使い方のコツをいくつか挙げます。

  • 針(電極)は細い針金で曲がりやすいので慎重に扱います。スライドレバーで電極を出し入れすることができるので、使わないときは引っ込めておきます。予備の針は1本だけ本体に付属しています。
    針は多少曲がった位ならプローブから外して付属のピンセットで直せます。私も何度か曲げてしまってそのつど直したので、針は微妙にうねっています。それでもこれまでずっと最初の針で使用してきました。予備の針は未使用のままです。

  • 針をうまく毛穴に挿入するには、毛の生えている向きに沿って、毛の下側に沿わせるように差し込みます。毛が長くて邪魔な場合は、毛抜きでつかめる程度まで短く切っておくとよいでしょう。脱毛処理後に毛を抜く必要があるので毛を剃っておくことはできません(剃ると毛穴の位置が分からなくなるし針も差し込みにくくなります)。成長期の毛を脱毛処理してから引き抜くと、毛の根元に透明なゼラチン質のさや(毛根鞘)がついたまま容易に抜けてきて、永久脱毛の効果が実感できます。以後その毛穴からは生えません。陰毛などでは一つの毛穴から2本あるいは3本の毛が生えていることがあります。これは複数の毛根が一つの毛穴を共有している状態で、毛の向きが異なっていることに注意してそれぞれ処理する必要があります。ただし電流の流し過ぎには注意してください。

    図:毛周期の一部

  • 毛がかなり太くて長いのに、針が毛穴にほとんど入っていかないことがあります。これは成長が終わった毛(毛周期の中で退行期~休止期(休眠期)に入った毛)で、毛根を包む毛穴全体(毛包)が毛乳頭から分離して縮小し、毛の根元が白くて固い棍棒のような状態(棍毛:こんもう)になって毛穴の浅い位置に固着しているからです(右図)。固着はとても強く、少々引っ張ったくらいでは抜けません。強く引っ張って抜くと、先が白くて硬くて毛穴の浅い位置から切れたように見えます(成長期の毛は、スムーズに伸びるように毛根鞘で包まれていて、毛根が長いのに比較的簡単に抜け、先が柔らかい)。根本が白いのは、毛を作る細胞よりメラニン色素を作る細胞が先に活動をやめるからです。場合によっては外から白い部分が見えることもあります。棍毛になっている状態では毛乳頭がすでに毛根から分離しているので、脱毛処理しても効果がありません。次の成長期まで待つ必要があります。針が入っていかないからといって、無理に長時間電流を流したりしないでください。
    (棍毛は次の成長期の毛が出てくるまで毛穴を確保する役割も果たしているので、自然に抜けるまでは抜かずに剃るのが望ましいとされています。自然に抜ける直前の棍毛は、新しい毛がその奥に生えていることが多いので抜いても問題は起きにくいのですが、体質により埋没毛を生じるリスクがあります。でも人情として抜いてしまうものですが…。)

    また、毛の成長期と休止期の長さは部位によって異なり、休止期の毛の抜けやすさも違うので、最初は見えている毛の大部分が休止期の毛ということもあります(例えば陰毛では7割といわれています)。したがって最初は棍毛ばかり抜く羽目になるかもしれませんが、1,2ヶ月おきに脱毛を繰り返すと、見える毛はほとんど成長期の毛に抜け変わっているので、どんどん永久脱毛の効果が出てきます。脱毛を始めたばかりの最初の段階では休止期の毛が多いため、針がうまく入らずに自分は針脱毛に向いていないんじゃないかと思ったり、抜いても抜いても新しい毛が生えてくるように感じたりして不安になるかもしれませんが、成長期の毛がほとんどになると急速に永久脱毛の効果を実感できるようになるので、あせらずに取り組んでください。
    針を差さずに成長期の毛と休止期の毛を見分けるには、まずその部位の毛を全部剃るか非常に短く切り、1週間程度放置して、長く伸びた毛が成長期の毛だと判断します。休止期の毛はほとんど伸びません(徐々に押し出されてくるので、わずかに伸びたように見えます)。休止期の毛は自然に抜けるまで剃ることを続けるか、リスクを承知の上で抜いてしまうかのどちらかになります。
    一度全部抜いてしまった箇所に新しく生えてきた毛は、間違いなく成長期の毛なので、休止期に入る前に必ず処理してください。外から見えるところ・気になるところなら見つけしだい処理しても構いません。あまりに期間を空けすぎると、その毛も休止期に入ってしまい、元の木阿弥になります。

