1.スタッフ(平成28年4月1日現在)
| 科長 | (准教授) | 村田 哲 |
|---|---|---|
| (教授) | 大槻マミ太郎 | |
| 外来医長 | (准教授) | 小宮根真弓 |
| 病棟医長 | (准教授) | 前川 武雄 |
| 医員 | (講師) | 神谷 浩二 |
| (助教) | 佐藤 篤子 | |
| 唐川 大 | ||
| シニアレジデント | 4名 |
2.診療科の特徴
当科では皮膚に症状のある疾患すべてを扱うが、大学病院としての性格上、皮膚がんや悪性黒色腫を中心とする悪性腫瘍、そして水疱症や膠原病、乾癬や重症アトピー性皮膚炎などの慢性の免疫疾患が多いのが特徴である。
2015年は、2014年と比べて1日平均入院患者数はほぼ同じで、新入院患者数は465人から423人へやや減少し、平均在院日数は8.8日から9.4日へとわずかに延長した。これは、2014年の血管内レーザー治療導入に伴って飛躍的に増加した静脈瘤の入院患者が、2015年は2013年の水準に復したことが影響しているものと思われる。しかし、大学病院皮膚科の使命として最も重要と考えられる皮膚悪性腫瘍については、2015年は2014年と比べて179人から219人へと22%増加しており、これは早期発見の啓発の成果とともに、進行期悪性黒色腫の新規治療薬の承認に伴う紹介患者増加を反映しているものと思われる。
県内に入院可能な皮膚科の施設が少ないこともあり、入院は毎年、紹介による高齢者の皮膚悪性腫瘍、すなわち有棘細胞癌、基底細胞癌、悪性黒色腫、パジェット病などの上皮系悪性腫瘍が大部分を占める。ただし、これらの悪性腫瘍の約3割は進行期であるため、外科的手術以外に放射線療法や化学療法も取り入れ、手術も植皮術や皮弁形成のほか、超短パルス炭酸ガスレーザー治療も行っている。
手術件数が増加傾向にある悪性黒色腫に対しては、当科内において鼠径・腋窩リンパ節郭清が施行可能となっているが、必要と考えられる症例にはセンチネルリンパ節生検を行い、過剰な予防的リンパ節郭清は避け必要最小限の切除・郭清にとどめるよう配慮している。また、皮膚外科部門では2010年から下肢静脈瘤の外科的治療を積極的に行っているが、とくに血管内レーザー治療の導入に伴い、入院件数が26人(2013年)から77人(2014年)へと約3倍に増加したが、2015年は27人となり、2013年の水準に戻っている。
外来は午前に初診と一般再診、午後は専門外来を設けている。専門外来は、より専門性の高い診療を必要とする疾患、すなわちアトピー性皮膚炎、乾癬、水疱症、膠原病、脱毛症、皮膚悪性腫瘍、皮膚レーザーなどに対するもので、県内だけでなく他県からの紹介患者も数多く来院している。外来ではレーザー治療以外にも紫外線療法、そして簡単な植皮を含めた手術を行うことも可能である。また、外来で診断や治療方針に苦慮する症例について、教授以下全員で診察する機会(外来クリニカルカンファランス)を設けているほか、皮膚生検を行った症例では病理カンファランスでの検討も行っており、個々の患者に即した最善の治療を皮膚科全体として追求するシステムを構築している。
関節リウマチや炎症性腸疾患と並ぶ免疫疾患である乾癬については、2008年の栃木県患者会の立ち上げ以来、専門外来メンバーを中心に啓発活動を精力的に行ってきた。2010年に皮膚科領域で初となる生物学的製剤が承認されたことに伴い、その導入目的の入院を含め、外来と入院の連携、および県内・県外の皮膚科医や一般医との連携が強化されている。
なお、新規開発臨床試験(治験)は乾癬が中心となっているが、それ以外にアトピー性皮膚炎、掌蹠膿疱症、自己免疫性水疱症を対象とするものも扱った。
施設認定
日本皮膚科学会認定専門医指定施設
専門医
| 日本皮膚科学会専門医 | 大槻マミ太郎 |
|---|---|
| 村田 哲 | |
| 小宮根真弓 | |
| 前川 武雄 | |
