5月13日放送
バラの産地を訪ねて ~前橋~


NHK前橋
武田 涼花
群馬からバラの話題です。実は群馬県、全国トップレベルのバラの産地で、特に前橋市は、町を歩けばマンホールにバラ。そして、レストランに行くと、飾られているのがバラ。市の花もバラと、とてもバラに縁が深いんです。
バラの魅力を伝える人たちに出会ってきました。
まずは、前橋の郊外にある『バラ団地』。
およそ、10軒の農家のハウスが並びます。
「こんにちは~」
バラ農家二代目の吉原一夫さんは このハウスを父親から継いで、20年になります。

「きょうの日光は、バラにいいんですか?」
「日ざしはすごく大事で、花にとってはいいことですね」
前橋では、バラの栽培が1980年代に盛んになりました。
秋や冬も日照時間が長く、栽培に適している上、出荷しやすい東京でも人気が出ると考えたからです。
「ほかの産地よりも すぐれたものを作るため、いろいろ工夫しております」と吉原さん。
世界に数万もの品種がある、といわれるバラの栽培。
前橋バラ団地の特徴は、少ない土で育てやすく植替えしやすい『プランター』を使うこと。
肥料や土が流れてしまう欠点は、特殊な布を敷き込む工夫で解決しています。
多くの品種を育てているのが、自慢です。
花にシミができないよう、ハウスの温度や湿度の管理方法をみんなで研究しながら、年間およそ70品種を栽培。
おととい(5月11日)行われた、『日本ばら切り花品評会』では、ここから出品された5つが『特別賞』を受賞しました。

団地の農家が、特別な時に身につけるというものが・・・。
「こちらです!」
「おお! いいですね! バラの前掛けですか?!」
おそろいの、前掛け。
バラといえば、まず思い浮かべる真っ赤なバラを自分達でデザインしました。
イベントで身につけて、前橋のバラ農家の存在感をアピールしようという心意気です。
「この前掛けを見たら『前橋バラ組合だ』と思ってくれたらうれしいです」
ほかにも、前橋のバラの魅力を最大限に引き出したいと取り組んでいる人がいます。
30年以上ハウス栽培を続けるバラ農家の、こちらも二代目、大谷宝さんです。

手がけているのは、前橋のバラを使った『フラワーアレンジ』。
例えば、『結婚記念日に贈る花束』というオーダーには・・・。

「白をベースにしながら、ちょっとクールな感じで紫やブルーも入れて」
おととし(2015年)品評会で全国最高賞を受賞した、前橋産の白いバラをメインに、あじさいや青い矢車草などをそろえて提案。
バラが最もひきたつ見せ方を日々考えています。
大谷さんがここ数年、一番力を入れて育てているというのが・・・

「ここに、つぼみがありますけれども・・・」
収穫期間が普通のバラの半分、最高級の強い香りが楽しめるという貴重なバラ『ダマスクローズ』です。

無農薬での露地栽培を始めたのは5年前(2012年)。
バラの産地・群馬でも、本格的に栽培しているのは珍しいといいます。

このダマスクローズ、どのように楽しむかというと・・・。
紅茶に花びらを浮かべて、ローズティとして味わうんです。
「さわやかな優しい香りがします」
大谷さんは「観賞用以外の可能性を、バラに見いだしたい。そのひとつとして、バラの香りが鍵になるかなと。化粧品だったり 食品だったり、見るだけで終わりではない バラの可能性を追求していきたい」と話していました。
前橋には、バラにみせられた人が他にも。

『♪しろばらの♪しろばらの♪わたしの~ しろばらの~♪』
群馬大学で音楽を教える、作曲家の西田直嗣教授。
目下の研究テーマは、バラを題材にした詩を70以上も残した、群馬出身の詩人、大手拓次。
西田さんは、ここ10年その詩を合唱曲にして発表してきました。
「詩の流れに合せて筆を進めていけば、どんどん曲が出来ていくというような感じ。音楽もいろんな音の色彩感がとても大事。作曲する上でバラの色彩感が大きい要素になっていると思う」
そんな西田さんの願いは、大学近くのばら園で バラの曲を歌うこと。

まもなく満開を迎える、『敷島公園ばら園』は前橋を代表するバラスポットです。
この日、ここで歌を披露してもらいました。
『♪ばらよ~ おまへは わたしの~ しらないまに~♪』(『うしろをむいた薔薇』作詞:大手拓次、作曲:西田直嗣)
西田さんは「前橋の市の花がバラですし、拓次が群馬県出身でもあるので、合唱団で全国に前橋をアピールして、発信していきたいと思う」と話していました。

バラのまち・前橋から、バラに寄せる思いが広がります。

西田さんは、これまでに20曲近くバラの合唱曲を作曲しています。
最近では、全国から新たにバラの詩を集めて、そこに曲を付ける取り組みも始めています。

ことし(2017年)の『バラの品評会』の特別賞は、全部で28品種に与えられましたが、そのうちの10品種がバラ団地を含めた群馬県のバラでした。
改めて、バラはふるさとの誇りなんだなと感じました。
『敷島公園ばら園』では、きょう(5月13日)から『ばら園まつり』が開かれます。
入場無料ですのでぜひ足を運んでみてください。

問い合わせ先

◇バラ団地のバラについて
 「前橋バラ組合」
 電話:027-268-4955
 ※一般の方の見学は受け付けていません

◇大谷さんのフラワーアレンジ・生花販売
 「ROSE ROSE」(店舗ありません)
 E-mail:info@roserose.jp
 ※畑見学の問い合わせは受け付けていません。

◇大手拓次や拓次賞(バラの詩募集など)について
 「大手拓次研究会」(代表:真下宏子さん)
 電話:080-5382-1936

◆『大手拓次生誕130年記念展』を6月11日まで開催
 「土屋文明記念文学館」
 群馬県高崎市保渡田町2000
 電話:027-373-7721

◇西田さんの指導する合唱団について
 「群馬大学教育学部 音楽教育講座」
 電話:027-220-7304

◇『敷島公園ばら園』について
 「管理事務所」
 群馬県前橋市敷島町262
 電話:027-232-2891

◇「春のばら園祭り」(入場無料)
 5月13日~6月4日実施
 ライトアップやバラガイドの案内、物産展など。
<アクセス>
 JR前橋駅から関越交通バス20分 「老人センター入口」下車

◇バラの飾ってあるレストラン
 「朔詩舎(サクシシャ)」
 群馬県前橋市岩神町4-15-5
 電話:027-234-2444