はじめに
マイザー軟膏はアトピーなどの皮膚炎や湿疹などの治療によく使用され、虫刺されなどにも効果がある処方薬。炎症、かゆみを抑える作用があり、皮膚科でもよく処方されるステロイドの外用薬です。
ステロイド薬といえば副作用が強いといったイメージがあり、一歩ひいて使用を躊躇してしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、正しい使い方をすれば効き目は強く、とても頼もしいお薬です。
今回はそんなマイザー軟膏について以下のようなポイントを解説していきます。
ステロイドの特徴
ステロイドと聞くと使用することに戸惑いを感じる方も多いかもしれませんが、実はステロイドは私たちの体の中の副腎皮質という臓器が日々生み出している、身近なホルモンなのです。
このステロイドにより、炎症反応の抑制(抗炎症作用)や免疫作用を抑制することでバランスの保持(免疫抑制作用)を可能としています。
このステロイドを人工的に作ったものがマイザー軟膏を含む、ステロイド薬なのです。
ステロイドは強さでランク分けされている!マイザー軟膏は?
ステロイド薬には様々な種類があり、基本的にはその働きの強さでⅠ群(最も強い:strongest)からⅤ群(弱い:weak)までの5段階に分類されています。
マイザー軟膏は上から2番目の強さであるⅡ群(とても強い:very strong)に属しています。
Ⅰ群とⅡ群の市販薬は存在しません。
ステロイド薬の中でも効き目が強いとされているマイザー軟膏。
なんとその有効率は89.3%(856例/959例)という調査結果があります(1。
具体的にはどのような症状に効果があるのでしょうか?
マイザー軟膏の効能
通常、湿疹・皮膚炎群、よう疹、虫刺され、乾癬、掌蹠膿疱症、薬疹・中毒疹などの治療に用いられます。
他にも、
扁平紅色苔癬、ジベルばら色粃糠疹、慢性円板状エリテマトーデス、紅斑症、特発性色素性紫斑、紅皮症、肉芽腫症、円形脱毛症、アミロイド苔癬、肥厚性瘢痕・ケロイドへの有効性も認められています(2。
効果がある症状
ステロイド外用薬であるマイザー軟膏は、免疫作用を抑制する効果があります。そのため、なんらかの刺激を受けたことによって免疫細胞が活性化して発症する、
「あせも」、「じんましん」、「主婦湿疹」などには、「虫刺され」と同様に効果があります。
効果がない症状
マイザー軟膏は、真菌(カビ)や細菌、ウイルスによって発症する皮膚感染症には効果がないどころか、免疫作用を抑制させてしまうために逆効果となる場合があります。
「水虫」、「にきび」、「とびひ」、「カンジダ症」などがそうですね。
やむを得ず使用する必要があることもありますが、その場合は適切な抗生剤とセットで処方されます。
効果が非常に高く、頼りになるお薬であるマイザー軟膏ですが、気になるのはその副作用。
その発生率と主な副作用を見ていきましょう。
副作用の発生率
マイザー軟膏は12,945例の症例調査を行っており、そのうち副作用が発現した症例は112例でした。
これは全体の0.87%です。
思っていたよりもずっと低い頻度だったのではないでしょうか。
実は、マイザー軟膏はアンテドラッグと言われる、軟膏を塗った場所にだけ効果が出て、他の部位には効果が出にくいという特徴を持つお薬なのです。
主な副作用
マイザー軟膏の主な副作用は、
・毛のう炎・せつ(にきびなど、膿を伴う赤いできもの、おでき):0.24%
・坐瘡様発疹(できもの):0.17%
・ステロイド潮紅・毛細血管拡張(頰などに発現する赤み):0.11%
等です。
また、めったに起こりませんが、まぶたへの使用で眼圧亢進や緑内障、大量又は長期にわたる広範囲の使用、密封法(ラップで包む塗り方)によって後のう白内障や緑内障等があらわれるおそれがありますので、念のためご注意ください。
ステロイドとリバウンドについて
ステロイドが免疫の過剰反応を抑制することで症状を緩和している一方、急に使用を中止することで患部の症状が悪化、顕在化してしまうことがあり、この現象をリバウンド(反跳現象)と言います。
アトピー性皮膚炎などでは特に注意が必要ですが、医師・薬剤師の指示に従って正しい使い方をすることで防ぐことができます。
それではマイザー軟膏の正しい使用方法を見ていきましょう。
通常は1日1~数回、適量を患部に塗布とされていますが、症状によって用法用量は異なります。必ず医師・薬剤師の指示に従ってください。
使用する前に、手をよく洗うようにしましょう。
また、目の周辺への使用はできるだけ避け、もし使用する場合は目に入らないようによく注意してください。
■重要な基本的注意
・本剤の使用により症状の改善をみない場合又は症状の悪化をみる場合は使用を中止すること
・症状改善後は速やかに使用を中止すること
とあります。
皮膚感染症への使用は控えること、大量又は長期にわたる広範囲の使用、密封法を避けることに加えて注意しましょう。
妊婦の場合
マイザー軟膏の妊婦、または妊娠している可能性のある方の使用は基本的には問題ありません。
ただ、長期的な使用をする場合は必ず医師・薬剤師に相談をしながら指示を仰ぐようにしましょう。
小児の場合
マイザー軟膏が子供に処方された場合は手、もしくは足への使用に限定されることがほとんどです。必ず医師・薬剤師の指示に従ってください。
また、乳幼児のオムツは密封法と同じ役割を果たすため、注意をしましょう。
顔や、陰部への使用
顔や首、顎、陰部の皮膚は他の部分に比べて薄くなっています。そのために薬が浸透しやすく、効き目も強くなりますが、副作用もおきやすくなります。
そういった部位へのマイザー軟膏の使用は注意が必要です。
自己判断で塗ることは避け、医師・薬剤師へ確認しましょう。
マイザー軟膏と同一成分の薬
なお、マイザー軟膏と、そのジェネリック医薬品は市販はされていません。
おわりに
今回はステロイド外用薬であるマイザー軟膏について全体的に確認をしていきました。
マイザー軟膏は即効性もあり、効果も強い薬です。医師・薬剤師の指示に従って使用すれば副作用の出現率も非常に低く、非常に優れたお薬といえるでしょう。
処方された際は必ず用法・用量を守って使用するようにしましょう。
(1:マイザー軟膏インタビューフォーム
(2:マイザー軟膏添付文書