こんにちは。
六号通り診療所の石原です。
今日から診療所は通常通りの診療になります。
胃カメラの日なので、
カルテの整理をして、
レセプトをやって、
それから今PCに向かっています。
「もう誘拐なんてしない」のドラマを見たけれど、
あれはミステリー的に言うと酷いね。
映像化は基本的に出来ないタイプのトリックを、
臆面もなく映像で編集しているのだけれど、
映像であれがアリだったら、
幾らなんでも拙いと思う。
編集を見て正直仰天しました。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
Arch Dermatology 誌の昨年11月号に掲載された、
にきびの抗生物質治療が、
上気道の感染症に及ぼす影響についての論文です。
長期間の抗生物質の使用が、
耐性菌を誘導するなど、
人間の身体に悪影響を及ぼすことがあることは、
皆さんもよくご存知のことだと思います。
それでも、
免疫不全の患者さんの感染症の予防であったり、
慢性で再発性のおしっこの感染症のコントロールであったりと、
現実的には長期間抗生物質を使用せざるを得ない病態が、
しばしばあることは事実です。
また、
結核や非定型抗酸菌などの特殊な感染症では、
数ヶ月から数年に渡り、
抗生物質が使用されます。
更には、僕はあまり好きではありませんが、
マクロライド系と呼ばれる抗生物質を、
慢性の気道や鼻の感染症をコントロールする目的で、
少量で数ヶ月間かそれ以上、
使用し続けるような治療もあります。
皆さんが身近な事例として、
抗生物質を長期間使用するのは、
このマクロライド少量療法か、
にきびに対する抗生物質の使用が、
その代表ではないかと思います。
にきびはアクネ菌という細菌の感染症です。
アクネ菌はリパーゼという、
脂肪の分解酵素を出すのが特徴で、
これが皮脂の中性脂肪を分解して、
遊離脂肪酸を産生するので、
それと菌の増殖に対する白血球の集積から、
にきびはジクジクとして脂が多い湿疹になるのです。
従って、
アクネ菌を退治する目的で、
抗生物質が使用されます。
短期的に強力な抗生物質で菌を叩けば、
それで済みそうに感じますが、
実際にはそう簡単に治療効果は現われません。
その原因はアクネ菌が減少しても、
その周辺の炎症自体はすぐに治まらないため、
と教科書的には書かれています。
何となくしっくり来ない説明ですが、
いずれにしても臨床的な観察では、
短期間の抗生物質の使用では著明な効果はなく、
最低でも3週間、
概ね4週間から12週間程度は、
治療期間が必要になる、
という考え方が一般的です。
つまり、にきびの治療には、
数ヶ月間抗生物質を飲み続ける必要があるのです。
選択される抗生物質は、
エリスロマイシンやクラリスロマイシン、
ミノサイクリンあたりが一般的で、
これは日本でも欧米でも、
大きな違いはありません。
このにきびに対する抗生物質の使用で、
何か身体に問題は生じないのでしょうか?
この疑問に対して、
2000年代の前半から幾つかの論文が出ています。
いずれも、
にきび治療の抗生物質の使用により、
咽頭炎の発症が増える、
という結論になっています。
所謂のどの風邪ですね。
この中には所謂扁桃腺炎も含まれていると思われます。
ただ、そのリスクの上昇の程度はまちまちで、
そのメカニズムも明確ではありません。
ある研究では咽頭炎の原因菌の1つである、
A群溶連菌という細菌の頻度が、
にきびの治療により増加した、
という結果が得られています。
A群溶連菌には抗生物質が効く筈です。
それなのに、
何故にきびの治療で溶連菌が増えるのでしょうか?
