ウェブブラウザのJavaScript(ジャバスクリプト)の設定が無効になっています。Javascriptが無効になっていると、サイト内の一部機能がご利用いただけません。 ダーリン、セーラー服を脱がして!2017年4月18日 18:01それはいつも通りのカルデアの午後。見て見てーと足音高く少女は部屋へ駆け込んできて、なんとはなしに無為に時間を過ごしていたサーヴァント達は主人の到来に顔をあげた。紺の上着に同色のスカート、膝までの長さの靴下。肩幅まで広がる大きな襟、その縁を彩る白のラインと胸元を飾る赤のリボンがなんとも特徴的だ。「新しい礼装だって! どう?」それぞれの顔を見回しながら、少女はその男の前へと進んでいく。男は持っていた本から顔を上げて立ち上がった。シミひとつない純白の長衣の上からでも鍛えられた身体が見て取れる。夜を集めたような黒の目が、同じく鴉の羽のように美しい髪の間からこちらを見て、心臓が跳ねた。くるりと一回転すると膝上20センチはあるだろう短いスカートが揺れて、肌がすーすーする。落ち着かない。普段はタイツばかり履いているせいだ。「悪くないね。5アビジャクあげよう!」「ちょっとぉマスター、その丈はあざと過ぎなのでは? そこまでするならばもう体操服もお披露目するべき。」「体操服か。ならばもちろん紺ブルマだな」わっと集まってきた何人かのサーヴァント達が矢継ぎ早に感想を述べ、それぞれになにその単位、体操服でブルマなんてみたことないよなど応えていると男ーーアルジュナが口を開いた。「スカートが短すぎます」途端にがっと彼の首目掛けてランサーのクー・フーリンの腕、頭にはキャスターのクー・フーリンの杖が落ちてくる。アルジュナはゔっと小さくうめき声をあげたが耐えた。忍耐、とばかりに眉が寄る。「わかってねーなそこがいいんじゃねえか!」「生足がたまんねえなオイ」「うわーエー・ローリンズ、ありがとう」「師匠に変な名前をつけるな」「弟子にセクハラしないでよ。スケ・ベーリンズ?」おっさんのような感想しか出てこない二人と軽口を叩いていると、アルジュナの眉がさらに寄ったのがわかった。「いつものタイツははかないのですか」「そういう礼装だからね」衣装なので致し方なしと告げてもその顔は晴れない。「普段の制服ですらばさばさと見せ回っているというのに、お止めなさい」淡々とした言葉だったがそれでもやっぱり見えているといわれると、タイツ越しでもそれはちょっと恥ずかしい。かあっと顔が熱くなるのがわかる。自然と尖る唇が、挑発的な言葉を選ぶ。「でぇもぉ、それってアルジュナも見てるってことじゃーん?」「じゃーん?」とクー・フーリン二人が声を揃えて続けて、アルジュナのこめかみにアオスジが浮く。「今すぐ着替えてらっしゃい」「いいじゃねえか、こうぴらぴらしてるとやる気も出るってもんだろ」やれやれとため息をつくランサーに、キャスターはひどく真面目な雰囲気で思案気に少女に問う。「ちなみに今日は何色だ?」それの意味するところにさらに血の気が登るが、キャスターのすけべなんて文句は出てこない。今はアルジュナを煽っているのだ。彼がなんて下品なと文句を言う前に、恥じらうようにーー実際恥ずかしくもあるーー口元に寄せた拳、上目遣いに、片足はきゃぴきゃぴと軽く曲げて内股にした。スカートの端っこをつまんでぴらぴらさせるのに合わせてお尻を振る。「み・ず・い・ろ♡」フゥーだの指笛のぴーぴーというなんとも下品な野次が飛ぶ。アルジュナの色黒の肌がさらにドス黒くなったのに、決まったゼとほくそ笑んだ。煽りきってやった。どんな怒声が飛んでくるのかびくびくわくわくと待ったが、アルジュナの声は恐ろしく低かった。「こっの、小娘が・・・ッ」えーそんなこと言ってぇーアルジュナも見たいんでしょーなんて煽り言葉が浮いて、「お父様に叱っていただきますよ」ぱすんと消えた。『お父様』の一言に盛り上がっていた気持ちがみるみる萎んでいく。「尻を出せ」と激怒した姿はまだ記憶に新しく、ぶるりと震えが走った。まるで空気の抜けていく風船のよう。午後のこの時間を選んだのも、この時間なら『お父様(仮)』は昼食の後片付けと3時のおやつ準備に忙しいため見られずに済むという算段もあった。鉢合わせれば誰彼と言葉を交わすより先に、小言を受けることになる。「・・・調子に乗りすぎました」「判ればよろしい」顔を合わせればピリピリとした空気を振りまくのに叱ってもらおうだなんて。早く着替えろとせっつかれて飛び込んだ勢いと同じく部屋を飛び出た。背後からはブーイングと、貴方方はマスターをなんだと思っているのです、ただでさえ若い娘だいうのにというアルジュナの怒号が聞こえる。角を曲がると、すぐに速度は歩くほどになった。それでもまだ胸はどきどきしている。瞬間的であっても全速力をだした結果と、恐怖と、それ以外の。上がる口角を止められず、にやにやしてしまう。「えへへ」思わず両頬を抑えるが笑みは深くなるばかりだ。「おや。随分ご機嫌じゃないか。新しい礼装は気に入ってもらえたかな?」「ダ・ヴィンチちゃん!」麗しの声はちょうど正面から歩いてきたところだった。「みんなの評判はどうだった?」その言葉の中には少女への純粋な好意と自画自賛が混じっている。「うん。ぱんつが見えるって、アルジュナに怒られちゃった」怒られるのを喜ぶなんてまったくの変態の発想でしかないが、あのいつも澄ました顔がたかが小娘の下着如きで歪むのを見るのはとても気持ちがよかった。それはざまあみろなんていう、いつもやり込められているお返しもあるがそれ以上に「そうかい。それはそれはよかったねえ。私も作った甲斐があるというものだよ」美貌の天才もそれをわかっているのだろう、にやにやと共犯者の笑みで応えてくれた。でへへへとさらに相好を崩して笑ってしまう。「日本のじょしこーせーなんて、みんなこのぐらい短いもんだろうに」「だよねー」「着替えるのかい?」「うん。今は。スキルが必要になったらまた着るよ」そこだけはなんと言われても聞いてあげられない。戦略上必要なら下着の一枚や二枚ぐらい軽いものだ。そのぐらい軽いものなのに、あのひとはあんなにも怒るのだーー「ダ・ヴィンチちゃん、ありがとね」「いいや。その礼装が君を魅力的にしているってことだからね。マハーバーラタの英雄殿を魅了できたとは私も鼻が高い」「魅了できてるかなぁ」「当然! 私の作品は完璧さ!!」魅了だなんて自意識過剰にも程があるとも思うが、それでもやっぱり嬉しい。うきうきと弾む胸のままに、再びでへへへと笑った。