万葉集 なかなかに人とあらずは酒壺に 品詞分解と訳
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今回は、「万葉集」収録和歌の現代語訳(口語訳・意味)・品詞分解・語句文法解説・修辞法(表現技法)・おすすめ書籍などについて紹介します。万葉集 巻3・343 大伴旅人(おおとものたびと)
太宰帥大伴卿、酒を賛むる(ほむる)歌十三首
なかなかに人とあらずは酒壺になりにてしかも酒に染みなむ
<平仮名>
なかなかに ひととあらずは さかつぼに なりにてしかも さけにしみなむ
<万葉仮名>
中々尓 人跡不有者 酒壷二 成而師鴨 酒二染甞
<現代語訳>
中途半端に人間として生きていないで、酒壺になってしまいたいものだ。そうしたらきっと酒にたっぷり浸ることができるだろう。
<私の一言>
あららぁ、もう完全に投げやりになっちゃってますねぇ。
「酒を賛むる歌十三首」は、長官としての大宰府赴任に同行した奥さんに先立たれて、頼りにしていた長屋王も藤原氏の陰謀によって自害に追い込まれ、名門であった大伴氏が当時は新興勢力であった藤原氏に押されまくっていた状況に対する嘆きが感じられますね。
「酒を賛むる歌十三首」では、この他に、「あな醜~」、「この世にし~」、「験なき~」などが有名。
<語句文法解説> 題詞
帥(そち) :名詞 長官
卿(まへつきみ) :名詞 三位以上の人への敬称
※「題詞(だいし)」=和歌の前書き。万葉集以外では「詞書(ことばがき)」。
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<品詞分解・語句文法解説>
なかなかに :形容動詞ナリ活用「なかなかなり」の連用形 中途半端に。なまじっか。
人 :名詞
と :格助詞
あら :動詞ラ行変格活用「あり」の未然形
ず :打消の助動詞「ず」の連用形
は :係助詞
※「ずは」~ないで。~せずに。 (上代の用法)
酒壺 :名詞
に :格助詞
なり :動詞ラ行四段活用「なる」の連用形
に :完了の助動詞「ぬ」の連用形
てしか :(自己の願望を表す)終助詞 ~したいものだ。
も :詠嘆の終助詞(係助詞との説もある)
※「てしかも」を、一語の終助詞とする説もある。
酒 :名詞
に :格助詞
染み :動詞マ行四段活用「染む」の連用形
な :強意の助動詞「ぬ」の未然形
※完了の助動詞「つ」「ぬ」+推量の助動詞「む」「べし」など=完了→強意(確述)を表す。
む :推量の助動詞「む」の終止形
「なむ」 :きっと~だろう。
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<古典文法の基礎知識>
「古文」を苦手科目から得意科目にする古典文法の基礎知識です。
◇「現代仮名遣い」のルールについては、「現代仮名遣い・発音(読み方)の基礎知識」の記事をどうぞ。
◇「用言の活用と見分け」については、「用言(動詞・形容詞・形容動詞)の活用と見分け方」の記事をどうぞ。
◇「助動詞・助詞の意味」や「係り結び」・「準体法」などについては、「古典文法の必須知識」 の記事をどうぞ。
◇「助動詞の活用と接続」については、「助動詞の活用と接続の覚え方」の記事をどうぞ。
◇「音便」や「敬語(敬意の方向など)」については、 「音便・敬語の基礎知識」の記事をどうぞ。
<作者>
大伴旅人(おおとものたびと)
665年~731年。飛鳥時代後期~奈良時代前期の廷臣で歌人。家持の父。太宰帥を経て従二位大納言に至る。万葉集に残した歌のほとんどは太宰帥の在任中に山上憶良らとの親交の中(筑紫歌壇)で詠まれた。漢文学の影響を受けた浪漫的な歌や亡妻を悼んだ叙情歌などが有名。
<和歌の基礎知識>
◎和歌の文法、用語、和歌集、歌風などについては、「和歌の文法・用語の基礎知識」をどうぞ。
◎和歌の修辞法(表現技法)については、「和歌の修辞法(表現技法)の基礎知識」をどうぞ。
<修辞法(表現技法)>
句切れ :四句切れ
頭韻(とういん)=句の頭の音が第二句を除いて「ア段音」