| 佐藤 篤子 |
3.診療実績・クリニカルインディケーター
1)新来患者数・再来患者数・紹介率
| 新来患者数 | 2,173人 |
|---|---|
| 再来患者数 | 27,726人 |
| 紹介率 | 98.5% |
| 一日平均受診患者数 | 124.1人/日 |
2)入院患者数
| 入院患者数 | 423人 |
|---|---|
| 一日平均患者数 | 10.9人 |
| 平均在院日数 | 9.4日 |
| 疾患分類 | 患者数 |
|---|---|
| 湿疹・皮膚炎・蕁麻疹・痒疹 | 11 |
| 角化症・炎症性角化症・膿疱症 | 33 |
| 膠原病・類症・血管炎 | 2 |
| 水疱症 | 17 |
| 薬疹・中毒疹・ウイルス性発疹症 | 27 |
| 急性・慢性膿皮症 | 13 |
| 皮膚潰瘍・褥瘡・熱傷 | 7 |
| 皮膚悪性腫瘍 | 219 |
| 皮膚良性腫瘍 | 45 |
| 母斑 | 20 |
| 下肢静脈瘤 | 27 |
| 多汗症 | 2 |
| 合計(人) | 423 |
| 平均年齢(歳) | 59.9 |
| 男:女 | 255:168 |
| 入院 | 外来 | |
|---|---|---|
| 皮膚悪性腫瘍切除術 | 97 | 73 |
| 皮膚腫瘍・血管腫切除術 | 70 | 392 |
| 創傷処理・皮膚切開術 | 0 | 32 |
| デブリドマン | 7 | 0 |
| 母斑レーザー(全麻下) | 6 | 0 |
| 静脈瘤手術(含:血管内レーザー) | 27 | 0 |
| センチネルリンパ節生検 | 12 | 0 |
| リンパ節郭清術 | 7 | 0 |
| 植皮術 | 71 | 10 |
| 皮弁・筋皮弁術 | 29 | 21 |
| その他(生検含む) | 58 | 525 |
| エキスパンダー | 2 | 0 |
| 合計(件) | 386 | 1072 |
麻酔別手術統計
| 病棟 | 外来 | |
| 局所麻酔 | 151 | 1022 |
| 腰麻・全麻 | 95 | 0 |
3)カンファレンス症例数
| 症例数 | カンファレンス率* | |
|---|---|---|
| 外来カンファレンス | 299 | 13.2% |
| 病理カンファレンス | 243 | 19.0% |
*外来カンファレンス率= カンファレンス症例数/新来患者数 X100
*病理カンファレンス率= カンファレンス症例数/病理提出件数(1280) X100
4.事業計画・来年の目標等
皮膚科学は日々進歩しており、根治可能な悪性腫瘍も増えてはいるものの、治癒に至らしめることが困難な慢性疾患も多い。アトピー性皮膚炎や乾癬がその代表的な疾患であり、当科では専門外来をおいて重症難治な患者の治療を充実させるよう努力している。
とくに乾癬では、2010年1月に皮膚科領域で初となる生物学的製剤が承認されたことに伴い、患者会や病診連携の活動が盛んにおこなわれるようになったが、乾癬以外でも県内外の皮膚科医や一般医との連携を深めるべく、種々の研究会や懇話会をエリアごとに定期開催するに至っている。
皮膚外科部門は2010年以降重点的に力が注がれ、皮膚悪性腫瘍の入院件数は増加の一途をたどっている。また2014年以降、進行期悪性黒色腫の新規治療薬(低分子のキナーゼ阻害薬や、高分子の免疫チェックポイント阻害薬)が次々と承認されたのに伴い、当科でも原発巣や所属リンパ節等の外科的切除以外(切除不能、多発転移)の治療目的での入院も増加しており、今後もなおその傾向は続くと予想される。リンパ節郭清や下肢静脈瘤治療も科内で施行可能となっているが、とくに静脈瘤の血管内レーザー治療は全科の中で皮膚科が中心となって推進しており、今後もさらなる充実・発展を目指したい。
これらの努力を積み重ねながら、県内外の幅広い地域からの患者を受け入れ、疾患の根治および患者QOLの向上を目指していきたい。