頬の脂肪「バッカルファット」が加齢によって下垂すると、ブルドック顔やほうれい線の原因となります。このバッカルファットを除去することで、小顔効果やたるみの改善・予防効果があると言われています。
今回は、バッカルファットの除去手術の効果や内容、ダウンタイム、デメリット、失敗症例などについてご紹介します。
バッカルファットとは?
バッカルファットとは、頬の深い部分に存在する脂肪です。若い間は、上の図のように頬の高い位置を中心にありますが、加齢によって脂肪を支える組織が衰えると、下図のように下垂します。
下垂したバッカルファットは、ほうれい線やマリオネットライン、ブルドックのような頬のたるみの原因となります。そのため、このバッカルファットを除去することで、たるみやほうれい線、マリオネットラインの改善や予防ができるといわれています。
バッカルファット除去方法・ダウンタイム・費用について
バッカルファットを除去する際は、口の中を数ミリから2センチほど切開し、そこから脂肪を取り出します。手術から約1週間後に抜糸をします。切開の大きさは取り出すバッカルファットの大きさなどによって変わります。麻酔は基本的には局所麻酔ですが、痛みや手術の恐怖心を抑えるために笑気麻酔や静脈麻酔を使用することがあります。口の中からの施術のため、皮膚に傷痕は残りません。
皮膚表面に傷痕はありませんが、顔が腫れます。初期のダウンタイムは3~5日程度で、強い腫れはこの期間に引くことが多いようですが、完全に落ち着くには1カ月程度かかるのが一般的です。洗顔や入浴は翌日から可能です。術後5日間程度は、食事は流動食を摂り、口腔洗浄液で消毒をする必要があります。
施術費用や施術時間はクリニックによってまちまちです。オプションが設定されている場合もあり、「安いほうがよい」と単純に判断せず、何が費用に含まれるのかをしっかり確認するようにしましょう。
バッカルファット除去の問題点やデメリット・失敗症例
バッカルファット除去は、たるみやほうれい線などを改善・予防し、小顔効果も期待でき、女性にとっては嬉しいメリットがたくさんある施術のように思います。しかし、本当にデメリットはないのでしょうか。また、失敗症例についても気になります。
そこで、今回も、バッカルファット除去について、「六本木境クリニック」院長、境隆博先生にお話を伺いました。
境先生は、形成外科医および美容外科医としてたるみ治療の豊富な経験を持ち、刺青除去手術などにおいて日本で屈指の技術力をお持ちのドクターです。
Q:バッカルファット除去は、たるみやほうれい線の改善・予防に効果があり、傷跡も残らないということで、魅力的な施術に感じられます。バッカルファットを除去することで、本当にたるみは改善できるのでしょうか。また、
境先生:顔のたるみは、脂肪だけではなく、皮膚とSMAS(表在性筋膜)や靭帯などの支持組織がゆるんでいることで発生します。バッカルファットを除去しても、皮膚とSMASや靭帯など支持組織のゆるみは改善しませんので、これらがゆるんでいる場合は十分なたるみ改善効果はありません。
場合によっては、脂肪がなくなることにより皮膚が余り、余計にたるんで見えてしまうことがあります。30代前半までであれば、余った皮膚は比較的早く縮小しますが、30代後半以降は皮膚の縮小に時間がかかるか、十分に皮膚が縮まないため、たるみ改善効果はあまり見込めないと思います。
また、バッカルファットを除去すると、当然スペースが空きます。そうすると、空いたスペースに、頬よりも上部の脂肪、目の下から中顔面の脂肪がダルマ落としのように移動してしまいます。その結果、くぼみやシワができ、「貧相な顔になった」、「余計に老けて見えるようになった」などのトラブルが発生することがあります。
バッカルファットの下垂に適した治療方法
Q:それでは、バッカルファットが下垂してたるみやほうれい線、マリオネットラインが目立つ場合は、どのような施術を選ぶべきでしょうか。
境先生:たるみ治療で重要なのは、「下に移動してしまった顔のボリュームを適切な位置に戻す」ということです。 バッカルファット除去のように、「下に移動したボリューム部分を除去する」施術や、逆にヒアルロン酸注入などで「へこんでいる部分にボリュームを足す」というような施術はあまりおすすめできません。
ヒアルロン酸を注入すると、元々なかったものが押し込まれるので、患部に圧迫が生じます。すると、もともとあった脂肪がところてんのように押し出されることがあります。そうすると、脂肪が顔の下側に集中してしまい、マリオネットラインが目立ってしまいます。
元々存在する必要なボリュームを取ってしまったり、逆に元々存在しない不必要なボリュームを追加するという不自然なことをすると、術後の仕上がりも不自然になりがちです。お顔の組織・ボリュームは周囲とつながっています。ボリュームを足したり引いたりの治療では、ダルマ落としやトコロテン式といった雰囲気で周囲にも悪い影響が出ることすらあります。
つまり、ボリュームの足し引きをしても、根本的なたるみの改善にはつながらないので、やはり下へ移動してしまったボリュームを元の位置へ戻す「リフトアップ術」の方が適していると言えます。
バッカルファット除去に替わる特におススメの治療
Q:たるみの治療にはリフトアップ術がよいということですが、具体的にはどのような施術がたるみ治療に適しているのでしょうか。
境先生:私の一番のおすすめの治療方法は、やはり、伸縮性のあるフランス製の糸、「スプリングスレッド」を使った治療です。
前述の通り、切るリフトアップは顔の中央部分にはあまり効果がありませんし、その他の治療は術後にトラブルが発生したり、効果がない、もしくはすぐに元に戻ってしまうなどのリスクがあります。
その点、スプリングスレッドによる引き上げ治療であれば、物理的に下垂した部位のボリュームを持ち上げるので確実に効果が見込めます。伸縮性のある糸を使用するため、表情筋の動きに合わせて自然に伸び縮みし、効果の持続性が高いのもおすすめの理由です。また、安全性の高い素材を使用しているため、正しく施術が行われれば、後遺症の心配もほぼありません。