ロバート・ホワイティング
1962年にアメリカ空軍諜報部員として訪日して以来、日本野球や日本の裏社会についての著作や講演をしており、合わせて30年以上日本で生活を送る。現在は日本とカリフォルニア州の自宅を行き来している。
1972年まで『ブリタニカ百科事典』日本版の編集者として刊行作業に携わり、その後に「ガイジンであることにうんざり」したのでニューヨークに移って人材派遣会社で働きながら、野球を通じて日米の根本的な違いを指摘した本『The Chrysanthemum and the bat: The game Japanese play』(1977年)を執筆した。さらにその後、フリージャーナリストになる前にアメリカの出版社、の日本支社に1年ほど勤務した。
ホワイティングの野球に関する代表作として『The Chrysanthemum and the bat: The game Japanese play』(1977年)、『You Gotta Have Wa』(1989年)、『Slugging It Out In Japan: An American Major Leaguer in the Tokyo Outfield』(1991年)、『The Meaning of Ichiro: The New Wave from Japan and the Transformation of Our National Pastime』(2004年)があげられる。この4作品はいずれも日本語版も出版されている。
『The Chrysanthemum and the bat: The game Japanese play』は『タイム』の「今年最高のスポーツ著作」に選ばれた。日本では『菊とバット』のタイトルの題名でサイマル出版会から出版され、2005年に早川書房から再版された。
ウォーレン・クロマティの自伝『Slugging It Out In Japan: An American Major Leaguer in the Tokyo Outfield』ではホワイティングが共同執筆者として名を連ねた。ニューヨーク公共図書館より教育的価値の高さをたたえられて賞を授与された。日本では『さらばサムライ野球』の題名で講談社から出版され、ハードカバーで19万部を売り上げた。
『The Meaning of Ichiro: The New Wave from Japan and the Transformation of Our National Pastime』は2004年にワーナーブックスから出版され、『スポーツ・イラストレイテッド』に抜粋された。そして2万5千部を売り上げた。日本では『イチロー革命―日本人メジャー・リーガーとベースボール新時代』の題名で早川書房から出版され、多くのベストセラーリストに登場した。同書の改訂版と更新版である『The Samurai Way of Baseball: The Impact of Ichiro and the New Wave from Japan』は2005年にワーナーブックスからトレード・ペーパーバック形式で出版された。
ホワイティングの最も人気のある著作となったノンフィクションの『Tokyo Underworld: The Fast Times and Hard Life of an American Gangster in Japan』はニック・ザペッティという元アメリカ兵でピザのレストラン「ニコラス」を経営しながら戦後日本の裏社会で暗躍したギャングの話をもとに、日本の政財界や暴力団組織の暗黒面を綴ったもので、ノンフィクションとしては異例の20万部を越えるベストセラーとなった。2001年にはハリウッドの大手映画スタジオであるドリームワークスが映画化権を取得した。監督は『レイジング・ブル』『タクシードライバー』『ディパーテッド』のマーティン・スコセッシ、『グッドフェローズ』のジョー・ペシ主演で企画されている。日本では『東京アンダーワールド』の題名で角川書店から出版されて東京の多くのリストのベストセラーとなっただけでなく、日本のみでハードカバーとペーパーバックで30万部以上を売り上げた。また、学者ジェフ・キングストンが執筆した記事で日本のトップ10の本の一冊に選ばれている。
『東京アンダーワールド』の続編にあたる『東京アウトサイダーズ』は日本の裏社会で暗躍する外国人犯罪者について取り上げており、先に日本で出版されている。英語版の出版も現在計画中である。
ホワイティングは戦後日本の特性に関する新たな本を執筆している最中である。「15万語の下書きが手元にある」と述べている。「残念ながら私は間違った15万を選んでしまった。今、後戻りして正しいものと取り替えなければならない」彼は出版前にすべての本を複数回書き換えると述べた。
2011年10月に、才能はあるが問題を抱えて2か月前にカリフォルニア州で自殺した日本人投手、伊良部秀輝について『ジャパンタイムズ』において3回にわたるコラムを連載した。
グローバリゼーションへの転換期を迎え、国境を越えたスポーツの流れを探求する専門家の一人である。彼はどういうふうに文化が野球の試合に影響を与えてきたかについてだけでなく、野球の試合がどのように影響を助長し、世界中のアイデンティティを形成してきたかについても調べている。また、日本の権力構造におけるヤクザの影響や第二次世界大戦後の日米関係の暗部について洞察に満ちた解説を行っている。
2013年にから出版された『501 Baseball Books Fans Must Read Before They Die』には、ホワイティングの著作の『You Gotta Have Wa』(邦題:『和をもって日本となす』)と『Slugging It Out in Japan』(邦題:『さらばサムライ野球』)が登場する。
読売巨人軍フロントとの対立と東京ドームへの立ち入り禁止
ホワイティングは日本の雑誌『ペントハウス』に読売ジャイアンツの球団フロントを批判するウォーレン・クロマティのインタビュー内容を公表した後、1987年より2年間東京ドームへの立ち入りを禁じられた。巨人が観客動員数を偽って発表していることを示す彼の調査報告が『週刊朝日』に掲載された後の1990年には「もう、二度といらしていただかなくて結構です」と、無期限でドームへの立ち入りを禁じられた。読売のフロントは東京ドームで行われた巨人の全主催試合は満員の56,000人の観客を集めたことを主張していた。しかしながら、ホワイティングは座席数を実測してこれが42,761であることを確認、さらにいくつかの巨人の試合で立ち見の観客が平均して3,500人程度であることも確認し、東京ドームで開催される野球の試合の最多観客動員数が46,000人をゆうに上回るのは実際には不可能であることを実証した。ニューヨーク・ヤンキース対タンパベイ・レイズのMLB開幕戦をカバーするレポーターとして再び東京ドームを訪れたのはそれから14年後、2004年のことであった。
イチローのMLB初年度成績予想
『文藝春秋』の2000年12月号において、「イチロー君大リーグは甘くないぞ」と題してイチローがMLBでは通用しないと断言し、MLB初年度の成績について「最終的に打率.285 ホームラン11本 盗塁25と答えておこう。」とし、さらに「イチロー自身も『あーあ、アメリカにこなければ今ごろはまだ日本のスーパースターでいられたのに』と後悔しているかもしれない。来年の今ごろ、僕がこの誌面で平謝りに謝っているかどうか、忘れずにチェックしてほしい。」とセンセーショナルなコラムを書いている。
その他の専門的な活動
『』の原作をGUY JEANS名義で担当している。また、ライアン・コネルがアメリカで発売した『Tabloid Tokyo』という本に紹介文を載せている。
- Jeff Kingston. "The No. 1 Top Ten: Books on Japan," # 1 Shimbun, Foreign Correspondents' Club of Japan, 2011年8月
- 『ペントハウス』1987年1月号
- Dan Sloan. “If you still wanna have wa,” # 1 Shimbun, Foreign Correspondents' Club of Japan, 2009年7月