家の壁の色をカラーシミュレーションソフトを使用して選びたいという方が少なからずいらっしゃいます。カラーシミュレーションソフトというのは、パソコンやiPadなどのタブレット端末を使用して、客の家を塗りかえたように編集することで、実際に塗りかえる前に雰囲気や色の好みを確かめる事が出来るソフトです。外壁塗装のカラーシミュレーションを行いたい場合は、ソフトを持っている業者さんにシミュレーションをお願いするか、インターネットで業者さんや塗料メーカーによって公開されているカラーシミュレーションソフトを使用することで体験できます。
外壁塗装後の雰囲気をしるには非常に良いサービスであるカラーシミュレーションですが、シミュレーションを行うのはあくまで結果が表示された画面上であったり、印刷された紙の上であるため、実際の塗装の色味とは異なります。そのことによって後から「シミュレーションした色と全然違うではないか」とトラブルになってしまう事が多々あるのです。
ここではカラーシミュレーションを使っても失敗しない外壁の色の決め方について確認しておきましょう。
カラーシミュレーションとはどのようなものか
まずはカラーシミュレーションのサービス内容について確認しておきましょう(ちなみにカラーシュミレーションではなく、カラーシミュレーションと言います)。カラーシミュレーションアプリは主に二つのパターンがあります。このサイトではそれぞれの特性からアプリタイプと編集タイプと言うことにします。
| アプリタイプ | 編集タイプ | |
| メリット |
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| デメリット |
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パターンから選んで気軽に使えるもの(アプリタイプ)
インターネットで公開されていて、無料で使える物に関しては、全てこちらのタイプのカラーシミュレーションソフトです。iPadやiPhone、Androidなどのアプリもほとんどがこちらです。
いくつかのパターンの家の形から、一つ自分の家に近い雰囲気の物を選びます(一種類しかなく、色を確認するだけのものもあります)。次に屋根の色、2階部分の色、一階部分の色、雨どい、軒天などの付帯部の色などを細かく決めます。このとき、色もパレットで指定されている色から選びます。クリックするだけでぱっと色が変わるので気軽な感じで使う事が出来ます。ちなみに機能はそのカラーシミュレーションアプリによるので、色のパターンが数種類しかない、雨どいの色を変えられないなど物足りない部分が出てくる場合も多いです。
パレットの色はそのまま塗装でも指定できる色になっているので、様々なパターンを試しながら、自分が思った好みの色をそのまま業者さんに伝えて、そのままの色を塗ってもらう、ということも可能です。
実際に塗装する家をベースに編集するもの(編集タイプ)
編集タイプは実際に塗装をする家の画像をパソコンに取り込み、フォトショップなどの画像編集ソフトを利用して、実際に塗る色を再現するというものです。アプリタイプとは違い、気軽に色を試してみる、という事は出来ません。一つ一つ職人さんが手作業で、自然な色合いになるように調整しながら編集するからです。
パターンから選ぶだけのものと違い、実際の家をベースにする場合、家の画像を業者さんに送るか、撮影に来てもらう必要があります。つまり、ある程度任せる気がある塗装業者さんか、工事をしようという意思がある段階でないと編集タイプのカラーシミュレーションは行わない方が良いでしょう。業者さんと関係が悪くなる可能性がありますし、そもそも複数の会社に別々でカラーシミュレーションをお願いしたとしてもほとんど同じようなものが送られてくるのであまり意味がありません。
カラーシミュレーションは業者さんが「このような色にする事が出来ますよー」といって客に雰囲気を伝える営業ツールとして使用する場合が多いので、無料でやってくれるところがほとんどだと思いますが、お願いする気がない場合に編集タイプはお願いしないようにしましょう。
なぜカラーシミュレーションによる色選びは失敗するのか
カラーシミュレーションは外壁塗装後の雰囲気を少し味わいたいという事でしたら是非使いたいものではあるのですが、色選びの大きな材料にしてしまうと失敗してしまう可能性が高いです。必ず別な方法でも色選びのアプローチを行うようにしておきましょう(参考:失敗しない色選び)。
ではなぜ、カラーシミュレーションを使用した色選びは失敗してしまうのでしょうか。それはあくまでカラーシミュレーションが色の雰囲気を知るためだけのものだからです。カラーシミュレーションの力を過信してしまい、カラーシミュレーション上で出てきた色をそのまま業者さんにお願いすると、必ずと言っていいほど別な色の塗料を塗ったような全く別の色になってしまいます。ホームページ上にカラーシミュレーション結果と、塗装後の比較画像を施工実績として掲載している業者さんもいますので探してみてください。シミュレーション結果と塗装後の写真は細部などの色味が全く違う事に気付くはずです。その自分が選んだ色と微妙に違う家に10年以上住まなければならないとすると非常に煮え切らない気持ちになりますよね。
