10月9日、三菱電機は、顔周りの保湿に特化した「パーソナル保湿機 SH-JX1」(以下、パーソナル保湿機)を発表。11月14日から発売する。

秋から春にかけて、室内の乾燥対策として真っ先に思いつくのが「加湿器の設置」。しかし、同社の調査によると、「加湿したい所が加湿できない」「窓の結露が気になる」などの理由から、空気の乾燥を気にしながらも加湿器を使用していない世帯が多いという。そこで同社が開発したのが、顔の周りに長時間集中的に低温スチームを届ける「パーソナル保湿機」。寝ている間などに最大8時間、肌・のど・鼻をうるおすことができ、結露もおこしにくいという。同社曰く、“加湿器とは違う”という「パーソナル保湿機」とは、どのようなものなのか。

同社の調査によると、20~60代の男女210人のうち、「寝ている間の乾燥が気になる」という人は77%。しかし、寝室で加湿器や加湿空気清浄機を使用している人は29%と少ない。加湿器を使用しない理由として、「窓の結露が気になる」「加湿量不足(加湿したい所が加湿できない)」「手入れが面倒」などが挙げられるという

スチームを水平方向に届ける構造で顔の周りにスチームを届ける

「パーソナル保湿機」は、水平方向にスチームを届ける独自の技術によって、部屋全体ではなく、人の顔の周りに長時間集中的に低温スチームを届けることができる。「パーソナル保湿機」で顔周りを8時間保湿すれば、運転前と比べて顔の肌水分量を約1.5倍が向上(メーカー調べ)。さらに、保湿しているエリアの浮遊ウイルスを抑制し、風邪予防にも役立つという。

一般的なスチームファン式加湿器は、高温のスチームを天井に向けて吹き上げて部屋の外周から湿度を上げる。そのため、人の周りの湿度を上げるのに時間がかかり、窓や壁の結露の原因にもなっていた。また、他社でも顔周りにスチームを当てる製品はあるが、それらは加湿できる時間が短い。その点「パーソナル保湿機」は、顔周りに当てるのに適した温度のスチームを“ひと晩中”顔の周りに届け続けることができるため、従来の加湿器や美顔器とは違うという。

「パーソナル保湿機」は、見た目は一般的な加湿器のようだが、運転時に吹き出し口を前面にスライドさせるのが特徴的。本体のサイズは150(幅)×277(高さ)×328(奥行)mmで、重量は2.9kgとなっている。カラーはホワイトとピンク。市場想定価格は30,000円前後。加湿方式は、水を温めて蒸気にする「スチーム式」で、スチーム発生量は210ml/時。2~8時間のタイマー設定が可能で、8時間連続運転した場合の電気代は約21円となり、同社のスチーム式加湿器と比べて5分の1程度だという

操作部。一番下の電源ボタンと、その上のタイマー設定ボタンのみで操作をする。就寝中に使用することを考慮し、運転時に点灯するのは電源ボタンのみ。ランプもやさしい明るさのものを採用している

「パーソナル保湿機」には、上下2段の吹き出し口が採用されている。上部から吹き出される常温風で下部吹き出し口からの低温スチームの上昇を抑えることにより、スチームを75cm先まで水平方向に届けることができる構造だ。また、約90℃の高温スチームを本体内で常温風と混合。顔周りに当てるのに適した、吹き出し温度約45℃の安全なスチームを送り出すことができる。さらに、スチームを効率よく顔周りに搬送することでスチーム容量を抑えることができ、結露しにくい環境を作るという。

常温風の出る上部吹き出し口にはフラップが付いているため、下向きの送風が可能。下向きの常温風が、下部吹き出し口から出る低温スチームの上昇を抑える

上下2段の吹き出し口によってスチームを並行に搬出する技術は三菱電機独自のもので、現在特許申請中

「パーソナル保湿器」のスチーム搬送のメカニズム

「パーソナル保湿機」は、ベッドサイドテーブルなどに設置して使用。「パーソナル保湿機」から150cm離れた位置に比べ、75cm離れた位置の湿度が高いことがわかる(写真右)。発表会の実機展示スペースには、ほかにも複数の加湿器や「パーソナル保湿機」が稼動していたため湿度差が少なかったが、実使用環境であれば5%前後の差が出るという。ちなみに、寝室に2人以上寝ている場合は、1人に対して1台「パーソナル保湿機」の用意が必要となる

実際にスチームにあたってみると、温かいスチームのかたまりに顔周りが包み込まれるような感覚だった。スチーマーなどでたまにある“風に吹かれているようで、逆に乾燥しそうな気がする”といったこともない。肌の保湿やウイルス対策だけでなく、就寝時のリラックス効果もありそうな心地よさだと感じた。


「パーソナル保湿機」は、パソコンや紙の書類のそばで使用してもパソコンや紙に影響を与えない(メーカー談)ため、デスクに設置することも可能だという。運転音も静かで、デスクで使用しても勉強や作業の気が散る心配もないだろう。これから受験を控えた学生の勉強机などに設置すれば、風邪対策にもなり、本人も家族も安心。受験生応援アイテムとしてもひと役かってくれそうだ。

“ささやき声”より静かな運転音とベッドサイドに置きやすいスリムなボディ

「パーソナル保湿機」は、主に就寝時に使用することを想定している。そのため、運転音は“ささやき声(30dB)”よりも静かな27dBという静音設計で眠りを妨げない。また、本体幅は約15cmで、ベッドサイドに設置しやすいコンパクトなデザインになっている。

水タンクの容量は970ml。タンクを小型化することで、本体幅を抑えることができた。また、凹凸の少ないデザインで水アカの量を大幅低減、手入れの手間も軽減できるという

三菱電機は今回の発表会で、“保湿機は加湿器とは別カテゴリの製品”ということを一貫して強調。同社によると、ここ数年で加湿空気清浄機市場が拡大している影響もあり、加湿器の市場は縮小傾向にあるという。しかし、加湿空気清浄機に関しても、ユーザーがその使用感に満足しているとは言いがたいのが現状だ。そんなユーザーの不満に着目した「保湿機」は、新たな需要を作り出す製品として、加湿器や空気清浄機に対抗する新たな競争力となるかもしれない。

「パーソナル保湿機」は、三菱電機とオムロンの共同の取り組みとして、両方のブランドで発売予定。オムロンヘルスケアの「ねむり」に関するノウハウや強みを生かして、「パーソナル保湿機」を使った「新たな保湿スタイル」を提案するという

取材・記事:価格.comマガジン編集部 TASAI