1つの推論は、
口の中の常在菌である、
別種の連鎖球菌が抗生物質により死んで、
A群溶連菌が菌交代により増えるのでは、
というものです。
にきび治療に使用される抗生物質は、
より常在菌に対して毒性が強いからです。
そこで今回の論文では、
大学の学生を対象として、
にきびの治療と咽頭炎との関連性を調査すると共に、
咽喉の培養をして、
溶連菌の感染と咽頭炎との間に、
関連性があるかどうかを検証しています。
その結果…
にきびに対する抗生物質の治療をした学生は、
そうでない学生の、
ほぼ3倍は咽頭炎の発症リスクが増加していました。
ただ、A群溶連菌の検出頻度は低く、
咽頭炎との間にも相関はありませんでした。
今回の結果をどう考えれば良いのでしょうか?
にきびの抗生物質治療が、
その後の咽頭炎の発症リスクを増加させることは、
多くの文献があり、
ほぼ間違いのない事実を考えて良いと思います。
少なくとも2~3倍はそのリスクを高めます。
そのメカニズムに関しては、
現時点では不明です。
抗生物質の長期使用による常在菌叢の消失が、
何らかのメカニズムで免疫を弱め、
ウイルス感染の発症率を増加させるのかも知れません。
咽頭炎の9割は、
実際にはウイルス感染によるものだからです。
皆さんもにきび治療で抗生物質を使用する際には、
それが上気道の感染を増加させる行為であると言うことを、
よく認識した上で、
慎重にその治療の必要性を、
検討する必要があるのではないかと思います。
今日は抗生物質の長期使用と、
咽頭炎の発症との関連についての話でした。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
六号通り診療所の石原です。
今日から診療所は通常通りの診療になります。
胃カメラの日なので、
カルテの整理をして、
レセプトをやって、
それから今PCに向かっています。
「もう誘拐なんてしない」のドラマを見たけれど、
あれはミステリー的に言うと酷いね。
映像化は基本的に出来ないタイプのトリックを、
臆面もなく映像で編集しているのだけれど、
映像であれがアリだったら、
幾らなんでも拙いと思う。
編集を見て正直仰天しました。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
Arch Dermatology 誌の昨年11月号に掲載された、
にきびの抗生物質治療が、
上気道の感染症に及ぼす影響についての論文です。
長期間の抗生物質の使用が、
耐性菌を誘導するなど、
人間の身体に悪影響を及ぼすことがあることは、
皆さんもよくご存知のことだと思います。
それでも、
免疫不全の患者さんの感染症の予防であったり、
慢性で再発性のおしっこの感染症のコントロールであったりと、
現実的には長期間抗生物質を使用せざるを得ない病態が、
しばしばあることは事実です。
また、
結核や非定型抗酸菌などの特殊な感染症では、
数ヶ月から数年に渡り、
抗生物質が使用されます。
更には、僕はあまり好きではありませんが、
マクロライド系と呼ばれる抗生物質を、
慢性の気道や鼻の感染症をコントロールする目的で、
少量で数ヶ月間かそれ以上、
使用し続けるような治療もあります。
皆さんが身近な事例として、
抗生物質を長期間使用するのは、
このマクロライド少量療法か、
にきびに対する抗生物質の使用が、
その代表ではないかと思います。
にきびはアクネ菌という細菌の感染症です。
アクネ菌はリパーゼという、
脂肪の分解酵素を出すのが特徴で、
これが皮脂の中性脂肪を分解して、
遊離脂肪酸を産生するので、
それと菌の増殖に対する白血球の集積から、
にきびはジクジクとして脂が多い湿疹になるのです。
従って、
アクネ菌を退治する目的で、
抗生物質が使用されます。
短期的に強力な抗生物質で菌を叩けば、
それで済みそうに感じますが、
実際にはそう簡単に治療効果は現われません。
その原因はアクネ菌が減少しても、
その周辺の炎症自体はすぐに治まらないため、
と教科書的には書かれています。
何となくしっくり来ない説明ですが、
いずれにしても臨床的な観察では、
短期間の抗生物質の使用では著明な効果はなく、
最低でも3週間、
概ね4週間から12週間程度は、
治療期間が必要になる、
という考え方が一般的です。
つまり、にきびの治療には、
数ヶ月間抗生物質を飲み続ける必要があるのです。
選択される抗生物質は、
エリスロマイシンやクラリスロマイシン、
ミノサイクリンあたりが一般的で、
これは日本でも欧米でも、
大きな違いはありません。
このにきびに対する抗生物質の使用で、
何か身体に問題は生じないのでしょうか?