カラーシミュレーションはデメリットや実際の色味との違いなどを理解しながら使わないと失敗のもとです。なぜカラーシミュレーションでは失敗してしまうのか、理由を詳しく見ていきましょう。
見る物によって色は全く変わってくる
色というのは非常にデリケートな物で、全く同一の色というのは同一の環境でない限りは再現できません。例えば、実際の家というのは屋外に有り、太陽の日が当たっていたり、曇りながらも空からの光が当たっていたりします。その状態の家の色と、パソコン上で表示された色や、紙に印刷された色とは全く違うものとなってしまうのです。難しく言えば彩度、色相、明度の色の三要素と呼ばれる全ての要因が全く違うのです。
それなのに業者さんと打ち合わせをする時は屋内で、パソコンの画面に映っているカラーシミュレーションの結果を見て色を決める場合が多いのです。パソコンの画面になるとディスプレイの性能によっても色の見え方はかなり異なってくるので、ディスプレイで色選びをするのは危険ですし、かといって紙に印刷した物でも3色ほどのインクの組み合わせでしかありませんので(一般的なプリンタはマゼンタ、シアン、イエローの3色の組み合わせで色を出しています)、実際の色とは大きく異なります。塗装店の中には大画面で見せるためにプロジェクターなどを使う場合もありますが、プロジェクターを使えばさらにそれを写しているスクリーンや壁の色にも左右されてしまうので、絶対にオススメできません。
「その色を外壁に塗ったらどのような色になるのか」は実際に家にその色を塗らないと分からず、パソコン等で忠実に再現できるものではない、と言う事をきちんと把握しておくことが大事です。実際の色味と違うと言う事をあらかじめ理解しておけば、後々「色がシミュレーションと全く違う」と業者さんとトラブルになる事も少ないでしょう。
カラーシミュレーションの色番号も危険
さらに絶対にやめておいた方が良いのはカラーシュミレーションでみた番号で色の発注する事です。多くのシミュレーションには「赤色」というような色の名前ではなく、外壁塗装の塗料にそのまま使える色の番号が書かれており、その色情報を塗装店で指定すればその色で塗ってもらうことが出来ます。しかし、やはりその色で塗ってもらったとしても、ディスプレイで見ていた色と実際に外壁に塗装した色は同じになる事はありません。雰囲気がなんとなく似ているだけの別の色になります。
「色見本帳やカラーサンプルを見ただけで選ぶのは危険です」とほとんどの外壁塗装業者は言います。それは正しいのですが、カラーシミュレーションで色選びをするという事は色見本でいろを決めるのと同じぐらい危険なのです。「カラーシミュレーションで色選びを行うから安心」という所もありますが、カラーシミュレーションで色選びをする事は必ずしも安心ではないので注意しましょう。
本当の質感がわからない
カラーシミュレーターがどんなに優れた物であったとしても、本当の質感というのは再現できません。つやあり、つや無しなどの光沢は光の当たり具合によって全く変わってきますし、ゆず肌仕上げや凹凸仕上げの模様にはそれぞれ影が存在してこその模様なのですが、それもカラーシミュレーション上では確認出来ません。模様の雰囲気を再現できる場合もありますが、あくまでそれっぽい模様を再現するだけで実際の塗装とは違います。
また、外壁塗装は塗り終わったばかりのきれいな状態の期間(2~3年ほど)よりも、多少汚れてきて次の塗装を行うまで期間(7~8年ほど)の方が長いです。それ故、多少汚れがついたり、少し紫外線で色落ちしてしまった後の質感などを再現することが出来ません。綺麗な状態の外壁を見たいという気持ちはもちろんありますが、汚れが目立たない色、色落ちしても影響がない色を選ぶのは塗装の色選びの基本なので、シミュレーションで真新しい色を見て塗る色決めるという事は避けましょう。
景観や町並みを考慮することが出来ない
どの町にも必ず町並、景観といった大切にしている雰囲気が存在します。極端な例ですと、白い家が周りに多いところで、自分の家だけが真っ赤に塗られている場合、景観を損ねてしまいます。最近は個性がある方が良い、ということで、特徴的な家を望む人も居るのですが、施工した家一つで地域の景観が台無しになった場合、近隣の人との人間関係にも影響が出ます。景観条例といって、市区町村によっては町並を壊さないように家の色を決めないと行けないというルールがある場合があるので、施工地域の景観や町並みを軽視する事は出来ません(参考:景観条例に関する記事はこちら)。
この周りとの統一感、景観に関しては、カラーシミュレーションでは再現できないので(アプリタイプでは特に)、実際の家で周りの家を見ながら考える必要があります。このときに色選びに長けた業者さんと一緒に周りの家も見回りながら考えるとより景観を崩さない色選びが可能になるでしょう。
