4.印刷不良

No.項目方式・タイプ現象・状況解説原因区分対策
401印刷不良
(インキ皮の発生)
全システムインキ壷やローラ上で乾燥して、増粘、インキ皮が発生した。ひいては、印刷物に異物が付着したり、フレキソ印刷などではドクター筋の原因となる。太陽光、蛍光灯でもUVインキは硬化することが原因。省電力対応タイプのUVインキは特に硬化しやすいので注意が必要。印刷環境①紫外線カットの蛍光灯の使用や位置の変更。②太陽光の侵入の防止。③インキ壷に覆いを被せる。
402印刷不良
(インキ締り)
オフセット
凸版
新台導入時やゴムローラー巻替え時にUVインキがローラー上で乾いたように見える現象。特にゴムローラーの材質により著しく発生する。印刷物ではエッジピッキング、紙剥け、着肉不良等の印刷不良や硬化不良などの症状が発生する。UVインキ中の低分子量成分がゴムローラーに浸透してしまうことが原因。ローラー選択
インキ選択ミス
基本はゴムローラーを十分にUVインキに馴染ませてから使用すること。①ウレタン樹脂型ゴムローラーを推奨。②事前準備としてローラーにレジューサーを巻き、馴染ませる。③印刷時での対処はレジューサー、コンテックスを多めに添加する。インキ盛りを上げる。
403印刷不良
(転移不良)
オフセット油性インキとの兼用機の場合、油性印刷後のUV印刷時において、UVインキがローラーで転移していかない。切替洗浄を完全に行なわないと、ローラーに浸透し、残っていた油性インキ成分がUVインキの転移を阻害するため。洗浄不良①油性インキを丁寧に洗浄する。場合によっては、UVレジウサー又はメジウムなどで共洗いする。
404印刷不良
(紙揃え不良、フィーダー詰り)
オフセット特にフィルム印刷などにおいて、デリバリーでの紙揃え不良や複数回印刷する場合に2回通し以降でのフィーダー詰りが発生した。静電気の発生による。特にUV印刷の場合はUVランプハウスで帯電しやすいので注意が必要となる。印刷環境
原反特性
①印刷室内の湿度コントロール。②静電除去装置の検討。③原反メーカーに相談する。④合紙する。
405印刷不良
(エッジピッキング、紙剥け)
オフセット
凸版
紙原反において印刷中に紙剥け、エッジピッキングやオフ輪印刷で言うところの"火ぶくれ"現象が発生した。紙面強度の弱い印刷用紙にタックが高いインキを使用したため。UVインキは油性インキと比較してタックを高めに設計していることが多い。さらに気温の低い冬場ほど見かけの粘度上昇が大きいために発生しやすい。"インキの締り"現象でも同じトラブルが発生する。用紙選択ミス
インキ特性
印刷環境
インキの締り
①紙面強度の強い用紙に変更する。②タックの低いタイプに変更するか、レジューサーやコンテックスを添加する。③印刷機水温や室温を高くする。④印刷不良(インキ締り)の項(№402)を参照。
406印刷不良
(エッジピッキング、着肉)
水無しオフセット水無し印刷にてフィルム印刷時、エッジピッキングや着肉不良が発生した。水有りオフセット印刷でも発生するが、圧倒的に水無しオフセット印刷で発生しやすい。原反の帯電防止剤などの表面に浮き出ている物質の影響も大きい。一種の"インキの締り"現象。原反不良
インキ不良
①捨て版を設ける。②インキにコンテックス、レジューサーを添加する。③原反にアンカーなどを先刷りする。④インキタイプの変更。
407印刷不良
(逆トラ)
オフセット印刷中、主に後刷りの黄インキ胴で先刷りの墨や藍インキを引っぱることで黄色の色調が濁ってしまう現象。基本的には先刷りインキと後刷りインキとのタック差、インキ盛りの影響で発生する。UVインキの場合はセット乾燥しにくいために先刷りインキのタック上昇が期待できず、油性インキよりも逆トラを起こしやすい。→ 過剰乳化やブランケットの種類、印圧によっても発生しやすくなる。インキ特性
過剰乳化
①黄インキにコンテックスを添加してタックを下げながら、インキ盛りを上げる。②コンクタイプを利用するなどして先刷りインキのインキ盛りを下げる。③印刷時の湿し水供給量を抑える。④ブランケットの選択。⑤印圧調整。
408印刷不良
(光沢)
