森の食堂で学ぶ中医学
シミ・デトックス
 

7月21日、『森の食堂で学ぶ中医学-中医学的夏のくらしかた』の第1回目の講座が開催されました。
今回のテーマは【シミとデトックス】。シミの悩みを根本から治す、という中医学の考え方で、体の中からシミの原因を探りだし、その解決法を湯先生がわかりやすくお話ししました。 
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当日の講義テキストを以下にご紹介します。

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中医学の特徴の一つは「弁証論治」でしたね。表面に現れている症状だけで判断するのではなく、その原因を解明して(証を判断して)根本から治していくという考え方です。これは全ての病症に対する基本的な対応法となっています。
「シミ」の場合でも、中医学では同様に対処していきます。つまりシミの原因を体内の毒素によると考え、それを取り除くことが根本的な解決法とするのです。毒素を取り除く・・・つまりデトックスがシミに対する最良の予防・治療法ということになります。
そこでまず、デトックスとはどのようなものなのか、ご説明しましょう。
 
≪デトックスとは≫ デトックス【detox】は1970年代のアメリカで研究され始めた考え方です。
【de:取り除く、除去する】と【toxin:毒素】の合成語で、detoxificationは解毒を意味します。体内の有害毒素を排出することで、体内を浄化し健康を増進させるというのが基本的な考え方です。
 
≪日本での流行≫ 日本でもこの近年、体内の有毒物質を排除することが健康や美容、また生活習慣病など現代病といわれるものの予防に有効であるという考え方が広まりつつあります。そして「デトックス」というと、エステ、岩盤浴やゲルマニウム温浴、ヨガやストレッチ、アロマテラピー、腸内洗浄、サプリメント、リンパマッサージ・・・・などなど、様々なものを思い浮かべることでしょう。本当に、こうした方法でなければ体内毒素を取り除けないのならば、多額の費用や多くの時間を使うことも仕方ありませんね。しかしこれは誤った考え方というべきでしょう。  
≪本当の毒出し≫ 本当の意味で体内の毒を取り除くには、現代社会が作り出した悪い生活習慣を改める事が最も重要な基本なのです。特に飲食の習慣、食物の選び方や組み合わせ方を正しくすることが、現代病・生活習慣病を根本的に断ち切ることに繋がります。
私たちが日常手に入れやすい材料で、家庭料理に一工夫加えることで、毎日の食事が「デトックス料理」になる。お金も時間もかからず、誰にでも出来る簡単なことです。
 
≪何が毒か≫  「体内の有害な毒素」というと皆さんは、多くの雑誌や書籍で扱われている、大気汚染や排気ガス、身の回りに増えつつある化学物質(食品添加物や防腐剤、化学肥料、農薬など)のことだと考えられるでしょう。もちろん、こうしたものも「毒」の一部には違いありませんが、現代社会において短時間で、また個人の力で解決できる問題ではありません。実は、更に多くの「毒」を作り出しているのは、私たちの悪い生活習慣なのです。
多くの日本人は、「栄養価の高いものをたくさん食べていれば健康を維持できる」と考えています。そこで現在の私たちの食卓には、高蛋白、高脂肪、高エネルギーの料理が並び、さらに各種の栄養補助食品、サプリメント、ビタミン剤などが所狭しと置かれています。これだけのものを摂取した後、もし適度な運動や肉体的な労働で有効利用されないと、これらは最終的に脂肪のかたちで体内の各器官や血管壁などに蓄積されてしまいます。そして新陳代謝を妨げ、現代病の原因となります。例えば肝臓に脂肪が蓄積されると、脂肪肝を形成して肝機能障害を引き起こし、血管壁に蓄積されると、動脈硬化、臓器の貧血の原因となり、また消化器官に蓄積されると、消化吸収が順調に行われず便秘などの症状が現れるという具合です。
 
