加藤哲太(セルフメディケーション推進協議会理事)
2017年04月 更新
(2014年07月 掲載)
夏期に注意したい感染症の一つにアデノウイルス感染症があります。このアデノウイルスは呼吸器、耳鼻咽喉科領域、泌尿器科領域などで多種多様な感染症を引き起こします。その症状は、軽度な風邪程度から重症の扁桃腺炎、肺炎、結膜炎、嘔吐下痢症など様々です。特に夏期にピークをもつのが咽頭結膜熱(プール熱)などです。
アデノウイルスはA~Fの6群に分類され、現在51の血清型が確認されています。この51種類が異なる性質を持っているのでアデノウイルス感染症は、軽度な風邪程度から重症の扁桃腺炎、肺炎、結膜炎、嘔吐下痢症など様々な病気を引き起こすのです(表1)。このうち、アデノウイルス感染症の代表的な疾患に咽頭結膜熱(プール熱)、流行性角結膜炎(はやり目)があります。
| ◆咽頭結膜熱(プール熱) |
| アデノウイルス3型(ほかに7型)の感染で起こります。多くはプールの水を介した発生によるため“プール熱”とも呼ばれています。急な発熱で発症し、食欲不振、全身の倦怠感とともに、咽頭炎、結膜炎を伴います。 アデノウイルスは感染力が強く、咳やくしゃみによる飛沫感染・手や皮膚からの接触感染などによる経口感染で、簡単に感染が広がります。 潜伏期間は5~7日で、発病から1週間ほどで症状は軽くなってきます。症状が出る2日前から他の人へうつります。流行が大きいとプールを一時閉鎖する必要がある場合もあります。 *主要な症状を消失した2日後を経過するまで登校できない(学校保健安全法の第2種学校感染症指定)。 |
| ◆流行性角結膜炎(はやり目) |
| アデノウイルス8型(ほかに19、37型)が原因で、一般に“はやり目”と呼ばれている結膜炎です。ウイルスに感染して1週間前後の潜伏期間を経てから発病します。ほかのウイルス性結膜炎よりも症状は強く、「めやに」や充血、腫れ、痛みも伴います。通常は発病後1週間ぐらいが病状のピークで、その後徐々に改善していきますが、炎症が強い場合には完全に治るまでに数ヶ月かかることもあります。角膜の混濁による視力障害が起き易いため注意が必要です。 *感染の恐れが消失するまで登校できない(学校保健安全法の第3種学校感染症指定)。 |
| 表1. アデノウイルスの臨床病型 | ||||||||||||||||||
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以前は、アデノウイルスの確定診断には症状や病歴、流行状況などから推定し、鼻汁、唾液等からウイルスを分離し抗原の検出をしていました。しかし、最近ではELISA法等を用いた迅速診断キットが出来ています。これは、綿棒でノドや目をこすって採取した検体を材料とするもので、これを試薬に作用させると15~20分程度で判定できます。患者の負担も少なく、早期診断に有効です(血清型の判定まではできない)。
アデノウイルス全般に有効な薬剤はなく、かかってしまったら、対症療法しかありません。
- 高熱は3~5日程度続くので心配ですが、ほとんどの場合は1~2週間程度で完治します。発熱は、一種の体の防御反応です。熱が上がったからといってすぐに、解熱剤など使用せず落ち着いて様子を見ることは何より大切です。この時、配慮することは脱水にならないようにすることです。適切な水分補給を行いましょう。また、嚥下しやすい軟らく喉越しのよい食事をとり、安静を心がけましょう。ただし、病状の急変、水分補給ができない、高熱が下がらない、脱力・憔悴した様子の場合には、速やかに医療機関を受診しましょう。
- 結膜炎の対処法は症状が悪化しないように、炎症を抑えたり、細菌の混合感染を予防する目的でステロイド薬や抗菌薬入りの点眼剤を使用します。点眼時の注意は炎症が片目の場合は症状のある目だけにしてください。また二種類の点眼剤を使用する場合には、必ず間隔を開けて点眼してください。
咽頭結膜熱、流行性角結膜炎、下痢などの症状には、他の病気と鑑別する必要があります。これらの病気には、高い効果を示す治療法がなく、重篤な合併症を起こすことがある病気もあります。
| 表2. 類似症状をもつ疾患 | ||||||
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しっかり治して、人にうつさないことが大切です。
水泳前後のシャワーの励行、目を洗う、プールの塩素消毒などがあります。
| ◆罹患している間は下記の項目を守ってください。 |
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| ◆その他 |
| 夏に子どもに流行しやすい感染症は、集団生活をしている場合は予防しても感染してしまいます。日ごろから、体力をつけ感染し難い体づくりを心がけましょう。そして、罹患しても動揺せずに対処してください。 |