オフセット油性インキ印刷物と比較して光沢がない。UVインキは油性インキと違い、印刷後、レべリングする前に瞬間硬化するために光沢が出にくい。特に2色重ね以上の箇所はその差が大きくなる。インキ特性①軟調のタイプに変更する。②グロス重視タイプのインキに変更する。③OPニス、レジューサー、コンテックスを加える。
409印刷不良
(光沢)
OPニス生インキ上のニス光沢が上がらない。ニスタイプによりon wetでは光沢が出ない場合がある。これはトラッピング性・ウェッティング性の影響、インキとニスの硬化収縮の差異で起きる。またニス盛りが少ないほど影響を受けやすい。ニス選択ミス
塗布量
①ウェットトラッピング性の良いタイプに変更する。②盛り量を上げる。③印刷環境温度のコントロール。
410印刷不良
(光沢)
コーターニスコーターニス印刷において、白紙上と比較してインキ上の光沢が印刷後、時間とともに低下した。特に絵柄の重い箇所での光沢低下が大きい。ニス塗工乾燥後に硬化が不十分なインキ成分の紙への浸透等によってインキ表面状態が変動してしまい、ニスの平滑性が低下するため。胴間UVの無い場合が最も発生しやすいが、有る場合でも重いインキ絵柄上では発生することがある。硬化不良①下地インキをコンクタイプや硬化性の良好なタイプに変更する。②ニスを別途、印刷する。
411印刷不良
(光沢)
フレキソ
コーターニス
UVフレキソ印刷やUVコーターにて表面が平滑とならず、波打ち模様となり光沢が上がらない。インキやニスに問題がない場合、印刷されてからUV照射までが短いとレベリングし難いために発生する。また、粘度が高くなる気温が低い時期に起こりやすい。機械設定
印刷条件
①ニスの盛り量を少なくする。②ニスの粘度を低目(ニスの温度を高目)に設定する。③雰囲気温度を高目にする。④版の平滑性を高いものに変更する。⑤平滑性の高いニスタイプに変更する。
412印刷不良
(乳化)
オフセット印刷中に濃度が下がる、インキダイヤルを上げてもインキ濃度が上がらない、機械再稼動後の濃度変化などインキ濃度が安定しない、インキ壷に湿し水が上がっている、水目(ウォーターマーク)の発生など乳化トラブルが発生した。UVインキは油性インキと比べると極性が高いため乳化しやすい。このため、乳化が進行すると、濃度低下、水棒がらみ、用紙幅外のブランケットへのインキ溜り、フライングといった乳化現象によるトラブルが発生する。→ 特に湿し水が吸収されないフィルムなどの非吸収紙で起こりやすい。また、密着性の良いインキのほうが起こりやすい。→ オフセット用でないUVインキタイプもあるので注意が必要。(UV CM、UV KFI等)湿し水量過多
インキ量過多
インキ選択ミス
①基本的には湿し水上げ量を減らすこと。問題の印刷胴だけではなく、その前の印刷胴の湿し水も減らすこと。場合によっては、ローラー洗浄後、壷インキも新しいインキと取替えて湿し水を絞った状態から再スタートする。②H液、アルコール量を調整する。③密着性が許す限り、紙用UVインキにする。④コンクタイプを使用する。⑤捨て版を設ける。
413印刷不良
(版絡み)
オフセット網点印刷部分がベタのように網点が潰れた。油性オフセット印刷と同じ現象。UVインキの乳化特性上、油性印刷より発生しにくいが、濃色印刷、特に赤系統の特色印刷では版絡みすることがある。インキ盛り過多
機械調整
①インキ盛りを下げる。可能ならば、濃度を上げる。②湿し水量を調節する。③印刷機の湿し水や通水装置の温度を下げる。④インキタイプを変更する。
414印刷不良
(版取れ)
オフセットロングランや絵柄が少ない仕事において、版の画線部が取れてしまう。組成上、UVインキのほうが版取れしやすい傾向にある。また、油性インキと同じく、H液濃度が高い時や湿し水供給量が多い時にも起こりやすい。インキ特性
版選択ミス
過剰乳化
①UV対応のPS版を使用する。②H液添加量の確認。③湿し水供給量を抑える。
415印刷不良
(ミスティング)
全システム印刷機上でインキが霧状に飛ぶ現象で印刷物に飛散したり、印刷機周りを汚してしまう。 UVインキはゲル弾性がほとんど無いために油性インキより発生しやすい。→ UVインキタイプ、インキ盛り量でもミスティング量に違いがある。→ 温湿度(静電気)の影響も大きく、湿度の低い冬場に起こりやすい。インキ特性
機械調整不良
印刷環境
①硬いタイプやコンクタイプのインキを使用する。②印刷機、印刷室の温度・湿度の調整。③過乳化を抑制する。
