ニキビではどんな薬が処方される?
過剰な皮脂分泌やホルモンバランスの崩れ、ストレスなど、ニキビができる要因はさまざまです。ニキビにはスキンケアが大切!と化粧水で保湿するなどセルフスキンケアで努力してもなかなか治らないときには処方薬を使ってみるのも良いでしょう。
皮膚科などで処方されるニキビ治療薬について、その効果や副作用をまとめてみました。
皮膚科で処方されるニキビ治療薬①ダラシンTゲル(外用薬)
ダラシンTゲルは、皮膚科で処方されるニキビ治療薬の中で最もオーソドックスな種類です。ここでは、ダラシンTゲルの特徴や効果、ニキビへ作用するメカニズムなどについてご紹介していきます。
■ダラシンTゲルは多くの皮膚科で取り扱われている抗生物質の一種
ダラシンTゲルはリンコマイシン系の抗生物質であるクリンダマイシンを主成分とする外用薬で、ほとんどの皮膚科で取り扱われているニキビ治療薬です。
皮膚科の中には、ニキビ治療に力を入れているところもあれば、そうでないところもあります。ダラシンTゲルは後者の皮膚科でも取り扱われており、ニキビ治療の第一選択的な位置づけにあるといっても過言ではありません。
日本皮膚科学会による尋常性痤瘡治療ガイドライン2016より引用
炎症性皮疹(中等症から重症)に,クリンダマイシン1%/過酸化ベンゾイル 3% の配合剤を強く推奨する.
■ダラシンでニキビが治るメカニズム
ダラシンTゲルには、ニキビの原因菌を殺傷し、繁殖を抑える作用があります。ニキビの原因菌がいなくなればニキビの炎症は鎮まるので、ニキビの悪化を防ぎながらニキビを治していくことが可能です。
■炎症の起こっていないニキビには効かない
ダラシンTゲルでは炎症を抑えてニキビを治していくため、効果があるのは炎症を伴う赤ニキビと黄色ニキビのみです。炎症を伴わない初期の白ニキビや黒ニキビには効果がないため、塗布しても改善は見込めません。
また、炎症によって傷ついた肌機能を回復させる効果もないので、ニキビ跡を改善させることもできません。
■ダラシンTゲルはニキビの応急処置として使用するのが正解!
上記でご紹介したように、ダラシンTゲルは炎症の起こっているニキビのみに効果を発揮します。初期ニキビやニキビ跡、ニキビの予防には効果が期待できないので、慢性的なニキビ肌の方には不向きなニキビ治療薬といえるでしょう。
長期的に塗り続けるのではなく、あくまでも悪化したニキビの炎症を抑えるための応急処置として塗布しましょう。
皮膚科で処方されるニキビ治療薬②ディフェリンゲル(外用薬)
ディフェリンゲルは、2008年に認可されたばかりの比較的新しいニキビ治療薬です。現在はほとんどの皮膚科で取り扱われており、日本のニキビ治療に一種の革命を起こしたニキビ治療薬といえます。ここでは、ディフェリンゲルの特徴や効果、ニキビへ作用するメカニズムなどをご紹介します。
■世界で一番有名なニキビ治療薬
ディフェリンゲルはレチノイドを主成分とする外用薬です。ディフェリンゲルというのは商品名で、一般名はアダパレンといいます。
ディフェリンゲルは、ニキビ治療の世界標準となっている薬です。日本では2008年の10月に認可されたばかりですが、欧米ではそれの数年前にすでに認可されており、2016年現在では世界80カ国で使用されています。
日本皮膚科学会による尋常性痤瘡治療ガイドライン2016より引用
アダパレンは面皰改善に効果の高い効果的な薬剤であり,毛包上皮の角化を正常化させ,新たな面皰の形成を阻害する.これにより面皰に引き続き生じてくる炎症性皮疹も予防することができる.さらに,アダパレンは直接的な抗炎症作用を持つことが知られている.
■ディフェリンゲルでニキビが治るメカニズム
ディフェリンゲルには、表面の肌細胞が角質化するのを阻害する作用があります。ニキビは、毛穴付近の肌細胞が角質細胞へと変化することで引き起こされる症状です。ディフィリンゲルを塗布すれば、肌細胞の角質化が防がれることでニキビの生成を抑制することができ、ニキビの予防・改善につながります。
ニキビの生成過程において作用する薬なので、抗生物質の効かない白ニキビや黒ニキビといった初期ニキビにも効果的です。
■ニキビが治っても油断禁物!ディフェリンゲルには副作用がある
ディフェリンゲルには、副作用があります。塗布後、皮膚にヒリヒリとした痛みや刺激、赤みや痒み、乾燥が出ることがあり、酷い場合には皮膚トラブルにつながることもあります。安全にニキビを治していくためにも、使用の際には医師に指示された用法・用量を守るようにしましょう。
■妊婦さんは要注意!薬の副作用によるお腹の子供への影響
ディフェリンゲルは、ビタミンAの一種です。ビタミンAを妊娠中に過剰摂取すると、お腹の子どもに悪影響が及んでしまうことがあるため、妊娠中の方がディフェリンゲルでニキビ治療を行う際には、必ず皮膚科の専門医に相談してください。胎児に影響を与えない用法・用量をアドバイスしてもらえるはずです。
■ディフェリンゲルで初期ニキビを緩和させながらニキビ予防!