  • 一つの毛穴に電流を流し過ぎないように注意します。電流を流している間ブザー音が鳴りますが、数秒後にいったん止んで、電流もいったん止まります。しかしそのままにすると再びブザー音が鳴り電流が流れます。電流をあまりに長時間(ダイヤルを大きく回して1分間など)流し続けると、毛穴周辺が白く変色したままになることがあります(火傷のケロイドと同様)。乾電池駆動だからといって威力を馬鹿にしないように!

  • 電流を流すには、針とは逆の電極を体につける必要があります。この対向電極は、針を収めたペン型のプローブの中央にある金属バンドです。ここに触れることで針から体を通って電流が流れるようになります。電流が流れるように、食塩水で湿らせた指で触ることになっています。本体には電流を調節するダイヤルがありますが、同じダイヤルの位置でもこの塩水の濃度が濃いほど電流がよく流れるようになります。電流が大きいことは、ピリピリとした痛みが大きいことですぐわかります。

  • 残念なことにプローブと金属バンドが一体化しているため、あまり操作性はよくありません。針を毛穴に差し込んだ後で金属バンドに触れるのが理想ですが、プローブを支える指が金属バンドにすぐ触れやすいので、操作がなかなかうまくできません。私は金属バンドにリード線を取り付けてビニールテープで固定し、リード線の反対側に金属板をつけてそれを塩水で湿らせた足で踏む、ということをしていました。こうするとフットペダル感覚で電流を流すことができ、両手でしっかりと毛穴に針を差し込む操作ができるので便利です。(本来の使い方としては、電流調節ダイヤルを弱くした上で、塩水で湿らせた指で金属バンドに触れたまま針を皮膚に滑らせて(この時電流は流れない)、針が毛穴に入ってからグルグルとかき回すようにすれば針が水分の多い毛根まで届き、初めて電流が流れ始めます(この機械には電気抵抗を検出する回路が内蔵されていて、ある程度以下に電気抵抗が小さくなってから初めて電流が流れ始めるように制御されています)。しかしそれでは長い時間(15秒以上)がかかるので脱毛に慣れてきて痛みに耐えられるようになると、電流ダイヤルを最大限に回して短時間(5秒程度)で処理したくなりますが、この時金属バンドに触れたまま操作すると、針が毛穴の浅い位置に入っただけで電流が流れ始めてしまいます(その方が針が入りやすい場合もありますが)。もう一つの操作性の悪さは、指を塩水で濡らしすぎてプローブ先端部にしずくが垂れてしまうと金属バンドと針が食塩水で直接導通してしまうため毛穴に電流が流れなくなります。それを避けるには指の湿り気を少なめにしなければなりませんが、そうするとすぐ乾燥しやすいので頻繁に指を湿らせねばならず面倒なのです。ただしこの点については食塩水を含ませた脱脂綿を金属バンド部にあてがって塩水を常に補給するという工夫をされている方もいて、効果的な方法と思います。)私は後には本体を分解してリード線と手元スイッチを内部の基板から直接引き出す改造をしていました。(同様に、通電を示す「ピーッ」というブザー音を小さくするために本体内部に固定されている圧電素子のスピーカーを外してスポンジでくるんで浮かせて設置していました。音が全くしないのもまた不便なので)
    なお、本体の中央にある長方形の金属プレートは、プローブの金属バンドと同じ電位(プラス極)です。このプレートにプローブの針で軽く触れると、電流回路が一瞬形成されてブザー音が鳴り、電池残量の確認ができるというものです。このプレートのもうひとつの利用方法は、うなじなどの自分で針を挿しにくい所を脱毛するとき、身近な親しい人に手伝ってもらってその人に針を挿してもらい、自分は本体のそのプレートに触れる、という利用方法です。

