悪玉コレステロールの血中濃度が高くなることで、動脈硬化を引き起こし、さらに進行すると心筋梗塞や脳卒中の原因となることがあります。
女性は男性に比べて飲酒や喫煙の習慣がある人が少ないため、そのような病気になるリスクは少なくなります。しかし、更年期や閉経など、年齢に伴う体質の変化がコレステロールに影響していることが考えられています。
さらに男性と同様に、運動習慣や食生活の乱れによって、若い世代でも高コレステロール血症となる可能性は十分にあり、注意が必要です。
健康管理を行うときには、コレステロールの基準値や平均値はどのくらいなのかということを知っておくと、とても役に立つでしょう。さらに、女性のコレステロールがなぜ上がるか、原因理由や改善方法について、具体的に解説していきます。
コレステロールの基準値と平均値について
今までは男性と女性の基準値は共通のものが用いられていましたが、近年の改定で男女を分けて基準値が設定されるようになりました。女性は男性に比べて心筋梗塞となる確率が1/2〜1/3と低く、喫煙や飲酒の習慣が少ないなどの生活背景が考慮されています。
さらに女性は年代別にも基準値が区別されることになりました。これは、女性は閉経後にLDLコレステロール値が高くなりやすいなどの理由が背景にあります。
男女別のコレステロールの基準値の具体的な数値は次の通りです。
総コレステロール
■ 女性
今までの正常範囲 140〜199mg/dL
改定後の正常範囲 30〜44歳:145〜238mg/dL
45〜64歳:163〜273mg/dL
65〜80歳:175〜280mg/dL
■ 男性
今までの正常範囲 140〜199mg/dL
改定後の正常範囲 151〜254mg/dL
LDLコレステロール値
■ 女性
今までの正常範囲 60〜119mg/dL
改定後の正常範囲 30〜44歳:61〜152mg/dL
45〜64歳:73〜183mg/dL
65〜80歳:84〜190mg/dL
■ 男性
今までの正常範囲 60〜119mg/dL
改定後の正常範囲 72〜178mg/dL
男女ともに正常となる範囲が拡大され、基準が緩くなっています。
総コレステロール値の成人女性の平均値は207.2mg/dLであり、男性は196.6mg/dLでした。女性は男性に比べて、もともとHDLコレステロールが高い傾向にあるため、総コレステロールも高くなります。
コレステロールが正常範囲内の人は項目別に見ると次のような割合になっています。
総コレステロール(TC)が正常範囲内に収まっている女性の割合
■ 女性
20代:89%
30代:85%
40代:74%
50代:52%
60代:53%
70代:60%
年齢が上がっていくにつれて正常値の割合は減っていきます。総コレステロール値が240mg/dL以上の割合は女性が16.8%、男性が10.3%と女性の方が高い傾向にあります。
LDLコレステロールが正常範囲内に収まっている女性の割合
■ 女性
20代:84%
30代:77%
40代:73%
50代:42%
60代:41%
70代:54%
50〜60代のLDLコレステロール値では、正常範囲よりも異常値を示す割合の方が多く、50%以上の人が「異常がある」ということになります。
女性のコレステロールが上がる原因
体内に存在するコレステロールは20%が食品の摂取によるものです。残りの80%は体内で作られる分ですので、食事による影響よりも、コレステロールの調節機能のある肝臓の機能を正常に保つ方が大切ともいえるかもしれません。
女性のコレステロールが上がる原因として考えられることは次の通りです。
1. 更年期の女性ホルモンの分泌低下
2. 洋菓子や菓子パンなどの甘い食品を好む
3. 食事摂取量は少なくても脂質の割合が多い
4. 筋肉量が少ないため必要エネルギー量も少なく、摂取エネルギー量がオーバーしやすい
5. 家事に追われて運動をする機会が少ない
特に、痩せ形の女性で「中性脂肪の値は正常値なのに、LDLコレステロールだけ高い」という方は、意識してコレステロールを下げる食事に切り替える必要があります。
コレステロールが高い女性におすすめの対策
運動
肥満の原因となる中性脂肪は、LDLコレステロールを増やす原因にもなってしまいます。肥満を改善するためには、酸素をとり入れながら行う有酸素運動がおすすめです。体が心地良いと感じ、息が弾む程度の運動を有酸素運動といいます。
・ ウォーキング 有酸素運動は20分以上続けないと脂肪を燃焼させることはできません。そして朝食をとる前の空腹時に行うことでより効果を高めることができます。目安としては無理なく続けられる週に3回程度のペースがおすすめです。 コレステロール値を改善するためには、現在の食生活を見直し、規則正しい食生活を送ることが必要です。 エネルギーの過剰摂取に気をつける 炭水化物・脂質をとりすぎない 間食を控える 更年期の月経後の女性ホルモンであるエストロゲンの減少は避けられるものではありませんが、運動や食事の改善によってコレステロールの上昇をある程度防ぐことができます。 改定されたコレステロールの基準値は、女性は男性よりも心筋梗塞のリスクが低いことや加齢による体質の変化が考慮されるようになりました。基準値自体は今までよりも緩くなりましたが、だからと言って安心はせず、今まで以上に健康管理を行いましょう。 成人女性のコレステロールの平均値は207.2mg/dLと高く、油断しているすぐに基準値を超えてしまう位置にあります。特に50〜60歳代においては、LDLコレステロールが高い人が半数を超えているため注意が必要です。 コレステロールを増やさないためには運動や食生活の改善が必要となります。週3回程度の有酸素運動を、1回20分程度続けて行い、継続できるように無理のない程度に習慣付けましょう。 食生活は暴飲暴食を避け栄養バランスの整った食事を意識することが大切です。腸内環境を整えるための乳製品をとり入れたり、脂質の吸収を抑制する食物繊維をたっぷりとることでさらに高い効果が期待できます。
・ 水泳
・ サイクリング
・ エアロビクス食事
基本的なポイントは次のとおりです。
食事からの摂取エネルギー量が多くなると肥満のリスクが高くなります。血中の中性脂肪が増加することによってコレステロール値も上昇してしまうため、暴飲暴食をしないように心がけましょう。50〜60代の平均的な体格の女性の1日の必要エネルギー量は1,900kcalです。
炭水化物のとりすぎはエネルギー過剰となり、血中脂質の増加に繋がります。ごはんや麺類、揚げ物などを食べ過ぎないようにしましょう。ごはんは1回の量を150g、揚げ物は週に2回までを目安にしましょう。
甘いお菓子やスナック菓子は砂糖や動物性脂質が多く含まれています。間食として向いているのは果物や乳製品など、ビタミン・ミネラルの多く含まれている食品です。間食は嗜好を優先するのではなく、栄養があるものを選びましょう。
→女性に向けたアドバイスの結論