≪「栄養」とは≫ 栄養学の観点でいうと、「人体を構成する蛋白質と同じか相似した食材・食品が最も栄養価値がある」ということになります。ただし人体の蛋白質は非常に複雑な構造で、各組織細胞によってその構成も異なっていて、現在でもすべての細胞の構成が解明されているわけではありません。人体の細胞の蛋白質はおおよそ数十種から百種以上のアミノ酸とビタミン、ミネラル、酵素などによって作られています。人類が進化してくる中で、ほとんどのアミノ酸は体内で食物から合成できるようになりましたが、現在わかっているだけでも8種以上のアミノ酸は体内で作り出すことは出来ません。どうしても自然界の中の食材から直接摂取しなければならないのです。この材料が欠けては、蛋白質は作られなくなってしまいます。
テーブルを作ることを例に考えてみましょう。主要な天板や脚は充分に揃っていても、ビスが一つ欠けていたら、テーブルを作ることは出来ません。小さなビス一つなくても、全体としてテーブルの役には立たなくなってしまいます。使えなくなった天板や脚は倉庫にしまっておく他ありません。そして何時の日か、ゴミとして廃棄せざるを得なくなるでしょう。
 
≪「毒」の正体≫ 人間の体内の細胞組織は、テーブルよりはるかに複雑です。もし体内で蛋白質を作るアミノ酸の一つが欠けていたら、その他の多くのものはテーブルの天板や脚と同様、ゴミとなってしまいます。このゴミが体外に排出されれば良いのですが、体内の器官に蓄積されると、長い間に組織・器官の機能障害の原因となってしまいます。これが現代病・生活習慣病を引き起こす主要な要因となるのです。
もうお分かりだと思いますが、現在の私たちの最大の「毒」は、私たち自身が作り出しています。生活習慣、特に飲食の習慣を改善することが、体内のゴミ(毒)を取り除く、本当の意味でのデトックスといえるのです。

デットクスの本当の意味がご理解いただけたら、次にシミについてお話しすることにしましょう。

 
≪シミの原因≫ 細胞組織の末梢の循環が阻害されて細胞が死んだ状態になると、メラニンが増えてシミが出来ることになります。顔面部の皮膚は薄く、毛細血管も多く密集していますので、シミが出来やすい部位といえます。
皮膚の色は基底層にある色素細胞で作られていますが、ある程度の炎症が起こると基底層とその下の真皮とを隔てている組織(基底膜)が壊れ、表皮に渡されるべきメラニン顆粒が真皮に落ちます。真皮に落ちると、もう垢となって表皮から落ちることは出来なくなりメラニン顆粒を食べる細胞(メラノファージ)が処理してくれるのを待つことになります。メラノファージは少数であるためメラニン顆粒がたくさん落ちると色が取れるのに年単位の期間が必要になります。これがシミとして残ってしまうのです。
シミが作られる原因としては次のようなものがあります。

1.過度の日光浴
過度に太陽の紫外線を浴びるのが、シミができる最大の原因といえます。普通は太陽に当たりすぎてメラニンが溜まっても、新陳代謝によって取り除くことができますが、新陳代謝の活動が弱い人やお年寄りはメラニンが取り除けずシミができてしまいます。肌に皺やシミができるのは光老化によるのがほとんどといえます。夏、猛烈な陽射しに長時間晒されていると、肌の色は次第に濃くなり、次第に色素が溜まってシミが形成されます。外出時には日傘や帽子のほか、日焼け止めなどで肌を守るようにしなければなりません。

