肥満のメカニズムに詳しい石田先生に聞きました
30代の半ばごろから徐々に太りはじめ
40代半ばでは、7割以上の人が「太った」と実感しています。
年齢との関係はあるのでしょうか?
35~40歳あたりから太った、6~10kg太った、というのが40's読者の多数派
「中年になると太る」というのは本当でしょうか。左の円グラフは、「太りはじめた時期」をたずねた読者アンケートの結果です。「35歳前後から」と「40歳前後から」で、実に7割以上チ たしかに、多くの人が中年と呼ばれる年代に入ってから太りはじめたと自覚しています。具体的な太った数字はというと、下のグラフを見ると6~10kgがいちばん多く、なかには10kg以上太ったという人も。
さらに、「太った理由」も読者アンケートで調べてみました。その結果は、「出産時の体重から、もとに戻らなかった」「よけいに食べた」「間食が増えた」をおさえて、ベストワンは「年齢とともに、自然と増えた」でした。はたして、年齢とともに体重が増える理由があるのでしょうか。肥満のメカニズムに詳しい石田先生に、「中年太り」について詳しくお話をうかがってきました。
40代は、体脂肪が増えやすい危険な時期
「体脂肪」といえば、女性から目のかたきにされがちですが、「何かの理由で食べ物が食べられないときのための、大切な貯蔵エネルギーの役割があるのです。特に女性は、妊娠中に食べられない状態になっても胎児や母体に栄養がいくように、男性より10%ぐらい多く体脂肪がついているのが普通です」と石田先生。適度な脂肪が体についているのは、女性ならばあたりまえということ。
「太っている」というのは、あくまでも適度な量を超え、体脂肪がつきすぎた状態をいいます。では、なぜ「太る」のでしょうか?「食べるエネルギーが消費するエネルギーを上まわると、エネルギーは余って脂肪細胞に蓄えられます。つまり、食べすぎか、運動不足のいずれか、または両方が重なった状態が続けば、太ってしまうわけです」
40代は子育てが一段落して、活動量が減るにもかかわらず、友人とグルメを楽しんだり、家でくつろいで間食につい手がのびがちな時期。
「うっかりすると、食べすぎや運動不足が重なって、体脂肪のつきやすい時期だといえるでしょう」
食べている量は今までと同じでも、体が太りやすい状態になっているから太る――。これが私たち世代の現実です。
基礎代謝量がどんどん下り坂になる40代からは、今やせている人でも太る可能性が大!
それでは、今までと同じ量の食事をしていれば、太るのは避けられるのでしょうか。
「40代以降は、若いころに比べて基礎代謝量がどんどん減るため、エネルギーを消費しにくい体になってきています。ですから、前と同じ量の食事では、基礎代謝量が減った分は太ってしまうことになるのです」
基礎代謝とは、寝ているときでも呼吸をしたり、体温を維持するために使われる、生命維持に欠かせないエネルギーのこと。この値は10代後半から減りつづけます(上の左のグラフ参照)が、これに追いうちをかけるのが、筋肉量の減少です。
「筋肉は脂肪を燃焼させる場所のひとつです。筋肉の量が減ると、その分脂肪が燃焼しにくくなり、基礎代謝量が減ることにつながります」
筋肉は使わないと減る性質があるため、特別な運動をしないまま40代になれば、筋肉の量は下り坂に(下の右のグラフ参照)。40's世代は、加齢に伴う基礎代謝量の低下に、筋肉の減少による基礎代謝量の低下が重なるため、とても太りやすい体になっているのです。たとえ、今はやせていても安心はできません。
更年期に入って女性ホルモンが減ると「おなか」を中心に太りやすくなる
40歳前後から太ることを「中年太り」といいますが、若いころの太り方と違いはあるのでしょうか。
「40歳前後といえば、ちょうど閉経に向かい、女性ホルモンが徐々に減っていく更年期に相当します。女性ホルモンは、脂肪合成を盛んにする働きももっていて、10代後半から20代後半あたりまでは、太ももやヒップを中心に脂肪がつくようになっています。ところが、女性ホルモンの分泌が低下してくるに従い、脂肪のつく場所が腹部を中心につくように変化してくるのです」
40歳前後に太れば、それはおなかまわりに脂肪がつくということ。
「さらに、皮膚にハリがなくなり、ついた脂肪は地球の引力に従ってたれ下がってきます。また、前にも言ったように筋肉が衰えてくるので、腹筋や背筋、太ももの筋肉が落ちて、姿勢が悪くなり、歩き方もスマートでなくなります」
体型がくずれ、姿勢が悪くなり、動作も鈍くなる。これが、若いときの太り方と異なる、「中年太り」特有の太り方なのです。こうした変化は、30代後半から表れ、40代で顕著になりますが、単に体型や姿勢、動作に影響するだけではありません。
「女性ホルモンの分泌が減少しだすと、太ったときに脂肪が内臓の周囲につくようになり、糖尿病や心臓疾患系などの生活習慣病が表れやすくなります。この時期の体脂肪のつきすぎには注意が必要です」
5年前のスカートが入らない。立つときに"どっこいしょ"と声が出る。思いあたる人は明らかに「中年太り」です
自分が中年太りかどうかを知る、最も簡単なチェック法として先生に教えてもらったのが、次のふたつの事柄です。ひとつは「5年前のスカートが入らなくなった」。ふたつ目は「立ったり、座ったりするたびに『どっこいしょ』と声を出すようになった」です。ふたつともあてはまれば、おなかまわりに脂肪がつき、かつ筋肉が落ちて基礎代謝がぐんと低下している証拠です。
「“誰に見せるわけでもないから”とそのままにしていると、10年後には体型を気づかっている人との差がどんどん開くばかり。早めにダイエットに取り組みましょう」
ダイエットで気をつけたいのは、食事だけに頼りすぎないこと。
「食事だけでやせると、筋肉も落ちてしまいます。それより、運動を組み合わせて筋肉を増やしたほうが、基礎代謝が上がってエネルギー消費がしやすい体になるうえ、メリハリのある若々しい体になります」
食事と運動の両方では大変そうですが、「日常生活のなかですぐできる、食事や動作のちょっとした工夫から始めて」と先生。ダイエットに対して、少しでも前向きに意識を変えることが大切なのです。