ツーンとした臭いを放つワキガ。これにはさまざまなことが要因となっており、また臭いを強くする要因もさまざまです。
簡易的な手術などによりワキガのもとを根本から排除することも可能ですが、日常的にワキガの臭いを弱くすることもできるため、手術なしで付き合っていくことも十分に可能です。
においの感じ方
日本人はニオイ、特にワキガに対してとても神経質ですが、欧米の人がワキガに悩んだという話はあまり聞かないものです。欧米人は日本人に比べてワキガの人が非常に多いため、ワキガは一般的なものとしてとらえられ、それに対して悩むことはあまりないようです。
ニオイとは主観的なものです。例えば、家族でニンニクの効いた焼肉を食べても、家の中でそれがにおうと感じることはありません。それが次の日会社に行くと「ニンニク臭いぞ」と指摘されたりします。また、家によって家庭のニオイがあるといいます。
しかし、人の家に行ったときにその家庭独特のニオイを感じるものの、自分が生活している家のそれを判別できる人はほとんどいないと言えるでしょう。
ワキガも同じようなものです。ワキガである人の割合が大きい欧米とは違い、日本人のワキガ野非とは10人に1人の割合に過ぎません。ですから、そのニオイが異質なものとしてとれられ、気になってしまうといえます。
ワキガのニオイというのは、一種独特のニオイです。ニラ臭、尿臭、悪臭、腐臭をミックスしてようなニオイで、嫌いな人はそのニオイを嗅いだだけで吐き気をもよおしてしまうほどです。
満員電車で、近くにワキガの人がいるとたまりません。けれども、そのニオイを発生させている人は案外そのニオイがわからないもので、始末に悪いのです。ワキガの治療のカウンセリングに行く方も、他人から指摘を受けて初めて、自分がワキガだと知ったという人が意外と多いのが実情。
先ほど言ったように、ニオイとは主観的なものです。ですからある人はまったく不快なニオイと感じなくても、ある人とっては吐き気をもよおすような強烈なニオイとなる場合があるのです。
わきがの原因
ワキガが食生活と大きな関わりを持ちますが、、日本でワキガの発生が増加したのは第二次世界大戦が終わり、その後食生活が欧米化したことに大きな影響を受けていると考えることが出来ます。
日本はもともと農耕民族でした。ですから主食は米、麦、豆などの穀類、そしてタンパク質は魚介類、脂肪は大豆、菜種からとった植物油を主としていたのです。これは日本人に適した食生活であり、肉類をとる習慣はありませんでした。
第二次世界大戦が終わり、アメリカ軍が進駐してきた時、あまりにやせ細った日本人を見て、これではいけないと、アメリカは、日本人の食生活の改善を軍の命令として実行させました。もっと油を食べること、動物性タンパクを摂取することえお命じ、高タンパク、高脂肪の食事に切り替えさせたのです。
農村では保健所や町村の婦人会が中心となって、料理講習会などが積極的に行われたといいます。こうして、栄養だけでなくこってりした味も浸透し、日本人の嗜好に合っていたのでしょう、この高タンパク高脂肪の食生活は現代まで引き継がれてきたのです。
しかしこの食生活により、カロリー過多で肥満児は増え高血圧、糖尿病などの成人病は一気に増加しました。これはカロリーを取りすぎる食生活が原因だと考えられています。
また、「日本国民に高タンパクを」と説いたアメリカでは、現在、低タンパク低脂肪の和食がダイエット食としてもてはやされ、ブームになっているという皮肉な現象も起きています。そうしたアメリカ式食事による弊害のひとつがワキガなのです。
高タンパク高脂肪、つまり高カロリーの食事を摂ることによって、ワキガや体臭のもとになるアポクリン汗腺、エクリン汗腺、そして皮脂腺の3つから出る汗、つまり体臭やワキガの原因になる分泌物が多く出てくるので、結果としてワキガも増えるのです。
このように、ワキガと食生活には奇妙な因果関係があります。ですから、もし、ワキガを防ごうと思うなら、できるだけ動物性タンパク、動物性脂肪は避け、植物性の食事に切り替えてみて下さい。
においがあなたの印象を決めます
