コーヒーの飲みすぎは危険?カフェイン依存症
毎朝“目覚めの一杯”として愛飲している人も多いコーヒーや紅茶。
そのなかに含まれるカフェインは脳の覚醒作用や利尿作用など、さまざまな効果が知られています。
しかしそれらに多く含まれているカフェインには中毒性があり、知らず知らずのうちに“依存症”に陥りやすいのです。
カフェイン摂取のメリット・デメリットを知り、ティータイムを楽しみましょう。
カフェイン依存症とそのしくみ
※コーヒーカップ1杯分(140ml)あたりで算出
☆「五訂増補日本食品標準成分表」より
コーヒーを始め、お茶や紅茶、コーラ、栄養ドリンクなどにも含まれるカフェイン。脳の覚醒作用や解熱鎮痛作用があり、医薬品に使用されることもあります。
しかし、カフェインを過剰摂取してしまうと薬物ほど深刻ではなくとも、精神疾患として認められる「カフェイン依存症」に陥ってしまうことがあります。ただし、渋味成分のタンニンを多く含む緑茶や紅茶は、タンニンがカフェインと結びつくため、同量のカフェインを摂取しても、コーヒーやコーラと比べてカフェインの効果が和らぎます。
カフェインがもたらす脳内の変化
人間の脳内にある「アデノシン」と「アデノシン受容体」と呼ばれる2つの物質がくっつくことで、人は“疲労”を感じます。しかし、カフェインを摂取すると、血液に乗って脳内に入ったカフェインがアデノシン受容体と結びつき、アデノシンが受容体と結合できなくなるため、人は疲れを感じにくくなくなります。コーヒーを飲むと、眠気が覚めて体がスッキリとしたように感じるのはこのためです。ただ、カフェインの摂取を繰り返すうちに、少量のカフェインでは脳へ働きにくくなくなってしまいます。これにより、人はいっそう疲労を感じ、それを解消しようとカフェインの量が次第に増えていき、“カフェイン依存症”に陥ることがあるのです。
カフェインを摂取しないと体にさまざまな不調が現れるというのは、「カフェイン依存症」の特徴です。
カフェインの主なメリットとデメリット
体にさまざまな効果をもたらすカフェイン。眠気覚ましや気分転換に有効な一方で、胃痛などの体調不良を引き起こすこともあります。カフェインを適量摂取した際のメリットと過剰摂取のデメリットをしっかりと理解して、上手く付き合いましょう。
<適量摂取のメリット>
- (1)眠気覚まし
- カフェインは興奮剤の一種。脳内の中枢神経に働き、眠気を抑え作業効率をアップします。
- (2)頭痛の緩和
- カフェインには一時的な血管収縮作用があり、頭痛薬を始め市販の鎮痛薬などにも用いられています。
- (3)筋肉疲労の回復
- カフェインは血液の流れをよくし、筋肉の疲労物質の乳酸を体内に溜まりにくくする作用があります。これにより疲労から回復しやすいと言われています。
<過剰摂取のデメリット>
- (1)胃痛の誘発
- カフェインには胃液の分泌を促す働きがあり、胃を荒らしてしまうことも。そのため、空腹時のカフェイン摂取は避けた方がいいでしょう。
- (2)貧血
- カフェインには鉄分や亜鉛などミネラルの吸収を阻害する性質があります。特に、貧血に悩む女性のカフェインのとりすぎは注意しましょう。
- (3)睡眠の質の低下
- カフェインは興奮剤の一種であるため、飲むとカラダは興奮状態となり、眠りにつきにくく、睡眠の質が低下することがあります。寝る3時間前からの摂取は控えましょう。
- (4)自律神経の乱れ
- 体を活動させる交感神経に働くカフェインを摂取し続けると、心拍数の増加や血圧の上昇が日常的に続く状態となり、体はつねに興奮状態に。そのため、自律神経のバランスを崩してしまい、だるさや気分の落ち込みなど身体症状となって現れます。
【カフェインは女性の敵?】
カフェインはデリケートな女性の体に、さまざまな影響を及ぼします。
- 肌への影響
カフェインはシミの原因であるメラニンを拡散させ、シミの発生・拡大を促す作用があります。 - 冷え
カフェインは体を冷やす作用があると言われています。そのため、生理前や生理中に、1日何杯も飲むと生理痛を悪化させたり、冷え性の原因にもなります。 - 流産の危険
母体が摂取したカフェインにより、胎盤を通じて胎児へ酸素と栄養素が送られにくくなってしまいます。それゆえ、胎児は低酸素状態となり、発育障害や死亡につながると考えられています。
カフェインの適切な摂取量は?
いくら気分がすっきりするからと言っても、飲みすぎは胃の粘膜を傷つけたりと、体によくありません。しかし、コーヒーや紅茶は気分転換にもなり、生活に欠かせないという人も多いはず。コーヒータイムを楽しむためにも適切な摂取量を超えないようにしましょう。
| 健康な成人 | カフェイン摂取400mg/日以下 コーヒーカップ約5~6杯 |
|---|---|
| 妊婦 | カフェイン摂取300mg/日以下 コーヒーカップ約3~4杯 |
※カナダ保健省発表資料より コーヒーカップ1杯を140mlとして算出
“カフェイン依存症”チェック
カフェインを摂取しないと、こんなからだの不調が現れる…それは“カフェイン依存症”の可能性もあります。
カフェインを摂取しない間に以下の症状が1つでも見られる場合は、少しずつカフェインの摂取量を減らしてみましょう。
- 頭痛が起こる
- からだがだるい
- 頭がぼんやりする
- 不安になったり気分が落ち込んだりする
- 嘔吐が起こる
- 集中力がなくなる
- 眠気
依存症予防のために“脱カフェイン”してみよう
現在、様々なノンカフェインやローカフェインの飲料が発売され、カフェインが配合されていなくてもコーヒー風味やお茶を楽しむことができます。依存症にならないためにも、たまには“脱カフェイン”をして、体をカフェインリセットしてみてはいかがでしょうか。
ノンカフェイン・ローカフェインの主な飲料
- カフェインレス(デカフェ)コーヒー
- たんぽぽコーヒー
- 黒豆茶、そば茶、麦茶やコーン茶、どくだみ、はとむぎなど「茶葉」を使用しないお茶
- ハーブティー
2014年1月23日掲載
1968年生まれ、認知症をはじめとする脳神経疾患を専門にした医学博士。 東京医科歯科大学院大学医学部医学科卒業した後、順天堂大学大学院で高次脳機能障害の診断方法について、臨床研修研究を行い、医学博士に。2013年に「福本認知脳神経内科」を開院。地域において積極的に脳神経疾患の講演活動も行っている。
TEL:078-802-0732