2009年11月30日
布海苔
●PROFILE
ほそかわ・かずひろ
1948年、愛知県豊川市生まれ。東西医学、心身医学、食養法、民間医療等を統合し、総合的健康法・治療法の実践的研究を40年以上行う。自分自身を自在にコントロールするBRM(脳内体験)と食養をベースに統合的・根本的な指導をする。現在は生活改善指導の講演会や健康セミナー、個人相談、ワークショップなど幅広く活動している。月刊『マクロビオティック』に「マクロビオティックでトータルライフデザイン」を好評連載中。著書に『食養読本(女性編)』『食養生大全』(共著)などがある。
老廃物の蓄積が万病の元
人が健康を保つためには円滑な代謝が基盤である。
代謝とは体内で常に営まれているすべての生命活動をいう。代謝がスムーズに行われていれば、疲労も炎症も起こすことはなく、いつまでも健康状態を維持することができる。ところが、現代人は代謝が円滑な人はほとんどいないといっても過言ではないだろう。
代謝が滞っている体中の組織に老廃物が溜まってくる。老廃物の蓄積はありとあらゆる障害を引きおこす元凶だ。とくにタンパク質や脂質の老廃物は、蓄積すると非常にやっかいな有害物質になって様々な病気の原因になる。
デトックスブーム
最近、有害物質の体内蓄積が病気の重大な原因だといわれ、その排出を様々な方法で行うことがブームのようになっていた。健康食品、健康茶、健康器具、健康法、民間療法、精神療法などなど……数え切れないほどのものが市場に出回っていた。昨今は、ブームも少し鎮静化してきたようだ。蓄積した毒素・老廃物を排出することはよいことだが、そのやり方には疑問視されるものが大半だ。またもう一つの疑問は、毒を出すことだけを考えて、入れることを無視している向きがほとんどのようだ。毒素を排泄しているから大丈夫と、ますます毒物を多く入れることになっているようだ。これでは、本末転倒である。
有害物質を出すことを考える前に、入れないことに意識を向けるべきだ。有害物質の源は大半が食べ物だ。したがって、食生活を改善することが先決である。食が整えばベースが整う。ベースができた上で安全・有効な排泄方法を行えば、体内環境が浄化され、健康レベルが上がる。疲労は少なくなる。病気があれば改善しやすくなる。そのような条件で体内浄化を行うなら大きな意味がある。
体内浄化の筆頭にあげられるのは、「布海苔」である。布海苔は腸内を浄化し、血管内を浄化し、血液を浄化し、臓器や関節の組織内を浄化する。その結果、腸のぜん動が活発化して便通がよくなり、大腸内の悪玉菌が減って善玉菌が増える。肝臓、腎臓、心臓など器官全般が向上する。血管や関節が柔軟になり強靭になる。とくに肝臓機能が向上し、血中脂質は安定し、高血圧は下がり、高血糖は下がる。そして胃内のピロリ菌は消え、結石も消える。結石は胆のう、腎臓、肝臓、膀胱など、どこにあっても消えていく。じつに布海苔は万能デトックス食品である。
なぜ布海苔が石や菌を追い出すのか
布海苔を食べて結石が消えるのは、塩の結晶が濃塩水の中では大きくなり真水の中では溶けて消えていくのと同様の原理である。布海苔が石を溶かすのではない。布海苔によって肝臓・腎臓の機能が上がり血液が浄化されるため、石が自然に溶けていく。胆のうや腎臓に老廃物で濃度が高くなった体液が滞っていると、これが一部固まって核ができると、そこヘコレステロールやカルシウム結晶などが結合して大きな塊を作る。ところが、血液がきれいになり体液がきれいになってスムーズに流れていれば、胆のうや腎臓などで結晶化した塊は溶けて流れていくのである。
布海苔を食べてピロリ菌が消えるのは、主にフコイダンの作用だ。フコイダンが胃に入ってくると、胃壁の中に潜んでいるピロリ菌は、中から出てきてフコイダンを食べようとする。胃の中の食物は2~4時間で処理されて十二指腸に送られる。このとき、ピロリ菌も一緒に送られて、腸に入ったところですべて死滅する。
布海苔に含まれる成分はビタミン、セレニウム、ゲルマニウム、タウリン、フコイダン、フノラン(硫酸多糖類=食物繊維)など。とくにフノランは、強肝作用、抗癌作用、抗ウィルス作用、免疫力増強作用があるといわれている。セレニウムは強力な抗酸化作用、ゲルマニゥムは抗ガン作用があるとされる。布海苔の成分はまだ未解明のものが多い。多くの成分の相乗作用で、多様な効能が発揮されるのであろう。
昔から布海苔を食べて結石、肝臓病、心臓病、関節炎などが治ったという例が数多くあるのは事実である。長い人類の歴史の中で、自然界にある植物は多くの人々の体験を経て、今日に伝えられ残ってきた。膨大な人体実験の結果である。部分的な分析結果より、はるかに信頼できる。
布海苔は主に3種類、ハナフノリ、マフノリ、フクロフノリがあるが、効果はほぼ同じだ。よく食用にされるのはマフノリである。
広範囲に活用されてきた布海苔の歴史
中国の明の時代、1596年頃刊行された古典『本草綱目』に、布海苔は「体内の余分な水分や毒素、腫瘤(しこり)などを溶かす」と書かれている。昔から食用にも薬用にも使われていたようだ。
布海苔は海藻の中でも特異な存在だ。味が淡白で、料理素材としても使いにくいというイメージがあり、食用としてはあまり広く利用されていなかった。北海道、東北、九州、沖縄の一部では、昔から日常的に食事に取り入れられていたようだ。
現在、最も多く用いられているのは、そば打ちのつなぎである。布海苔をつなぎに入れると、弾力が増して食感がよくなる。
昔は布ののりづけ、大津壁(土壁)の糊料(つなぎ)、洗髪、びん付け油の原料、陶磁器の釉薬原料などに多く使われてきた。現在も、一部では利用されている。
[食べ方]
- サラダ
水にさっと短時間(数秒)くぐらせて、野菜サラダに混ぜる。 - 味噌汁の具
乾燥状態のまま味噌汁のお椀に入れる。 - 煮物
水分を少なくして、ぱらっとした状態に煮る。 - 酢のもの
- あんかけ
- 寒天の代用
食べる量
効果を期待するなら、1日に5~20g(乾燥重量)食べる。体質や症状の程度によって量を加減するが、多いほど効果が早く現れる。多量にとる場合は、鍋で布海苔を煮て、スープ状のものにしょうゆや梅醤などで味付けして、一気に飲むのがよい。