ドラッグストアーに行くと色とりどりの容器に入ったボデイクリームが売られていて、見ているだけでも楽しくなります。
といっても、私自身はこういうボデイクリームとはほとんど無縁の生活でした。
つい最近までは顔と手と踵ぐらいしか、「皮膚に塗る」ものは使っていませんでした。
それらでさえ、気温が上がってくると不要になるほど、「潤いのあるお肌」なのです。
ボデイクリームの香りに魅かれて買ったものの、冬場でもなんだか1枚多く皮膚をまとっているかのような感覚になって、汗がどっと吹き出すのでした。
きれいな女優さんがお風呂上がりのスキンケアをしているCMは、私には一生関係のない世界かもしれないと思っていました。
ところが、更年期あたりからいろいろと皮膚にも変化が起き始めました。
二の腕の皮膚がぶつぶつとしてきて、最初は皮脂が多いのかと思ったのですが、検索してみるとどうやら毛孔性苔癬に似ているので、ボデイクリームを腕にだけ塗ってみたところ良い感じでぶつぶつが消えました。(個人的体験談)
また冬になると体中が痒くなるようになって、ようやく私にも憧れのボデイクリームで保湿する生活になったのでした。
入浴後にすぐに塗ると効果絶大であることに、保湿の大切さを実感しています。(かなり信頼度の高い個人的体験談)
まあこれは、老人性皮膚掻痒症の入り口ですね。
ただ真冬の一時期だけで、気温が上昇し始めるともうボデイクリームの出番はほとんどなくなります。
保湿の必要性といっても、かなり個人差や年代差があるのだろうと思うのですが、どうなのでしょうか。
<新生児の保湿をどう考えるか>
ここ十数年ぐらい、保湿の大切さを聞く機会が多いのですが、おそらくアトピー性皮膚炎の治療法の進歩に伴う考え方が中心になっているのではないかと思います。
また赤ちゃんのおむつかぶれも軽度のものなら、皮膚をまず石鹸とお湯できれいにしてワゼリンなどで保護をするだけでもよくなります。
皮膚の清潔と保護・保湿はスキンケアの基本と言えそうです。
ただ、新生児に保湿剤が必要かとなると、どうなのだろうと悩んでしまいます。
クリニックの健診を手伝ってくださる小児科の先生方の中でも、保湿剤への温度差があるような印象です。
新生児のお肌は部分的にとても皮脂や発汗が多い部分もあれば、足のように皮膚がむけたり、亀裂ができたり極端です。
また、皮膚が薄くてそういうトラブルのありそうな赤ちゃんもいれば、最初からしっとりしている赤ちゃんもいて、皮膚の状態にもかなり個人差があるように感じます。
以前は新生児に保湿剤を勧める先生はほとんどいなかったのですが、最近の変化はもしかして、2014年にニュースになった「新生児期の保湿がアトピー発症率を3割減に」あたりも影響があるのでしょうか。
当時、このニュースを読んだ時に、「両親もしくは兄弟に少なくとも1人以上のアトピー性皮膚炎の既往歴があり、アトピー性皮膚炎の発症リスクの高い新生児118人」が対象であること、「全身に塗布するよう指導した介入群(59人)」「乾燥した局所のみワセリンを塗布した非介入群(59人)」なので「なにもしなかった場合」の比較はされていないのだと解釈しました。
だからまだ新生児全員に保湿剤を使用することが何らかの効果があるとわかったわけではない、と読んだのですが。
新生児全体の中で、本当に保湿が必要な赤ちゃんはどれくらいの割合なのでしょうか。
お母さんたちに、「何か保湿剤を塗ったほうがいいですか?」という質問がくるたびに、答えに窮しています。
「境界線のあれこれ」まとめはこちら。
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水縞 こんばんは。いつも拝読し、色々考えるきっかけをいただいています。
うちは、私が軽度ですがアトピーで、花粉症などのアレルギーも多く、夫が喘息が出やすい家系なので3ヶ月健診で保湿やアレルギーについて相談しました。
先生の回答は、服から出ている部分だけでも良いので保湿した方が良いとのことだったのですが、喘息のためにも保湿した方がいいと言われたので驚きました。
