2013年01月30日

有史以前から人間の陰毛に寄生してきたケジラミがここに来て姿を消そうとしている。小さいカニのような姿をしたこの吸血性害虫の減少には、専門家いわく陰部の脱毛、とりわけブラジル人の7人姉妹が始めたニューヨークの美容サロンから広まった「ブラジリアン・ワックス脱毛」が関係している。

 ◆ここから始まった

 ニューヨーク5番街にほど近い美容サロン「Jシスターズ」。ジョニー・パディーヤさんをはじめ、Jから始まる名前ばかりのブラジル人姉妹7人が経営する同サロンこそ、ケジラミ戦争のゼロ地点といえそうだ。ワックス脱毛とは温めた専用ワックスを脱毛部に塗り、冷えて固まってから接着した毛とともに引きはがす手法で、ブラジリアン・ワックス脱毛はビキニラインより内側に施して陰毛を処理する。

 ブラジル沿岸部で生まれ育ったパディーヤ姉妹は、流行とともに体を覆う面積がどんどん小さくなるビキニ水着をビーチで披露するため、日常的にワックスを使って陰毛を処理していた。同サロンでも1994年からブラジリアン・ワックスとしてメニューに取り入れたところ、米女優、サラ・ジェシカ・パーカーさんなどの有名人を通じて広まったという。

 豪シドニー大学でセクシュアル・ヘルスを研究するスプリング・クーパー・ロビンス講師によれば、ブラジリアン・ワックス脱毛が流行し始めたのは、パーカーさんの出演する米人気テレビドラマ「セックス・アンド・ザ・シティー」などの影響で注目されるようになった2000年代初めだ。
 Jシスターズでは男女合わせて1日当たり約200人に陰部の完全脱毛、もしくはデザインされた形を残す脱毛を施術しており、料金は1回当たり75ドル、常連客はほぼ4週間ごとに来店する。ジョニーさんは「26年前の開業当時は脱毛で成功するとは思わなかった。良好な衛生状態を保てることや快適さが常連客を引きつけている」と話す。

 欧米では陰部の脱毛が若者を中心に浸透しており、米国の大学生の80%以上が一部または全部を脱毛しているとの調査報告もある。米ケニヨン大学の研究者らが11年に発表した論文によると、米国とオーストラリアの大学生の過半数が陰部を脱毛しており、同年10月に発表された調査会社ミンテル・グループのリポートによれば、25~34歳の米国人の7人に1人が体毛のワックス脱毛を経験していた。

 英国では05年の調査で17歳以上の女性の99%が脇や足、陰部を脱毛していることが示されている。こうした背景の下、オーストラリア・シドニー最大のセクシュアル・ヘルス外来では08年以降、女性のケジラミ症例はゼロで、男性の症例数も約100年前に比べて約80%減少した。

 豪ニューサウスウェールズ大学(UNSW)カービー研究所のセクシュアル・ヘルス部門責任者でシドニー・セクシュアル・ヘルス・センター(SSHC)の医師、ベイジル・ドノヴァン氏は「ケジラミ症は以前はかなり一般的だったが、今ではほとんど見かけなくなった。陰毛が以前よりずっとよく手入れされるようになったのは間違いない」と指摘する。
陰毛部の手入れをする習慣が広まったことで、脱毛商品の売り上げにも拍車がかかっている。英市場調査会社ユーロモニター・インターナショナルの調べによると、脱毛商品の世界市場規模は昨年46億9000万ドル(約4260億円)に達し、売上高は過去10年間に年平均7.6%のペースで伸びた。米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、英レキット・ベンキーザー、米エナジャイザー・ホールディングスの日用品メーカー大手3社が脱毛商品市場を独占しており、市場規模は16年までに56億ドルに達する見通しだ。

 ◆産卵場所奪い駆逐

 英国のセクシュアル・ヘルスおよびHIV感染症コンサルタント、ジャネット・ウィルソン氏は、数年前から性感染症の罹患(りかん)率が増加しているにも関わらず、ケジラミ症の症例が減少していることを認識し、陰部の脱毛人口の増加が関係していることを見抜いていた。同氏が勤務する英国北部リーズ・ゼネラル・インファーマリー尿生殖器医学科でも、陰部を脱毛している患者が増えていたからだ。

 ウィルソン氏らは06年の医学誌への投稿で、ブラジリアンと呼ばれる脱毛施術を受けた患者の増加を指摘している。ウィルソン氏によると、この施術をまず初めに取り入れたのは男性と性交渉を持つ男女で、現在は異性愛者の男性にも普及してきたという。

 同氏らは現在、患者記録を分析して脱毛によるケジラミ症罹患(りかん)率への影響を調査しており、最新の結果は5月の医学会で報告する予定だ。同氏によると「ケジラミの生育環境は次々と破壊されており、絶滅危惧種に近づきつつある」という。
メスのケジラミは1回の交尾で死ぬまで毎日産卵することができ、孵化(ふか)後はすぐに吸血し始めるが、産卵場所がなくなると死亡する。シドニー・ウェストメッド病院の医学昆虫学部門の責任者、リチャード・ラッセル氏に言わせれば「生育場所の破壊は効果的な駆除手段」となっているようだ。(ブルームバーグ Jason Gale、Shannon Pettypiece)


香港で起業した日系ブラジル人は、事あるごとに当地の文句を言う。特に香港人のせっかちさが、かんに障るようだ。
ブラジル、日本、香港のファストフード店での彼の経験によると、ブラジルは提供スピードは遅いが、注文内容の間違いは少ない。「わざとゆっくり仕事する傾向がある。せかせか動くと、金もうけに熱心な日系人というネガティブな印象を与えるから」だそうな。日本は適度なスピードで間違いもなく二重丸で、香港はというと「めちゃくちゃ速いけど、よく間違える!」らしい。それでも、なぜ香港に居るのかとの問いには、「投資のリターンの大きさはやはり魅力的。それがなければ、ここには居ない」とドライな答えが返ってきた。しばしば不調和が生じる駐在員と赴任先の関係。好きになれれば儲け物くらいに軽く構えているのがちょうど良いのかも。


 
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