ヘンタイの皆さん、ヘンタイに興味のあるノーマルの皆さん、ごきげんよう。ブランドリームス代表/コピーライターの菅原瑞穂です。(※彼女が何者なのか知りたい方はこちら) (Photo by Miki Yamato Photography)
突然ですが、あなたは「足が臭くない」もしくは「脇が臭くない」という理由で異性または同性にフラれたことがありますか?
わたくしにはあるのです。
「俺、体臭がきつい人が好きだから…。」という理由で殿方にフラれたことが。
ヘンタイとして生きるということは、世間のモノサシでは測れない自分を認めることです。そして、ヘンタイにとっての愛とは、世間のモノサシでは測れない部分を持つ誰かの価値を認め、愛することです。
冒頭のエピソードに話を戻しましょう。わたくしがある殿方に「体臭が薄すぎる」という理由でフラれた、という話でしたね。はっきりは覚えていませんが、10年ほど前であったと記憶しています。ちなみに、御本人の名誉のために触れておきますが、彼は元SOFTBALLET、現Endsの遠藤 遼一さんのような超絶美形でした。
わたくしはおそらく生まれつき体臭が薄い方です。それでも、中学校に上がってからは「Ban 16」に代表されるワキ下制汗剤を常用するようになります。
体臭が薄いのになぜワキ下制汗剤を使うようになったか。理由はおそらく、テレビCMや雑誌の影響であったと推察します。「体臭はNG」という認識は、生得的な倫理観から来るものではないとわたくしは考えます。大人になるプロセスでメディアに刷り込まれたり、一般社会の中で生きる上でのマナーとして学んだりした結果、我々の中に「体臭はNG。無いほうが良い」というモノサシが後天的に出来上がります。
(Photo by Miki Yamato Photography)
わたくしの中にもずっと「体臭はNG。無いほうが良い」というモノサシがありました。しかし、「体臭がきつい人が好きだから…」という理由から遠藤 遼一(に似た殿方)にフラれた瞬間、私はモノサシの無力さを知ります。自らの体臭の薄さを呪ったあの時、わたくしはヘンタイ世界への戸口に立ったのかもしれません。
その後、格闘家になってみたり、SMの世界に足を踏み入れたり、普通のOLになってみたり、起業してみたり、激動の数年を過ごす中で、「体臭が薄い」を理由にフラれた記憶も薄れていきます。しかし、わたくしに再び「体臭」問題を考えさせる事件が起こります。
お付き合いしていた恋人から、「瑞穂さんのこと大好きだけど、口臭が薄いのが残念…」と宣告されるのです(この宣告の顛末は最後で触れます)。
今回は「体臭」にフォーカスしてお話をしていますが、ヘンタイ世界で生きていると、他にもさまざまな価値観をお持ちの方と出会います。
たとえば、ご自身より20センチ以上背の高い女性のハイヒール姿に惹かれる、太った女性の三段腹に顔を埋めたい、誰かに死ぬほど罵られたい、殴打されて脳震盪を起こしてみたい、椅子になりたい、首輪を付けられて犬のように連れ回されたい、等々(キリがないのでこの辺で)。
「職場にダイバーシティを!」と叫ぶのが悪いことだとは思いません。が、正直に言ってわたくしにはその意義が分からないのです。わたくし同様、ヘンタイの皆さまの多くは、「ダイバーシティって意味わからん」と感じていらっしゃるのではないでしょうか?
人生の何処かで、すでに世間の価値観から否定され、自らもそれらを否定しながら生きているわたくしたちヘンタイ世界の住人。わたくしたちから見ると、「ダイバーシティ」こそが、世間が押し付ける悪しきモノサシのようにさえ思えてしまうのです。
※写真:キレイに歯を磨く菅原氏
連載第1回のまとめに代えて、愛する恋人に「口臭が薄いのが不満」と告げられたわたくしがどのような行動に出たのか、愛する読者の皆さまにお伝えしておきましょう。
わたくしは健気にも、彼と一緒にいる時はなるべく歯を磨かないことにいたしました。
他の誰かにも仕事等で会う予定がある日を除き、彼と外で会う日はランチの後の歯磨きを控え、彼が泊まりに来た翌朝には寝起きの歯磨きを控えました。
人並みの衛生観念を持ち、文明社会で暮らす上での口臭予防の重要性についても骨身に沁みて知り、自分自身は口臭フェチではまったくない(むしろ、口臭が強い方とはあまりお付き合いしたくないと思ってきた)わたくしにとって、「自分の口腔内が不衛生かつ状況にあると気づきながら歯磨きを我慢する」は苦行に等しい行為でした。
また、「今日は彼と会う日だな」と頭では分かっていても、長年の習性でランチ後に歯を磨いてしまうこともありました。
そんな日は、彼のガッカリ顔を見て心を痛め、「なにガッカリした顔してるのよ! 豚以下のくせに生意気ね!」等と発言しSとしての立場を取り繕いながらも、次回こそ決してランチ後に歯を磨くまい、と密かに決意したものです。
相手の性癖に違和感を感じつつ、それを受け入れ、喜んで頂くべく行動する。それこそがわたくしにとっての「愛」です。人として、そして女として、まだまだ未熟であった10年前のわたくしは、自らの体臭の薄さと共に相手の性癖を呪いました。今思えば、なんと愛のない行為だったことでしょう。今のわたくしなら、彼のために自分の体臭を残そうと努力をするでしょう。
文字にして書くと実にバカらしくて恐縮ですが、わたくしは、わたくしの中に「愛」するための能力が培われたことを、とても喜ばしく思います。
また、わたくしのように愛する人に感じた「違和感」を受け入れ、包み込もうとする人が増えてくれればと心の底から思います。そんな人が増え、「ダイバーシティ」という言葉が価値を失った世の中こそが、わたくしのとってのあるべき未来です。
株式会社ブランドリームス 代表取締役/コピーライター菅原 瑞穂氏
(Photo by Miki Yamato Photography)
2010年に社会貢献ビジネス専門のブランディングエージェンシー「ブランドリームス」を設立。
2014年以降はエシカル、マイノリティ支援、動物愛護、地域活性化に特化して、ロックでセクシーなコンセプトを掲げた社会改革に従事している。
現在は、「SMにエシカルを。エシカルにSMを」コンセプトに『To the loveless.(愛を失くした人たちへ)』というREBELでCRAZYでSEXYな社会変革プロジェクト立ち上げ活動中。
過去のインタビュー記事はこちらから。
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