先生の説明では、喘息は気管支に出るアレルギーの一種なので、皮膚からのアレルゲンに対するストレスを減らすことは良いことですよ、といったような感じだったと思います。
一個人の母親側の意見としては、医学的な効果云々については「まだ立証されてないけどこういう説もある」程度に留めておいて、「赤ちゃんの成長は早いから、赤ちゃんの体を観察すると発見が増えて面白い」とか、「スキンシップとしては良い」、「特に肌に問題がなければ、保湿の必要が出たときのための練習と思って余裕のある時にでもしてみたら?」くらいに言っていただけると、気負い過ぎずに受け止められるので助かります。
初めての育児って分からないことだらけで本当に不安なので「あれをしなければいけない、これができなければいけない」が一番精神的にきついんです(母乳育児にしろ、何にしろ…)。
母親になって感じたのは、母親って子どもを盾されて、脅迫めいた真偽不明のアドバイスをされることが本当に多いということです。
ですから、「気楽でいいんだよ」と言ってもらえるのが結構救いになるんですよね。勿論、ちゃんとしなければいけない事も多いのですが。
うちの子の場合はお風呂上がりは機嫌が悪くて保湿剤を塗るのを嫌がるので、保湿はどっちかというと重労働です。
「子どもをアトピーにしたくないなら保湿しろ!」って言われてたら、プレッシャーでしんどかっただろうな。
今のところ肌に問題の無い子に対しては、保湿は「必要かどうか」より、「親がしてあげたいか」による部分なのかなと思います。
あと、新生児の肌は特別なのかもしれませんが、一般的には夏や冬はエアコンを使うから乾燥しやすいし、季節の変わり目は寒暖の差に肌が対応しきれないとトラブルを起こしやすいらしいです。
乾燥等のトラブル防止の観点から言うと、赤ちゃんが生まれた時期にもよるのかもしれません。
取り留めもなく長々と失礼しました。
ふぃっしゅ 水縞さん、初めまして。ようこそおいでくださいました。長文で記事がいろいろと飛んでいる読みにくいブログですが、読んでくださって本当にありがとうございます。
この記事を書いたのは、最近の「保湿が大事」という雰囲気に、特にアトピーに不安を持たれているお母さんたちはどう感じていらっしゃるのかなと気になっていたので、ありがたいコメントでした。
たしかにアレルギーはアトピー、食物アレルギーから喘息とつながっていくリスクがあることと、最近は皮膚の細かい傷(特に口周辺)からの抗原抗体反応で悪化する可能性があるので、口の周りにミルクや母乳や食べものがついたままにならないように皮膚をきれいにし、乾燥していたりただれていたら保湿は必要というあたりは理解できます。
それが水縞さんの健診時の質問への医師側の答えだったのでしょうね。
ここ数年ぐらいでしょうか、洗いすぎないことと乳児の肌の保湿が言われるようになったのは。それはそれでわかるような気がするのですが、どこまで「保湿するか」となるとグレーゾーンが広いような。いえ、私も医学的な議論はよくわからないのですが、日々新生児の肌を見ていても新生児と言えども個人差は大きいなと思いますし、1か月健診の赤ちゃんを見ると「子どもの肌というのは日々変化していること」を改めて感じます。1ヶ月前はすべすべのお肌だったのに、あんなに脂漏性湿疹でベタベタになるのですものね。
こういうベタベタな時期にもやはり「保湿」なのだろうかと悩んでしまいます。
そしてさらに2ヶ月ぐらい過ぎれば、こういう赤ちゃんも乾燥肌になるので確かにそういう時期には保湿が必要にもなるだろうな、と。
なので、最近いらしたその若い小児科の先生がすべてのお母さんに「赤ちゃんのお肌はデリケートなので保湿してくださいね」と勧めているのを聞くと、ちょっともやってしまうのです。たぶん、現在のトレンドのようなものを疑わずに話されているのだろうな、と。
もう少し、20年とか50年といった長い記憶になると、私が幼稚園児だった1960年代前半にもアトピー性皮膚炎の同級生がいました。でも何か特別な病気なのだろうと思っていた程、まだ当時は周囲にもあまりいませんでした。