この疑問に対して、
2000年代の前半から幾つかの論文が出ています。
いずれも、
にきび治療の抗生物質の使用により、
咽頭炎の発症が増える、
という結論になっています。
所謂のどの風邪ですね。
この中には所謂扁桃腺炎も含まれていると思われます。
ただ、そのリスクの上昇の程度はまちまちで、
そのメカニズムも明確ではありません。
ある研究では咽頭炎の原因菌の1つである、
A群溶連菌という細菌の頻度が、
にきびの治療により増加した、
という結果が得られています。
A群溶連菌には抗生物質が効く筈です。
それなのに、
何故にきびの治療で溶連菌が増えるのでしょうか?
1つの推論は、
口の中の常在菌である、
別種の連鎖球菌が抗生物質により死んで、
A群溶連菌が菌交代により増えるのでは、
というものです。
にきび治療に使用される抗生物質は、
より常在菌に対して毒性が強いからです。
そこで今回の論文では、
大学の学生を対象として、
にきびの治療と咽頭炎との関連性を調査すると共に、
咽喉の培養をして、
溶連菌の感染と咽頭炎との間に、
関連性があるかどうかを検証しています。
その結果…
にきびに対する抗生物質の治療をした学生は、
そうでない学生の、
ほぼ3倍は咽頭炎の発症リスクが増加していました。
ただ、A群溶連菌の検出頻度は低く、
咽頭炎との間にも相関はありませんでした。
今回の結果をどう考えれば良いのでしょうか?
にきびの抗生物質治療が、
その後の咽頭炎の発症リスクを増加させることは、
多くの文献があり、
ほぼ間違いのない事実を考えて良いと思います。
少なくとも2~3倍はそのリスクを高めます。
そのメカニズムに関しては、
現時点では不明です。
抗生物質の長期使用による常在菌叢の消失が、
何らかのメカニズムで免疫を弱め、
ウイルス感染の発症率を増加させるのかも知れません。
咽頭炎の9割は、
実際にはウイルス感染によるものだからです。
皆さんもにきび治療で抗生物質を使用する際には、
それが上気道の感染を増加させる行為であると言うことを、
よく認識した上で、
慎重にその治療の必要性を、
検討する必要があるのではないかと思います。
今日は抗生物質の長期使用と、
咽頭炎の発症との関連についての話でした。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
2012-01-05 08:04 nice!(28) コメント(4) トラックバック(0)
レセプトの締め切り、正月くらい少しだけ後ろにずらしてくれればいいのにと思います。まして、今年の1月7日は土曜日だから、実質6日金曜日までに済ませないといけないし……。
用紙だけ見ても、社保本人、社保家族、国保、船員、日雇いなどなど何種類もあるのだから、その処理は大変ですよね。
抗生物質vs耐性菌などと、その使用に当たって、いろいろあって、難しいですね。ペニシリンが懐かしいです。
by ドクター・ヘル(2012-01-05 09:31)
遅くなりましたが・・明けましておめでとうございます。
今年も昨年同様不定期更新&訪問ですが
お付き合い下さい!宜しくお願い致します。
by マンチ軍団(2012-01-05 20:27)
ドクター・ヘルさんへ
コメントありがとうございます。
お正月と5月の連休はドタバタですが、
仕方がありません。
by fujiki(2012-01-06 08:38)
マンチ軍団さんへ
明けましておめでとうございます。
こちらこそよろしくお願いします。
by fujiki(2012-01-06 08:39)