黒海艦隊

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黒海艦隊(こっかいかんたい、ロシア語:Черноморский флот チョルナモールスキイ・フロート、略称ЧФ)は、黒海に駐留している艦隊である。ロシア連邦の管轄下にあり、ロシア海軍に所属している。

ソ連崩壊の過程で、主要基地であったセヴァストポリ軍港がウクライナ領になったことから艦隊の帰属が宙に浮くことになった。長らく二国間で協議が進められた結果、艦隊の分割と基地の使用権に関する協定が結ばれた。この協定により、ロシア海軍は2017年(後の合意により2025年まで延長)までセヴァストポリに駐留することが認められた。 なお、ウクライナ海軍が引き取った大型艦艇の多くは、後に天然ガスの代金の未納分で相殺する形でロシア船籍となっている。

現在、黒海艦隊にとって最大の問題は艦艇の老朽化である。以下の「編成」の頁で示すように、依然として旧式艦が多数在籍しており、約40隻の在籍艦艇中、稼動状態にあるものは20隻程度でしかない。しかも、黒海はグルジアに面しており、2008年8月のような武力紛争が再び発生した場合には黒海艦隊が海上優勢の確保や輸送を担わなければならない。

このため、ロシア海軍は今後10年間で黒海艦隊の近代化を重点的に進める予定で、6隻のフリゲート、6隻のディーゼル・エレクトリック潜水艦、2隻の大型揚陸艦を含む20隻を配備する予定である。フリゲートはインド海軍向けのタルワー級をロシア海軍向けに改修した11356M型、潜水艦は636型(キロ級)、強襲揚陸艦はイワン・グレン級が配備される見込み。

  • 帝政ロシア時代から黒海にはオスマン帝国を牽制するための水上艦が配備。数次にわたる露土戦争で、オスマン・タタール艦隊との間に多くの海戦を行う。艦船は、次第に近代化される。
  • 1920年 南ロシア軍組織の改変により、ロシア軍黒海艦隊となる。11月には多くの艦船が国外脱出する。12月にはチュニジアフランス政府によって艦船が差し押さえられ、ロシア軍黒海艦隊主力は消滅する。ロシア国内に残された艦艇は、多くが脱出に際し破壊された状態となる。一部の艦艇が労農赤軍によって修復される。
  • 1935年 ソビエト連邦政府により正式に黒海艦隊と命名される。
  • 1997年 ロシアとウクライナ間で艦隊を分割した上で、ウクライナはロシアに対し20年間の基地使用権を与える協定が結ばれる。
  • 2010年 2014年を期限とする艦隊の駐留期限が2025年まで延長。ロシアからウクライナに向けた天然ガス代金の優遇措置が条件として合意されたもの。

以下の編成は、2014年現在のデータに基づく。また、艦級は運用側呼称ではなく慣用による。

  • 第4潜水艦旅団:ノヴォロシスク
    • 改キロ型潜水艦:B-261ノヴォロシスク、B-237ロストフ・ナ・ドヌー、B-262スターリー・オスコル、B-265クラスノダール
  • 第197揚陸艦旅団:セベルナヤ湾/セヴァストポリ
    • ロプーチャI型揚陸艦:ツェーザリ・クニコフ、ノヴォチェルカッスク、ヤーマル
    • ロプーチャII型揚陸艦:アゾフ
    • アリゲーター型揚陸艦:ニコライ・フィリチェンコフ、サラートフ、オルスク
  • 第41ミサイル艦旅団:セヴァストポリ
  • 第68水域警備艦旅団:セヴァストポリ
    • 第418掃海艇大隊:ユジナヤ湾/セヴァストポリ
      • ナーチャI型航洋掃海艇:トゥルビニスト、イワン・ゴルヴェツ、コヴロヴェツ、ヴィツェアドミラル・ジューコフ
  • 第184水域警備艦旅団:ノヴォロシスク
    • 第170掃海艇大隊:ノヴォロシスク
      • ゴーリャ型航洋掃海艇:ジェレズニャコフ
      • 改ナーチャI型航洋掃海艇:ヴァレンティン・ピクリ
      • 02668型航洋掃海艇:ヴィツェアドミラル・ザハリン
      • ソーリャ型沿岸掃海艇:ミネラルニー・ヴォデイ、レイテナント・イリイン
  • 第183支援・捜索・救難大隊:セヴァストポリ
    • ヌイリャトII型水中作業母船:VM-86、VM-108
    • ポザールヌイ型消防船:PZHK-58
    • 23370型港内作業艇:SMK-2094
    • オフテンスキー型航洋曳船:SB-4
    • 23040型水中作業母船:RVK-764、RVK-762、RVK-767、RVK-771、RVK-1045
    • サルベージ重量物運搬船:コムーナ
    • ミハイル・ルドニスキー級救難艦:サヤニイ
    • SK-620型交通船:PSK-1321
  • 第519独立偵察艦大隊:セヴァストポリ
  • 第9海洋保障船舶旅団:セヴァストポリ
    • 1606型曳船:BUK-645
    • ボリス・チリキン級補給艦:イワン・ブブノフ
    • ラマ型ミサイル弾薬補給艦:ジェネラル・リャビコフ
    • 貨物船:ドヴィニツァ50、ヴォログダ50
    • 03180型油槽船:VTN-73
    • オビ級病院船:エニセイ
    • シェロンII型通信船:KSV-2155、KSV-67

海軍歩兵・沿岸防衛部隊

  • 第810独立海軍歩兵連隊:セヴァストポリ
  • 第11沿岸ミサイル・砲兵旅団:アナパ
  • 第102独立対水中破壊工作大隊:セヴァストポリ

発足以来、黒海艦隊は長年にわたりセヴァストポリを根拠地としてきたが、ソ連崩壊以降は1997年のロシア-ウクライナ間協定により同地の使用権を期限付きで得ているものの、ウクライナの政治情勢により使用権・協定更新などの扱いが変動し、また艦艇・装備の更新も認められていないなど不安定な状態に置かれてきた。一方、ロシア領内のノヴォロシースクにも海軍基地は設置されていたものの規模が小さく、大規模な部隊の配置には不適であった。

このような情勢に対処するため、2000年代以降ロシア海軍はノヴォロシースクの基地を拡張して黒海艦隊の主力をこちらに移すこととし、2005年からノヴォロシースク海軍基地の拡張作業が開始された。この拡張計画により、それまでノヴォロシースク港の海軍埠頭には艦船数隻程度の接岸が可能であるに過ぎなかったところを、2010年までに複数の埠頭を整備し、2020年までに航空基地などの附属施設も整備することとしていた。その後、黒海艦隊への新造艦配備計画に関連して、これら新造艦をロシア-ウクライナ間協定に縛られないノヴォロシースク基地に配備して運用するため、拡張計画の規模は更に拡大され、2014年までに新造艦の配備・運用に必要な施設を整備することとなっていた。しかしながら、2014年のロシアによるクリミア半島編入により、ロシアはセヴァストポリを安定して使用できる状況が生じつつあり、今後のセヴァストポリ・ノヴォロシースク両基地の位置付けも変化することとなる。

黒海艦隊司令官
職名氏名階級在任期間出身校前職
司令官ウラジーミル・コモエドフ大将1998.7-2002.10
司令官アレクサンドル・クレツェコフ中将2007.7-2010.7バルト艦隊参謀長
司令官ウラジーミル・コロロフ中将2010.7-2011.6
司令官アレクサンドル・フェドテンコフ少将2011.6-