきます。さらに鉛筆の独特な質感を布の質感に見立てて描きました。

サイドと首元のリボンをシャドウバイオレットとマヤダークブルーの薄い混色で塗ります。このとき、同時にグラデーションで影もつけました。

ボンネットの一番外側のフリルと肩の部分を薄いシャドウバイオレットで着色します。スキャンした画像だと少し見えにくいですが、ボンネットの部分はてっぺんの部分とサイドが濃くなるようにグラデーションにして、画面にメリハリをつけています。

影はルナバイオレットで塗ります。このときも塗りが一定にならないように、またシワもランダムに描き込んでいきます。

頭の飾りの薔薇を塗っていきます。

 

線画の状態ではそれぞれの境界線が分かりにくかったので、シャドウバイオレット、シェルピンク、キナクリドンコーラルの混色でそれぞれ(5個)を縁取るように、外側から真ん中に向けてグラデーションをつけていきます。

それぞれの花びらがはっきり見えるように塗っていきます。

 

グラデーションの濃い部分が隣り合う花びらとぶつからないように、反時計回りに塗りました。この工程は滲むと台無しになるので、5つの薔薇を順番に、乾かしながら塗るようにしました。

最後に、全体のトーンを見ながら薄く溶いたシェルピンクとネイプルスイエローをふんわりとかけるように置いていきます。薔薇が目立ちすぎるのでリボンの端にも薔薇と同じ色を入れて統一感を出しました。

 

最後に、背景にルナバイオレットとキナクリドンコーラルの混色を塗ってサインを入れたら完成です。

スキャンした画像を原画の色味に合わせて調整する

スキャンすると黄色が弱くなってしまい、色が薄く飛んでしまうので色調補正をかけました。

 

原画を見ながら合わせたので、かなり近い感じにはなっていると思います。

 

これにて完成です。

まとめ

 

水彩での着彩のポイントは

  • ベースの着色は既に塗ってある部分(肌など)に被らないよう、水を引く段階から注意する
  • 花びらなど要素の多い小物を描くときは、グラデーションの濃い部分が隣同士ぶつからないように
  • 仕上げに一番目立つ色を薄めたものをふんわりとかけることで全体のイメージにまとまりを持たせる

の3つです。

 

全4回に分けて透明水彩のメイキングをお送りしてきましたが、いかがでしたか?
 

最終回に初登場のダニエルスミスの絵の具は輸入すると高価ですが、乾く過程で色が分離したり、表面がひび割れたように色づくなど、ちょっと変わった面白い効果が出るので簡単に深みのある表現ができるなぁという印象でした。 

 

私もまだまだ知らないメーカー、知らない色、知らない表現が沢山ありますがこれからも理想の質感とフェチを追いかけて練習していきたいです。

 

このメイキングが水彩を始めたい方、デジタルと併用したいと考えている方、そして今水彩を使われている方の何かの参考になれば嬉しく思います。

 

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

著・画 佐田鳩子

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