ニオイは深く記憶に刻まれます。例えば、ラベンダーの香りを嗅ぐと、とたんに故郷の北海道を思い出すとか、漬物の香りは優しかったおばあちゃんの想い出とか、そんな香りにまつわる記憶が、誰にでもひとつやふたつあるものです。それほどに、香りと記憶と直結しているのです。
また、最近ブームのアロマセラピーには、リラックスしたり、リフレッシュしたりと、香りの情報は脳に伝達され、感情をコントロールし、ホルモンバランスを整えるといった効果があることが分かっています。
こうした体に与える影響は医療の現場でも注目されています。また、おしゃれに敏感な人などは、ファッションの仕上げに好みの香水を欠かさないという人もいるでしょう。まさに、私たちの生活はありゆる香りに囲まれています。当然いい香りだけでなく、なかには嫌な臭いも存在します。その中のひとつがワキガです。
ストレスもわきがの原因
体臭は汗の量に比例します。つまり、汗をたくさんかいた時は体臭も強くなりますが、汗をかかないときは弱いか全くしないということです。しかし、同じ量であっても体臭に差が出てくることもあります。
例えば女性の場合は、生理が近くなると体臭が強くなる傾向があります。それは、体臭がホルモン分泌と大きく関わっているからです。ワキガつまり体臭は人によってはセックスアピールのひとつとして魅力的だと感じることがあります。生理前になるとどうしても体臭やワキガが強くなってしまうことも多くあります。
それ以外にもワキガや体臭が強くなることがあります。それはストレスやフラストレーションを持った時です。驚いた時や不安な時には手のひらや額、背中、脇の下にじっとりとした汗をかきます。
これは、体に防御反応が起こり、アドレナリンが体中に送り込まれることによるものです。そして、アドレナリンが体を緊張させ、体のどこかに害が及んだ時にはすばやくその部分を防御しようとします。
アドレナリンの分泌と一緒にかく汗は俗に言う「脂汗」というものです。この汗は通常の汗とは異なり、独特のニオイを出します。ですから、ストレスやフラストレーションを感じるとワキガのニオイも強くなってしまうのです。
ですから、ストレスの多い仕事に携わっている人は、どうしてもワキガが強く出るという傾向があります。主婦よりはOL、また学生にワキガが多いというのも、ストレスとの関係が非常に大きいのです。学生はちょうど性ホルモンの分泌が盛んになる時期ですし、試験やレポートなどが重なれば、当然ストレスも高くなり、ワキガが出るわけです。
日本人と欧米人
体質は、食事や生活習慣によって大きく左右されます。それは一日二日でできるわけではなく、長い歴史の中で祖先から受け継がれる中で次第にできあがっていくものなので、国によって、また、民族によって、大きな違いが出てきます。
ワキガに関して言えば、欧米人に比べて日本人はワキガである人が非常に少ないことはデータによって明らかにされています。そのために、ワキガの人が肩身の狭い思いをすることもあるのですが、そのニオイが他の人に嫌がられたり、迷惑をかけたりしない程度であれば、そう気にすることはありません。
ニオイについてのアンケートをとると、好きなニオイのトップに挙げられているのが、ほのかに香る石鹸のニオイだそうです。石鹸のニオイはお風呂上りをイメージさせ、清潔な印象を与えことがその理由だということです。
そして、いやなニオイの上位に必ず挙げられるのが、ワキガであり汗臭さです。これは、先ほどの石鹸のニオイとは逆に、その理由は不潔ということです。
ニオイと香り
ニオイと香りは、同じようで実は違います。ニオイとは意識的にあるいは人工的につくり出すもので、香りというのは自然に出るものなのです。だから本質的には、香水や化粧品の匂いはニオイであって、ワキガなどは香りということができるでしょう。
香りは自然に出てしまうものだと言いましたが、ワキガなど他人に顔をそむけられてしまうものは、やはり好ましくありません。ですから、誰かに「あなた、ワキガですか」と指摘されたら、1度専門クリニックでカウンセリングを受けてみましょう。