上記でご紹介したように、ディフェリンゲルでは、白ニキビや黒ニキビといった初期ニキビの悪化を防いだり、新しくニキビができるのを予防したりすることができます。ただし、炎症を抑える作用はないため、赤ニキビや黄色ニキビなどの重度のニキビに悩まされている方には不向きなニキビ治療薬といえるでしょう。
慢性的なニキビ肌の方、初期ニキビが悪化するのを防ぎたい方におすすめのニキビ治療薬です。
皮膚科学会では①ダラシンTゲルと②ディフェリンゲルの併用を強く推奨
上記で紹介したダラシンTゲル(成分:クリンダマイシン)とディフェリンゲル(アダパレン)は炎症を起こした赤ニキビの治療には併用することを強く推奨されています。
ダラシンTゲルのもつ外用抗菌薬としての作用と、ディフェリンゲルがもつ抗炎症作用が炎症を起こしたニキビに効果的であるとされているためですね。
そのため、炎症を起こしたニキビの場合は主にこの組み合わせで処方されると思われます。
日本皮膚科学会による尋常性痤瘡治療ガイドライン2016より引用
炎症性皮疹(軽症から重症)に,アダパレン 0.1%ゲルと外用抗菌薬の併用を強く推奨する.
皮膚科で処方されるニキビ治療薬③ベピオゲル(外用薬)
アメリカのニキビ治療の第一選択となっているのが、ベピオゲルです。日本では一部の皮膚科で取り扱われており、健康保険も適用されます。ここでは、ベピオゲルの特徴や効果、ニキビへ作用するメカニズムなどについてご紹介します。
■ベピオゲルの主成分はアメリカ版プロアクティブの主成分と同じ!
ベピオゲルは、過酸化ベンゾイルを主成分とする外用薬です。日本では、2015年の4月に認可され、一部の皮膚科で取り扱われています。健康保険適用で処方してもらうことができるので、費用もそれほど高くありません。
なお、ベピオゲルの主成分である過酸化ベンゾイルは、世界的なアクネケアブランドであるプロアクティブのアメリカ版商品の有効成分としても使われています。
■ベピオゲルでニキビが治るメカニズム
ベピオゲルでは、殺菌作用とピーリング作用、このふたつの作用によってニキビを改善へと導きます。
殺菌作用では、ニキビの原因菌を死滅させることで炎症を抑え、ニキビの治りをスムーズにします。原因菌が繁殖しにくくもなるので、ニキビの予防にもつながります。
ピーリング作用では、ニキビのできている古い角質を剥がすことで、新しい肌の生成を促し、ニキビの治りを早くします。古い角質はニキビの原因菌の餌でもあるため、それが肌から取り除かれることによって、ニキビの原因菌の繁殖抑制にもつながります
■長期にわたって繰り返し使えるニキビ治療薬
何度も同じ薬を使い続けると、段々と効き目が悪くなってくることってありますよね。これは薬の成分に慣れてしまった耐性菌によるものです。
その点、ベピオゲルは、耐性菌が発生しません。ベピオゲルの主成分である過酸化ベンゾイル製剤は、フリーラジカルを発生させることでニキビの原因菌を死滅させます。繰り返し塗布を続けても耐性菌が出現しないため、長期にわたって持続性のある効果が期待できるのです。
■使用者の4割の何らかの症状が!?ベピオゲルの副作用
ベピオゲルには副作用があります。国内の臨床試験の結果では、約40%の患者に何らかの副作用がみられたといいます。過酸化ベンゾイルの主な副作用としては、皮膚の剥がれ、乾燥、刺激感、痛み、赤みなどがあげられます。悪化すると肌トラブルにもつながりかねないため、使用の際には皮膚科医のアドバイスのもと、用法・用量を守るようにしてください。
皮膚科で処方されるニキビ治療薬④ミノマイシン(内服薬)
多くの皮膚科でニキビ治療の内服薬として処方されているのが、ミノマイシンです。アメリカのファイザー社によって開発された薬で、ニキビの原因菌が増殖するのを効果的に抑えることができます。ここでは、ミノマイシンの特徴や効果、ニキビへ作用するメカニズムについてご紹介します。
■幅広い細菌に有効な抗生物質の一種
ミノマイシンは、テトラサイクリン系抗生物質のミノサイクリン塩酸塩を主成分とする内服薬です。ミノサイクリン塩酸塩には幅広い種類の細菌に有効な抗生物質で、ニキビの原因菌であるアクネ菌にも有効です。粒状、錠剤、カプセルの3種類があり、ニキビの症状に合わせて一日1個~4個を服用します。
■細菌の増殖を抑え、ニキビの治りを早くしてくれる
ミノマイシンを服用すると、ニキビの原因菌が増殖する際に必要となるたんぱく質の合成を阻止することができます。これにより、ニキビの原因菌の数は段々と減少。炎症の治りが早くなり、ニキビの改善につながります。