2.化粧品や薬品の誤った使い方
自分に合っていない化粧品を使うと皮膚が過敏になってしまいます。多くの化粧品は金属成分が多く含まれ、こうした化学成分は光を吸収する作用があります。鉛や水銀などの化学金属成分や香料が添加されている化粧品を長く使い続けると肌に黒いシミができやすくなってしまうことがあります。また、長時間厚化粧で肌を覆っていると皮膚呼吸ができず、きれいに洗い落とさないでいると化粧品中の色素や有害物質が皮膚の表面に残ったり、皮膚に滲み込んだりしてしまいます。これらはすべて、色素を溜め込む原因となってしまいます。まさにお肌には大敵というべきです。
【過度の美白】
『色の白いは七難隠す』と言われるように、女性が白い肌に憧れるのは当然といえます。しかしご存知でしょうか、過度の美白は皮膚を損ないシミを作る機会を増やしているということを!肌を白くしようとして小まめに肌を磨いたり、化学的に肌の表面を削ったりする人がいます。皮膚の表面にある角質層は取れば取るほど良いと思われるかも知れませんが、実際には度を過ぎると光に対して敏感になり乾燥しやすくなってしまいます。ちょっと太陽に当たっただけでも湿疹ができたり、色素が溜まりやすくなってしまいます。美白は大事でしょうが、程度問題ということを忘れないようにしましょう。
【キレイ好きは良くない?】
ずっと家にいる家庭の主婦は「黄顔おばさん」と呼ばれます。彼女たちは皆、ロウのような顔色で黄色いシミに覆われています。これは私たちが普段使っている多くの生活用品が皮膚を損傷しているためなのです。洗濯洗剤、家庭用洗剤、トイレ洗剤、漂白剤などは、アルカリ、脂肪酸が主要成分です。これらの製品は汚れを落とすと同時に皮膚を傷つけてしまいます。長時間こうした製品を使っていたり、きれいに洗い落とさないでいると、顔に黄色いシミがついてしまいます。こうして「黄顔おばさん」ができあがるというわけです。ですからキレイ好きな女性たちは、皮膚をキレイにすることも決して手を抜いてはいけません。さもなくば必ず後悔することになりますよ。
【皮膚に溜まる色素】
皮膚に色素が溜まるとき、その原因によってさまざまな色になります。人体に関しては2種類の色素があります。
一つは人体が自分で作り出す色素で、皮膚に存在するメラニン細胞が作り出すメラニンなどです。メラニンは皮膚のどの深さにあるかによって現れる色は変わってきます。表皮部分にあれば黒や褐色となり、真皮の浅い部分ならブルーグレー、真皮の深い部分なら青になります。このグループの色素には他に脂色素、胆色素などがあります。
もう一つは外来の色素で、カロチン血症用薬品(アクリナミン・アデブリンなど)や使用期限が過ぎて劣質した化粧品に含まれる鉛、水銀、ヒ素などによる金属中毒、その他、刺青、土埃、車の排気ガス、鉄くずなどが皮膚に付着したものなどです。
また、皮膚に外傷があるとき粉塵やインクなどの異物が傷口から入ったとき、ヨードチンキ、ゲンチアナバイオレットを使用したとき、醤油やコーヒーなど色素を含んだ食物を食べ過ぎたとき、これらはいずれも色素が溜まりシミの原因となります。

3.ストレスも
ストレスを受けるとアドレナリンが分泌されて、その圧力に対抗しようとします。長い時間ストレスを受け続けると体内の新陳代謝のバランスが崩れ、皮膚に必要な栄養が届かなくなります。色素母細胞の活動も活発になります。偏食や睡眠不足など不適切な生活習慣もまたメラニンを増加させます。睡眠時間が不規則な人は皮膚の代謝率も悪くメラニンの形成に影響を与えます。

4.ホルモン分泌の異常
女性ホルモンは、メラニン細胞の分泌を刺激してシミを作る原因となります。服薬中にシミができ、服薬を中止したら治まったとしても、皮膚には長時間留まっています。妊娠中の女性は女性ホルモンが増加し、妊娠4~5ヶ月からはシミが出やすくなります。このときのシミは産後大部分は消えてしまいます。ただし新陳代謝が正常でないと、強い紫外線に当たったりストレスなどによってしみが酷くなることがあります。妊娠中のシミが産後も消えなかったら注意が必要です。
女性ホルモンを長く服用している女性の9~20%が黄褐斑(肝斑)を発症しています。生理不順の治療に常用している人の中で、甚だしい場合は1ヶ月くらいで顔面にシミができることがあります。その他、高血圧や糖尿病の薬も黄褐斑を発症させやすくします。

5.その他の原因
慢性肝炎や結核などの慢性病はチロシナーゼを活性化させメラニンを増加させます。卵巣機能が衰えている時もシミが出ます。新陳代謝や内分泌の失調で過敏になっている状態では色素の問題も大きくなります。また、メラニンを取り除く機能が弱っていると、いったんはメラニンを排出しても長い間に顔面に黄褐斑が発症します。
便秘もまたシミの原因となります。実際には内分泌の失調による過敏体質がシミを作るのです。体の調子が悪い時に紫外線に当たるのもシミの形成を加速させます。