ソフト代で数十万円の経費が発生している
カラーシミュレーションソフトの開発費用や使用料は無料ではなく、数万円から数十万円以上するものもあります。自社でソフトを開発している大手メーカーは数百万円はソフト開発費に使っているでしょう。そんな高額なソフトを使用して、さらに人件費がかかるプロの職人が時間をかけて色選びをして、写真を加工してお客様に見せながらプレゼンを行います。それらは「カラーシミュレーション費用無料!」などと銘打たれているので、客としては無料で使えているのだと錯覚してしまいがちですが、やはり人件費や作業費ということで外壁塗装工事費用に上乗せされているのです。
カラーシミュレーションソフトの例です。こちらはそれぞれのソフトの優劣をお伝えしたいのではなく、ソフトの相場がこれくらいだという事をご理解いただくためのものです。
| ソフト名 | 価格 | 出来る事 |
| カラーエクスプレス | 368,000円 (2年目以降別料金で保守料金) | 色を塗装したときにどのような感じになるかをチェックする「カラーシミュレーション」 その他、影が当たっているところなども再現できる 家の外観をいくつものパーツに分けて各場所事に塗り分けられる「マスキング機能」 塗装の模様なども再現できる「テクスチャシミュレーション」 邪魔な電信柱や洗濯物などを取り除く「トリミング機能」 |
| Compas色彩工房 ver.4.0 | 128,000円 (別途30,000円/年のPhotoshopソフトが必要) | デジカメの写真データを取り込む、現像した写真を取り込めるスキャナ入力 画像自動補正、汚れ自動除去 ゆず肌調、リシン調、スタッコ調などの各仕上げテクスチャを再現 様々な色見本から色を選択できる |
| 塗装業者向けの カラーシミュレーションサービス | 10,000~20,000/回 | 上のようなカラーシミュレーションシステムを使って出来る事を業者向けに行っているサービスです。 一色追加するごとに数千円の追加料金が発生します。 |
外壁塗装業者も使いたくないカラーシミュレーター
実は外壁塗装業者としても、カラーシミュレーションソフトは使いたくありません。なぜならソフト代が高額ですし、実際の色とソフト上で表示している色が違うので、客に後から「シミュレーションした色と違うから塗り直せ」などと言われてトラブルになってしまう可能性もあるからです。その証拠として、カラーシミュレーションを売りにしている業者さんの多くが「実際の色味とは異なります」と注釈を入れています。それでも使用するのは、あくまでお客様が必要としているからなのです。
ただ、業者さんがどれだけ注釈を入れても、事前にどれだけ「実際の色と違う」と説明を入れたとしても、こうなると思っていた色と違う色になってしまった客は不満を持ってしまいます。そんなトラブルにならないように顧客側もカラーシミュレーションが本来の色味とは違い、あくまで雰囲気をとらえるだけの物なのだと理解しておく必要があります。
雰囲気をつかめるカラーシミュレーションソフト
ここまでカラーシミュレーションによる色選びは危険というお話しをしましたが、雰囲気を知るだけなら使っても良いカラーシミュレーターがあります。大手塗料メーカーの日本ペイントの塗料の一つ「ハナコレクション」特設サイトで提供されているカラーシミュレーションです。大手塗料メーカーが作成した物なので、安心して使う事も出来ますし、実際の塗料をそのまま塗装に使ってもらうことも出来ます(もちろん実際の塗料の色味がシミュレーション上とは違うという事は理解しておきましょう)。(参考:ハナコレクションのカラーシミュレーション(スマホ不可))
このシミュレーターは「庭に埋めるならどの花を選ぶ?」「理想の暮らしのイメージに近い物を選んでください」「好きな椅子・ドアを選ぶ」「理想の休日の過ごし方」など、とうてい外壁塗装には結びつかないような質問から最終的にはどのような外観配色が良いのか、というのを提案してくれます。その提案と、近隣の雰囲気を確認しながら色を考え、最終的には外壁塗装業者との打ち合わせで決めるようにしましょう。
こちらのカラーシミュレーションはなんだか占いのようなものに近いかもしれませんが、カラーシミュレーションの位置づけはそもそも「全く何色にするべきかわからない」という方に方向性を示すぐらいにとどめるべきなのです。
失敗しないように塗装の色を選ぶには?
失敗しない色選びの方法はたくさんありますが、一番簡単な方法は、実際に色身だけ業者さんに伝えて、その業者さんに実際にその系統のカラーを塗った家に連れて行ってもらうというのが良いでしょう。グレー系、ブラウン系、クリーム系、オレンジ系、ブルーグレー系、グリーン系などおおざっぱな色身だけ伝えます。
ほどよく汚れたついたり、ほどよく劣化した状態の外壁を見ることが出来ると思います。それで納得が出来なければ違う塗料を選ぶなどしてじっくりと色を選ぶようにしましょう。