もちろん、常に清潔を保つように心がけてください。カウンセリングを受け、医師が手術する必要はないと判断したら、ニオイを少なくする方法を指導してくれます。
そして、手術を勧められた時には、思い切って手術をした方が良いでしょう。手術といっても一般に考えられているような大げさなものではありません。医学は日々進歩しており、痛みもなくすますことができます。
進化するわきが治療
わきがを治す方法については、これまでいくつかの手術法が考案されてきました。それらはすべて、欧米では多汗症を治す目的で行われたものです。日本では、ニオイを消す目的で、ミョウバンをわきの下につけたりしたことはありましたが、手術によってわきがを治すようになったのは、ここ最近のことです。
しかし、医学の力が日進月歩しているように、わきが治療も日々格段の進歩を遂げ、今では改善を重ね、非常に高度なものが登場するようになりました。手術法はわきが治療を行っているクリニックによって異なり、また当然結果にも差が出てくるわけですが、まずは、今までのわきが治療の手術法に焦点をあてて解説していきます。
切除法
切除法はわきがの原因がわきの下の皮膚にあるという考え方が基づいて、わき毛の生えているわきの下の皮膚を皮下脂肪ごと一緒に切り取ってしまう方法です。この手術法を行うとほとんどのわきがは無くなります。しかし、同時に大きな問題を抱えることになってしまいます。
それは傷跡です。切除法ではわき毛の生えている部分を5~7センチ、広い場合には6~20センチも切り取るという、結構大がかりな手術になります。ですから、術後は傷口を固定し、少なくとも2週間の安静入院が必要になります。そして、傷口が回復したとしても傷跡はわきの下に10~15センチの長さでハッキリとついてしまいます。
そればかりか、わきの下の皮膚そのものがなくなっていますから、それがどうしても突っ張ってしまい、神経や血管を圧迫するために、さまざまな障害を引き起こしてしまうのです。しかもわきの部分に周囲の皮膚が移動するため、完全に無汗の状態にはなり得ません。現在、実際にこの方法を行っているクリニックはほとんど無いといっていいでしょう。
煎除法
切除法に代わって行われるようになったのが、「煎除法」(せんじょほう)という方法です。この方法は、皮膚は切り取らず、アポクリン汗腺だけを取り除こうという方法です。
まずわきのしたの皮膚を数センチ切開します。そこから靴下や手袋をひっくり返すように、皮膚の裏をむき出しにします。そして、皮膚の裏にあるカズノコのようにブツブツになったアポクリン汗腺を医者が目で見て確認しながらひとつひとつハサミで摘み取っていくのです。
アポクリン汗腺ばかりでなく、皮脂腺も一緒に取ってしまうので、わきがの元はほとんど除去することができるわけです。この煎除法は、少し前までは、わきが手術の主流でした。現在でも、この方法で手術を行う病院やクリニックは存在します。
しかし、この方法もまた、センチ単位とはいえ皮膚を切開してしまいますから、どうしても手術の傷跡は残りますし、入院したり通院したりする必要が生じてきます。
掻爬法
切除法、煎除法を補うために開発され、それらに代わって行われるようになったのが「掻爬法」(そうはほう)です。煎除法がセンチ単位の皮膚切開であるのにして、掻爬法というのは、ミリ単位で皮膚に孔を開けていくというところが大きな違いです。
ミリ単位の小さな穴から器具を挿入して、皮膚の内側にあるアポクリン汗腺。エクリン汗腺、皮脂腺を掻き出してしまうわけです。この方法だと、皮膚には小さな穴の跡しか残りませんので、傷口は目立たず、外見上は手術をしたようには見えません。
ですから、見た目にはきれいで、美容上では大変メリットがあるといえます。ただ、効果となるとやや疑問が残ります。というのも、この方法では皮膚の裏側を手探りで手術していくからです。
ちょっとした間違いで皮膚を傷つけてしまったり、また手術の際の出血が皮膚の下に溜まったりすると、再び手術を行って、わきの下に管を挿入しなければなりません。
吸引法
