| 日本において、本格的なニキビ治療がはじまったのは、1960年代からといわれる。それまでは、消毒程度の治療が主流だったが、1960年代になると、「ニキビの炎症を抑える」「皮脂の分泌を抑える」「雑菌の繁殖を抑え、化膿を防ぐ」など、内服用の抗生剤や塗るタイプの抗生剤をニキビ治療に処方する医師が一部出てきた。しかし、「ニキビ=疾患という意識が薄く、病院に行って診察を受ける人自体が少なかった」とタカミクリニックの高見洋院長。その後、1980年頃になると、針を使ってニキビに穴を開け、中身を出す治療“面皰圧出”が行われるようになる。 ©JMPA プロ野球選手、松井秀喜。高校球児時代、顔一面のニキビが話題に。 ニキビ治療が大きく進歩しはじめたのは1990年代後半。2000年に入るとグリコール酸など日本人の肌に適したピーリング剤の研究が進み、多くの医師がニキビ治療に用いるようになった。同時期、松倉クリニック&メディカルスパ、タカミクリニック、アヴェニュー六本木クリニックなど美容皮膚科の開院が続き、ビタミンC配合の化粧水、ピーリングやイオン導入など、保険が適応されない自由診療を行うクリニックが一気に増加。ワイドショーやニュースなど、テレビ番組でもニキビ治療の特集が多く組まれ、ニキビ治療を行うクリニックがブーム状態に。診察まで数時間待つ、整理券を配るという美容皮膚科も現れた。当時、20代女性から好まれていたファッション誌でもニキビ特集ページが増え、その中で専門家が「ニキビを自分でつぶしてはダメ」と訴えた影響などもあり、「ニキビができたら皮膚科に行くべき」という意識が若い女性を中心に定着しはじめる。1997年、相澤皮フ科クリニックの相澤浩院長が『週刊文春』で「大人の女性にできるニキビは、ホルモンと深く関係している」という説を発表。この頃から20代~30代の女性にできるニキビは大人ニキビと呼ばれるようになり、注目を集める。 米国で開発されたニキビ治療クリーム、クレアラシルが1977年に日本に上陸。すぐに大ヒットし、同 ジェルやソープも発売された。 これに伴い、飲み薬によるホルモン治療が一般に浸透しはじめた。その後、2000年あたりから多くの美容皮膚科がPDT(皮脂腺を破壊する光治療器)や青色LED(皮脂分泌や炎症を抑制する光治療器)など、ニキビ治療に特化したマシーンを導入。ニキビ治療は、マシーンで改善する時代が到来した。しかし、2005年以降からは、新型ビタミンC誘導体APPSやレチノイン酸など、コスメ感覚で使える高機能なホームケア用品の開発に力を入れる美容皮膚科が多くなる。「マシーン治療に通えるかたは限られているし、経済的な負担も大きい。そのため手頃な料金で長期続けられるホームケアに注目が集まりました」(高見先生) そして現在では、医師がひとりひとりのニキビの症状や生活習慣に合わせ、マシーンとホームケアを複合したオーダーメイド治療が主流になっている。 |