インタビュー

山品博嗣監督 2011-12シーズン総括インタビュー

 昨シーズンと同じ7位という結果ながら、目標だったトップリーグ(TL)のトップ4入りまで、勝点でわずか3ポイント差にまで迫ったリコーブラックラムズ(リコーラグビー部)。早くも2月18日のTL最終戦から約1ヵ月が過ぎた。既に来シーズンの準備を粛々と進めている指揮官・山品博嗣監督。監督として最初のシーズンを振返ってもらいました。


勝敗を分けるのは小さな、基本プレーの実行力

―― 2011-12シーズンが終わりました。お疲れさまと言う間もなく、来シーズンが迫っていますが、現在はどんな準備をしているのですか。

 とにかく振返りです。ビデオを見て、どうやってトライが生まれたのか。何故トライを獲られたか。セットピースはどうだったか。ゲインラインにどれだけ到達できていたか。クイックボールはどのくらいのスピードで出せていたか。出せていなければ、なぜ出せなかったのか。そのあたりを繰り返ししつこく見直しています。

―― 全部は言えないかもしれませんが、改めて今シーズンを振返って、みえてきた課題があれば教えて下さい。

 見えてきた課題は、昔から言われている王道のところがしっかりとできているかできていないか、という点です。

―― 2011-12シーズンに入る前から、「目指す」と話していたことですね。

 それがどこまで落とし込めていたかということです。高い実行力を示すところまで達することができなかった。特にアタックでのブレイクダウン(タックル後のボールの争奪戦)。結局勝敗を分けるのは小さな、基本プレーの実行力。ビデオを確認すればするほど、つくづく思いますね。

 例えば、12月末のパナソニック(ワイルドナイツ)戦。どうやってトライを獲られたか。前半は、まずリコーがアタックしながら、プレイスメント(ボールの置き方)のミスでターンオーバーされてトライを奪われました。次にペナルティをもらってクイックタップから攻めましたが、もう一度プレイスメントのミスで(ラックの外にボールが転がり)ターンオーバーされトライされました。

 後半はキックチャージされてトライ。この3つのミスから奪われたトライでゲームは決まってしまった。

 シーズン終盤、セットピースからいいアタックを仕掛けてトライを獲ったりもしていたけれど、やはりブレイクダウンでの基本的なプレーの精度を高めなければ、いま以上に勝っていくことはできない。

 もちろんボールキャリアだけではなく、サポートの選手も改善すべき点はあります。高校生への指導のような基本的なところだけど、それができているチームが強いチームだと再認識しました。

―― パナソニック戦は崩されてのトライはなかったという点で、力の差は小さいと感じました。ただ、よく見れば現時点での差がよく表れていた試合だったということなのでしょうか。

 ミスを見逃さず、しっかり仕留める実行力の高さという、パナソニックの強さが表れた試合だとは思います。


アグレッシブさを失わず、規律を高めていく

―― そして、これもシーズン前よりテーマに挙がっていましたが、ディシプリン(規律)について。反則の数は大きく減りました。でもTL序盤から中盤までに比べると終盤戦で一気に増えました。対戦相手が実力のあるチームだったので致し方ないとも言えますが。

 バックロー、球際で激しくボールを奪い合うところで反則は少し多かったかなとは思っています。ファイトすべきところ、すべきでないところの見極めはレベルアップさせないといけない。反則しないということを強く意識しすぎて、ブレイクダウンでファイトしなければもっと悪い結果になっていくのでバランスは保たないといけません。だからといって、何も言わなければ変わらないので指摘はしていきます。

 それ以外もラインオフサイドなどはセットスピードを上げることで減らしていきたい。ラインアウトの競り合いで相手をつかんでしまうとか、そういう反則も無くさないといけない。アグレッシブに行ったがゆえに出してしまった反則と、そうじゃないところを切り分けて、さらにレベルを上げたいと思っています。

―― シーズン通して、コンディショニングに対する意識が高かったようにも感じました。ウインドウマンスが無いタフなシーズンでしたが、このあたりのマネジメントについては?

 うまくいったと思っています。少しでも体調が悪いときや、身体に張りがあるときにはヘッドトレーナーに告げるルールを選手がきっちり守っていました。トップリーグが終盤戦に入った2011年末ぐらいからは、ガツガツと激しいトレーニングをやる必要を感じなくなったんです。

 これは自信の問題ですよね。少しでもチームに不安感が漂っていれば、トレーニングで自分たちを追い込んで、自信をつけてから試合に望まざるを得ません。でも、それをせずとも闘えるチームになっていると感じたんです。激しく追い込まなくても選手たちが不安な様子を見せない。特にフィジカルの部分で、トップ4のチームとでも十分闘えるという自信を持てていました。練習ボリュームを下げる形でコンディションをコントロールすることもできた。

―― フィジカル面で成長して、コンディションをキープしやすい状態をつくっていた。

 もちろんボリュームを下げすぎるのもよくないので、一週間空くスケジュールのときに上げることはありましたが、基本的に選手の疲労感を見ながら、調節することはできたと思います。ラック戦の多いサントリー(サンゴリアス)戦などは、コンタクトボリュームは他の試合の1.5倍から2倍ぐらいです。次の週は、他の週に比べて疲労感が出るんですが、ここを調整しながら柔軟にやれたと思います。

―― 話は変わりますが、「監督」として、初めて一年間取り組んだ選手起用という仕事について、感じたことはありますか。最後まで、トップ4入りを目標にしていた以上、かなり手堅い選手起用を強いられたようですが。

 結果から言えば「その時点のベストの選手」を選んでいました。出場が若手よりも固定されたシニアプレーヤーに偏ったところはあります。ただ、余裕を持って闘える試合というのは、トップリーグではほぼ皆無。結果的に点差が開いた試合はありますが、試合前からそれが予測できるほど力の差がある相手はいないということです。試合の展開によっては若い選手に機会を与えるという場面は何度かありましたが、そういう形に留まりました。

 ただ、もっとチームの中に「競争」をもたらしたほうがよかったかな、と感じています。そこは、来シーズンに向けて、じっくり考えたい部分です。