■ミノマイシンは耐性菌を生みやすい
ミノマイシンを飲み続けていると、段々と薬の効果が薄くなってくることがあります。これは、ミノマイシンの作用に慣れてしまった耐性菌によるものです。
耐性菌のリスクを低減させるためには、医師のアドバイスのもと、用法・用量を守って服用することが大切です。自己判断で薬を飲むのをやめたり、薬の量を増やしたりするのはやめましょう。
■服用する前に知っておくべきミノマイシンの副作用
ミノマイシンを飲むと、副作用が出ることがあります。ミノマイシンの主な副作用としては、めまい、頭痛、肝機能障害、血液障害、ビタミンB欠乏症、ビタミンK欠乏症などがあげられます。
ミノマイシンの服用中に副作用と思われる症状が出た場合には、ただちに服用を中断し、医師に相談するようにしましょう。
■ミノマイシンと乳製品の同時摂取に要注意
牛乳やヨーグルトなどの乳製品とミノマイシンを一緒に摂取すると、乳製品に含まれるカルシウムがミノマイシンの成分と結合。有効成分の吸収率が低下して、薬の効き目が悪くなってしまいます。ミノマイシンで効果的にニキビを治療するためにも、ミノマイシンと乳製品の同時摂取は避けるようにしましょう。
■ミノマイシン④もディフェリンゲル②との併用を推奨されている
ミノマイシンは内服抗菌薬としてニキビへの処方を推奨されていますが、これも外用薬のディフェリンゲルとの併用を強く推奨されています。
併せて使用することにより効果が高いとされていますが、前述のとおりミノマイシンは耐性菌が生まれるリスクを避けるため長期間の服用ができません。処方されたぶんを飲みきったらその後はしばらく飲むことができないということを覚えておきましょう(再開は医師の判断)。
日本皮膚科学会による尋常性痤瘡治療ガイドライン2016より引用
炎症性皮疹(中等症から重症)に,アダパレン 0.1%ゲルと内服抗菌薬の併用を強く推奨する.
皮膚科で処方されるニキビ治療薬⑤ビタミン剤(内服薬)
皮膚科では、ビタミン剤もニキビの治療薬として処方されています。ニキビ治療に使用されているビタミン剤は、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンCの3種類が主です。ここでは、各ビタミン剤の特徴や効果、ニキビへ作用するメカニズムについてご紹介します。
■ニキビの原因となる皮脂の過剰分泌を抑えてくれるビタミンB2
脂質を摂り過ぎている人や体質的に皮脂の分泌が盛んな人の場合、顔の皮脂分泌が過剰になりやすく、ニキビの原因菌の繁殖を招きます。
そこで、ビタミンB2です。ビタミンB2には、脂質の分解をサポートする働きがあり、脂肪の代謝がスムーズになるため、身体の中から顔の皮脂分泌が過剰になるのを抑制することができます。ニキビの原因菌の繁殖を防ぐことができるので、ニキビの治りが早くなるのはもちろん、ニキビ肌の改善にもつながります。
■ターンオーバーを活性化させてニキビの治りを早くするビタミンB6
ビタミンB6には、肌の再生周期であるターンオーバーを促進させる働きがあります。ターンオーバーが促進されれば新しい肌が生成されやすくなるため、ニキビの治りがスムーズになります。ニキビ跡の改善にも役立ちますよ。
また、ビタミンB6には、女性ホルモンのバランスを整える効果もあります。女性ホルモンは、美しい肌の維持に必要不可欠なホルモンです。ビタミンB6によって女性ホルモンのバランスが整えば、肌に栄養が行き届きやすくなり、ニキビの予防・改善はもちろん、弾力とハリのある美しい肌を手に入れることにもつながります。
■皮脂の過剰分泌、炎症、ニキビ跡、美肌、すべてに有効なビタミンC
ビタミンCには、抗酸化作用によってニキビの炎症を抑える効果、ニキビの原因菌の餌となる皮脂の過剰分泌を抑える効果、肌のコラーゲン生成を促してニキビ跡を目立たなくする効果、色ニキビ跡の色素沈着を還元する効果などがあります。
服用するだけでニキビの予防・改善はもちろん、ニキビ跡の予防・改善も見込めることから、多くの皮膚科でニキビ治療薬として処方されています。
取り扱っているニキビ治療薬は皮膚科によって異なる!
ニキビ治療は今回ご紹介した薬は以外にも、様々な治療法があります。薬についてはどんなニキビ治療薬を取り扱っているかは皮膚科によって異なるため、希望のニキビ治療薬がある方は、事前に皮膚科へ問い合わせて確認しておきましょう。
ニキビ治療薬の種類で健康保険が適用されるかどうかも変わってくるので、その点についても確認しておくと良いでしょう。