  • プローブの先端から出ている針の長さは、約3mmです。針は毛穴の中の水分を電気分解するのが目的なので必ずしも毛根の底まで届く必要がある訳ではありませんが、陰毛のように深い毛穴にはあまりに短すぎます。私はプローブの先端の金属パイプ(約3mm)をDIY店で売っているダイヤモンドヤスリで削って1mmくらいに縮めました。その結果針の長さは5mmくらいになり、毛穴の奥まで届くようになりました。上の写真をよく見ると左の方の針が少し長いのがわかると思います。ちなみに、針の先はとがっていないし針はスプリングで支えられていて少し強く押すと引っ込むので、毛穴に深く差し込んでも怪我はしません(実際には針が毛穴の底に届くと毛穴の伸びや肌の伸びのほうがずっと柔らかくて大きいのでスプリングが働くまでもなく、いくら押しこんでも毛穴の底を突き破ることは不可能です)。

  • 衛生には十分気をつける必要があります。針は一回ごとに薬局で売っている消毒用エタノール(アルコール)を含ませた脱脂綿で拭きます。肌も一回ごとにアルコール脱脂綿で拭き、汗が毛穴に入ったりしないように気をつけます。お医者さんが注射をするときの注意と同じようなものです。慣れてくると一回に(抜く前に)数本ずつ処理できるようになりますが、肌も針もこまめに消毒してください。毛穴の腫れが引くまで(数時間)は入浴もしない方がよいと思います。使用後も、プローブ先端部を外して針を取り出し、よく拭いておきます。脱毛後に毛穴に少し血がにじんで小さいカサブタになることもありますが、清潔にしていれば自然に取れ、肌に影響はありません。この脱毛器は毛穴の中の水分を電気分解するという性質上、水分をたっぷり摂って入浴も先に済ませておくのがよいと思います。

  • 動作が思わしくないときは、以下の点を確認してください。
    • 毛穴の向きをよく見てください。出ている毛がカールしている場合、毛穴の向きを勘違いすることがあります。間違った向きだと針が入っていきません。また、毛穴の浅い位置で針が「引っかかって」いることもあります。軽くかき回すようにプローブを回転させてみると、あるところで突然カチッと針が入ることがあります。
    • 食塩水の濃度が薄すぎませんか。カップ一杯に小さじ一杯程度の塩分は最低限必要です。塩を足して濃くしてみてください。
    • 塩水が乾燥していませんか。指が塩水を介して金属バンドに触れていることが必要です。
    • 何もしないのに「ピーッ」とブザーが鳴る、あるいは針を毛穴に差し込んでも何も感じない、という場合、塩水がプローブの先端に垂れて針と金属バンドが導通している可能性があります。プローブ先端部を外して水洗いし、よく乾燥させてください。
    • プローブの中央にある、針の繰り出しレバーを最前部までしっかり押し出していますか。中途半端な位置だと、針の導通が内部で外れてしまうことがあります。
    • プローブの金属バンドは錆びてきますが、これは正常です。しかし金属バンドの表面はよく拭いて綺麗にしておいてください。酸化物が付着したままだと導通が悪くなります。
    • 電流調節のダイヤルが弱すぎる、または 0 になっていませんか。ダイヤルを右に回して大きくしてください。
    • 乾電池が弱っていませんか。新品の乾電池に交換してください。買い置きの乾電池は使わないでください。乾電池はナマモノで長期保存できません。よく売れている電器店で新品を購入してください。乾電池の放電を防ぐため、脱毛器の使用後は乾電池のソケットを外して取り出しておくことをお勧めします。
    • どのくらいの電流を流せばよいか、は個人差があり毛の太さや毛根の深さも関係するので一概には言えません。しかし何も痛みを感じない、というレベルは明らかに弱すぎます。通電して数分後に、毛穴の周辺が(蚊に刺された時のように)プクッと膨れるのが正常で、まったく腫れもしないというレベルでは(個人的な経験から)永久脱毛の効果を期待することはできません。逆に、激しい痛みを感じる、毛穴から泡が大量に出る、というレベルまで上げなくても、大抵の毛はちゃんと永久脱毛できます。ただし通電時間はどんなに電流を強くしても5秒は必要です。標準的な強さでは15秒前後です。また、「脱毛処理したのに不十分でまた生えてきた毛」は、毛の先が最初から太く、「毛周期の休眠期が終わり成長期に入って新しく生えてきた毛」は毛の先が極めて細いので、見た目ですぐに違いが分かります。あなたに合った処理時間を見つけてください。