416印刷不良
(フライング)
オフセットローラー端部からインキ飛びが発生する現象。ミスティング現象とは原因が異なり、大粒のインキ飛びとなり、印刷機や印刷物を汚す。過剰乳化したインキがローラー上に溜り過ぎた結果、最終的にフライング現象が発生する。→ 印刷不良(乳化)の項を参照。過剰乳化①印刷不良(乳化)の項(№411)を参照。
417オフセット印刷不良
(ブラン膨潤)
前の仕事の絵柄が次の仕事の印刷物に出ており、ブランケットを触ると前仕事の絵柄の形でブランケットが膨潤していた。UVインキ中の低粘度成分によりブランケットが膨潤してしまうため。開始剤成分を多く含むUV省電力インキに発生しやすい。また、油性溶剤を含有するUV蛍光Pシリーズの場合にはUV専用ブランケット(EPDMタイプ)を使用すると膨潤することがある。インキ特性
ブラン選択ミス
①ブランケットの選択。(印刷絵柄により膨潤耐性と復元力を考慮する。)②インキタイプを変更する。
418印刷不良
(ローラー目、ギア目)
オフセット印刷方向に対し、横方向に筋が現れる。基本的には機械調整不良。濃い色で目立ちやすい。インキを過剰乳化させ、流動性が悪化した状態で印刷するほど現れやすい。機械調整不良
ローラー劣化
過剰乳化
①機械調整。②ゴムローラーの交換。③印刷不良(乳化)の項(№411)を参照。④ブランケットをクッション性のあるタイプに替える。
419印刷不良
(光沢、チョーキング)
フレキソ紙に印刷したところ、ブロンズが浮き、艶が出ない。時には印刷面を爪で擦ると粉状にインキが脱落する。(チョーキング)特にキャストコート紙などセット乾燥性の良い用紙をフレキソに使用した場合に紙に低粘度のUVビヒクル分が浸透することで光沢が低下、チョーキングが発生する。ひいては硬化不良、密着不良の原因ともなる。原反特性
インキ選択ミス
①浸透しづらい用紙に変更。②先刷りの目止めをする。③印刷スピードを上げる。④インキにメジウムなどを添加してインキ盛りを増やす。⑤高粘度タイプなどの浸透しづらいインキに変更する。
420印刷不良
(ピンホール)
フレキソ印刷絵柄にピンホールなどの着肉不良部分が発生した。原反とインキとの濡れ性が十分でないと弾かれ、ピンホールとなる。版上で弾かれている場合はインキ-版間での濡れ性による。また、インキ中に機械油などの異物が混入した場合も発生する。インキ的には濡れが悪く、低粘度のほうが起こりやすい。インキ選択ミス
原反選択ミス
原反処理
版面処理ミス
異物混入
①高粘度タイプや濡れの良いタイプを使用。②原反、版材の変更。③版面の確認、清掃。④コロナ処理機の強度を上げる。⑤フレッシュなインキに入れ替える。
421印刷不良
(版絡み)
フレキソ版の網点部分(特にハイライト部分)の隙間にインキが埋まり、網点が潰れる。インキ盛りが多く、印圧が強いとき発生しやすい。凸版印刷でも発生するが、粘度の低いフレキソ印刷で起こりやすい。機械調整不良
インキ盛り過多
①印圧、アニロックス圧の調整。②インキ盛り量を下げる。③ドクターブレードの交換、圧を調整する。
422印刷不良
(印刷版膨潤)
フレキソ印刷中に樹脂版が膨潤し、ドットゲイン不良や濃度変化が発生する。インキ中の低分子量成分が版に浸透し、膨潤させることが原因。事前に印刷版とインキの相性を確認する。特に密着性の良いインキタイプほど起こりやすい。版選択ミス
インキ選択ミス
①版の変更。②インキタイプの変更。
423印刷不良
(ギア目)
フレキソ
コーターニス
印刷方向に対し、横方向に筋が現れる。基本的には機械調整不良。濃い色で目立ちやすい。機械調整不良①機械調整。
424印刷不良
(泡立ち、インキ抜け)
フレキソ
コーター
チャンバー内、ニスタンク、インキパンでインキ、ニスが泡立ち、引いては印刷物に抜けが発生する場合がある。無溶剤型であるUVニス、UVインキは水性ニス、水性フレキソインキと比較して粘度が高く、泡立ちしやすい傾向にある。機械調整不良
供給量不足
ニス選定ミス
①チャンバーへの供給量を増やし、空気が混入しないように供給を調整する。②循環タンクの容量を大きくする。③泡立ちの少ないインキおよびニスへの変更。
425印刷不良
(インキ盛り)
フレキソ
コーターニス