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<関連>
この歌だけを見ると、あまりにダメ男過ぎるので、旅人の名誉挽回の一首。
万葉集・巻3・449 大伴旅人
妹と来し敏馬の崎を還るさに独りして見れば涙ぐましも
<平仮名> (歴史的仮名遣い)
いもとこし みぬめのさきを かへるさに ひとりしてみれば なみだぐましも
※「来し」は、「きし」ではありませんよぉ。
「来し」の読み方については、「君や来し~」の記事中段を参照のこと。
<現代語訳>
妻とともに来た敏馬の崎を、都への帰り道に今度は一人で見ると涙ぐまれることだよ。
・敏馬の崎(みぬめのさき) :神戸市灘区の海岸
・さ :方向、時、場合などを示す接尾語
九州からの帰京途中に詠んだ歌です。愛妻家だったんですねぇ。
旅人さん、ご苦労様でしたね。約1300年後にあなたの歌を楽しんでおります。
<和歌索引>
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<古文や和歌の学習書と古語辞典>
古文や和歌を学ぶための学習書や古語辞典については、おすすめ書籍を紹介した下の各記事を見てね。
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なかなかに :形容動詞ナリ活用「なかなかなり」の連用形 中途半端に。なまじっか。
人 :名詞
と :格助詞
あら :動詞ラ行変格活用「あり」の未然形
ず :打消の助動詞「ず」の連用形
は :係助詞
※「ずは」~ないで。~せずに。 (上代の用法)
酒壺 :名詞
に :格助詞
なり :動詞ラ行四段活用「なる」の連用形
に :完了の助動詞「ぬ」の連用形
てしか :(自己の願望を表す)終助詞 ~したいものだ。
も :詠嘆の終助詞(係助詞との説もある)
※「てしかも」を、一語の終助詞とする説もある。
酒 :名詞
に :格助詞
染み :動詞マ行四段活用「染む」の連用形
な :強意の助動詞「ぬ」の未然形
※完了の助動詞「つ」「ぬ」+推量の助動詞「む」「べし」など=完了→強意(確述)を表す。
む :推量の助動詞「む」の終止形
「なむ」 :きっと~だろう。
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<作者>
大伴旅人(おおとものたびと)
665年~731年。飛鳥時代後期~奈良時代前期の廷臣で歌人。家持の父。太宰帥を経て従二位大納言に至る。万葉集に残した歌のほとんどは太宰帥の在任中に山上憶良らとの親交の中(筑紫歌壇)で詠まれた。漢文学の影響を受けた浪漫的な歌や亡妻を悼んだ叙情歌などが有名。
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◎和歌の修辞法(表現技法)については、「和歌の修辞法(表現技法)の基礎知識」をどうぞ。
<修辞法(表現技法)>
句切れ :四句切れ
頭韻(とういん)=句の頭の音が第二句を除いて「ア段音」
<関連>
この歌だけを見ると、あまりにダメ男過ぎるので、旅人の名誉挽回の一首。
万葉集・巻3・449 大伴旅人
妹と来し敏馬の崎を還るさに独りして見れば涙ぐましも
<平仮名> (歴史的仮名遣い)
いもとこし みぬめのさきを かへるさに ひとりしてみれば なみだぐましも
※「来し」は、「きし」ではありませんよぉ。
「来し」の読み方については、「君や来し~」の記事中段を参照のこと。
<現代語訳>
妻とともに来た敏馬の崎を、都への帰り道に今度は一人で見ると涙ぐまれることだよ。
・敏馬の崎(みぬめのさき) :神戸市灘区の海岸
・さ :方向、時、場合などを示す接尾語
九州からの帰京途中に詠んだ歌です。愛妻家だったんですねぇ。
旅人さん、ご苦労様でしたね。約1300年後にあなたの歌を楽しんでおります。
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