キヤノン「EOS M5」、3名の写真家が注目する改良点

EOS Kissのお株を奪う大胆な進化

2016年09月23日

 キヤノンがミラーレス一眼の新機種「EOS M5」を発表した。シリーズで初めて電子ビューファインダー(EVF)を内蔵したことと、デュアルピクセルCMOS AFによりオートフォーカスを大幅に高速化したのが改良のポイントだ。電子ダイヤルの配置や設定機能の工夫で、さまざまな設定をキビキビと変えられるようにしたのも注目できる。発売は11月下旬と少し先になるが、いち早くEOS M5を触る機会に恵まれた3名の写真家に「EOS M5のここが注目できる」「過去のEOS Mシリーズからこの点が改良されたのはうれしい」など、感じたことをファーストインプレッションしてもらった。

シリーズで初めてEVFを内蔵し、一眼レフのようなスタイルを採用した「EOS M5」。デュアルピクセルCMOS AFを採用し、オートフォーカスの高速化を図ったのもポイントだ。実売価格は、ボディー単体モデルが11万円前後、標準ズームレンズが付属するEF-M15-45 IS STMレンズキットが12万8000円前後、新開発の高倍率ズームレンズが付属するEF-M18-150 IS STMレンズキットが15万8000円前後、高倍率ズームレンズとマクロレンズが付属するクリエイティブマクロ ダブルレンズキットが18万8000円前後
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EOS Kissのお株を奪う本気のミラーレスになった(落合カメラマン)

 白状します。もうこうなったら全部ゲロします。すいません。初めて欲しくなりました。EOS M5の実物を見て、触ってみて、実際に使ってみて、仕上がりを見て、自然にそう思いました。今までEOS Mを欲しいなんて思ったこと、一度たりともなかったのに、今回は違ったんです。いやぁ、まさかEOS Mが欲しくなる日が来るなんてねぇ……。ボロクソに書いたあの記事が、まるで遠い昔の出来事のよう(笑)。ワタシが変わったんじゃなくてEOS Mが変わったんだと思います。だって、今までとは違うんですもの。

 どこの違いにビビビッときたのかというと、そりゃもう「本気度」の向上がイチバンであります。キヤノンはEOS Mに対してやっと本気になってくれたのです(勝手な思い込みですが)。

 今までのEOS Mの何が苦手だったのかというと、「これ(ミラーレスEOS)が気に入らなかったら一眼レフを買いなさいよ」という態度がキヤノン自身にあからさまだったところがホントにイヤだった。交換レンズに対する姿勢だって、今までの曖昧な態度は「EOS Mはキワモノ」「EOS Mはおミソ」と自分でいっていたようなもの。「いつかは一眼レフ」の基本スタンス自体にどうこういうつもりはなかったし、戦略としてアリなのは分かっていたつもりだ。でも、「一眼レフありきの(一眼レフの「下」に位置する)ミラーレス」という線引きを作り手みずからが設定している限り、「命がけでミラーレス機を作っている」他メーカーのカメラを超えることは難しいんじゃないかとも思っていた。一眼レフの領域を侵してはいけないとの配慮から「出し惜しみ」する部分もあったに違いない。そんな“弱さ”からの脱却をEOS M5は狙っている。EOS M5は「EOS Mの新展開」を担っているように思うのである。

 写真で見るよりも小さい印象のボディーは、意外なカタマリ感と質感を有していた。EVFを内蔵するだけにとどまらず、撮影時に触れることになる操作系が「ファインダーをのぞきながらの操作性」に最大限、配慮したものになっているのもEOS Mとしては新しい。ファインダー撮影中、モニターに触れて測距点が移動できる機能や、縦位置に構えたときにファインダー内の撮影情報表示が縦表示になる動作など、すでに他機で見たことのあるモノだと捉えてしまえば新鮮味は皆無である操作・動作・装備も、それらが堂々と「ミラーレスEOS」に搭載されてきたことに改めて思いを馳せるとインパクトは大。相変わらずの「後追い感」は拭えずとも、キヤノンのヤル気はホンモノだ。

一眼レフのようなスタイルを採用するEOS M5。写真では分かりづらいが、EOS Kissシリーズと比べても圧倒的にコンパクトだ
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背面液晶は自分撮りに対応したチルト式で、下方向に180度開く構造を採用する
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 AFは、いよいよデュアルピクセルCMOS AFを搭載するに至った。ずいぶん待たされちゃった感じだけど、EOS M5がキヤノン製のミラーレスとして最新、かつ最良のAFシステムを持つことになったのは間違いない。実際、動体に対するAFの追従性は、等速直線運動で接近する被写体に対しては、ほぼ満点の結果を導くとの印象だった。

 ただ、「コントラストAF+像面位相差AF」の二刀流で武装する他社製最新ミラーレス機では普通にピントが合わせられそうな対象物に対し、合焦できない(しにくい)ことがあったところがちょっと気になったりもした(縦横成分の有無や分布などにEOS M5だけが苦手とする条件がありそうな感じ?)。また、ピントの合わせられる範囲が若干狭い(縦横80%×80%の範囲)ところは、デュアルピクセルCMOS AFの現時点の宿命としてそのまま受け入れるしかないだろう。

 EOS M5が“新しい”のは、「一眼レフを卒業してミラーレスを使うようになる層」をも意識しているように感じられるところだ。高倍率ズームの登場で、交換レンズ群のさらなる充実にも光明を見いだせそうな雰囲気になってきた。そう、EOS Mは、一眼レフの下に控える「二番手」ではなく、ラインアップの双璧をなす存在へとジャンプアップしようとしているのである。ひょっとしたら、EOS Kissのポジションを奪うことさえも厭わないと思っているのかもしれない。こんなEOS Mは初めてだ。

EF-Mマウント初の高倍率ズームレンズ「EF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STM」。35mm判換算で29~240mm相当を広くカバーし、使い勝手に優れる。発売は、EOS M5と同じ11月下旬の予定で、予想実売価格は5万8000円前後
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 ってな感じのマジな心意気とこのボディーシルエットなら、ボディカラーはグレー系に逃げることなく艶消しのブラックにしてもらった方がよかったのにぃ……なんてことを思うのは、感覚の古いおっさんだから? EOS Kiss X7みたいな真っ白も似合いそうなんだケド、そのあたりは今後に期待っすかねー。え? 発売前からそんなこと期待するなって? あ、こりゃまたシツレーいたしやした!

落合憲弘(おちあいのりひろ) プロカメラマン
街中スナップ大好きのしがない写真撮り&物書き。生まれながらの天の邪鬼。もともと機材関係には興味がなく、そもそもカメラにもこだわりはなかったハズなのだが、デジカメ時代に突入してからは「より自分にピッタリの一台を追い求める」という都合の良いイイワケのもと、年間5~10台のデジカメを購入するハメに陥りつつ、青息吐息で現在に至る。だが、カメラ好きではなく写真好きを自認。加えて、クルマにもチトうるさいと自分では思っている。カメラグランプリ2016選考委員。

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