永久脱毛は、とても根気のいる作業です。一回で全部きれいになるわけではなく、一部しかできないでしょうし、脱毛した部位でも休眠していた毛は数ヶ月以内に生えてくるので、また脱毛しなければなりません。それでも、同じ部位を数ヶ月ごとに脱毛していると、毛はどんどん少なくなり、陰毛だと長くても2年程度でまったく生えてこなくなります(陰毛の毛周期は最長で2年程度あります)。毛周期の位相も毛によってバラバラなので、最初の数カ月はコンスタントに一定量の毛が生えてきます。これを見て「効果が感じられない」と言わずに確実に脱毛していくことが、永久脱毛を最短で完成させる道です。
かつてあれほどモジャモジャだった部位がスベスベになっているのを見て触って実感するのは至福のひとときです。
ぜひ頑張ってムダ毛のないお肌を手に入れてください。上記のレビューが多少なりとも参考になれば幸いです。

なお、医療機関などで行う針脱毛と違ってこの脱毛機の針は根元が絶縁されていませんが、それには理由があります。

この脱毛器の原理は「電気分解法」と言って、針脱毛の一番古くからある方法です(英語では "electrolysis" といいます)。「電気針脱毛」と呼ばれることもあります。電流に直流電流を使うことが特徴です。
脱毛の原理は、針をマイナス極として直流の電流を流すことで、毛穴の中の水分を電気分解するものです。
針から電子が放出され、水を水素分子(気体として分離)とアルカリ基(水酸基)に分解します。
2H2O + 2e- → H2 + 2OH-
強いアルカリ液で毛乳頭を死滅させるというものです(pH の高いアルカリ液にはタンパク質などの有機物に対する腐食作用があります)。
脱毛中に、毛穴から小さな泡が出てくることがあります(気体の水素ガスです)。
電気分解ですので、熱は出しません。毛穴の表面が焼けるということはありません。ただし電流をあまりに長時間流すと、電流による損傷(電気火傷)の危険はあります(白っぽくなります)。
また、針はマイナス極なので損耗しません。
ちなみに対向電極側(プラス極)は酸性になり、電子を引き抜かれた金属原子が陽イオンになって溶け出して表面が錆びたようになります。陽イオンは一般に有毒なので指を舐めたりしないでください。(濃度的には直ちに健康を害するほどではありませんが)
またこの脱毛法は、化学物質を生成してその化学反応(腐食作用)を利用する方法なのでエネルギー効率が極めて高く、熱を発生させる方法に比べてはるかに小さな消費電力ですみます。

一方、電気分解法の欠点は、時間がかかることです。毛一本に最低でも5秒程度は必要です。
この欠点を補うため、熱を利用する交流法が生まれました。針の周囲を交流電流で熱して毛根を熱により破壊するものです。
したがって破壊の原理はレーザー光によるものと同じです。問題点は、針を毛乳頭までしっかり届かせる必要があることと、針が接する部分全体が熱による火傷を負うことです。毛穴の表面の表皮も損傷し、跡が残ることがありました。
しかし時間は一秒以下の短時間で済みます。
商業的に行う場合、いかに短時間で多くの施術をこなすかが重要なので、交流法が主に利用されます。
交流法では、表皮に熱を与えないように針の根本を絶縁したものを使用する「絶縁針脱毛」が主流です。

そういうわけで、電気分解法で使う針が絶縁されていないのは正常です。熱を出さず表皮を損傷しないからです。

家庭用針脱毛器を個人輸入する方法

上記の家庭用針脱毛器は現在日本国内では販売されていませんが、個人で海外から購入することはできます。参考までに、海外の通販サイトから針脱毛器を購入する場合の操作例を解説付きで掲載しました。

家庭用針脱毛器の取扱説明書

従来日本国内または海外で販売されていた家庭用針脱毛器の取扱説明書を参考までに掲載します。これらの製品はすでに販売を終了しています。

  • “One Touch Home Electrolysis”(簡易版)の取扱説明書
    2000年代に海外で販売されていた家庭用針脱毛器の取扱説明書です。この製品は従来製品から機能を一部削除した簡易版で、現在では販売されていません。従来の製品は“Deluxe Home Electrolysis”の名で継続販売されています(ところが、それに付属の説明書の内容はこの簡易版と同一のもののようです)。