これまで解説してきました従来の方法には、①後遺症、②手術のための入院・通院と日常生活での支障、③傷跡などの問題点がありました。これは長い間、わきが治療に携わる医師の課題として検討されていた問題ですが、これらをクリアした新しい手術法が「吸引法」です。
吸引法は簡単にいうとわきの下に細い管を挿入して、わきがの原因を掃除機のように吸い込んでしまうというものです。たくさんのクリニックでこの吸引法が採用されてきています。
吸引法は原理が単純なだけに、医師の技術がストレートに結果として表れるので、上手になるためにはそれなりの努力と研究が要求されます。中には吸引法は良くないとする医師もいますが、この方法によって満足のいく結果を出せるだけの技術を持つようになることは可能とみてよいでしょう。
皮下組織削除法
掻爬法のキューレットの代わりに特殊な専用器具を使って、皮膚内の組織を均一に削ぎ取るという方法です。この専用器具はハサミの形状をしており、片方の刃に当たる部分にはローラーがもう片方には皮下組織を掻き取る刃がついています。
わきに1センチほどの切れ目を入れて、刃の方を皮下組織に差し込みます。ローラー部分を皮膚表面に当て、転がしながら皮膚内の組織を均一に削ぎとっていく手法です。
この方法は上手く施術すればアポクリン汗腺だけでなく、エクリン汗腺や皮脂腺まで取り除くことが可能で、わきが・多汗症の両方を治療することが可能です。しかし、一度に広範囲の施術をすることができないのが欠点です。
わき全体を行うには、結局、数ヵ所に切れ目を入れますから、傷跡が多く残ってしまうことになります。また皮膚を薄く削ぎ取るため、皮膚に黒ずみが残りやすく、かなりの熟練した医師の技術が要求されます。
技術が未熟だと、皮膚に穴を開けてしまうこともあります。3日の入院と、術後1週間はわきを固定しておく必要があるなど、手術に伴う体への負担や生活への支障を充分考慮しなくてはなりません。
皮下組織吸引法手術
わきに直接数ミリの小さな穴を開け、そこから「カニューレ」という細い管を差し込み、汗腺類を掻き取りながら吸い取ってしまう方法です。この手法は、腹部や太ももなどの脂肪を吸引してスリムにする「脂肪吸引」の美容技術と同じものです。
皮膚を切開するのではなく、小さな穴を開けるだけなので、傷跡もほとんど残らず、体への負担が極めて軽いことが利点です。さらに、術後の回復も早いので、入院の必要がない手軽さもあります。現在ではわきが・多汗症の治療として主流になっており、多くのクリニックで採用されています。
しかし、この吸引法でも汗腺類を完全に除去することは難しく、十分な治療効果が、あがらないことがあります。そのため、症状が重い患者さんですと、手術後にもまだ少しニオイが残る、ということがあるのも事実です。
超音波治療法
「超音波治療」は、血管や神経などの皮下組織を傷つけずに、汗腺類だけを破壊できます。私たちが持つ組織はそれぞれ固さが違います。骨のように固いものもあれば、傷つきやすく繊細な粘膜もあります。皮下組織においては、破壊したい汗腺類と血管や神経などの固さが違うのです。
超音波の周波数を微妙に調節することで、固く弾力のない汗腺類は超音波の振動エネルギーで破壊され、弾力に富むその他の組織には影響を与えません。そのため、出血も少なく、確実に汗腺類だけを破壊し、高い治療効果を得ることができるといえます。
まず皮膚に数ミリの穴を開け、そこに超音波発生器を差し込んで行います。切開部分は数ミリなので、大きな傷跡が残る心配はありません。また、神経や血管などの大切な組織を傷つけることもありませんから、後遺症の心配や体へのストレスが極めて少ないというのが大きなメリットです。
施術時間はわずか30分、という早さで、術後の回復も早いので、基本的には入院や通院の必要もありません。
また、①痛くない、②傷跡の心配がない、③血管や神経を傷つけない、④短時間で施術ができる、⑤術後の回復が早い、⑥基本的に入院・通院が不要、⑦わき毛を残す・残さないの選択ができる、⑧治療効果が高く、再発の不安がない、などのさまざまなメリットが存在します。