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- 麻しんワクチンの接種による抗体陽転率は95~98%で、ほとんどが抗体を獲得しますが、数%は抗体ができない場合があります。その原因は色々考えられますが1つの原因として、感冒等のウイルス感染症に罹った場合、インターフェロンのようなウイルスの増殖を抑える物質が血液中に出ます。そのような時に麻しんワクチンの接種を受けますとワクチンウイルスの増殖が妨げられ(いわゆる primary vaccine failure)、抗体ができない場合があります。この様に麻しんワクチンを接種しても抗体を獲得できない場合もあるので麻疹の流行期には麻疹に罹ってしまうことがあります。
以前には麻疹、おたふくかぜ、風疹等のウイルス感染症は1度罹ると2度は罹らない終生免疫が獲得されると考えられ、生ワクチン接種の場合も同様に免疫は終生続くと考えられていました。しかし、近年、麻疹の流行が減少して野生ウイルスに接触する機会が少くなってきましたので、麻しんワクチン接種による免疫が低下して麻疹に罹ってしまう例(secondary vaccine failure)が増えています。
この為、平成18年6月1日より麻しん・風しんワクチンの接種方法が改正されました(詳しくは市町村等にお問い合わせください)。
- 2.成人が接種しても問題はないでしょうか?
- 小児と同様に接種して構いません。副反応、抗体獲得率なども小児と同様と考えられます。
- 3.麻疹発症の予防のためγ-グロブリンの投与を受けましたが、麻しんワクチンの接種をしてもよいでしょうか?
- 近所で麻疹が流行していてその予防のためにγ-グロブリンの投与を受け、麻疹に罹らなかった場合には、3ヶ月後に麻しんワクチンを接種をおすすめします。川崎病や血小板減少性紫斑病でγ-グロブリンの大量療法を受けた後では、6ヶ月後でも微量な抗体が残ることがあるためにワクチンの効果がないことがあります。いずれの場合もワクチン接種後6~8週間で麻疹HI抗体の陽転を確認した方がよいと思われます。
- 4.麻しんワクチン接種後免疫ができるまでどれぐらいの期間がかかるのでしょうか?
- 麻しんワクチンウイルスの増殖は接種後5~7日にピークとなり、血液中にインターフェロンが検出されます。ワクチン接種後10日ぐらいから麻疹ウイルスに特異的な細胞性免疫ができます。また、血中抗体は2週間後から出現し始め6~8週間後に最高値となります。
麻疹患者と接触して72時間以内に麻しんワクチンを接種すれば麻疹の発症を予防できると報告されています。それは、野生ウイルスの感染では潜伏期間が10~12日ですので、野生ウイルスが最初に上気道で増えて血中に入る前にワクチンにより誘導される免疫の方が速く生ずるためと考えられています。
- 5.授乳している母親に麻しんワクチンを接種しても差し支えないでしょうか?
- 授乳している母親が麻しんワクチンの接種を受けた時、母乳中にワクチンウイルスが検出されるかどうかという報告はありません。ワクチン接種後1ヶ月間はリンパ球・マクロファージから麻疹ウイルス遺伝子が検出されますので、母乳中のリンパ球からもウイルス遺伝子が検出される可能性はあります。しかし、感染性のウイルス粒子が母乳中に出ているかどうかは分かりません。
仮に母乳中にワクチンウイルスが出ていても、以下の理由で乳幼児に感染する可能性は極めて低いものと考えられます。麻疹ウイルスは上気道感染しますので口から入ったウイルスは唾液中の酵素などの働きにより感染性を失います。噴霧などの経路でワクチンを鼻腔内に投与した場合には免疫を獲得しますが、経口投与した時には抗体はできないことからも、母乳を介する感染は極めて低いものと考えられます。
- 6.卵アレルギーの子供に接種しても構いませんか?
- 麻しんワクチンの製造にニワトリ胎児胚細胞を使っているため、卵アレルギーの例も報告されていますので、重度の卵アレルギーの方は接種時に必ず担当の先生とご相談ください。
- 7.麻しんワクチンを生後12ヶ月以前に接種してもよいのでしょうか?
- 生後12ヶ月以前は、母親からの移行抗体の影響でワクチン効果が充分に発揮されないおそれがあります。また、ワクチン接種は任意接種となります。調査によると生後4~6ヶ月で移行抗体はほぼ消失し、6ヶ月を過ぎても抗体が検出されることはまれであることから、通常9ヶ月から接種が可能です。
日本では麻疹患者の約40%は0~1歳です。ワクチン接種に際しては家庭内や施設内の流行状況、患者との接触等を考慮し医師にご相談下さい。12ヶ月以前に接種した際には移行抗体の影響で効果があがらなかった可能性を考慮し、12ヶ月以降に定期接種として再度接種を実施することが望ましいでしょう。
- 8.麻疹にうつったと思われる時の予防接種はどうすればよいでしょうか?
- 今まで麻疹に罹ったことのない子どもが麻疹に罹っている子どもと遊んだり、兄弟のうち一人が麻疹に罹っている時は、ほぼ感染してしまいます。
麻疹に罹っている子どもなどと遊んだ時期がはっきりしている場合には、72時間以内にワクチンを接種すると自然麻疹の発症を防ぐことが可能なこともあるといわれています。しかし、兄弟等が麻疹と診断された場合は、診断された時に未感染の兄弟には既に感染して72時間以上過ぎていることが多いので、ワクチン接種は間に合わないことが少なくありません。
このような場合には、ガンマグロブリンの筋注で発症を防いだり、軽症化させることができます。この予防効果は一時的なものです。ガンマグロブリン筋注後、3ヶ月以上経過した後にワクチンを接種することが必要です。またガンマグロブリンを使用する時はヒト血液製剤であるという認識のもとに使用すべきです。
- 9.麻しんワクチンの副反応にはどのようなものがありますか?
- 麻しんワクチンの副反応としては接種後5~10日に発熱と発疹が10~15%の割合で出現します。生ワクチンによる発疹は虫刺されの後のようなストロフルス様発疹ですが、中にはコプリック斑や色素沈着を伴う麻疹様の発疹が出たとの報告もあります。こうした麻疹様の発疹が認められた例では遺伝子検索の結果ウイルスは野生株ウイルスであることが証明されており、麻しん生ワクチンでは麻疹様の発疹を生ずることはないようです。
日本ではまだ麻疹が流行しており、ワクチン接種が野生株ウイルス感染の潜伏期間に重なったものと考えられます。またまれに熱性けいれんを起こすこともあります。