私は若いときは乾燥肌で、冬にバイクに乗ると顔がカサカサに乾燥してしまって困ったものでした。ところが、オヤジと呼ばれる年齢になると、顔がテカテカ、居酒屋に行くと出て来たおしぼりでまず顔をふくようになりました。
油について調べていて、ずっと思っているのは、顔に出てくる脂の成分はどんなのだろう?ということと、どうやって皮膚に脂が出てくるのか仕組みを知りたいと思っていました。
もう一つ思い出すのは、学生時代のこと。夏休みにとある観光地でアルバイトしたのですが、そこのお客さん向けの夕食は毎回天ぷらが出るのです。それで私たちも毎日余った天ぷらを喜んで食べていたのですが、1週間もしないうちに皆、顔がテカテカし始めました。油はすぐ体に回るなと思ったものです。
皮膚関係の本はあるようでなかなかないのです。
この記事では、皮脂がつくられ、皮膚に出て来るまでを書こうと思います。
皮脂は皮脂腺でつくられる
皮脂は、皮脂腺でつくられます。皮脂腺は毛と密接な関係にあり、皮脂腺のある所に必ず毛穴があります。毛は産毛から剛毛まですべて皮脂腺を持っています。頭、額、鼻のまわりや胸、脇、などなどこれはよく分かりますね。
皮脂腺は図のように漏斗部に開口しており、皮脂は毛包から皮膚表面に出ます。
皮脂腺
皮脂腺は、分泌物を皮膚の表面に開く管へ放出します。また、皮脂腺では、皮脂腺細胞がブドウの房のように付いてできています。皮脂腺細胞の中で脂肪滴が大きくなり、やがて破裂、それ自体が分泌物になります。破裂して分泌するという仕組みがすごいです。分泌物には細胞膜や細胞内膜系に由来する大量の脂質が含まれることになります。細胞膜はリン脂質からできていました。
破裂するとその皮脂腺細胞はなくなりますが、また、細胞分裂によって新しい皮脂腺細胞が補給されます。
脂肪滴にたまっていく脂肪はトリグリセリド(TG)です。普通の油と同じもの。グリセリンに脂肪酸が3本エステル結合したものです。脂肪は血液の中を流れてきたものを利用するため、食事の影響を強く受けます。
私は、体の中にたまった脂肪が、何かの経路をたどって体表に向かって出てくるのかと思っていました。そうではなく、皮脂腺から出てくる脂肪が血液由来だったとは。もっと盛大に出てくる仕組みがあるのかと思いました。
もちろん、体の中にたまった脂肪も血液に乗って流れていったりするのですが。皮脂の分泌は、どばっと出るわけでなく、ちまちまとコンスタントに行われるようです。
考えてみると、生き物のからだの仕組みは省エネにできているのが普通でした。いつも食べられるとは限らないという状況に耐えられるようにできているのです。
皮脂の成分
皮脂を構成する成分は、ワックスエステル(約25%)、スクアレン(約12%)、トリグリセリド(約60%)などです。その他、皮脂には皮脂腺細胞が壊れたことによる物質が含まれています。
ワックスエステル
ワックスエステルは、ウィキペディアによると、炭素数10~12以上の長鎖脂肪酸と、同じく8以上の脂肪族アルコールがエステル結合した、長い鎖状の分子構造を持ちます。
トリグリセリドは、グリセリンに脂肪酸が3本ついた構造をしていました。グリセリンは、3価のアルコールなので、3本の脂肪酸とエステル結合することができます。
しかし、このワックスエステルの脂肪族アルコールは、1本の炭化水素の鎖の最後が水酸基(-OH)で終わっているものです。それに脂肪酸が1本、エステル結合しているものです。ヒトは消化できないそうです。
ワックスエステルの特徴は、不飽和脂肪酸の占める割合が多いことです。しかも、サピエン酸という他の組織では見られない脂肪酸が多く見られます。この脂肪酸は、炭素数16で6位に二重結合を1個もつ脂肪酸です。オメガ6ではありませんよ。カルボキシル基(-COOH)から数えて6番目です。
サピエン酸
アセチルCoAから脂肪酸をつくる場合、炭素数16の飽和脂肪酸パルミチン酸をまずつくります。サピエン酸は、パルミチン酸のΔ6デサチュラーゼによる不飽和化でサピエン酸となります。
デサチュラーゼ
デサチュラーゼ(Desaturase)は、有機化合物から2個の水素原子を除去する酵素で、炭素-炭素二重結合が形成されます。Δ – 脂肪酸のカルボニル基(カルボキシル基)から決まった位置に二重結合を作る。
サピエン酸の名前は「ホモ・サピエンス」から来ており、毛の生えた動物の中では、ほぼヒト特有の脂肪酸で皮膚特有の脂肪酸です。
スクアレン
深海鮫をはじめ、オリーブ油にも含まれる。肝油の成分。アセチルCoAより肝臓や皮膚で800mg/日程度生合成されますが、さらにコレステロールに転化されるため、その存在量は多くないそうです。コレステロールの前駆物質です。化粧品の成分によく入っていますね。
トリグリセリド
グリセリンに脂肪酸が3本エステル結合したもの。いわゆる油です。くわしくは、油の構造が分かると血液検査の中性脂肪がわかるよをご覧下さい。血液から供給されるので、脂肪酸組成は、普段の食事内容が反映されます。いまの食事だとリノール酸が多くなるのでしょうか。
ここまでで大切なことは、皮脂の成分は、血液から供給されたトリグリセリドが主な成分になっているということです。冒頭で書いたように、毎日夕食に天ぷらを食べていると、当然のことながら血液に脂肪がたくさん乗ってきます。皮脂腺細胞の中にある脂肪滴にどんどん供給されます。
皮脂膜
皮脂は肌に分泌されますが、肌表面で表皮脂質と混ざり合います。さらに汗と混じり合い、皮脂膜をつくります。皮脂膜は、物理的、化学的に皮膚や毛髪を保護、保湿する役割を果たしています。
また、これに含まれる脂肪が皮膚の常在菌により分解されることで生じる脂肪酸によって皮膚の表面は弱酸性となり、これが病原菌などを排除する機能も持ちます。
私の知りたいのは、次に常在菌の働きです。
次は皮膚の常在菌からの分解と過酸化だ
皮膚には常在菌が棲んでいます。それらは皮脂を代謝しています。さらに、皮脂は過酸化されるでしょう。それがどんな変化をするのかも知りたいところです。改めて記事を書きます。