フレキソ、コーターニス印刷においてインキ、ニスが盛れない、あるいは盛れ過ぎるなど調整できない。アニロックスを使用する印刷方式の場合、線数が同じでもセル容量が異なる場合があるので注意する。基本的にはセル容量で管理し、容量が大きいほど盛りが多くなる。その他の要因として、印圧やインキ温度でもインキ盛りが変化する。フレキソ、コーターだけでなく、アニロックス機構を採用しているオフセット印刷機でも同様である。機械調整不良①アニロックスの再選択。②印圧調整。③温度調整。④ドクターの交換。
426印刷不良
(掻取ムラ、ドクター筋)
フレキソ
コーターニス
UVフレキソ、コーターニス印刷物に五月雨状の汚れや印刷方向と同じ筋状の汚れ(ドクター筋)が発生した。ドクターブレードシステムにおいて、掻取不良により発生する。→ A) ドクター裏側にインキ・ニスが回りこみ、一定量溜まった後にアニロックスロールに付着したものが転移し印刷面に移行し、五月雨状の模様が現れる。→ B) ドクターやアニロックスロールに傷が入り線状の筋が入る。(ドクター筋)→ C) ドクターにゴミ等の異物が付着しアニロックスロールのセル中のインキやニスが正常に掻取れない。(ドクター筋)機械設定
ドクター不良
洗浄不足
インキ中の異物
A)-①ドクターの押さえを強くする。②強度の強いドクターに変更する。③インキやニスを低粘度タイプに変更する、もしくは、温度設定を高くする。B)-①傷のないドクターやアニロックスロールに交換する。C)-①ドクターの交換。②異物除去(インキやニスの濾過および交換、または、タイプ変更)。
427印刷不良
(着肉)
フレキソフレキソ印刷においてベタの潰れが十分でない、網点部とベタ部の着肉性とのバランスを欠いた印刷となった。フレキソ印刷特有の原因でインキ着肉が不良となる。A) インキ粘度のほか、原反の平滑性、印刷版硬度や機械調整の不良によって発生する。また、幾つかの要因が重なることがあるために様々な方面から調整が必要となる。B) 版の膨潤でも着肉が変化する。〔印刷不良(印刷版膨潤)の項(№421)を参照。〕印刷機調整
インキ選択ミス
用紙特性
版選択ミス
①印圧を上げる。②低粘度インキの使用、インキタイプの変更。③軟らかい版材の使用。④クッションテープを硬くする。⑤原反の変更。⑥網点部とベタ部を別版にする。
428印刷不良
(地汚れ)
水無しオフセットUV水無し印刷中に非画線部に地汚れが発生した。UV水無しインキは無溶剤型インキであり、溶剤による地汚れ防止効果が期待できないために油性水無しインキよりも汚れやすい。そのほか、印刷機温度など機械的な要因や盛り過ぎなど印刷上の条件による要因などにも影響を受けるが、版面に対するインキの反発性を確保することで、改善を図る。インキ特性
機械設定ミス
温度条件不良
インキ量過多
①通水温度を下げる。②インキ盛り量を出来るだけ下げる。③版面への着けローラーのニップ(特に仕上げローラー)を1~2mm程度軽めに設定する。④ブラン、ブラン下の確認。⑤硬めのインキへ換える。
429印刷不良
(版残り、ブラン残り)
全システム
(マットOPニス)
印刷中、版・ブランケットにインキや顔料が溜まってしまい、絵柄にも影響を及ぼし着肉不良となる。マットOPニスに限らず、顔料や添加剤とUVビヒクルとの濡れの悪いインキでも発生することがある。マット剤の特性(粒径・濡れ性)やインキ乳化の影響でビヒクルから顔料が分離しやすいために版残りやブラン残りが起こりやすい。また、ビヒクルとの分離を促す吸収性の高い用紙の白紙部分上で発生しやすい。顔料特性
過剰乳化
①メジウム等を添加する。②白紙上での場合、目止めとしてメジウム等を先刷りする。③印刷時の湿し水供給量を抑える。
430印刷不良(ヒッキー)全システム印刷絵柄上にドーナツ状の着肉不良(ヒッキー)が発生した。UVインキは紫外線が当たらない限り、硬化することはないため、インキ皮によるヒッキーの発生はほとんど無い。従って、紙粉等の異物混入によるヒッキーが大部分を占める。静電気が発生するとゴミを呼び込みやすくなる。異物混入
印刷環境
①異物の除去。②機械周りの清掃。③原反の調査、変更。④静電気の除去。⑤インキでの対処法はメジウムやコンテックスで希釈し、インキ盛りを増やすことで改善する場合がある。