2015年11月07日
ブータン、完全有機農業の実現への道
こんにちは。クズザンポラー。
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
先日、GNH(国民総幸福量)国際会議のオープニングセレモニーの様子をご紹介しましたが(こちら)、その時ブータンのツェリン・トプゲ首相が、2015年度のGNHに関する国勢調査結果の演説をされた際に、興味深い話題に触れていました。
その内容は、
『ブータンは2020年を目途に、100%の有機農業国家を目指す』
というものでした。
(夏のプナカの唐辛子畑での収穫の様子)
まずは、現状としてどのくらいブータンは農薬を使っているのか、ということを知らなければいけませんが、現状でもブータンで農薬を使用している農家は少数で、全体の5%未満であり、大部分は有機栽培を行っていると言われています。
(11月7日、本日の友人の台所にて撮影。全部ブータンで採れた野菜が色鮮やかに茹でられている)
もともとブータンの人は殺生を嫌い、私が実際に暮らしていても、蚊やハエを叩くだけでも注意されることが多々あります。それにブータンの暦で、毎月8日は観音菩薩の日、10日はグル・リンポチェの日、20日はお釈迦様の日、30日は仏教の日とされていて、この日に当たる時は農作業をしません。農作業をする際に、殺生をしてしまう可能性があるからです。
私は農業の専門家ではないため、正しく訳せるか自信がないのですが報告書を読んでみると、、、、
害虫駆除剤や防かび剤は、最初にそれらが紹介された1960年代に比べると使用量は減少していますが、唯一使用量が増えているのが、除草剤です。
除草剤は1990年には50メートルトン未満の使用量だったのが、2000年には150メートルトン、2012年には362メートルトンと使用量が伸び、特に2000年からの12年間で、使用量が急激に増えました。
2012年にブータン全体で使用された害虫駆除剤と防かび剤は27メートルトン程度であり、それに比べて除草剤の使用量が多いことがわかります。 除草剤の使用量の増加は、農場での労働者不足が大きな要因である、と考えられていますが、これを早急に解決しないことには2020年までに完全有機農業への目標を達成することができません。
(冬は気温が低く畑で野菜の栽培ができないこともあるため、インドからの輸入野菜も増える)
ブータンの農家の友人に聞くと、特に農薬を使っているのはりんごなどの果樹園が多いと思うよ、という意見も聞いたことがあります。友人が言う農薬がどの種類に属するものか不明ですが、何か自然由来のもので代わりになるものがあるといいな~。
(春や夏には、山菜やきのこなども好んで食べられている)
(フォブジカ谷のじゃがいもはインドに輸出されるほど人気。ブータンではたまねぎは紫色のたまねぎ、主にインド産が多い)
東ブータンではレモングラスを精油にして、ブータンのお土産物屋さんでも、スプレーやオイル、石鹸などが作られていて、虫よけにもなるのですが、農作物に対しての効用はないのかな?
(乾燥唐辛子を米びつにいれたら、虫の発生を抑えられないかしら?)
農場での労働者不足のことや、私は自分で稲刈り、脱穀をして感じた「お米の粒の少なさ」などは農業を生業としている人たちには死活問題です。ただ単に「オーガニックにするために、農薬を使わなければいい」ではなく、コンポスト肥料などを利用して、あれだけ「重労働と手間暇をかけた分、それに見合う収穫量も伴ってほしい」と願います。
(稲穂に実ったお米は、私が思っていたよりもよっぽど少なかった。それでも村の人は豊作だと言っていた)
目標達成に向けて、明るい光だってあります。有機農業への理解を深めるために、若者に対しての農業技術の支援なども行われていますし、人口が比較的少ないということも味方します。それになんていったって、ブータン人はもともとオーガニックな野菜を食べて育っていてその魅力も美味しさも知っているし、それが良いし当たり前、という感覚を持っている人が大多数であるからです。
そして、「収穫量の増加」という目先のことだけに捉われず、国民の健康と自然環境のために有機農業を目指す!という政府の指針に、今までのブータンの歴史と国民性が反映されていて拍手をおくりたいです。この選択とその結果は、数年、数十年を経てさらに評価がされるように思います。
(自分の畑で採れたものを自由にいろんな場所で販売できるのも、農家の強い味方)
まずは自分でできる生ごみ処理から応援します。
:僕はね、残さず食べるで応援。好物は豆とブロッコリー、ニンジンだyo
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この記事へのコメント
コメントありがとうございます。これから数年、数十年後に、この選択をしたことをブータン国民はきっと多くの幸を持って感じると思います。遺伝子組み換えがない(少ない)野菜を、土地はやせ気味でしょうが自然な土壌で育てていくことができます。もちろん、不足する部分は陸続きのインドに頼らざるを得ない部分はあるはずです。オーガニックなものは高価であり、お金に余裕がある人が買う、という他国に起きているような状況にならず、国家全体でオーガニックを推進していくことが素晴らしいです。大規模農家が少ないことも理由かもしれません。また、首相は電気自動車の普及計画のことも触れていました。原子力も火力発電所もなく、完全有機農業を目指すブータンは、まさに持続可能な国づくりを体現しているようで感動しました。
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