当時は7月14日の記事に書いたように、「お子さまクリーム」が初めて発売された時代で、「子どもの顔を保湿する」初めての世代だったのですね。顔にクリームを塗ることも贅沢だったのでしょう、それまでの時代は。それも女の子だけ。男の子がクリームをつけたら「気持ち悪い」って思われる時代でした。そんな女の子たちも手足は、冬になるといつもガサガサでした。
手足に冬限定で保湿クリームをつかえるようになったのは、1970年代後半ごろでしょうか。日本が先進国の仲間入りをした頃ですね。
「日本は昔はお風呂にそれほど入らなかったから、洗いすぎていなかった」という話もありますが、1970年代前後には内風呂で、私はほぼ毎日入って、しかも当時はナイロン製の
「垢擦り」でゴシゴシ洗うのが流行りだした時代でした。
でも、まだ周囲にはアトピー性皮膚炎とか喘息、そして食物アレルギーもほとんど耳にしたことはありませんでした。1980年代には、ぼちぼち話題になってきましたが。
アレルギー性疾患が急増した背景は本当に複雑なので、このことから「保湿」は不要と言うつもりではありませんが、全員には不要だろうし、新生児の時期から全身を保湿したら「アトピー性皮膚炎を予防できる」と言える程のことでもないのではないか、と個人的には半々ぐらいの思いで今の時代の「保湿が大事」を聞くようにしています。
私たち看護スタッフがこういう時代のトレンドに反応しすぎて、「今は何何がいいらしい」とお母さん達に伝えてたり勧めてしまうと、ニセ科学に近い思考になる危険性がありますよね。2016年2月23日の「グレーゾン問題」の記事で紹介した、菊池誠先生の「ニセ科学とつきあうために」にあるようにニセ科学は「白黒をつけたがる」「脅かす」「願いをかなえる」と、最新の医学的な話題は似ているなと思う報道も多いですね。「そこまでははっきり言い切れないけれど、まあ少し気にして実践してみるといいかも」ぐらいがよいのかもしれませんね。
そのうちに本当に効果があれば、もう少しその方法が明確にされることでしょうから。
そんなニュアンスで、お母さん達への説明もできるようになるとよいのかもしれないと、最近考えています。
また気軽にかき込んでくださいね。ありがとうございます。
水縞 こんばんは。お忙しいなか、早速のお返事ありがとうございます。
肌質は大人でも個人差が激しいですし、その赤ちゃんの遺伝的な要素や生活環境も分からないなかで、その時の赤ちゃんの肌の状態のみを見てアドバイスするのは、確かに質問される側は困るよなぁと今更ながらに反省しました。
私は医学知識もありませんし、化粧品を売りたいメーカー側の話なのでどこまで信用していいのか分かりませんが…
デパートの化粧品カウンターの美容部員さん曰く、 皮脂が多く出る肌質の方でも、保湿が必要な場合が多いそうです。
肌の水分が不足すると、これ以上肌を乾燥させまい、肌を守ろうとして皮脂の分泌が増えるとか。
あと、汗をかくと肌の水分も奪ってしまうので、夏は汗や湿気で一見肌の表面はしっとりしてるけど、実は肌内部は冬ほどではないにしろ水分不足になりがちらしいです(ご存知でしたらすみません)。
大人の肌と赤ちゃんの肌は違うのかもしれませんが、もしこれらが赤ちゃんにも当てはまるなら、乾燥からの皮脂の過剰分泌が脂漏性湿疹の一つの要因になっていてもおかしくはないと思いますし、そうであればベタベタな時期でも保湿が効果的な場合もあるはずですよね。
そういったことも考慮されてのことなら、ふぃっしゅ様のおっしゃるその小児科の先生が保湿を広く勧めるのも私は納得できるかなと思います。
赤ちゃんの肌が本当に良い状態なのか、インナードライでトラブルが出やすい状態なのかは、おそらく見た目やちょっと触っただけではなかなか分からないでしょうから。
確かに、アレルギーという観点からのみで考えるなら保湿の重要性はまだなんとも言えませんし、その若い小児科の先生が実際にどういった考えで全てのお母さんに保湿を勧めるのかは分かりませんが。
本当に、育児の方法ってどんどん変化していきますよね。
話が脱線してしまうのですが、姑や実母などの周りの人から、お風呂上がりに白湯を飲ませているか?とか、ベビーパウダーをはたいてあげているか?とか、そういったことに対して「今の育児ではそれはもうしなくても良いらしい」と答える度に、複雑な気持ちになります。