 
≪シミの予防≫ 1.シミの発生は病気、特に婦人科系の病気に関係しています。乳腺の増加や生理痛、生理不順などはすぐに治療することがシミ発生の根本的予防といえます。

2.睡眠と飲食も皮膚にとって重要です。特に睡眠は大事です。せめて10分間、眼を閉じて休むだけでも良いでしょう。体内の酸素と水分が足りていれば、皮膚は艶やかでいられます。水分や果物を充分に摂り、また卵や肉などの良質の蛋白質は肌の肌理を美しく保たせます。
夏には適度な糖分も補充しなければなりません。肝・腎・脾などの臓器は糖分を必要としますので、これらの器官が健康であれば、艶やかな黒髪と潤いのある肌を保つことができるのです。

3.皺やシミの主要な原因は陽射しによるものです。ですから若い人は帽子や日傘、日除けクリームなどで陽射しから身を守るようにしなければなりません。注意しなければならないのは、長時間日に当たる場合、紫外線防御指数(SPF)が高い製品は使わないようにすることです。一般的にはSPF15あれば充分なので、SPF30以上の製品なら2~3時間で洗い落とすようにします。こうした高指数の製品は皮膚に刺激作用があるからです。

 
≪できるだけ
避けたい食物≫
1.色の濃い食物
色の濃い食物には気をつけなければいけません。牛乳や卵、豆腐、白身魚といった色の薄い食物は、メラニンを排出するのが簡単なので内臓の負担を軽くすることができます。色の濃い食物は少なめにし、濃いお茶やコーラ、コーヒー、チョコレートなども控えめにします。
色の濃い食物には、赤米、黒豆、小豆、青豆、黒胡麻などのほか、烏骨鶏、牛肉、羊肉、豚レバー、スッポン、赤身魚、ナマコ、野菜類ではホウレン草、紫キャベツなどがあります。

2.揚げ物
揚げ物が好きな人は多いようですが、食べすぎると大きな被害を被ることになります。太りやすいというだけでなく、揚げ物に含まれる酸化物は肌の老化を加速させます。ですから、できるだけ控えめにして、どうしても食べたいなら、カボチャやバナナ、ニンジン、全粒パン、ピーナッツ、ゴマ、玄米などビタミンEを多く含む食物を先に食べて、老化を予防するようにします。

3.感光野菜
銅、鉄分、亜鉛などの金属元素を多く含む感光類野菜は、肌を黒くしやすいものです。これらの金属元素は、メラニンの生成と増加に直接・間接に関係するタイロシンなどを活性化させて、紫外線の影響を受けやすくしてシミを作る原因となるのです。したがって、適量食べるようにしなければなりません。
一般的に言って、発散させる作用のある辛いものや特殊な風味のある野菜の大部分は感光野菜に属しています。

4.感光類果物一覧
レモン、キュウリ、メロンなどや、基本的に柑橘類は感光類に属します。こうした果物を食べた後は陽に当たるのを避けるか、夜に食べるようにします。こうした果物を夜食べると、大きな美肌効果があります。夏の盛りには、キウイ、イチゴ、トマト、キャベツ、ブロッコリーなどを多く食べるようにすると、メラニンが溜まるのを抑え、肌を白くすることができます。

 
≪飲食など≫ 1.毎日、ビタミンCとEが豊富な食物を摂るようにすれば、シミを取り除く効果があります。

2.きれいなナスの皮をしばらく顔に張っておくと、小さなシミを消すことができます。

3.毎日、トマトジュースを1杯飲むとシミの予防効果があります。トマトにはグルタミンが豊富で、これはメラニンを抑制する作用があり、溜まったメラニンを取り除くのです。

4.顔を洗う時、水に小さじ1~2杯の酢を混ぜると、色素が溜まるのを抑えることができます。

5.新鮮なニンジンの絞り汁10~30ccを、毎晩洗顔後に顔に塗り、乾いたら洗い流します。またニンジンジュースを飲むのも美肌効果があります。

6.レモンの絞り汁に砂糖を加えて飲みます。レモンには、大量のビタミンC、カルシウム、リン、鉄分などが含まれていますので、肌を白くするだけでなく、メラニンが溜まるのを防いでしみを取り除く作用もあります。(ただし、夜飲むようにして、食後は陽に当たらないようにします)