その世代の方々はその時良いとされてきたことを一生懸命手間をかけてしていたわけで、それを否定しているようで申し訳ないし、私達が今やっていることが将来どう影響するのか、どう評価されるのかと思うと、あまり明るい気分にはなりません。
私の場合、印象的なのがお雛巻きです。
周りにお雛巻きを勧められましたが、なんとなく抵抗があって聞き流していました。
ですが「赤ちゃんが安心する」とされていることをしないのはずっと後ろめたいというか、罪悪感がありました。
後に、こちらや小児科の掲示物で股関節脱臼のリスクが高まるという記事を読んで後ろめたさは無くなりましたけれど。
「やってもやらなくても大して影響はない」ならまだ良いのですが、「やらない方が良かった」こともしているかもしれないなと思うと、なんだか怖いです。
保湿も、肌の自己防衛機能が弱まるからしなくてもいいってことに今後なったりするんでしょうかね。
「願いをかなえてくれる甘い誘惑に対して、どれだけ冷静でいられるか」は、親の大きな課題なのかもしれません。
お世話になった助産師さんが、親切でとてもやる気もある素敵な方ですが、誕生学などにも熱心で、個人的にはそういった方面のことにはモヤっとしてしまうので、悩ましく思ってしまいます。
「赤ちゃんともち」など、育児の世界、特に親への甘い誘惑は果てしないなと一周回って感心してしまいます。
まあそれも、親の「こんな子どもになってほしい」という欲望が尽きないせいなんでしょうけど。
それにしたって、こちらの過去記事で読んだロータスバースもそうですが、みなさんよく色々考え出せるよなぁと。
自分が好きで自分に対してのみやるなら、それこそホメオパシーでも何でも自己責任の範囲でやるのはいいと思いますが(この辺は、こちらのおむつなし育児についての記事でのコメントで既に他の方も色々書かれていたので重複になるので控えます)。
そんな誘惑の多い世界のなかで、ふぃっしゅ様が何かに疑問をもち、それを調べ分析し、記事にしてくださってとても勉強になりますし、そういった姿勢の方が医療に従事してらっしゃると思うととても心強いです。
また長々と、話が逸れたりとりとめもなくすみませんでした。
ふぃっしゅ様の記事を楽しみにしています。
暑さが厳しいですが、どうぞご自愛ください。
お返事ありがとうございました。
ふぃっしゅ 水縞さん、こんにちは。コメントをありがとうございます。
>その時代の方々はその時に良いとされてきたことを一生懸命手間をかけてしていたわけで、それを否定しているようで申し訳ないし、私達が今やっていることが将来どう影響するのか評価されるのか、どう評価されるのかと思うと、あまり明るい気分にはなりません。
たぶん、水縞さんが何気なく思いついたままを書かれたのではないかと思うのですが、このあたりがとてもヒントになる「気持ちの問題」なのかもしれないと感じました。
後日、もう少し考えて表現できたらと思います。
ただまあ最近は、「○○がよい」にも当てはまらない人は結構いるだろうなぐらいに新しい情報は聞き流すようにしています。あるいは、どこまで全体像がわかったのだろうかと少し疑うようにしています。
治療法としてある程度確立した方法ではなく「予防できるかもしれない」ぐらいのことに関しては、積極的に勧めているかのようなニュアンスにならないようにと、最近はお母さん達に説明する時には言葉を慎重に選ぶようになりました。
それこそ、「今はこういう考え方が主流ですが、5年後10年後にはまた変わる可能性があります」ぐらいの。
たぶん、そういうとらえ方の説明を聞く機会があれば、お母さん達も「一人目の時の説明と違う」「病院によって説明が違う」といった混乱を少なくできるかもしれないですものね。
新生児や乳児に関して、いえ、人間そのものについてまだまだわかっていることは全体からすればわずかなのでしょうからね。
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